大統領は風俗嬢（全37話）

第1章

第6話 利子ちゃんを探す

　店長にも協力してもらって、利子ちゃんを探すことにしたよ。

　まず可能性として考えられるのは、事故、自〇、事件、逃亡。事故だとしたら、交通事故なら警察が介入してるはずだよね。がけに落ちて動けないとかは可能性低そうだし。自〇もまずないと思う。事件だとしたら誰がなんのためにどうやって？誘拐？　殺人？。逃亡だとしたらどこに行ったのか。

　まずはできることをしよう。やっぱり警察かな？こういう業界だから失踪も珍しくないけど、何か手掛かりがあるかもしれないから、一応捜索願は出そう。

　私たちはプライベートに立ち入らないのが暗黙のルールだから、lineもメールも電話番号も何も知らない。

　弁護士さんは元彼なんだから知ってるんじゃないの？　って思ったけど、以前の番号は使われてなかった。

　「何か手掛かりになりそうなことはありませんか。学生時代によくデートした場所とか、大学時代のお友だちとか」

　「うーんと、よくデートしてたのは図書館とか本屋。学生時代の友達ねえ、彼女一匹狼って感じだったからなあ。部活もやってなくて、学費は奨学金だったけど、生活費のためにめちゃくちゃバイトしてたし」

　ふーん、苦学生だったんだね。にしても図書館と本屋でデートって色気ないなあ。

　「じゃあ、そのバイト先とか、以前の勤め先とかも調べてみましょう」

　なんか、探偵になった気分。

　バイト先や勤め先、同級生にも聞いてみたけど手掛かりはなかった。

　再び作戦会議。

　「実家はどこなんですか」

　「実感は長野って聞いてるけど、付き合ってたの半年くらいだから行ったこともないし、両親にも会ったことないんだ。住所も雪深いところとしか聞いてない」

　じゃあ、北信だね。にしても情報少なすぎない？　本当に付き合ってたの？

　「まあ、お互いそこまで恋愛に心の占有率が高くなかったんで」

　私の考えてることがわかったのか、聞いてもないのに難しい意味わかんない言葉使って言い訳してきた。
　別にいいんだけどね。なんだろうこのもやもやは。