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第11話 ~ 旅は道連れ ~ ZABADAK 椎葉の春節
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ボノ江さんと差しで食事をいただく。いただきました。お膳に箸置き。塗りもない生木を少し炙った手作りの品。目に浮かぶ涙は知らないふりをしてくれました。ありがとうございました。
勧められて部屋の隅にある藁敷の寝床に横たわる。ボノ江をどうするのが良いだろうか。
半覚醒の状態で思考が広がっていく。肌さわりの良い毛皮に包まれ、漂った意識は、眠る前のどうでもいい女性たちに結実しては霧散する。やがて闇に飲まれるように眠り込む。以上は目覚めたときにゆらりと思い出したこと。あぁ。やっちまったかな。
サピアが騒がないのでちょっと不思議だった。まあ、ボノボだからなあ。日本猿とあまり接触しないのなら、それなりに寂しいのか。死んだドクター両尾に可愛がられていたのか、昔は仲間もいたのか。
目覚めはいつもスッキリ爽やか。体内プラントのせいか、サピアのフォローのせいか。
「おはようございます」
「あぁ、おはよう」
ボノ江は昨日と様子は変わらない。布もないのだろうし、服は来ていない。ターバンのようなものを頭に巻いているが、材質はなんだろう?
文『自分の毛で編んだ布のようなものだと思われます』
な、なるほど。生え変わりがあるのかはわからないが、出来ないこともないのか?
「顔を洗われますか?朝ごはんはこちらに用意してあります」
モロオ猿が少し離れたところに佇んでいる。今何時かな。
文『8:50くらいだと思われます』
なるほど。
今朝の献立はぶぶ漬けとねぎ味噌少々。美味しゅうございました。玄米は玄米、やはり臭いが、穀物というのは満たされるものがある。よくよく噛んでいただきました。
自分の現状を詳しく説明する。AIのために福井県に行かねばならないこと。帰りには必ず寄るであろうこと。1~2週間位かかると予測されること。それまでにどうするか考えて対処しようと。ボノ江は感謝頻りで、なんなら外の猿たちを使ってもかまわないと。
モ猿も頷いていたので、早々に辞去する。
とても珍しいことらしかったが、ボノ江は外まで出てきて、見送ってくれた。
「こういうときは、黄色いハンカチを飾るものだと聞きました」
「真っ赤なスカーフを振ってくれてもいいけどね」
布がないからなぁ。手を振って別れる。
鶯が啼いている。季節遅れの鶯を老鶯というんだったか。こんな小鳥も生き残っているのか。人間はどうなったんだろう。他の人間に会えるのだろうか?
§
犬の首輪をもらった。藁のロープを上手く端面処理して、きれいに巻くことができる。ところどころ柄のようなものが入っている。犬に巻いてみるとちょうどよい。首輪をする意味があるのかどうかわからないが。
「そういえば、一時期組紐のようなことをしていたな、あいつ。ミサンガの大きいようなのを作って首に巻いてたな。おしゃれしてたんだろうな」
じゃあ、ボノ江のお下がりか。もう1ヶあるから自分で巻こうかとも思ったが、まあおいておこう。なにかこう、憑いてこられても嫌な感じだしな。犬は気に入っていると言うか気にしていないからそのままでいいか。柄でちょっと判別しやすくなってるしな。
§
「あっちはなあ。不穏なんだよなあ」
「不穏てなんだ?」
「いや、結構ヤバそうなんだよ。放射能とか。ちゃんとはわからんけど。どれかはメルトダウンしてるっぽい」
「まじか」
「まあ、200年ほど前に行ったきりなんだが。見たことないか巨大たんぽぽとか。帯化植物とか」
「えらい前だな。それ眉唾だろ」
「まあ放射能のせいとは限らないんだが、植生がおかしいような、帯化の花も見たし。ビビって帰ってから、琵琶湖の方には行ってないんだよ。」
「まじか」
「でも200年経ってるから、ウランやプルトニウム以外は半減期を迎えているし。夏に出るようにしてたんだが、何しろ冬の北海道かアラスカみたいな感じだったから、そうそう探検できひんかったからな。」
「その微妙な訛りが気になる」
「いや俺は東京出身の京大閥だったからな、混じってんだよ。悪いな」
「別に悪くはないよ、すまない。それよりボノ江さんは大丈夫かい?」
「ああ、今回も焼きおにぎり大量に作ったし、お湯につければ戻る糒っぽいものも作ってある。話言葉は聞かないが、字なら読むんだよあいつ。だからリアルタイム変換でモニターに俺の話し言葉を映して説明してるのさ。我ながらめんどくさいぜ。紙も切れて久しいから、炭はあっても書くものがないんだよ」
「なるほど」
「それに類人猿というか猿は合成できないビタミンも多いしな。たまには太陽に当たらないとな。あいつ、ちゃんとトイレに行くし、たまには風呂も入るんだから、引きこもりにしてはマシな方かもな」
「まあ、ペットボトルはないしな」
「長距離トラックの運ちゃんじゃあるまいに。それにお前が置いていってくれた魚や蛇の干物もありがたいぜ、あいつ虫は食わないからな」
「お前食うのか」
「お前食わないのか?まあ、猿だからか知らんけど、それなりに美味いぜ。蟻とかバッタとかムカデとか」
「……遠慮しとく」
§
ダラダラと川沿いを歩く。また早めに釣りをする。モズクかサワガニもいたので捕まえて煮る。蟹を投げるとケンが食いつく。猿たちがビビる。モ猿もビビる。蛇がいたら捕まえて処理する。そうやって、休み休み進んでいると、次第に緩斜面になる。川幅が細くなり、合流部分を渡り、なだらかなカーブに沿って西に進む。
「この川の水源はどうなってるんだ?」
「きひひ、聞いて驚け琵琶湖だよ」
「まじか」
「だいぶ地形が変わってな、氷河っぽいのがあったんだが、それが溶けて谷になったんだ。それが侵食して緑に覆われて、こっちにも川ができてる。もちろん淀川が本流で、こっちはおこぼれみたいなもんだ」
「えぇー、嘘くさい」
「まあ途中で伏流水になっちまうからホントのところはよくわからん」
「お前な」
「うひひひ」
§
モ猿以外に4匹の猿が付いてきている。も猿ほどではないが充分に大きい。犬がなついて遊びを仕掛けるが、適当にあしらっている。
「彼らも大きいな」
「ああ、成長ホルモンを打ち続けたんだよ。テロメアの改造もしたし、神経細胞を刺激するナノマシンにも適合したしな。まあ、俺の予備というか俺の素体を作るための前段階というか。だからそれなりに賢い。言うことをよく聞く」
「そもそもお前、なんで猿ばっかりなんだ?」
「……本来はバイオコンピューターを目指してたんだがな。実験動物って、高いんだよ。学会で認められようと思ったら、ちゃんとした猿使わないと駄目なんだが、年も年になってきて、退官せざるを得なくなって、まあいいかと思って、猿を増やしてたんだ自分で。その頃は貧乏だったから猿回しでもしようかと思ったぜ。んでバイオコンピューター諦めた頃に、なんか昔取った特許が効いてきて、えらく資産ができちまった。しょうがないから猿を改造しながら隠遁生活だぜ」
「まんまマッドサイエンティストだね」
「……別にマッドじゃないが、そう言われると満更でもないな」
「いや褒めてない」
§
途中で川がなくなる。緩斜面とはいえ、それなりにきつい。持ってくる方法はあるんだろうか。
「多分、以前はこのまま谷筋っぽいところを進んだんじゃないかと思うが、なにしろ氷河みたいな凍土だったからな。正直良くわからない」
「こんなときにケンの目でも見えたらいいんだが」
休憩しているときはケンは割と近所に降りている。それがじっと空を見ている。
「音がするな」
「そうだな」
ケンの見ている方向を見る。何かいる。
文「ドローンの可能性が高いです」
M「以前に一度接触したドローンもしくはその同型機と考えられます」
μ「まだはっきりと断定はできないけどねー」
「お前らよく見えるな」
「ああ、6.0くらいあるんじゃなかったかな」
「チートやん」
「耳も凄えいいみたいだ。30000Hzまで聞こえるとか」
「猿超えやん」
だんだん近づいてくるのがわかるが、大きさや距離はよくわからない。
ケンが不意に飛び立って、ドローンに向かっていく。
ドローンが向きを反転させて逃げる。そりゃそうだわ、あんなでかいの来たら逃げるわ。
μ「尊さん、止めてー!」
「わかった。ケーーーーーン!!」
大声で叫ぶ。モ猿がcoming baaaaackとか言っているが気にしたら負けだ。大体2020年生まれでそんなネタ知ってるのか?
振り返ってこちらを見て、もう一度前を見て、戻ってくる。頭上で旋回している。
μ「尊さん、下ろしてください」
「わかった。ケーーーン!降りてこーい」
そう言って蟹を目の前に投げる。ふわっとしてシュパーンと降りてくる。
「すげーな、肩に乗ったら鷹匠だけど、大きすぎて無理だな」
「そうだね」
ドローンが様子をうかがうようにやってくる。何だか頭が痛いが、すっと治る。高周波のせいか、電波のせいか、速攻薬物処方されたか。
μ「話はつきましたー。ドローンが先導してくれますー」
「はや!」
「早いな!」
文「無線信号のチャンネルを合わせましたので、高速データ通信が可能になりました」
M「マッピングが完了しました。中国側に生きた静止衛星がおり、そのデータを共有できました」
μ「ケンさんに襲わないように説得してくださいー」
「わかった。」
近寄って蟹を与える。ドローンを指差し、首を撫でながら話しかける。
「ケンさん、あれは味方だ。襲わないようにしてくれ」
「くーくっく」
ケンさんが唸る。初めて聞いた声だ。納得してくれたような気がする。
「じゃあ、出発進行!」
「なんか古いような気がする」
§
「なぁ、……夜、◯麻燃したよな?なにか、靄がかっていてよく覚えてはいないんだが」
「ああそのほうが安眠できるだろうと思ってな」
「寝ながら薬物か……私の初めてが……」
「ボノ江が……いや、なんでも無い」
「サピア、どうなってたんだ」
「……」
「いや無言て……」
μ「危険はなかったよー」
「わかった」
________________
吉良知彦さんに合掌。ほんとに惜しい人をなくしましたよ。
上野洋子さんの声目当てでZABADAK聞いてましたが、やっぱ作曲のピントというか、メロディー・アレンジともに自分の脳にあっていたというか。本当に残念です。デビューの頃の曲、もう30年以上前になるんですが、古さを感じる要素がないです。美しい。たしかに妙に(あの当時で言う)エコっぽさが鼻につく人はいるかも知れません、光の人とか宗教がかってるし。でもいいんです、好きです。
猿が苦手です。怖いです。でもゴリラとリスザルは大丈夫です。ボノボはよくわかりません。
以前、とあるペットショップにリスザルがいました。奥さんがふと指を伸ばすと、そっと手でその指を包みます。少ししたら離れますが、また指を伸ばすとそのひんやりした手が包んできます。もう恐ろしいほど可愛かったですが、30万以上の金額と(詳細忘れましたがもっと高かったかも)、環境と、もろもろで買いませんでした。何だか今思い出しても切なくなります。リスザルって、哺乳類なのに緑色っぽいんですよ、なんとなく。ナマケモノもそんな印象がありますが、あれって苔でしたっけ?
さて明日は載せられるかな?自転車操業が続いています……
勧められて部屋の隅にある藁敷の寝床に横たわる。ボノ江をどうするのが良いだろうか。
半覚醒の状態で思考が広がっていく。肌さわりの良い毛皮に包まれ、漂った意識は、眠る前のどうでもいい女性たちに結実しては霧散する。やがて闇に飲まれるように眠り込む。以上は目覚めたときにゆらりと思い出したこと。あぁ。やっちまったかな。
サピアが騒がないのでちょっと不思議だった。まあ、ボノボだからなあ。日本猿とあまり接触しないのなら、それなりに寂しいのか。死んだドクター両尾に可愛がられていたのか、昔は仲間もいたのか。
目覚めはいつもスッキリ爽やか。体内プラントのせいか、サピアのフォローのせいか。
「おはようございます」
「あぁ、おはよう」
ボノ江は昨日と様子は変わらない。布もないのだろうし、服は来ていない。ターバンのようなものを頭に巻いているが、材質はなんだろう?
文『自分の毛で編んだ布のようなものだと思われます』
な、なるほど。生え変わりがあるのかはわからないが、出来ないこともないのか?
「顔を洗われますか?朝ごはんはこちらに用意してあります」
モロオ猿が少し離れたところに佇んでいる。今何時かな。
文『8:50くらいだと思われます』
なるほど。
今朝の献立はぶぶ漬けとねぎ味噌少々。美味しゅうございました。玄米は玄米、やはり臭いが、穀物というのは満たされるものがある。よくよく噛んでいただきました。
自分の現状を詳しく説明する。AIのために福井県に行かねばならないこと。帰りには必ず寄るであろうこと。1~2週間位かかると予測されること。それまでにどうするか考えて対処しようと。ボノ江は感謝頻りで、なんなら外の猿たちを使ってもかまわないと。
モ猿も頷いていたので、早々に辞去する。
とても珍しいことらしかったが、ボノ江は外まで出てきて、見送ってくれた。
「こういうときは、黄色いハンカチを飾るものだと聞きました」
「真っ赤なスカーフを振ってくれてもいいけどね」
布がないからなぁ。手を振って別れる。
鶯が啼いている。季節遅れの鶯を老鶯というんだったか。こんな小鳥も生き残っているのか。人間はどうなったんだろう。他の人間に会えるのだろうか?
§
犬の首輪をもらった。藁のロープを上手く端面処理して、きれいに巻くことができる。ところどころ柄のようなものが入っている。犬に巻いてみるとちょうどよい。首輪をする意味があるのかどうかわからないが。
「そういえば、一時期組紐のようなことをしていたな、あいつ。ミサンガの大きいようなのを作って首に巻いてたな。おしゃれしてたんだろうな」
じゃあ、ボノ江のお下がりか。もう1ヶあるから自分で巻こうかとも思ったが、まあおいておこう。なにかこう、憑いてこられても嫌な感じだしな。犬は気に入っていると言うか気にしていないからそのままでいいか。柄でちょっと判別しやすくなってるしな。
§
「あっちはなあ。不穏なんだよなあ」
「不穏てなんだ?」
「いや、結構ヤバそうなんだよ。放射能とか。ちゃんとはわからんけど。どれかはメルトダウンしてるっぽい」
「まじか」
「まあ、200年ほど前に行ったきりなんだが。見たことないか巨大たんぽぽとか。帯化植物とか」
「えらい前だな。それ眉唾だろ」
「まあ放射能のせいとは限らないんだが、植生がおかしいような、帯化の花も見たし。ビビって帰ってから、琵琶湖の方には行ってないんだよ。」
「まじか」
「でも200年経ってるから、ウランやプルトニウム以外は半減期を迎えているし。夏に出るようにしてたんだが、何しろ冬の北海道かアラスカみたいな感じだったから、そうそう探検できひんかったからな。」
「その微妙な訛りが気になる」
「いや俺は東京出身の京大閥だったからな、混じってんだよ。悪いな」
「別に悪くはないよ、すまない。それよりボノ江さんは大丈夫かい?」
「ああ、今回も焼きおにぎり大量に作ったし、お湯につければ戻る糒っぽいものも作ってある。話言葉は聞かないが、字なら読むんだよあいつ。だからリアルタイム変換でモニターに俺の話し言葉を映して説明してるのさ。我ながらめんどくさいぜ。紙も切れて久しいから、炭はあっても書くものがないんだよ」
「なるほど」
「それに類人猿というか猿は合成できないビタミンも多いしな。たまには太陽に当たらないとな。あいつ、ちゃんとトイレに行くし、たまには風呂も入るんだから、引きこもりにしてはマシな方かもな」
「まあ、ペットボトルはないしな」
「長距離トラックの運ちゃんじゃあるまいに。それにお前が置いていってくれた魚や蛇の干物もありがたいぜ、あいつ虫は食わないからな」
「お前食うのか」
「お前食わないのか?まあ、猿だからか知らんけど、それなりに美味いぜ。蟻とかバッタとかムカデとか」
「……遠慮しとく」
§
ダラダラと川沿いを歩く。また早めに釣りをする。モズクかサワガニもいたので捕まえて煮る。蟹を投げるとケンが食いつく。猿たちがビビる。モ猿もビビる。蛇がいたら捕まえて処理する。そうやって、休み休み進んでいると、次第に緩斜面になる。川幅が細くなり、合流部分を渡り、なだらかなカーブに沿って西に進む。
「この川の水源はどうなってるんだ?」
「きひひ、聞いて驚け琵琶湖だよ」
「まじか」
「だいぶ地形が変わってな、氷河っぽいのがあったんだが、それが溶けて谷になったんだ。それが侵食して緑に覆われて、こっちにも川ができてる。もちろん淀川が本流で、こっちはおこぼれみたいなもんだ」
「えぇー、嘘くさい」
「まあ途中で伏流水になっちまうからホントのところはよくわからん」
「お前な」
「うひひひ」
§
モ猿以外に4匹の猿が付いてきている。も猿ほどではないが充分に大きい。犬がなついて遊びを仕掛けるが、適当にあしらっている。
「彼らも大きいな」
「ああ、成長ホルモンを打ち続けたんだよ。テロメアの改造もしたし、神経細胞を刺激するナノマシンにも適合したしな。まあ、俺の予備というか俺の素体を作るための前段階というか。だからそれなりに賢い。言うことをよく聞く」
「そもそもお前、なんで猿ばっかりなんだ?」
「……本来はバイオコンピューターを目指してたんだがな。実験動物って、高いんだよ。学会で認められようと思ったら、ちゃんとした猿使わないと駄目なんだが、年も年になってきて、退官せざるを得なくなって、まあいいかと思って、猿を増やしてたんだ自分で。その頃は貧乏だったから猿回しでもしようかと思ったぜ。んでバイオコンピューター諦めた頃に、なんか昔取った特許が効いてきて、えらく資産ができちまった。しょうがないから猿を改造しながら隠遁生活だぜ」
「まんまマッドサイエンティストだね」
「……別にマッドじゃないが、そう言われると満更でもないな」
「いや褒めてない」
§
途中で川がなくなる。緩斜面とはいえ、それなりにきつい。持ってくる方法はあるんだろうか。
「多分、以前はこのまま谷筋っぽいところを進んだんじゃないかと思うが、なにしろ氷河みたいな凍土だったからな。正直良くわからない」
「こんなときにケンの目でも見えたらいいんだが」
休憩しているときはケンは割と近所に降りている。それがじっと空を見ている。
「音がするな」
「そうだな」
ケンの見ている方向を見る。何かいる。
文「ドローンの可能性が高いです」
M「以前に一度接触したドローンもしくはその同型機と考えられます」
μ「まだはっきりと断定はできないけどねー」
「お前らよく見えるな」
「ああ、6.0くらいあるんじゃなかったかな」
「チートやん」
「耳も凄えいいみたいだ。30000Hzまで聞こえるとか」
「猿超えやん」
だんだん近づいてくるのがわかるが、大きさや距離はよくわからない。
ケンが不意に飛び立って、ドローンに向かっていく。
ドローンが向きを反転させて逃げる。そりゃそうだわ、あんなでかいの来たら逃げるわ。
μ「尊さん、止めてー!」
「わかった。ケーーーーーン!!」
大声で叫ぶ。モ猿がcoming baaaaackとか言っているが気にしたら負けだ。大体2020年生まれでそんなネタ知ってるのか?
振り返ってこちらを見て、もう一度前を見て、戻ってくる。頭上で旋回している。
μ「尊さん、下ろしてください」
「わかった。ケーーーン!降りてこーい」
そう言って蟹を目の前に投げる。ふわっとしてシュパーンと降りてくる。
「すげーな、肩に乗ったら鷹匠だけど、大きすぎて無理だな」
「そうだね」
ドローンが様子をうかがうようにやってくる。何だか頭が痛いが、すっと治る。高周波のせいか、電波のせいか、速攻薬物処方されたか。
μ「話はつきましたー。ドローンが先導してくれますー」
「はや!」
「早いな!」
文「無線信号のチャンネルを合わせましたので、高速データ通信が可能になりました」
M「マッピングが完了しました。中国側に生きた静止衛星がおり、そのデータを共有できました」
μ「ケンさんに襲わないように説得してくださいー」
「わかった。」
近寄って蟹を与える。ドローンを指差し、首を撫でながら話しかける。
「ケンさん、あれは味方だ。襲わないようにしてくれ」
「くーくっく」
ケンさんが唸る。初めて聞いた声だ。納得してくれたような気がする。
「じゃあ、出発進行!」
「なんか古いような気がする」
§
「なぁ、……夜、◯麻燃したよな?なにか、靄がかっていてよく覚えてはいないんだが」
「ああそのほうが安眠できるだろうと思ってな」
「寝ながら薬物か……私の初めてが……」
「ボノ江が……いや、なんでも無い」
「サピア、どうなってたんだ」
「……」
「いや無言て……」
μ「危険はなかったよー」
「わかった」
________________
吉良知彦さんに合掌。ほんとに惜しい人をなくしましたよ。
上野洋子さんの声目当てでZABADAK聞いてましたが、やっぱ作曲のピントというか、メロディー・アレンジともに自分の脳にあっていたというか。本当に残念です。デビューの頃の曲、もう30年以上前になるんですが、古さを感じる要素がないです。美しい。たしかに妙に(あの当時で言う)エコっぽさが鼻につく人はいるかも知れません、光の人とか宗教がかってるし。でもいいんです、好きです。
猿が苦手です。怖いです。でもゴリラとリスザルは大丈夫です。ボノボはよくわかりません。
以前、とあるペットショップにリスザルがいました。奥さんがふと指を伸ばすと、そっと手でその指を包みます。少ししたら離れますが、また指を伸ばすとそのひんやりした手が包んできます。もう恐ろしいほど可愛かったですが、30万以上の金額と(詳細忘れましたがもっと高かったかも)、環境と、もろもろで買いませんでした。何だか今思い出しても切なくなります。リスザルって、哺乳類なのに緑色っぽいんですよ、なんとなく。ナマケモノもそんな印象がありますが、あれって苔でしたっけ?
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