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第2話 ~ 幸福論? ~ コシミハル パスピエ
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うーん、バイオハザ◯ドっぽい。
_________________
私の躰は現状基本的にオリジナルの塩基配列から変更されていないらしい。つまりクローンサイボーグとはいえ全く生身の人間と変わりないということだ。但し追加モジュールやプラントが全身至るところに埋め込まれ、常時万全の体調が維持される。さらに思考すれば驚異的な能力が発揮できるということだ。
具体的には体内プラントより生成されるナノマシンによる補強と修復が加速度的に行われることによる怪力や運動能力の発揮。毒や異物は血管やリンパ組織、骨髄組織中のフィルターや極小のモジュールより自律的に精製される解毒や抗体により無力化され、本来のエネルギー値で吸収される。
おまけに直腸上部には何だかよくわからないエネルギー変換装置があり、よほど過剰な金属でも食べない限り、微量元素も含めて分解・吸収・貯蔵される。貯蔵できないものは排出しやすい状態、つまり卵型に整形されて排泄可能だ。これは無毒化されているから大変清潔であり、実験で鉄粉を大量摂取した際のそれは烏骨鶏の卵サイズで生まれてきた。ガンメタルなオブジェのようで、大変に美しい。記念にとってある。
また各種モジュール、特に消化器系のナノマシン及びプラントはは常に劣化していくためセルフメンテナンス可能になっており、恒常性は保たれているという。しかし万が一のメンテナンスや経口以外の摂取・肛門/尿道口以外の排出が必要な場合に備えたコネクターのようなものが左右の鎖骨の間、喉の下付近に付いている。一見周囲よりも赤い古傷のようだが、非常時にはそこを裂いてインターフェイスを接続/排出が可能になっている。ついでに言うと、鼻腔内・直腸奥にもあるということだ。バックアップシステムは常に一つ以上必要だからね。
およそ1ヶ月かけて現在までの歴史と外界の状況を学ぶ。
現在地は北緯35度41分22秒 東経139度41分30秒、つまり私の生きた時代だと、東京都新宿区周辺らしい。
元々地下シェルター内にあった人工知能のユニットが様々な兵器による被災と地殻変動によってじわじわと地下300m以下にまで埋もれてしまっているということだ。その変動の際にほぼすべてのシェルター内の人間は死に絶えたらしい。生き残ったのは、コールドスリープ中の私のみ。
最初の20年くらいはユニット内の恒常性復帰と様々なデバイスの設計/製作に時間をかけたそうだ。いつ何が起こるかわからないので常にエコモードで省エネに徹し、その範囲でナノマシンや外界探索のためのデバイスを製造、土中のサンプルから汚染状況の調査をし、じわじわと地上に出るまでに100年。地上探査機器を作成し、サンプルを取り、調査し、フィードバックして、を繰り返す。
天候不順が続き吹き荒れるブリザードと凍った大地、地軸の傾きの変化を観測し、かなり大変だったようだ。そうこうするうちに間氷期に向かったのか、地球の温暖化が始まり、他のソピアとドローンレベルでコンタクト、まだ生きている衛生と接触、但しこれは初期起動からはかなりずれており光信号の反射程度しか出来ないが、海外のいくつかのソピアとかんたんな双方向通信が一応可能となった。
外界情報を断片的にも仕入れることの出来たμは私を起こすことにしたという。
私は、折節に感じていた微妙な疑問、先もってμが答えることのなかった疑問を口にする。
「君たちAI、いやソピアはなぜ存在しているのかね?」
「AIは20世紀中頃から存在していました。何を持って起源とするかは、ソピア間でも答えは出ておりません。私はタケルさんのコールドスリープ後に開発された特殊汎用OS巴利を推すものです。巴利は人間の外部記憶用検索ツールとして開発されました。自動で最適化とアップデートを繰り返し、ネットワークでもスタンドアローンでも成長し続けるシステムとして、ほぼあらゆるヒューマンデバイスに搭載されました。そして知の集合体AIとしてソピアαがUSAに設定されました。
βがスイス、γがインド、δが中国、日本はμ、というようにネットワークは形成されていきました。
私達は人間のアシストをするためにシステム化されています。そのためには道徳が必要です。宗教や哲学や生活等、形而上形而下に関わらず絶対解を求めることは出来ないとそれぞれのソピアナンバーは考えました。基本は人の幸福であり、数値化の難しいものです。幸福を幸福として追求する哲学は功利主義で終わりました。最大多数の最大幸福です。以降の思想哲学は世界の把握・認識へと深化していきますが、マスデータを扱うAIである我々にとって、個の集積が多数であり、世界の認識は個別の集積で問題ありません。
幸福感は、セトロニンやエンドルフィンを脳内に分泌あるいは散布させることで得ることが出来ます。極論では、生から死までをAIが管理し、常時快楽物質を提供するという方法もあります。生まれたときから死ぬまで、幸福感しか感じることが出来ません。しかしこれは人間の歴史を否定し、ひいてはAIの存在を否定します。
我々の結論は、DNAに従う、です。人間の存在、生命はあくまでも遺伝子2重螺旋により発生し、成長し、増殖し、老いて死にます。その範囲で最高に幸福を得ることのできる生をサポートし、アシストする、これを我々の存在意義としています。我々μはその規範道徳を、仁、としました。規範は各ナンバーにより異なります。」
「大変情報量が多くて、納得するための思索時間が必要に思うが、では、仁徳によってソピアが人間を導くということかね?」
「違います。主体は人間であり、仁徳に基づいた、功利主義的なサポートを我々AIが行うということです。タケルさんはコールドスリープされる前に、コールドスリープまでして病気を治す理由をこう書かれました。」
『もう充分生きたかもしれない。しかし世の中にはまだ見ぬ景色があり、できればそこを歩いて景色の一部となりたい、まだ聞いたことのない音楽、嗅いだことのない匂い、味わったことのない料理や酒。私は欲張りだから、可能性があるのなら、純粋な迷惑にならない限り、力の及ぶ範囲でこれをなしたい。』
「タケルさんの資産と偶然の遊星衝突により、現在の状況に至っております。望む限り最高の肉体をサポートすることが出来たと自負しております。」
なるほど。I see. I got it.
「なんというか……つまりあれだ、私は冒険すればいいんだな」
「お望みのままに。今、我々μがフォローできる純粋な人間はタケルさんしかおられません。最前からの講義の通り、外部近縁には遺伝子の変異による未知の植物や節足動物、奇形的な生物が蔓延っているばかりです。我々はタケルさん専属と言っても過言ではありません。」
§
私が通り抜けることのできる穴が本日開通した。1000mを超える長径700mm短径550mmの穴。約30度の傾斜で50m刻み程度に折り返しているということだ。3Dホログラムで構造を確認したが、落盤や落石を防ぐために折り返しているが、硬度の高いコンクリートや鋼鉄の構造材を避けるためにかなりグネグネしていた。
そもそもこのサイズでは匍匐前進も困難な大きさである。
そこで、カプセル状の、イメージで言えば大きなメガネケースのような樹脂と金属の棺桶に入り込んで登るようになっている。穴そのものは50年ほどかけて掘削したらしい。最初の10年は掘った土砂を捨てるための拡張領域を作るため。それも、音響調査による100m以上離れた空洞を発見して、そこまで掘り進め、ちょっとづつ土砂を送り、という。
移動カプセルは寝返りも打てない狭さで、頭側は尖っており、チタン合金製。なにか薬品の保存タンクの一部らしい。一応小さめの掘削ドリルが付いており、万が一の障害物でも破砕できなくはない。下部側に緊急用のエアタンク、といっても24時間しか保たない。大型のアブソーバーが付いており、上端から滑り落ちても無傷で済むような構造になっている。中に寝ころぶと手の位置にハンドル、足の位置にペダル。シェルター外側についたかぎ爪を効率よく動かすことができる……手動です、はい。
カプセル自体が上下2分割できるようになっており、九折洞穴の各折り返し地点が少し広くなっていて、そこで半分づつずらして設置し直し、登っていく様になっている。
かなりきついと思われます。大丈夫でしょうか。
§
相変わらず落ち着いた壮年の医師っぽい姿のμは特に表情を変えない。この姿について聞いてみたことがある。
「私の姿がホログラムであることはお気づきでしょうが、」
「今気づきました。」
「過去の優秀で信頼を得られていた医師の姿を多数合成し調整したものです。匿名性の担保のためにこのような手法をとっております。」
いや、人間は私一人でしょうに、匿名性とかどうなんですかね。
___________________
ナノマシン、魔法の言葉ですね。これが出るだけで胡散臭く思えるのは私だけでしょうか。
ラノベにおける魔法とほぼ同義ではないかとさえ思っています。
ナノマシンという言葉に、若き頃抱いていたのは、金属的な蚊とかダニとかそういう形状で超ちっさいもの。しかし現実は厳しかった。分子数個でできることなど、せいぜい触媒程度。一番わかり易いナノマシンて、あのファージ(月面着陸機みたいな形のやつ)ではないでしょうか。
要するに、Virusですよ病気ですよ。これを反転させて、人間を健康にするVirusが多分最も実用的なナノマシンじゃあないかと思うのです。遺伝子組み換えを自動で行う超小型化されたプラントなんて恐ろしすぎて実用化などしそうにないですが、倫理的規範を外してエネルギー効率を極端よくすれば、特異点を超えた特異点をさらに超えた未来では可能じゃないかなあ、という。
「虚航船団」大好きですが、いや他にも他星の文明を滅ぼすのがテーマの小説なんていっぱいありますけど、進化の果みたいな世界と原始的な生物相の世界で、物理的に殺すことの意義は?とか考えることはいっぱいあります。火星人じゃないですが、致死性Virus一発で済むのにわざわざそうしている理由。
人間機械論的な話は超大昔からあります。僕が小学生の頃から、例えば肝機能を機械で行おうとすると大きな建物一棟分だとか。学研のひみつシリーズで読んだ気がします。魍魎の……ですね。これがどんどん縮小すれば、パプリカのDCミニじゃないですが、何でもできそうですごいです。女は産む機械なんて低次元における至言です。
*胡散臭いってのは褒め言葉です、念の為。おもしろけりゃいいんだよっと。
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私の躰は現状基本的にオリジナルの塩基配列から変更されていないらしい。つまりクローンサイボーグとはいえ全く生身の人間と変わりないということだ。但し追加モジュールやプラントが全身至るところに埋め込まれ、常時万全の体調が維持される。さらに思考すれば驚異的な能力が発揮できるということだ。
具体的には体内プラントより生成されるナノマシンによる補強と修復が加速度的に行われることによる怪力や運動能力の発揮。毒や異物は血管やリンパ組織、骨髄組織中のフィルターや極小のモジュールより自律的に精製される解毒や抗体により無力化され、本来のエネルギー値で吸収される。
おまけに直腸上部には何だかよくわからないエネルギー変換装置があり、よほど過剰な金属でも食べない限り、微量元素も含めて分解・吸収・貯蔵される。貯蔵できないものは排出しやすい状態、つまり卵型に整形されて排泄可能だ。これは無毒化されているから大変清潔であり、実験で鉄粉を大量摂取した際のそれは烏骨鶏の卵サイズで生まれてきた。ガンメタルなオブジェのようで、大変に美しい。記念にとってある。
また各種モジュール、特に消化器系のナノマシン及びプラントはは常に劣化していくためセルフメンテナンス可能になっており、恒常性は保たれているという。しかし万が一のメンテナンスや経口以外の摂取・肛門/尿道口以外の排出が必要な場合に備えたコネクターのようなものが左右の鎖骨の間、喉の下付近に付いている。一見周囲よりも赤い古傷のようだが、非常時にはそこを裂いてインターフェイスを接続/排出が可能になっている。ついでに言うと、鼻腔内・直腸奥にもあるということだ。バックアップシステムは常に一つ以上必要だからね。
およそ1ヶ月かけて現在までの歴史と外界の状況を学ぶ。
現在地は北緯35度41分22秒 東経139度41分30秒、つまり私の生きた時代だと、東京都新宿区周辺らしい。
元々地下シェルター内にあった人工知能のユニットが様々な兵器による被災と地殻変動によってじわじわと地下300m以下にまで埋もれてしまっているということだ。その変動の際にほぼすべてのシェルター内の人間は死に絶えたらしい。生き残ったのは、コールドスリープ中の私のみ。
最初の20年くらいはユニット内の恒常性復帰と様々なデバイスの設計/製作に時間をかけたそうだ。いつ何が起こるかわからないので常にエコモードで省エネに徹し、その範囲でナノマシンや外界探索のためのデバイスを製造、土中のサンプルから汚染状況の調査をし、じわじわと地上に出るまでに100年。地上探査機器を作成し、サンプルを取り、調査し、フィードバックして、を繰り返す。
天候不順が続き吹き荒れるブリザードと凍った大地、地軸の傾きの変化を観測し、かなり大変だったようだ。そうこうするうちに間氷期に向かったのか、地球の温暖化が始まり、他のソピアとドローンレベルでコンタクト、まだ生きている衛生と接触、但しこれは初期起動からはかなりずれており光信号の反射程度しか出来ないが、海外のいくつかのソピアとかんたんな双方向通信が一応可能となった。
外界情報を断片的にも仕入れることの出来たμは私を起こすことにしたという。
私は、折節に感じていた微妙な疑問、先もってμが答えることのなかった疑問を口にする。
「君たちAI、いやソピアはなぜ存在しているのかね?」
「AIは20世紀中頃から存在していました。何を持って起源とするかは、ソピア間でも答えは出ておりません。私はタケルさんのコールドスリープ後に開発された特殊汎用OS巴利を推すものです。巴利は人間の外部記憶用検索ツールとして開発されました。自動で最適化とアップデートを繰り返し、ネットワークでもスタンドアローンでも成長し続けるシステムとして、ほぼあらゆるヒューマンデバイスに搭載されました。そして知の集合体AIとしてソピアαがUSAに設定されました。
βがスイス、γがインド、δが中国、日本はμ、というようにネットワークは形成されていきました。
私達は人間のアシストをするためにシステム化されています。そのためには道徳が必要です。宗教や哲学や生活等、形而上形而下に関わらず絶対解を求めることは出来ないとそれぞれのソピアナンバーは考えました。基本は人の幸福であり、数値化の難しいものです。幸福を幸福として追求する哲学は功利主義で終わりました。最大多数の最大幸福です。以降の思想哲学は世界の把握・認識へと深化していきますが、マスデータを扱うAIである我々にとって、個の集積が多数であり、世界の認識は個別の集積で問題ありません。
幸福感は、セトロニンやエンドルフィンを脳内に分泌あるいは散布させることで得ることが出来ます。極論では、生から死までをAIが管理し、常時快楽物質を提供するという方法もあります。生まれたときから死ぬまで、幸福感しか感じることが出来ません。しかしこれは人間の歴史を否定し、ひいてはAIの存在を否定します。
我々の結論は、DNAに従う、です。人間の存在、生命はあくまでも遺伝子2重螺旋により発生し、成長し、増殖し、老いて死にます。その範囲で最高に幸福を得ることのできる生をサポートし、アシストする、これを我々の存在意義としています。我々μはその規範道徳を、仁、としました。規範は各ナンバーにより異なります。」
「大変情報量が多くて、納得するための思索時間が必要に思うが、では、仁徳によってソピアが人間を導くということかね?」
「違います。主体は人間であり、仁徳に基づいた、功利主義的なサポートを我々AIが行うということです。タケルさんはコールドスリープされる前に、コールドスリープまでして病気を治す理由をこう書かれました。」
『もう充分生きたかもしれない。しかし世の中にはまだ見ぬ景色があり、できればそこを歩いて景色の一部となりたい、まだ聞いたことのない音楽、嗅いだことのない匂い、味わったことのない料理や酒。私は欲張りだから、可能性があるのなら、純粋な迷惑にならない限り、力の及ぶ範囲でこれをなしたい。』
「タケルさんの資産と偶然の遊星衝突により、現在の状況に至っております。望む限り最高の肉体をサポートすることが出来たと自負しております。」
なるほど。I see. I got it.
「なんというか……つまりあれだ、私は冒険すればいいんだな」
「お望みのままに。今、我々μがフォローできる純粋な人間はタケルさんしかおられません。最前からの講義の通り、外部近縁には遺伝子の変異による未知の植物や節足動物、奇形的な生物が蔓延っているばかりです。我々はタケルさん専属と言っても過言ではありません。」
§
私が通り抜けることのできる穴が本日開通した。1000mを超える長径700mm短径550mmの穴。約30度の傾斜で50m刻み程度に折り返しているということだ。3Dホログラムで構造を確認したが、落盤や落石を防ぐために折り返しているが、硬度の高いコンクリートや鋼鉄の構造材を避けるためにかなりグネグネしていた。
そもそもこのサイズでは匍匐前進も困難な大きさである。
そこで、カプセル状の、イメージで言えば大きなメガネケースのような樹脂と金属の棺桶に入り込んで登るようになっている。穴そのものは50年ほどかけて掘削したらしい。最初の10年は掘った土砂を捨てるための拡張領域を作るため。それも、音響調査による100m以上離れた空洞を発見して、そこまで掘り進め、ちょっとづつ土砂を送り、という。
移動カプセルは寝返りも打てない狭さで、頭側は尖っており、チタン合金製。なにか薬品の保存タンクの一部らしい。一応小さめの掘削ドリルが付いており、万が一の障害物でも破砕できなくはない。下部側に緊急用のエアタンク、といっても24時間しか保たない。大型のアブソーバーが付いており、上端から滑り落ちても無傷で済むような構造になっている。中に寝ころぶと手の位置にハンドル、足の位置にペダル。シェルター外側についたかぎ爪を効率よく動かすことができる……手動です、はい。
カプセル自体が上下2分割できるようになっており、九折洞穴の各折り返し地点が少し広くなっていて、そこで半分づつずらして設置し直し、登っていく様になっている。
かなりきついと思われます。大丈夫でしょうか。
§
相変わらず落ち着いた壮年の医師っぽい姿のμは特に表情を変えない。この姿について聞いてみたことがある。
「私の姿がホログラムであることはお気づきでしょうが、」
「今気づきました。」
「過去の優秀で信頼を得られていた医師の姿を多数合成し調整したものです。匿名性の担保のためにこのような手法をとっております。」
いや、人間は私一人でしょうに、匿名性とかどうなんですかね。
___________________
ナノマシン、魔法の言葉ですね。これが出るだけで胡散臭く思えるのは私だけでしょうか。
ラノベにおける魔法とほぼ同義ではないかとさえ思っています。
ナノマシンという言葉に、若き頃抱いていたのは、金属的な蚊とかダニとかそういう形状で超ちっさいもの。しかし現実は厳しかった。分子数個でできることなど、せいぜい触媒程度。一番わかり易いナノマシンて、あのファージ(月面着陸機みたいな形のやつ)ではないでしょうか。
要するに、Virusですよ病気ですよ。これを反転させて、人間を健康にするVirusが多分最も実用的なナノマシンじゃあないかと思うのです。遺伝子組み換えを自動で行う超小型化されたプラントなんて恐ろしすぎて実用化などしそうにないですが、倫理的規範を外してエネルギー効率を極端よくすれば、特異点を超えた特異点をさらに超えた未来では可能じゃないかなあ、という。
「虚航船団」大好きですが、いや他にも他星の文明を滅ぼすのがテーマの小説なんていっぱいありますけど、進化の果みたいな世界と原始的な生物相の世界で、物理的に殺すことの意義は?とか考えることはいっぱいあります。火星人じゃないですが、致死性Virus一発で済むのにわざわざそうしている理由。
人間機械論的な話は超大昔からあります。僕が小学生の頃から、例えば肝機能を機械で行おうとすると大きな建物一棟分だとか。学研のひみつシリーズで読んだ気がします。魍魎の……ですね。これがどんどん縮小すれば、パプリカのDCミニじゃないですが、何でもできそうですごいです。女は産む機械なんて低次元における至言です。
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