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5章
ヘインズとゴリアテ
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「さて、僕が護るとは言ったもののどうしたものかな?」
相手はどういうことかすぐに再生してしまう、闇雲に斬ったところで意味はないだろう。
(相棒、アイツの頭の中心を狙いな)
「頭の中心?そこが弱点なの?」
(恐らくな、アイツの頭の中心から嫌ぁな魔力がプンプン流れてやがる)
「そうなのか……僕には解らないけどクレイジュが言うならそうなんだろうね」
(おうよ、俺様は聖剣と呼ばれし剣だからな!)
そう胸を張る相棒にクオンは頼もしいと思う(剣なので胸はないが)。
狙いを定めたクオンは腰を低くすると、一気に駆け、ゴリアテとの距離を詰めた。
「速い!?」
後ろで見ていたカモメが驚きを上げるくらいのスピードで駆けたクオンの攻撃は相手の脳天から縦に一文字で斬り裂くように振り下ろされる。
ゴリアテはクオンのスピードについていくことが出来ず、その攻撃に反応することが出来てすらいなかった。
「くっ」
だが、クオンの剣はそのままゴリアテを斬り裂くことはなくゴリアテの頭の上でその軌跡を止める。
ゴリアテは反応すらできなかった……だが、後ろで笑いながら見ている男はそうではなかった。
「素晴らしいスピードですクオンさん、スピードだけならヴィクトールさんを超えているんじゃありませんか?いいですねぇ、良い物語が出来そうですよ!」
「ちっ!」
剣を止められ、奇襲に失敗したクオンはその場を離れカモメの近くへと跳んで戻る。
クオンの剣を止めたのはヘインズの風の結界だった。
「惜しかったですねぇ、次はどうされますか?」
(相棒、アイツを先にやらねぇとまた防がれちまうぞ!)
解っている、クレイジュの言う通りだろう、だが、だからと言ってゴリアテと同時に相手をしながら倒せるような相手ではない。
いや、ヘインズ一人だったとしてもクオン一人で戦うのはキツイのだ。
「闇の刃!」
「っ!?」
クオンの後ろから闇の刃が躍り出る。
闇の刃はゴリアテの顔面に向かい飛んでいくと、先ほどと同じようにヘインズの風の結界で防がれた。
「へぇ、さっすがクオン、本当に頭が弱点なんだね」
闇の刃を放った少女はまるで悪戯を思いついた少年のような顔をしていた。
「気付いたのは僕じゃなくクレイジュだけどね」
(おうよ!すげぇだろ!)
「あはは、クレイジュもありがとう……闇の刃×2!」
左右に放たれた闇の刃がゴリアテに向かって飛んでいく。狙いはもちろん顔面である。
その攻撃を防ぐべくヘインズは風の結界を再びゴリアテの周りに貼るが。
「ほいっと!」
カモメが手を横に振ると、闇の刃は軌道を変え、突如ヘインズへと向かった。
「何?!……があああ!!」
「ヘインズ殿!?」
軌道を変えた闇の刃はヘインズの体を斬り裂く。ゴリアテを護ることに力を使っていたヘインズはその闇の刃に対処することが出来ず、悲鳴を上げるのであった。
「残念、ゴリアテ大臣狙ったつもりだったのに外れちゃったよ☆」
(カカカ、良い性格してるで嬢ちゃん……ってうお!)
「おっと!」
ゴリアテが、こちらに向かって腕を振り上げ攻撃をしてきていた為、クオンはその攻撃をクレイジュで受け止める。そしてそのまま腕を斬り飛ばし、間合いを詰め頭部への攻撃に移るが……。
「風の刃!」
「風よ!!」
ヘインズがクオンに向かってかぜの刃で攻撃をする。その攻撃をカモメは風の結界で防いだ。
クオンの攻撃は止まらず、ゴリアテに向かって進むが、ゴリアテはその攻撃を再生した両腕を使って防ごうとする。
だが、クオンとクレイジュの一撃はそんなものお構いなしというように両腕を斬り飛ばし突き進んだ。
普通の人間であればあの黒い腕に傷を付けるのすら難しいというのに、クオンとクレイジュはそれをバターのように斬り飛ばす。しかし、相手もさることながら、両腕を犠牲にしたお陰で出来た一瞬の時間で、その一撃をギリギリのところで躱すことに成功した。
ゴリアテは後ろに飛びのき、距離を取るがカモメはそのゴリアテに追撃を放つ。
「魔水風圧弾!」
水を風で圧縮し放つ合成魔法である、その一撃がゴリアテの頭部に向かって奔る……が、その攻撃はヘインズによって阻まれる。ヘインズがゴリアテの前に躍り出ると片手でカモメの攻撃を防いだのだ。
その様子にクオンは少し疑問に思う。
「随分、必死に守りますね?」
「当然でしょう!彼は私の最高傑作なのですから!彼はまだまだ、進化をするのです、ですからこんなところで死なれては困るのですよ……私の願いを果たすためにも!」
「願い?」
「ふふふ……あなた達には関係のないことです、さあ行きますよゴリアテ!貴方の真価とくと見せてさし上げなさい!」
そういうと、ヘインズはゴリアテに向かって魔力を放った、その魔力を浴びたことによりゴリアテの様子が変わる。筋肉が隆起し、牙と爪が伸び、元々化け物のような姿であったゴリアテは、さらにその姿を醜悪へとかえるのであった。
「ちょっとやばい雰囲気?」
「だね……逃げるかい?」
「そうしたいけどねぇ……そうもいかないでしょ」
「だよね」
クオンが来てくれたことにより、少し余裕が出来たのか、カモメはクオンと軽口をたたいているが、グランルーンを救うためにもここで逃げるわけにも行かないというのはもちろん、そして、目の前に現れた父親の仇をみすみす逃すということもカモメには出来ないのであった。
相手はどういうことかすぐに再生してしまう、闇雲に斬ったところで意味はないだろう。
(相棒、アイツの頭の中心を狙いな)
「頭の中心?そこが弱点なの?」
(恐らくな、アイツの頭の中心から嫌ぁな魔力がプンプン流れてやがる)
「そうなのか……僕には解らないけどクレイジュが言うならそうなんだろうね」
(おうよ、俺様は聖剣と呼ばれし剣だからな!)
そう胸を張る相棒にクオンは頼もしいと思う(剣なので胸はないが)。
狙いを定めたクオンは腰を低くすると、一気に駆け、ゴリアテとの距離を詰めた。
「速い!?」
後ろで見ていたカモメが驚きを上げるくらいのスピードで駆けたクオンの攻撃は相手の脳天から縦に一文字で斬り裂くように振り下ろされる。
ゴリアテはクオンのスピードについていくことが出来ず、その攻撃に反応することが出来てすらいなかった。
「くっ」
だが、クオンの剣はそのままゴリアテを斬り裂くことはなくゴリアテの頭の上でその軌跡を止める。
ゴリアテは反応すらできなかった……だが、後ろで笑いながら見ている男はそうではなかった。
「素晴らしいスピードですクオンさん、スピードだけならヴィクトールさんを超えているんじゃありませんか?いいですねぇ、良い物語が出来そうですよ!」
「ちっ!」
剣を止められ、奇襲に失敗したクオンはその場を離れカモメの近くへと跳んで戻る。
クオンの剣を止めたのはヘインズの風の結界だった。
「惜しかったですねぇ、次はどうされますか?」
(相棒、アイツを先にやらねぇとまた防がれちまうぞ!)
解っている、クレイジュの言う通りだろう、だが、だからと言ってゴリアテと同時に相手をしながら倒せるような相手ではない。
いや、ヘインズ一人だったとしてもクオン一人で戦うのはキツイのだ。
「闇の刃!」
「っ!?」
クオンの後ろから闇の刃が躍り出る。
闇の刃はゴリアテの顔面に向かい飛んでいくと、先ほどと同じようにヘインズの風の結界で防がれた。
「へぇ、さっすがクオン、本当に頭が弱点なんだね」
闇の刃を放った少女はまるで悪戯を思いついた少年のような顔をしていた。
「気付いたのは僕じゃなくクレイジュだけどね」
(おうよ!すげぇだろ!)
「あはは、クレイジュもありがとう……闇の刃×2!」
左右に放たれた闇の刃がゴリアテに向かって飛んでいく。狙いはもちろん顔面である。
その攻撃を防ぐべくヘインズは風の結界を再びゴリアテの周りに貼るが。
「ほいっと!」
カモメが手を横に振ると、闇の刃は軌道を変え、突如ヘインズへと向かった。
「何?!……があああ!!」
「ヘインズ殿!?」
軌道を変えた闇の刃はヘインズの体を斬り裂く。ゴリアテを護ることに力を使っていたヘインズはその闇の刃に対処することが出来ず、悲鳴を上げるのであった。
「残念、ゴリアテ大臣狙ったつもりだったのに外れちゃったよ☆」
(カカカ、良い性格してるで嬢ちゃん……ってうお!)
「おっと!」
ゴリアテが、こちらに向かって腕を振り上げ攻撃をしてきていた為、クオンはその攻撃をクレイジュで受け止める。そしてそのまま腕を斬り飛ばし、間合いを詰め頭部への攻撃に移るが……。
「風の刃!」
「風よ!!」
ヘインズがクオンに向かってかぜの刃で攻撃をする。その攻撃をカモメは風の結界で防いだ。
クオンの攻撃は止まらず、ゴリアテに向かって進むが、ゴリアテはその攻撃を再生した両腕を使って防ごうとする。
だが、クオンとクレイジュの一撃はそんなものお構いなしというように両腕を斬り飛ばし突き進んだ。
普通の人間であればあの黒い腕に傷を付けるのすら難しいというのに、クオンとクレイジュはそれをバターのように斬り飛ばす。しかし、相手もさることながら、両腕を犠牲にしたお陰で出来た一瞬の時間で、その一撃をギリギリのところで躱すことに成功した。
ゴリアテは後ろに飛びのき、距離を取るがカモメはそのゴリアテに追撃を放つ。
「魔水風圧弾!」
水を風で圧縮し放つ合成魔法である、その一撃がゴリアテの頭部に向かって奔る……が、その攻撃はヘインズによって阻まれる。ヘインズがゴリアテの前に躍り出ると片手でカモメの攻撃を防いだのだ。
その様子にクオンは少し疑問に思う。
「随分、必死に守りますね?」
「当然でしょう!彼は私の最高傑作なのですから!彼はまだまだ、進化をするのです、ですからこんなところで死なれては困るのですよ……私の願いを果たすためにも!」
「願い?」
「ふふふ……あなた達には関係のないことです、さあ行きますよゴリアテ!貴方の真価とくと見せてさし上げなさい!」
そういうと、ヘインズはゴリアテに向かって魔力を放った、その魔力を浴びたことによりゴリアテの様子が変わる。筋肉が隆起し、牙と爪が伸び、元々化け物のような姿であったゴリアテは、さらにその姿を醜悪へとかえるのであった。
「ちょっとやばい雰囲気?」
「だね……逃げるかい?」
「そうしたいけどねぇ……そうもいかないでしょ」
「だよね」
クオンが来てくれたことにより、少し余裕が出来たのか、カモメはクオンと軽口をたたいているが、グランルーンを救うためにもここで逃げるわけにも行かないというのはもちろん、そして、目の前に現れた父親の仇をみすみす逃すということもカモメには出来ないのであった。
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