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4章
ダンジョン
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僕はカモメ達と別れ、アネルさんの言う聖武具が眠るとされるダンジョンへと潜っていた。
とはいえ、僕一人で潜っているわけではない、コハクにリーナ、そしてリーナの使い魔であるヒスイ。さらに、ソフィーナさんの4人と一匹だ。
ダンジョンは思ったよりも暗く、少し湿っぽい。
もっとモンスターがたくさん出てくるのかと思っていたのだが、それ程の数はいないようだ。
現在僕らはダンジョンの二階層にいる、このダンジョンは全体で5階層あるらしく、アネルさんの話だと、この階層から階層ボスと呼ばれるモンスターが次の階に降りる階段を護っているらしい。
ダンジョンの中にはたまに宝箱などが出現することがある、これはダンジョンの最下層のモンスターが護る宝箱とは違い、出る場所も中身もランダムになっているらしい。
なぜ宝箱が出現するのかは未だ解明されていないらしいが、ダンジョンと呼ばれるものがそう言う能力を持った場所だと言われている。
こういう謎も、いずれはカモメ達と一緒に解いてみたいものだ。
「あ、クオンさん、またカモメさんの事考えてましたね?」
「え、な、なんでわかるのかな?」
「それはそうですよ、クオンさんカモメさんの事を考えている時はすごくいい笑顔になりますもん」
リーナとコハクに指摘され、僕は自分の顔を触る・・・そんなにニヤけてるのか・・・。
「まあ、クオン殿は魔女殿が大好きですかね」
「わん!」
揶揄う口調で言ってくるソフィーナに、まるで自分もそう思うと言わんばかりに吠えるヒスイ・・・。
僕ってそんなにわかりやすいのか・・・。
「そ、それより、先に進もうか!」
「逃げましたね」
「うん、逃げたね」
「ホ、ホラ行くよ!」
揶揄われ慣れていない僕はソワソワとしながら先を促す。
最初はぎこちない感じであったこのパーティであったが、ダンジョンの一階層を協力して踏破するうちにだんだんと仲が良くなってきていた・・・元から仲のいいコハクとリーナにソフィーナさんが加わり、なぜか僕が揶揄われることが多いのだが。
「一階層はそれほど、敵も多くありませんでしたけど」
「うん、アネルさんの話だとこの階層から階層ボスがいるらしい」
「腕がなりますね」
階層ボスは最低でもCランクの魔物が出るらしい、その為、もしランクの低い階層ボスだった場合、僕は戦いに参加せず3人とヒスイに任せる予定である。
そもそも、他のみんなが参加した理由は自分の力を上げることが目的なのだ。
もちろん、聖武具以外の装備が宝箱から出たら譲るつもりでもある。
「何か来ます!」
そう考えながら歩いていると、モンスターがこちらに近づいてくる気配がある。
一番最初に気付いたのはホワイトファングである、ヒスイだ。
嗅覚がするどいヒスイは僕より早く敵の接近に気が付いた。
そしてそれに気づいたリーナが僕らに警戒を促す。
「あれは・・・ケイブバットですね」
コハクの言う通り、あれはケイブバットと呼ばれる蝙蝠のような魔物だ。
確かランクはEだったかな。
「数は4・・・任せてもいいかな?」
「はい!」
そう言うとコハクは弓を構える。
敵が完全にこちらに近づく前にコハクは弓を射る。
矢は一番先頭にいたケイブバットに的中し、魔石へと姿を変えさせた。
「お見事」
「ありがとうございます!」
先頭の仲間をやられて、怒りを覚えたのか残りのケイブバットが威嚇するかのように鳴く。
「次は私の番だな!」
ソフィーナさんが前に出ると襲い掛かるケイブバットを一刀両断した。
彼女の腕前は騎士団長といわれるだけあってすごい。
冒険者だったとしたらAランクといわれるくらいの実力はあるのではなかろうか。
そう思うくらい鮮やかな剣捌きで魔物を纏めて3体倒すのであった。
「くぅ~ん」
「私とヒスイは出番なしですね」
ソフィーナさんが敵を全滅させてしまった為、やることが無く落ち込むヒスイ。
そんなヒスイの頭を撫でながらリーナは笑った。
「まあ、階層ボスの時は二人とも頑張ってもらうことになると思うから今は温存してると思えばいいんじゃないかな?」
「わん!」
僕がそう言うと、ヒスイは尻尾を振りながらやる気を見せる。
ここまではまるで危険も無く、順調に進むことが出来ている、だからといって、この先もそうなるとは限らないので気を緩めるわけにはいかない。
そんな僕の考えとは裏腹に、順調に二階層も奥へと進んだ。
途中、ケイブバットやゴブリンなどが出てきたが、コハクたちは危なげなく撃退する。
彼らも冒険者が大分板についてきているようだった。
まともに冒険をしていない僕やカモメよりずっと冒険者らしいんじゃないだろうか?・・・そう思ったが、ちょっと悲しくなったので考えるのを止めた。
「ん?クオン殿」
「はい、どうやら階層の最奥に着いたようですね」
そう言う僕らの前にはダンジョンだと言うのに大きな扉がひとつそびえ立っていたのだ。
ダンジョンの階層ボスと呼ばれるモンスターは一際大きな部屋にいることが多く、その部屋の前にはこういった扉がある。
アネルさんに聞いていた通りだ。
「それじゃ、開けるよ」
「はい!」
僕が尋ねると、3人はお互いに頷きあい、代表してコハクが答えてくれた。
大きな扉を軽く押すと、まるで僕らを招き入れるかのように簡単に開く。
そして、奥には大きな魔物が悠然と立ちこちらを見ていた。
とはいえ、僕一人で潜っているわけではない、コハクにリーナ、そしてリーナの使い魔であるヒスイ。さらに、ソフィーナさんの4人と一匹だ。
ダンジョンは思ったよりも暗く、少し湿っぽい。
もっとモンスターがたくさん出てくるのかと思っていたのだが、それ程の数はいないようだ。
現在僕らはダンジョンの二階層にいる、このダンジョンは全体で5階層あるらしく、アネルさんの話だと、この階層から階層ボスと呼ばれるモンスターが次の階に降りる階段を護っているらしい。
ダンジョンの中にはたまに宝箱などが出現することがある、これはダンジョンの最下層のモンスターが護る宝箱とは違い、出る場所も中身もランダムになっているらしい。
なぜ宝箱が出現するのかは未だ解明されていないらしいが、ダンジョンと呼ばれるものがそう言う能力を持った場所だと言われている。
こういう謎も、いずれはカモメ達と一緒に解いてみたいものだ。
「あ、クオンさん、またカモメさんの事考えてましたね?」
「え、な、なんでわかるのかな?」
「それはそうですよ、クオンさんカモメさんの事を考えている時はすごくいい笑顔になりますもん」
リーナとコハクに指摘され、僕は自分の顔を触る・・・そんなにニヤけてるのか・・・。
「まあ、クオン殿は魔女殿が大好きですかね」
「わん!」
揶揄う口調で言ってくるソフィーナに、まるで自分もそう思うと言わんばかりに吠えるヒスイ・・・。
僕ってそんなにわかりやすいのか・・・。
「そ、それより、先に進もうか!」
「逃げましたね」
「うん、逃げたね」
「ホ、ホラ行くよ!」
揶揄われ慣れていない僕はソワソワとしながら先を促す。
最初はぎこちない感じであったこのパーティであったが、ダンジョンの一階層を協力して踏破するうちにだんだんと仲が良くなってきていた・・・元から仲のいいコハクとリーナにソフィーナさんが加わり、なぜか僕が揶揄われることが多いのだが。
「一階層はそれほど、敵も多くありませんでしたけど」
「うん、アネルさんの話だとこの階層から階層ボスがいるらしい」
「腕がなりますね」
階層ボスは最低でもCランクの魔物が出るらしい、その為、もしランクの低い階層ボスだった場合、僕は戦いに参加せず3人とヒスイに任せる予定である。
そもそも、他のみんなが参加した理由は自分の力を上げることが目的なのだ。
もちろん、聖武具以外の装備が宝箱から出たら譲るつもりでもある。
「何か来ます!」
そう考えながら歩いていると、モンスターがこちらに近づいてくる気配がある。
一番最初に気付いたのはホワイトファングである、ヒスイだ。
嗅覚がするどいヒスイは僕より早く敵の接近に気が付いた。
そしてそれに気づいたリーナが僕らに警戒を促す。
「あれは・・・ケイブバットですね」
コハクの言う通り、あれはケイブバットと呼ばれる蝙蝠のような魔物だ。
確かランクはEだったかな。
「数は4・・・任せてもいいかな?」
「はい!」
そう言うとコハクは弓を構える。
敵が完全にこちらに近づく前にコハクは弓を射る。
矢は一番先頭にいたケイブバットに的中し、魔石へと姿を変えさせた。
「お見事」
「ありがとうございます!」
先頭の仲間をやられて、怒りを覚えたのか残りのケイブバットが威嚇するかのように鳴く。
「次は私の番だな!」
ソフィーナさんが前に出ると襲い掛かるケイブバットを一刀両断した。
彼女の腕前は騎士団長といわれるだけあってすごい。
冒険者だったとしたらAランクといわれるくらいの実力はあるのではなかろうか。
そう思うくらい鮮やかな剣捌きで魔物を纏めて3体倒すのであった。
「くぅ~ん」
「私とヒスイは出番なしですね」
ソフィーナさんが敵を全滅させてしまった為、やることが無く落ち込むヒスイ。
そんなヒスイの頭を撫でながらリーナは笑った。
「まあ、階層ボスの時は二人とも頑張ってもらうことになると思うから今は温存してると思えばいいんじゃないかな?」
「わん!」
僕がそう言うと、ヒスイは尻尾を振りながらやる気を見せる。
ここまではまるで危険も無く、順調に進むことが出来ている、だからといって、この先もそうなるとは限らないので気を緩めるわけにはいかない。
そんな僕の考えとは裏腹に、順調に二階層も奥へと進んだ。
途中、ケイブバットやゴブリンなどが出てきたが、コハクたちは危なげなく撃退する。
彼らも冒険者が大分板についてきているようだった。
まともに冒険をしていない僕やカモメよりずっと冒険者らしいんじゃないだろうか?・・・そう思ったが、ちょっと悲しくなったので考えるのを止めた。
「ん?クオン殿」
「はい、どうやら階層の最奥に着いたようですね」
そう言う僕らの前にはダンジョンだと言うのに大きな扉がひとつそびえ立っていたのだ。
ダンジョンの階層ボスと呼ばれるモンスターは一際大きな部屋にいることが多く、その部屋の前にはこういった扉がある。
アネルさんに聞いていた通りだ。
「それじゃ、開けるよ」
「はい!」
僕が尋ねると、3人はお互いに頷きあい、代表してコハクが答えてくれた。
大きな扉を軽く押すと、まるで僕らを招き入れるかのように簡単に開く。
そして、奥には大きな魔物が悠然と立ちこちらを見ていた。
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