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4章
強敵
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「大丈夫ですの!」
エリンシアが立つことすらままならない私の元に駆け寄ってきて、治療魔法を掛けてくれる。
「・・・ありがと」
「とんでもありませんわね・・・」
まったくだ、ツァインの教会の前で戦った、同じ12神将であった魔族は私一人でも十分戦える相手であった。同じ12神将であるはずなのにここまで強さが違うなんて・・・。
「なんだ、もう終わりか?闇の子と言えど大したことないな」
「まだまだだよ」
エリンシアの治療のお陰でなんとか立ち上がることに成功する。
「闇の刃!」
「何!?」
闇の刃がグランへと襲い掛かる、だがこの闇の刃を生み出したのは私ではなかった。
「残念、外したわ」
「・・・ぬいぐるみだと?」
「ぬいぐるみじゃないわよ!」
青筋を立てながら反論し、私たちの所まで飛んできたディータ。
「大丈夫かしら、カモメ」
「うん、なんとか」
「今回は私も戦うわ」
「大丈夫なの?」
ディータはソウルイーターの体の魔力量が低く思ったように魔法が使えなかったはずだ。
「まだまだ、少ないけど、ここに来る途中のリザードマンの魔石も食べたからね、少しは戦えるわ」
そういえば、ここに来る途中も落ちてる魔石を食べてたっけそのお陰で少しは魔力量が上がったという事らしい。
「おい、ぬいぐるみ」
「ぬいぐるみじゃないって言ってるでしょ!」
「お前も今、闇の魔法を使ったな?」
「だったら何かしら?」
ソウルイーターの体になったとはいえ、闇の女神であるディータは闇の魔法を使える。
「闇の子が二人だと?」
「はい?」
闇の子が二人?闇の子は私じゃないの?
というか、闇の魔法が使えれば闇の子ってことなのかな?
「ちっ、だから予言なんてアテにならねぇってんだ・・・」
「予言ですって?」
闇の子ってのは予言の話なのか・・・うん?じゃあ別にディータとは関係ないのかな?
てっきり、魔王が闇の女神を警戒しててそう言ってるのかと思ってたんだけど・・・。
「まあいい、両方殺しちまえば関係ねぇか」
「こっちの質問にも答えて欲しいんだけど?予言ってのはなんなのかしら?」
「ふんっ、ぬいぐるみに教えてやる必要はねぇな」
「ぬいぐるみじゃないって言ってるでしょうが!」
予言が何か聞きたかったが、どうやら教えてくれないようだ・・・ケチんぼめ。
「それにこれから死ぬお前らに教えても意味がねぇしな」
ニヤリと笑いながらこちらに近づき始めるグラン。
「くっ、合わせなさい、カモメ!」
「うん!」
「「闇の刃!」」
二つの闇の刃がグランに向かって不規則に飛んでいく、これを避けるのは難しいはず。
「しゃらくせえ!」
グランは持っていた剣を一振りすると二つの闇の刃をいとも簡単に砕く。
「なっ!?」
「今度はこっちから行くぜ!」
「させませんわ!」
グランがこちらに向かって動こうとした瞬間、エリンシアが魔弾を放つ。
「ちっ」
その魔弾をまとも軽々と剣を振りかき消すグラン。
「闇の刃!」
「闇雷纏!」
闇の刃を放つディータと体を強化して突っ込む私。
ディータが闇の刃を自在に操り、私はその闇の刃と連携しながら戦う形になる、剣で簡単に砕かれるとはいえ、体に直接与えればダメージになるはず、そう思い私自身がグランの隙を作ろうとするのだが・・・。
「こんなもん、効きゃしねぇぞ?」
あろうことか、グランは闇の刃を剣を持っていない方の手で鷲掴みし握りつぶしてしまった。
「・・・嘘?」
「出鱈目すぎる」
目の前で起きた出来事に一瞬、あっけをとられてしまった私は、グランが振る剣に一瞬反応が遅れしまい避けることが出来なかった、咄嗟にガードをしたものの、勢いを抑えきれず瓦礫に叩き付けられる。
「ぐっ」
「カモメ!」
「おいおい、よそ見をしていていいのか?」
「なっ!?」
ディータが私を心配した一瞬で、ディータの目の前に移動をしたグランがディータ目掛けて剣を叩き付けた。
その攻撃を風の魔法で防ごうとするディータだが、私と同じく、勢いを殺せず地面にたたきつけらてしまう。
「闇の子と言ってもこんなもんか」
地面に叩きつけられたディータをまるでボールのように蹴り飛ばすグラン。
蹴り飛ばされたディータをエリンシアがキャッチした。
このままではまずい、今まで戦ってきたどの魔族よりもこのグランという魔族は強い、理不尽なほどに。
だが、私にはもう黒炎滅撃を撃つ魔力は残っていない。エリンシアにしても今は崩れて見る影もないが城の広間で戦った魔族との戦いで消耗しているはずだ。全力魔弾を一発撃てるかどうかだろう・・・。
私も後、闇魔滅砲を一発撃てるかどうかだ。闇魔滅砲を何かの魔法と合成するだけの魔力が残っていたとしても、もう一つの魔法を作り出すだけの魔力は確実にない・・・どうする?闇の刃とそれと同等の威力の魔法を合成しても恐らくあの魔族には致命打にはならないだろう・・・・・・うん?ちょっと待って・・・そうだ!
私は一つの可能性に気付き、立ち上がる。
「ほう、まだあきらめていねぇのか?」
私が立ち上がるのを見て、そう言う魔族に、私はニヤリと笑い返してやる。
きっと魔族には私が余裕の表情をしているように見えたはずである。
だが、魔族にダメージを与えられるであろう術は思い付いたのだが、それには魔族の隙をつく必要がやはりどうしてもある・・・どうしよう。
「おもしれぇ」
不敵な笑いを浮かべながらこちらを見遣る魔族、エリンシア達が私の元に駆け寄り武器を構えながら声を掛けてきた。
「何か秘策がありますの?」
「うん」
さて、どうやって相手の隙を作ろうか・・・。
私がそう悩んでいる後ろでゆっくりと立ち上がる一つの影があった。
エリンシアが立つことすらままならない私の元に駆け寄ってきて、治療魔法を掛けてくれる。
「・・・ありがと」
「とんでもありませんわね・・・」
まったくだ、ツァインの教会の前で戦った、同じ12神将であった魔族は私一人でも十分戦える相手であった。同じ12神将であるはずなのにここまで強さが違うなんて・・・。
「なんだ、もう終わりか?闇の子と言えど大したことないな」
「まだまだだよ」
エリンシアの治療のお陰でなんとか立ち上がることに成功する。
「闇の刃!」
「何!?」
闇の刃がグランへと襲い掛かる、だがこの闇の刃を生み出したのは私ではなかった。
「残念、外したわ」
「・・・ぬいぐるみだと?」
「ぬいぐるみじゃないわよ!」
青筋を立てながら反論し、私たちの所まで飛んできたディータ。
「大丈夫かしら、カモメ」
「うん、なんとか」
「今回は私も戦うわ」
「大丈夫なの?」
ディータはソウルイーターの体の魔力量が低く思ったように魔法が使えなかったはずだ。
「まだまだ、少ないけど、ここに来る途中のリザードマンの魔石も食べたからね、少しは戦えるわ」
そういえば、ここに来る途中も落ちてる魔石を食べてたっけそのお陰で少しは魔力量が上がったという事らしい。
「おい、ぬいぐるみ」
「ぬいぐるみじゃないって言ってるでしょ!」
「お前も今、闇の魔法を使ったな?」
「だったら何かしら?」
ソウルイーターの体になったとはいえ、闇の女神であるディータは闇の魔法を使える。
「闇の子が二人だと?」
「はい?」
闇の子が二人?闇の子は私じゃないの?
というか、闇の魔法が使えれば闇の子ってことなのかな?
「ちっ、だから予言なんてアテにならねぇってんだ・・・」
「予言ですって?」
闇の子ってのは予言の話なのか・・・うん?じゃあ別にディータとは関係ないのかな?
てっきり、魔王が闇の女神を警戒しててそう言ってるのかと思ってたんだけど・・・。
「まあいい、両方殺しちまえば関係ねぇか」
「こっちの質問にも答えて欲しいんだけど?予言ってのはなんなのかしら?」
「ふんっ、ぬいぐるみに教えてやる必要はねぇな」
「ぬいぐるみじゃないって言ってるでしょうが!」
予言が何か聞きたかったが、どうやら教えてくれないようだ・・・ケチんぼめ。
「それにこれから死ぬお前らに教えても意味がねぇしな」
ニヤリと笑いながらこちらに近づき始めるグラン。
「くっ、合わせなさい、カモメ!」
「うん!」
「「闇の刃!」」
二つの闇の刃がグランに向かって不規則に飛んでいく、これを避けるのは難しいはず。
「しゃらくせえ!」
グランは持っていた剣を一振りすると二つの闇の刃をいとも簡単に砕く。
「なっ!?」
「今度はこっちから行くぜ!」
「させませんわ!」
グランがこちらに向かって動こうとした瞬間、エリンシアが魔弾を放つ。
「ちっ」
その魔弾をまとも軽々と剣を振りかき消すグラン。
「闇の刃!」
「闇雷纏!」
闇の刃を放つディータと体を強化して突っ込む私。
ディータが闇の刃を自在に操り、私はその闇の刃と連携しながら戦う形になる、剣で簡単に砕かれるとはいえ、体に直接与えればダメージになるはず、そう思い私自身がグランの隙を作ろうとするのだが・・・。
「こんなもん、効きゃしねぇぞ?」
あろうことか、グランは闇の刃を剣を持っていない方の手で鷲掴みし握りつぶしてしまった。
「・・・嘘?」
「出鱈目すぎる」
目の前で起きた出来事に一瞬、あっけをとられてしまった私は、グランが振る剣に一瞬反応が遅れしまい避けることが出来なかった、咄嗟にガードをしたものの、勢いを抑えきれず瓦礫に叩き付けられる。
「ぐっ」
「カモメ!」
「おいおい、よそ見をしていていいのか?」
「なっ!?」
ディータが私を心配した一瞬で、ディータの目の前に移動をしたグランがディータ目掛けて剣を叩き付けた。
その攻撃を風の魔法で防ごうとするディータだが、私と同じく、勢いを殺せず地面にたたきつけらてしまう。
「闇の子と言ってもこんなもんか」
地面に叩きつけられたディータをまるでボールのように蹴り飛ばすグラン。
蹴り飛ばされたディータをエリンシアがキャッチした。
このままではまずい、今まで戦ってきたどの魔族よりもこのグランという魔族は強い、理不尽なほどに。
だが、私にはもう黒炎滅撃を撃つ魔力は残っていない。エリンシアにしても今は崩れて見る影もないが城の広間で戦った魔族との戦いで消耗しているはずだ。全力魔弾を一発撃てるかどうかだろう・・・。
私も後、闇魔滅砲を一発撃てるかどうかだ。闇魔滅砲を何かの魔法と合成するだけの魔力が残っていたとしても、もう一つの魔法を作り出すだけの魔力は確実にない・・・どうする?闇の刃とそれと同等の威力の魔法を合成しても恐らくあの魔族には致命打にはならないだろう・・・・・・うん?ちょっと待って・・・そうだ!
私は一つの可能性に気付き、立ち上がる。
「ほう、まだあきらめていねぇのか?」
私が立ち上がるのを見て、そう言う魔族に、私はニヤリと笑い返してやる。
きっと魔族には私が余裕の表情をしているように見えたはずである。
だが、魔族にダメージを与えられるであろう術は思い付いたのだが、それには魔族の隙をつく必要がやはりどうしてもある・・・どうしよう。
「おもしれぇ」
不敵な笑いを浮かべながらこちらを見遣る魔族、エリンシア達が私の元に駆け寄り武器を構えながら声を掛けてきた。
「何か秘策がありますの?」
「うん」
さて、どうやって相手の隙を作ろうか・・・。
私がそう悩んでいる後ろでゆっくりと立ち上がる一つの影があった。
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