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2章
救出
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「風弾!」
私が魔法を唱えると、目の前の数人の黄泉鴉たちが吹き飛ぶ。
しかし、直撃を受けた者もいる筈なのに吹っ飛んだ黄泉鴉はすぐさま立ち上がった。
「なんでなんで!手加減なんてしてないのにぃ!」
『落ち着きなさいカモメ、あいつらは操られてて意識が元々ないのよ!』
「じゃあ、どうすればいいのさ!」
『跡形もなく消し飛ばしちゃいなさい!』
「そんなことしたら後ろの洞窟まで吹っ飛ばしちゃうよ!」
『なら、後ろの洞窟を吹き飛ばさない程度に吹き飛ばしなさい!』
「出来たらやってるよー!!・・・ってきゃあああ!噛みつこうとしないでぇええ!風弾《ウィンディローア》!」
私に噛みつこうとしてきた黄泉鴉に風の弾を放ち吹き飛ばす。
だが、吹き飛ばされ地面を転がりながら近くの岩に叩き付けられた黄泉鴉は何事もなかったかのように立ち上がる。
「ひぃいいい」
軽くホラーである。
物語に出てくるゾンビとかってこんな感じなのかな・・・現実のゾンビは魔法ひとつで吹き飛ばせるが物語のゾンビは魔術や魔石で作られたものではなく。
人間が病気に感染してなることが多い、しかも噛みつかれるとその人もゾンビになっちゃうとか!ファンタジーだよ!
だが、目の前にいる黄泉鴉、ゾンビとは違った肉体は腐っていないが物語にでてくる倒しても倒しても立ち上がってくるゾンビにそっくりである。
もしかして、噛まれたら私もああなっちゃたりするのかな?そう考えるとゾっとした。
『なら、体を真っ二つにしちゃいなさい!』
「わかった!旋風刃」
風の刃が目の前のゾン・・・黄泉鴉に襲い掛かる。
操られた黄泉鴉は基本的に動きが鈍い、こういうところもゾンビっぽい、その為、風の刃は避けられず黄泉鴉を真っ二つにした。
だが・・・あろうことか、真っ二つになった黄泉鴉は上半身だけでも私の方へと這ってくる。
下半身の方はビクンビクンと跳ねていた。
こわ!・・・・・・こっわ!!!
「余計怖くなったよディータ!!」
『私に言われても・・・燃やしちゃいなさい!火葬よ!火葬!』
「炸裂炎弾」
上半身だけで近寄ってくる黄泉鴉に私は炎の魔法を叩き込む。
上半身は燃え上がり、後は消し炭になるだけ・・・あれ?
上半身だけの黄泉鴉はあろうことか・・・いや、ちょっと想像してたけど・・・燃えながらこちらに這ってきた。
「『きゃあああああああ!?』」
あ、珍しくディータが悲鳴を上げてる。
それほどまでに目の前の光景は怖い、燃える上半身が目の部分だけ赤く光らせながらこちらに這ってくるのだ。
ホラーだよ!ホラー!私はホラーな世界に迷い込んでしまったのでは!
私がオタオタとしていると、聞きなれた声が後ろから聞こえた。
「魔剣よ!浄化の光を!」
眩い白い光が辺りを包むと、目の前にいた黄泉鴉が灰となり消えていった。
私の炎のせい?いや、でも今のだと光の魔法で浄化されたような?
ゾンビの様とは言っても人間だ、幽霊とかと違って浄化されるなんてこと無いと思うんだけど?
私が疑問に思っていると光の魔法を使用した本人が説明してくれた。
「どうやら、操られたというより悪魔に変化させられてるみたいだね、魔人の力なのかな」
なるほど、操られていた訳じゃなく魔人の力で強制的に悪魔に堕とされたのかなら、浄化の光が効くのも納得だ。
ただ、悪魔と言っても意識もなくただ目の前の私に襲い掛かてくるだけだったのでやっぱりゾンビみたいなものかな?
「でも、それがわかったなら問題ないね」
『最初から光の魔法を試しておけばよかったわ』
「悲鳴可愛かったよ♪」
『ひ、悲鳴なんてあげてないわよ!・・・っていうかカモメだってあげてたじゃない!』
いやぁ、私の悲鳴よりディータの悲鳴の方がレアだよレア♪
滅多に聞けるものじゃないもんね。
さて、相手の弱点が分かった事だし、さっさと片付けてフードの男を追わないとね。
エリンシアがいるから大丈夫だと思うけど、中にはコハクとヒスイにリーナっていう子もいる筈だ、急いだほうがいいだろう。
『一気に行くよ!聖神祝福!』
私の放った光の浄化魔法が私を中心に辺りに広がる。
光を浴びた黄泉鴉たちが次々に灰に変わるのだった。
クオンのお陰で無事、黄泉鴉たちを倒すことが出来た、光魔法が効くことに気付いていればもっと早く倒せたのに。
いや、そんなことを考えている場合じゃないね、中にいるエリンシア達が心配だ、早くフードの男を追いかけないと!
「ガウガウ!」
ホワイトファングという白い狼のような魔物が二人の前を先導しながら走っていた。
後ろを走る二人はエリンシアとコハクである。
前を走るホワイトファングはコハクの探しているリーナという少女の育てた魔物だというのだ。
そして、その魔物の名前はヒスイ。ヒスイはリーナの居場所がわかるらしくエリンシア達を案内する為、先頭を走っていた。
洞窟の中にはアッサリと侵入できた、それもそのはずである、いきなりの爆発に外にいた黄泉鴉は全員そちらに注意をひかれていたのだ。
まあ、いきなり自分たちのいる場所の中心地が爆発したら無視できないだろう。
コハクやヒスイですら驚きのあまりそちらを見たほどだ。
カモメの性格を知っているエリンシアはさも当然のようにしていたが。
コハクとヒスイに目的を思い出させ、ヒスイに案内をさせたエリンシア達が向かったのはフードの男たちの後ろにあった洞窟である。
この洞窟はそれほど深くはなかった、入って少し進んだところに大きな空洞があるだけでそのさらに奥は無いようだった。
空洞の中心には何やら魔法陣のようなものが書かれている。
そして、その魔法陣から離れた場所に窪みが出来ており、鉄格子のようなものが嵌められていた。
その窪みにヒスイは近寄っていきこちらに向かって吠えていた。
「ガウガウ!」
「え・・・?ヒスイ?」
女の子の声がする。
その声に反応したコハクは窪みの方へと駆け寄った。
「リーナ!」
「え・・・兄様!?」
どうやら、あの窪みは牢屋の役目を果たしているのか鉄格子のなかにはエルフの少女が入っていた。
特に傷つけられた様子はなく、衰弱もしていない。
何もされていないようでエリンシアは安堵した。
「その方がリーナさんですの?」
「はい・・・待ってろ、今出してやるから」
コハクが鉄格子を引っ張り外そうとするが見た目の割にはしっかりとしているらしく、コハクの力では開けることが出来ないようだった。
「兄様、逃げてください!今はここにいませんがヴァンパイアがいたんです!危険です!」
「ヴァンパイアだって!?」
「あら、それなら問題ありませんわ、今、外でカモメさんとクオンさんが相手をしている筈ですもの」
「・・・え?」
ヴァンパイアと言えば、ランクSの魔物である。
コハクの驚きでわかるようにランクSの魔物は普通の人間の勝てる相手ではない。
英雄と呼ばれる人間でもない限り戦うことすら出来ずに殺されてしまうだろう。
そんな危険な魔物を相手にするのに軍隊でも連れてきているならまだしも二人で相手をしている?自殺行為である。
「えっと、そのヴァンパイアというのはランクSの魔物です」
「知っておりますわよ?」
なぜか話が噛み合わない・・・知っているのであれば二人で相手を出来るわけがないのに・・・。
「兄様・・・」
「外の二人には悪いけど俺にはリーナが一番大事なんだ」
コハクもカモメ達の実力を知らない為、ヴァンパイアがいると知った時には絶望していた。
外の二人に知らせに行くにしてもすでに戦いは始まっていた。
今から知らせに戻ってもすでに外二人は殺されているかもしれない、なら、リーナを助け出して逃がすことを優先する。
自分を治療して、リーナを助けることに協力してくれた人たちを見捨てるような真似をすることは正直、自分で自分が嫌になったがそれでもコハクはリーナを助けたかったのだ。
リーナを助けらえるのであれば外道と言われても構わない、そう思っていた。
「それより、そこをお退きなさいですわ」
エリンシアはそう言うと魔導銃を構えた。
「な、なにをするんです!?」
コハクは彼女らを裏切ったことにエリンシアが報復しようとしているのではと勘違いしたが、そうではない。
「鍵の部分を壊すんですのよ、そこにいたら危ないですわ」
「・・・え?」
鉄格子には開閉用の扉が付けられていて、その部分には鍵が無いとあかないようになっている。
その部分をエリンシアは撃ちぬいた。
カシャンとその役目を果たせず少し寂しいような音を出し、鉄格子の扉はあっさりと開いたのだった。
「・・・ありがとうございます」
「兄様、それより外の方たちを!」
「いや、だが・・・」
すでにもう遅いだろう、そう言いたげな表情でコハクは下を向いた。
「カモメさん達なら問題ありませんわよ、ランクSの魔物でもあの二人なら問題ないですわ」
まあ、二人で戦わなくても倒せるでしょうけど。そう心で思いながらエリンシアはリーナの手を取り牢屋から出してあげるのだった。
「さあ、逃げますわよ」
「「はい」」
「!・・・待ちなさいですわ!」
エリンシアが二人を止めると、洞窟の入り口から一人の男が走りこんでくる。
格好からすると恐らくフードを被っていた男であろう、すでにフードを焼けてなくなり素顔をさらしているが必死な形相で魔法陣の方へ向かって行った。
「カモメさんのおドジですわ!」
取り逃がしたカモメ悪態をつき、エリンシアは魔導銃を構えて戦闘態勢に入った。
私が魔法を唱えると、目の前の数人の黄泉鴉たちが吹き飛ぶ。
しかし、直撃を受けた者もいる筈なのに吹っ飛んだ黄泉鴉はすぐさま立ち上がった。
「なんでなんで!手加減なんてしてないのにぃ!」
『落ち着きなさいカモメ、あいつらは操られてて意識が元々ないのよ!』
「じゃあ、どうすればいいのさ!」
『跡形もなく消し飛ばしちゃいなさい!』
「そんなことしたら後ろの洞窟まで吹っ飛ばしちゃうよ!」
『なら、後ろの洞窟を吹き飛ばさない程度に吹き飛ばしなさい!』
「出来たらやってるよー!!・・・ってきゃあああ!噛みつこうとしないでぇええ!風弾《ウィンディローア》!」
私に噛みつこうとしてきた黄泉鴉に風の弾を放ち吹き飛ばす。
だが、吹き飛ばされ地面を転がりながら近くの岩に叩き付けられた黄泉鴉は何事もなかったかのように立ち上がる。
「ひぃいいい」
軽くホラーである。
物語に出てくるゾンビとかってこんな感じなのかな・・・現実のゾンビは魔法ひとつで吹き飛ばせるが物語のゾンビは魔術や魔石で作られたものではなく。
人間が病気に感染してなることが多い、しかも噛みつかれるとその人もゾンビになっちゃうとか!ファンタジーだよ!
だが、目の前にいる黄泉鴉、ゾンビとは違った肉体は腐っていないが物語にでてくる倒しても倒しても立ち上がってくるゾンビにそっくりである。
もしかして、噛まれたら私もああなっちゃたりするのかな?そう考えるとゾっとした。
『なら、体を真っ二つにしちゃいなさい!』
「わかった!旋風刃」
風の刃が目の前のゾン・・・黄泉鴉に襲い掛かる。
操られた黄泉鴉は基本的に動きが鈍い、こういうところもゾンビっぽい、その為、風の刃は避けられず黄泉鴉を真っ二つにした。
だが・・・あろうことか、真っ二つになった黄泉鴉は上半身だけでも私の方へと這ってくる。
下半身の方はビクンビクンと跳ねていた。
こわ!・・・・・・こっわ!!!
「余計怖くなったよディータ!!」
『私に言われても・・・燃やしちゃいなさい!火葬よ!火葬!』
「炸裂炎弾」
上半身だけで近寄ってくる黄泉鴉に私は炎の魔法を叩き込む。
上半身は燃え上がり、後は消し炭になるだけ・・・あれ?
上半身だけの黄泉鴉はあろうことか・・・いや、ちょっと想像してたけど・・・燃えながらこちらに這ってきた。
「『きゃあああああああ!?』」
あ、珍しくディータが悲鳴を上げてる。
それほどまでに目の前の光景は怖い、燃える上半身が目の部分だけ赤く光らせながらこちらに這ってくるのだ。
ホラーだよ!ホラー!私はホラーな世界に迷い込んでしまったのでは!
私がオタオタとしていると、聞きなれた声が後ろから聞こえた。
「魔剣よ!浄化の光を!」
眩い白い光が辺りを包むと、目の前にいた黄泉鴉が灰となり消えていった。
私の炎のせい?いや、でも今のだと光の魔法で浄化されたような?
ゾンビの様とは言っても人間だ、幽霊とかと違って浄化されるなんてこと無いと思うんだけど?
私が疑問に思っていると光の魔法を使用した本人が説明してくれた。
「どうやら、操られたというより悪魔に変化させられてるみたいだね、魔人の力なのかな」
なるほど、操られていた訳じゃなく魔人の力で強制的に悪魔に堕とされたのかなら、浄化の光が効くのも納得だ。
ただ、悪魔と言っても意識もなくただ目の前の私に襲い掛かてくるだけだったのでやっぱりゾンビみたいなものかな?
「でも、それがわかったなら問題ないね」
『最初から光の魔法を試しておけばよかったわ』
「悲鳴可愛かったよ♪」
『ひ、悲鳴なんてあげてないわよ!・・・っていうかカモメだってあげてたじゃない!』
いやぁ、私の悲鳴よりディータの悲鳴の方がレアだよレア♪
滅多に聞けるものじゃないもんね。
さて、相手の弱点が分かった事だし、さっさと片付けてフードの男を追わないとね。
エリンシアがいるから大丈夫だと思うけど、中にはコハクとヒスイにリーナっていう子もいる筈だ、急いだほうがいいだろう。
『一気に行くよ!聖神祝福!』
私の放った光の浄化魔法が私を中心に辺りに広がる。
光を浴びた黄泉鴉たちが次々に灰に変わるのだった。
クオンのお陰で無事、黄泉鴉たちを倒すことが出来た、光魔法が効くことに気付いていればもっと早く倒せたのに。
いや、そんなことを考えている場合じゃないね、中にいるエリンシア達が心配だ、早くフードの男を追いかけないと!
「ガウガウ!」
ホワイトファングという白い狼のような魔物が二人の前を先導しながら走っていた。
後ろを走る二人はエリンシアとコハクである。
前を走るホワイトファングはコハクの探しているリーナという少女の育てた魔物だというのだ。
そして、その魔物の名前はヒスイ。ヒスイはリーナの居場所がわかるらしくエリンシア達を案内する為、先頭を走っていた。
洞窟の中にはアッサリと侵入できた、それもそのはずである、いきなりの爆発に外にいた黄泉鴉は全員そちらに注意をひかれていたのだ。
まあ、いきなり自分たちのいる場所の中心地が爆発したら無視できないだろう。
コハクやヒスイですら驚きのあまりそちらを見たほどだ。
カモメの性格を知っているエリンシアはさも当然のようにしていたが。
コハクとヒスイに目的を思い出させ、ヒスイに案内をさせたエリンシア達が向かったのはフードの男たちの後ろにあった洞窟である。
この洞窟はそれほど深くはなかった、入って少し進んだところに大きな空洞があるだけでそのさらに奥は無いようだった。
空洞の中心には何やら魔法陣のようなものが書かれている。
そして、その魔法陣から離れた場所に窪みが出来ており、鉄格子のようなものが嵌められていた。
その窪みにヒスイは近寄っていきこちらに向かって吠えていた。
「ガウガウ!」
「え・・・?ヒスイ?」
女の子の声がする。
その声に反応したコハクは窪みの方へと駆け寄った。
「リーナ!」
「え・・・兄様!?」
どうやら、あの窪みは牢屋の役目を果たしているのか鉄格子のなかにはエルフの少女が入っていた。
特に傷つけられた様子はなく、衰弱もしていない。
何もされていないようでエリンシアは安堵した。
「その方がリーナさんですの?」
「はい・・・待ってろ、今出してやるから」
コハクが鉄格子を引っ張り外そうとするが見た目の割にはしっかりとしているらしく、コハクの力では開けることが出来ないようだった。
「兄様、逃げてください!今はここにいませんがヴァンパイアがいたんです!危険です!」
「ヴァンパイアだって!?」
「あら、それなら問題ありませんわ、今、外でカモメさんとクオンさんが相手をしている筈ですもの」
「・・・え?」
ヴァンパイアと言えば、ランクSの魔物である。
コハクの驚きでわかるようにランクSの魔物は普通の人間の勝てる相手ではない。
英雄と呼ばれる人間でもない限り戦うことすら出来ずに殺されてしまうだろう。
そんな危険な魔物を相手にするのに軍隊でも連れてきているならまだしも二人で相手をしている?自殺行為である。
「えっと、そのヴァンパイアというのはランクSの魔物です」
「知っておりますわよ?」
なぜか話が噛み合わない・・・知っているのであれば二人で相手を出来るわけがないのに・・・。
「兄様・・・」
「外の二人には悪いけど俺にはリーナが一番大事なんだ」
コハクもカモメ達の実力を知らない為、ヴァンパイアがいると知った時には絶望していた。
外の二人に知らせに行くにしてもすでに戦いは始まっていた。
今から知らせに戻ってもすでに外二人は殺されているかもしれない、なら、リーナを助け出して逃がすことを優先する。
自分を治療して、リーナを助けることに協力してくれた人たちを見捨てるような真似をすることは正直、自分で自分が嫌になったがそれでもコハクはリーナを助けたかったのだ。
リーナを助けらえるのであれば外道と言われても構わない、そう思っていた。
「それより、そこをお退きなさいですわ」
エリンシアはそう言うと魔導銃を構えた。
「な、なにをするんです!?」
コハクは彼女らを裏切ったことにエリンシアが報復しようとしているのではと勘違いしたが、そうではない。
「鍵の部分を壊すんですのよ、そこにいたら危ないですわ」
「・・・え?」
鉄格子には開閉用の扉が付けられていて、その部分には鍵が無いとあかないようになっている。
その部分をエリンシアは撃ちぬいた。
カシャンとその役目を果たせず少し寂しいような音を出し、鉄格子の扉はあっさりと開いたのだった。
「・・・ありがとうございます」
「兄様、それより外の方たちを!」
「いや、だが・・・」
すでにもう遅いだろう、そう言いたげな表情でコハクは下を向いた。
「カモメさん達なら問題ありませんわよ、ランクSの魔物でもあの二人なら問題ないですわ」
まあ、二人で戦わなくても倒せるでしょうけど。そう心で思いながらエリンシアはリーナの手を取り牢屋から出してあげるのだった。
「さあ、逃げますわよ」
「「はい」」
「!・・・待ちなさいですわ!」
エリンシアが二人を止めると、洞窟の入り口から一人の男が走りこんでくる。
格好からすると恐らくフードを被っていた男であろう、すでにフードを焼けてなくなり素顔をさらしているが必死な形相で魔法陣の方へ向かって行った。
「カモメさんのおドジですわ!」
取り逃がしたカモメ悪態をつき、エリンシアは魔導銃を構えて戦闘態勢に入った。
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