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幼少期~青年期・国外外遊編
第54話 カサード、キレる
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「カサード殿下! 俺の弟子にしてやる!」
突然やってきて、コイツ何言ってるんだ? サンダーの血迷った発言に、自分の頭の中で『プチン』という音が聞こえた気がした。
「ちょっとサンダー氏、ここにしゃがんで下さい」
サンダーをしゃがませ、ボクは腕を組んでニッコリと微笑む。
釣られてサンダーも微笑んだ。
「何を笑ってるのです。ボクが、いつ、キミの、弟子に、なったのですか?」
微笑んだサンダーに、ボクは言葉に殺気を込めて、笑顔のまま話しかける
カサードの背後に『ゴゴゴゴ……』という擬音が出てきそうな雰囲気に、しゃがんでいるサンダーの顔が蒼白になる。
「ボクとキミの身分が違うよね。どの口が「弟子にしてやる」と言ったのです?」
カサードの静かに憤怒する姿に、シャロミー、リリアーナの二人が石化する。
次の言葉を投げかけようとした時、突然馬車が僕のすぐ側で止まった。
どうしたのかと思い振り向くと、馬車から初老の男性が慌てて降りてきて、しゃがみこんでいるサンダーに声をかけた。
「ここに居ましたか、探しましたよサンダー坊ちゃん、御家に帰りますよ」
そういうと、初老の男性はカサードのほうに向き直り、深々と頭を下げてきた。
「サンダー坊ちゃんが、何やら貴方様にご迷惑をかけたようで、申し訳ありません。あっ、申し送れました、私はセジョンデワン家に仕えている者です」
この初老の男性は、サンダーの執事さんか何かだろう。
「どうもどうも、話はまだ終わってないが、コイツを其方に渡します。言葉遣い等を慎重に躾けておいてください」
少しため息をつきながら、サンダーの従者に言う。
そして、サンダーを執事に託す。
「承知しました。サンダー坊ちゃん、立てますか?」
執事がサンダーに優しく声をかけている。
「うるさい! サンバード、なぜ追ってきた?!」
サンダーがまだ駄々を捏ねているので。
「おい、せっかく迎えに来てくれたんだ、馬車に乗るのを手伝うから、はよう帰れ」
ギロリと睨みつけると、サンダーはビクッと身をすくませる。
中々立たないので、従者と一緒にサンダーを馬車に押し込め、従者も一緒に乗り、ドアを閉めて馬車を出発させた。
「やれやれ……あいつも結構しつこいんだなぁ」
頭を掻きながら、シャロミーの方を見ると、リリアーナがシャロミーの後ろに隠れて、ボクを見ている。
「ん? リリアーナ? どうしたんだ? シャロミーの後ろに隠れて」
カサードは、リリアーナの変わった行動に首を傾げる。
「カサード様が怒るのを始めて見ました。とっても怖いです……」
リリアーナは怯えた様子で言って来る。
「あたいもカサード様が本気で怒った所を始めてみたニャ……」
シャロミーも、猫耳をペタンとし、尻尾を丸めていたので、相当怖く見えたのだろう。
「そうだったか、すまない……。とりあえず、食事する所を探す続きをしよう!」
そう言って、ボクは食事できる店を歩きながら探す。
「お? リリアーナ、この店でいいよね?」
店を探している間も、シャロミーの後ろに隠れていたリリアーナに確認する。
「お腹が空いているので、何処でも良いですわ」
若干投げやりに答えるリリアーナに、カサードは微笑みながらドアを開け、店内に入る。
席に着くと、店員がやってきてメニューを持ってきた。
メニューを開くと、どうやらこの店は、海産物がメインのレストランらしかった。
「う~ん、ボクは海老のクリームパスタと、牡蠣の白ワイン蒸しを頼む」
先にボクが料理を注文し、リリアーナとシャロミーが注文するのを待つ。
「私は、シーフードピザとライトエールね」
「あたいは、タラの香草蒸しとワインにゃ!」
シャロミーとリリアーナの注文を聞いた店員は、軽くお辞儀して奥に引っ込む。
暫く待つと料理が運ばれて来て、テーブルに置かれる。
三人はそれぞれの料理に舌鼓を打つ。
突然やってきて、コイツ何言ってるんだ? サンダーの血迷った発言に、自分の頭の中で『プチン』という音が聞こえた気がした。
「ちょっとサンダー氏、ここにしゃがんで下さい」
サンダーをしゃがませ、ボクは腕を組んでニッコリと微笑む。
釣られてサンダーも微笑んだ。
「何を笑ってるのです。ボクが、いつ、キミの、弟子に、なったのですか?」
微笑んだサンダーに、ボクは言葉に殺気を込めて、笑顔のまま話しかける
カサードの背後に『ゴゴゴゴ……』という擬音が出てきそうな雰囲気に、しゃがんでいるサンダーの顔が蒼白になる。
「ボクとキミの身分が違うよね。どの口が「弟子にしてやる」と言ったのです?」
カサードの静かに憤怒する姿に、シャロミー、リリアーナの二人が石化する。
次の言葉を投げかけようとした時、突然馬車が僕のすぐ側で止まった。
どうしたのかと思い振り向くと、馬車から初老の男性が慌てて降りてきて、しゃがみこんでいるサンダーに声をかけた。
「ここに居ましたか、探しましたよサンダー坊ちゃん、御家に帰りますよ」
そういうと、初老の男性はカサードのほうに向き直り、深々と頭を下げてきた。
「サンダー坊ちゃんが、何やら貴方様にご迷惑をかけたようで、申し訳ありません。あっ、申し送れました、私はセジョンデワン家に仕えている者です」
この初老の男性は、サンダーの執事さんか何かだろう。
「どうもどうも、話はまだ終わってないが、コイツを其方に渡します。言葉遣い等を慎重に躾けておいてください」
少しため息をつきながら、サンダーの従者に言う。
そして、サンダーを執事に託す。
「承知しました。サンダー坊ちゃん、立てますか?」
執事がサンダーに優しく声をかけている。
「うるさい! サンバード、なぜ追ってきた?!」
サンダーがまだ駄々を捏ねているので。
「おい、せっかく迎えに来てくれたんだ、馬車に乗るのを手伝うから、はよう帰れ」
ギロリと睨みつけると、サンダーはビクッと身をすくませる。
中々立たないので、従者と一緒にサンダーを馬車に押し込め、従者も一緒に乗り、ドアを閉めて馬車を出発させた。
「やれやれ……あいつも結構しつこいんだなぁ」
頭を掻きながら、シャロミーの方を見ると、リリアーナがシャロミーの後ろに隠れて、ボクを見ている。
「ん? リリアーナ? どうしたんだ? シャロミーの後ろに隠れて」
カサードは、リリアーナの変わった行動に首を傾げる。
「カサード様が怒るのを始めて見ました。とっても怖いです……」
リリアーナは怯えた様子で言って来る。
「あたいもカサード様が本気で怒った所を始めてみたニャ……」
シャロミーも、猫耳をペタンとし、尻尾を丸めていたので、相当怖く見えたのだろう。
「そうだったか、すまない……。とりあえず、食事する所を探す続きをしよう!」
そう言って、ボクは食事できる店を歩きながら探す。
「お? リリアーナ、この店でいいよね?」
店を探している間も、シャロミーの後ろに隠れていたリリアーナに確認する。
「お腹が空いているので、何処でも良いですわ」
若干投げやりに答えるリリアーナに、カサードは微笑みながらドアを開け、店内に入る。
席に着くと、店員がやってきてメニューを持ってきた。
メニューを開くと、どうやらこの店は、海産物がメインのレストランらしかった。
「う~ん、ボクは海老のクリームパスタと、牡蠣の白ワイン蒸しを頼む」
先にボクが料理を注文し、リリアーナとシャロミーが注文するのを待つ。
「私は、シーフードピザとライトエールね」
「あたいは、タラの香草蒸しとワインにゃ!」
シャロミーとリリアーナの注文を聞いた店員は、軽くお辞儀して奥に引っ込む。
暫く待つと料理が運ばれて来て、テーブルに置かれる。
三人はそれぞれの料理に舌鼓を打つ。
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