異世界食道楽アドベンチャー

海鼠腸

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幼少期~青年期・国外外遊編

第42話 お昼ごはーん……えっ?!

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 サルベーヌ共和国の商人ギルドでお金を下ろし、建物から出てきた時にクキュ~……と音がした。
「お腹が空きましたわ。カサード様だけがキュウリを食べ、さぞ御満腹のことでしょうね」
 
 誰かと思ったらリリアーナだった。
 口調の強さから見て、結構いらついているようだ。
「う~ん……どうせなら、この国で一番有名な店で食べることにしよう。ん! そうだ! インハルトさんなら、どこにあるか知ってるのではないか?」
 ちょっと空気になりかけていたインハルトに、話を振ってみる。
 
「う~ん……殿下の好みに合いそうな店は、貴族向けの飲食店で宜しいかと……案内致します」
 インハルトが案内してくれるという事なので、付いて行く事にする。
 
 
「着きました、この店です」
「解った、インハルトも来るか?」
「いえ、自分は遠慮します。近くの飲食店で済ますゆえ」
 そう言ってインハルトはその辺の安い店に行った。
 
 レンガの立派な建物で、両隣の建物がくすんで見える様な気がした。
 ボク達はその建物に入店する。
 
 店内に入ると、店内は豪華そのものだ。
 シャンデリアも椅子もテーブルも金ピカだった……正直言う、目が痛い……。
 床はキレイに磨かれた大理石かな? この世界の貴族って、趣味が悪すぎる気がする。
 とりあえずボク達は、空いている金ピカ悪趣味なテーブルに座る。
 
「いらっしゃいませ。三人様ですね?」
 店員が人数を確認してくる。
「ハイ、3名様です。メニューとかはないのかなぁ」
 とりあえず、店員聞いてみる。
「は? 何ですかそれは? というか、ここはしかありません!」
 おやぁ?! 薮を突付いて蛇が出た……けど。まぁ、いいか……。
「では、コース料理を3人分頼む」とカサード
「畏まりました」
 そう言って、店員がさっさと奥に引っ込んでしまった。
 店員さん、そっけないなぁ。
 
 暫く待っていると、料理がテーブルに並べられたので、ボク達はいただきますと言って食べ始める。
 リリアーナの方は、神への祈りして食べ始めた。
 コース料理なので、フランス料理の様に、食べ終わったのを見計らって、次々と料理が運ばれてくる。
 そして、魚料理の皿が出てきたのを見て、ボク達はぶったまげた。
「えええええ?! なにこれぇ……」
 ドン引きのカサード。

「何にゃ? どうやって食べるのにゃ?」
 困惑のシャロミー。

「何ですのこれ? 見た事も無い魚ですわね」
 きょとん顔のリリアーナ

 何せ、焼き魚にあるんだもの。なんちゅうセンスなの? ここの料理人は?
 
「あの! これ作った料理人呼んで来てくれるかな? 話がしたいんだが」
 店員を呼んで、料理人を呼び出して、ちょっと文句言わなきゃ……料理は玩具じゃないって事を。
 
 暫く待っていると、何やらイケメンぽい男が、こちらへ近づいてくる。
「やぁ どうだい? ぼくの料理は。 イケてるだろ?」
 顔はイケてるが、料理のセンスが全くなってない。そして、キザな口調が気に障る。
 
「おいきさま! 料理を何だと思ってるんだ? 玩具か?」
 ボクはあきれ顔で問い質す。
 
「料理は芸術品だよ。何をそんなに怒ってるんだい? キミの可愛い顔が台無しだよ」
 あっ 駄目だ。怒ってる意味を解ってない……。
 う~ん……どうするかなぁ? あっ、ちょっと煽ってみるかな。
 
「ふ~ん、これが芸術? ふん! センスが全く感じられないね。きさまはこんな不味そうなのを、お客に出すのかい? ボクだったら恥かしくて出せないね」

 さぁ、どう出てくるかな? と様子を見る間もなく、プルプル震え、その料理人の顔は真っ赤になった。
 おっ? 怒った? 怒った? ふと目だけで周りを見ると、他の客がざわめき始めている。
 
「ぬぬぬ……言わせておけば! このガキ! そんなに言うのなら料理で勝負だ! 場所はここだ!」
 おおぅ 煽り過ぎたか? 勝負を挑まれちゃったよ。
 ってか煽り耐性ゼロだな……。

「断る! こんな店、二度と来ないから! リリアーナ、シャロミー、出ようこんなセンスの無い店」
 ボク達は席を立って、店を出ようとすると、肩を掴まれた。
 
「おい! 逃げるのか? 卑怯者め! 勝負するのが怖くなったんだろ! 卑怯者ー!このハゲー!
 おぉぅ、二回も卑怯者と言われちゃったよ……。

 掴まれた手を振り払い、とりあえず食事代三人分を払ってから店を出る。
 
「ふぅ~……もう嫌だよこんな店……」
 ボクちゃん頭痛くなったよ……。
 あとでインハルトに愚痴言わなきゃ……。
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