異世界食道楽アドベンチャー

海鼠腸

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幼少期~青年期・国外外遊編

第36話 ふぁー?!

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「おぉ~……本当に色々な機能があるんだなぁ……っと? メタモルフォーゼ? 何これ怖い」
そんな独り言を吐きながら、荷物の点検をするカサード。

「あっ 調味料セットは厨房に置いたままだっけ? 食器の入った皮バッグは部屋にあるから……シャロミー達を呼びに言ったときで良いかな?」
 そんな事を呟きながら、調味料セットを取りに厨房へ行く。

 厨房の中を覗くと、料理人が数人、料理の仕込みの為に動いている様だ。

「ばかやろう! 焦げてるじゃねぇか! やり直し!」

 檄を飛ばすのは料理長だろうか? と思いながら料理長と思える人物に目を向けると、昨夜の料理人のオヤジさんだった。
 中に入ろうとすると、せかせかと動き回っていた者に注意される。

「ちょっとキミ! 配膳の邪魔だからそこに立たないで!」

 そんな言い方しなくても……と思ってると、さっきの注意の声に、料理長が気が付きボクの方に歩いて来た。

「おぉ? カサード様か。今日はどうしたんだ?」
「忙しい所にすいません。昨夜置いていた、調味料セットを取りに来ました」
「おぉ そうか、ちょっと待ってろ」
 料理長は壁際に置いてある棚の上段から、箱を下ろしてボクに渡しに来た。

「大事な物なんだろ? 広げたままだったから片付けておいたよ」
「わぁ♪ ありがとうございます!」
 調味料セットを,料理長のオヤジさんから受け取り、礼を言い厨房を後にする。

 馬車の荷台に、調味料セットとフォークやナイフ等の食器の入った皮バッグを載せる。
「うん これでいいかな? 準備出来たし、二人を呼んでくるかなっと」

 あっ……フェアリー召喚してみようかな? と思い。試して見る事に。
「ふぬぬぬっ……フェアリー召喚っ」

 無駄に力んで呟く。すると、空中に魔方陣が浮かび上がる。そこから蝶サイズのピクシーが現れた。
 おおー……こういう機能か~。
 と感心して出てきたピクシーをマジマジと見つめる。
 見つめられているピクシーは、何くわぬ雰囲気でふわふわとホバリングしている。
 もしかしてと思い、フェリーリンクも試してみると、視界の横辺りに自分の姿が映っている。
 意識を上に持っていくように考えると、ピクシーがパタパタと上に移動する。
 回転する様に意識すると、ピクシーが回転して、視界画面の景色が横に動く。

「おっ なるほど。ピクシーに意識を向ければ、遠隔操作ができるのか。これは……前世で言うと、ドローンみたいだなぁ。あっ そうだ! これで上に居る二人が準備出来てるか、見に行けるかも?」

 ボクは意識を集中し、ピクシードローンの動きを制御する。
 宿屋の外から、二階の窓から部屋の中の様子を覗く。
 中の様子はというと、リリアーナがまだ何を着るのかを決めかねている様だ。

「リリアーナちゃん! 早くするにゃ! カサード様を待たせたらいけないのにゃ~!」
 ん? 音声も拾えるのか。それと、シャロミーの方は少し焦っているみたいだな……。
 う~ん、画面が小さいなぁ。拡大っと……。
 よし 画面が大きくなって見やすくなったぞ……って。
 ふぁー!? リリアーナの奴、素っ裸じゃん!? 慌ててピクシードローンの向きを変える。
 部屋の中は少し暗かったのだが、見えてしまった。
 鼻血が出てないかを、触って確認したが大丈夫だった。

「やっべー、このスキルをリリアーナに知られたら、どんな仕打ちをされるだろう……」
 そんな事を考えて、赤面していた顔を青ざめさせる。

「ねぇ~ シャロミ~、どっちを着て行けばいいかなぁ?」
 そんな声が聞こえてきた。女性同士の時のリリアーナはマイペースかぁ……。

「こりゃぁ ボクが直接呼びに行くしかないかなぁ? タハハ……」
 部屋の中の様子を見たボクは苦笑するしかなかった。
 とりあえず、あのピクシードローンをしまう事出来ないかな?
「フェアリー召喚解除」
 と呟いてみる、すると視界端の映像が消えた。
「おっ? 消えた。なるほど、何となく解ってきた気がする」

 ボクは宿屋へ戻り、二人の居る二階の部屋にノックして。
「リリアーナはまだ着替えてないのか? 早くしないと美味しい店に連れてかないぞ?」
 ドアを開ける前に、子供に意地悪なことを言うような事を言ってみる

「えっ? 置いて行くなんて酷いですわ。カサード様」
 ガチャッと目の前のトアが開き、真っ裸のリリアーナが目に飛び込んできた。

「ちょっ!? おまっ! 何か服を羽織るくらいしろ!」
 ボクは慌ててリリアーナに背を向けながら叫ぶ。

「カサード様になら見られても構いませんわ!」
 恐らくドヤ顔で言ってるのだろう。

「リリアーナちゃん! カサード様が困ってるにゃ! 早く着替えにゃいと!」
 シャロミーが慌ててリリアーナを引っ張りこんでドアをバタンと閉める。

 暫くドアの前で待ってると、ようやくリリアーナは着替え終わったのだろう、シャロミーの後から部屋から出てきた。
「シャロミー、リリアーナ。今日は漁港に行こうかと思っているが、それでいいか?」
 確認の為に二人に聞く。

「勿論! 宜しいですわ!」
「勿論! 宜しいですにゃ!」
 おっ ハモった……。
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