26 / 73
幼少期~青年期・国外外遊編
第25話 暗転
しおりを挟む
宿屋の食堂から離れて10mほど歩いていた時に、ペタンと座り込んでしまう。
「あ……あれ? 足に力が入らないや……なんでだろ?」
と思っていると、額から脂汗がにじみ出て、心が恐怖に侵食されていくのを感じる。
どうやら、さっきの喧嘩のせいだろう。
頭では、何ともないと思っていたのだが……。
「あの時、ヘゥレルが助けてくれなかったら、ボクは斬られて死んでいたかも……」
ボクは自分の肩を抱き、ガチガチと歯を鳴らしながら、ガタガタ震えることしか出来なかった。
そんな様子を、尋常じゃないと思ったのか通行人が足を止め、ボクに声をかけてくる。
「お……おい! キミ! 大丈夫か?!」
「なんだなんだ?! 誰かが震えてるぞ?!」
「誰か! 医者呼んで来い!」
「あれ? この子見たことあるぞ?!」
結構な騒ぎになってきたな……、と思っているとブッツリと目の前が真っ暗になった。
・
・
・
・
・
気が付くと、ベッドの上で横になっていた。
どうやらボクは気絶していたようだ。
「う……あれ? ここは……?」
むくりと起き上がり周りを見渡す。
「おや? カサードの坊や、気が付いたようだね。坊やのお迎えが来てるよ」とエリザベト。
「カサード様! あまり心配をさせないでくださいにゃ!」
とシャロミーが右からギュッと包容してくる。
「カサード様~! うぇええええええん!」
とリリアーナが左から抱きついて来て泣いている。
うわああああ?! 両肩に柔らかいものがあああああ!?。
ボクは両方から抱きつかれて、赤面し狼狽するしかなかった。
暫くの間、2人が落ち着くまでそのままにして、柔らかさを堪能することにする。
その様子を、少し離れたところから、ニヤニヤして見ているエリザベトに気が付く。
「あっ! エリザベドさん! ニヤニヤしてないで何か言ってくださいよー?!」
ボクは焦ってエリザベトに助けを乞う。
「なに言ってんだい! 両方から抱きつかれて嬉しそうにしてたじゃないさ」
エリザベトに反論されてグウの音も出ない。
「ぐぬぬ……」
とカサード
ようやく2人は落ち着いた様で、カサードから離れてベットの横にある椅子に座る。
「あぁ そういえば、坊やが王子様だって事がバレちまった様じゃな。 巡回していた兵士が、ワシの所へ慌てて運んできたぞい」
とエリザベト。
「あちゃ~ バレちゃったか……違う変装しても、もう駄目かな~?」
と頭をワシャワシャ掻いて悩むカサード。
「もう! カサード様! 無言で出かけないでくださいと申し上げたはずです!」
悩む間もなく、シャロミーのお説教を小一時間受けてしまう。
カサードはもっと護身術を……自分の身を守る力を付けなればと思いながら、シャロミーのお説教を聞き流していた。
「あ……あれ? 足に力が入らないや……なんでだろ?」
と思っていると、額から脂汗がにじみ出て、心が恐怖に侵食されていくのを感じる。
どうやら、さっきの喧嘩のせいだろう。
頭では、何ともないと思っていたのだが……。
「あの時、ヘゥレルが助けてくれなかったら、ボクは斬られて死んでいたかも……」
ボクは自分の肩を抱き、ガチガチと歯を鳴らしながら、ガタガタ震えることしか出来なかった。
そんな様子を、尋常じゃないと思ったのか通行人が足を止め、ボクに声をかけてくる。
「お……おい! キミ! 大丈夫か?!」
「なんだなんだ?! 誰かが震えてるぞ?!」
「誰か! 医者呼んで来い!」
「あれ? この子見たことあるぞ?!」
結構な騒ぎになってきたな……、と思っているとブッツリと目の前が真っ暗になった。
・
・
・
・
・
気が付くと、ベッドの上で横になっていた。
どうやらボクは気絶していたようだ。
「う……あれ? ここは……?」
むくりと起き上がり周りを見渡す。
「おや? カサードの坊や、気が付いたようだね。坊やのお迎えが来てるよ」とエリザベト。
「カサード様! あまり心配をさせないでくださいにゃ!」
とシャロミーが右からギュッと包容してくる。
「カサード様~! うぇええええええん!」
とリリアーナが左から抱きついて来て泣いている。
うわああああ?! 両肩に柔らかいものがあああああ!?。
ボクは両方から抱きつかれて、赤面し狼狽するしかなかった。
暫くの間、2人が落ち着くまでそのままにして、柔らかさを堪能することにする。
その様子を、少し離れたところから、ニヤニヤして見ているエリザベトに気が付く。
「あっ! エリザベドさん! ニヤニヤしてないで何か言ってくださいよー?!」
ボクは焦ってエリザベトに助けを乞う。
「なに言ってんだい! 両方から抱きつかれて嬉しそうにしてたじゃないさ」
エリザベトに反論されてグウの音も出ない。
「ぐぬぬ……」
とカサード
ようやく2人は落ち着いた様で、カサードから離れてベットの横にある椅子に座る。
「あぁ そういえば、坊やが王子様だって事がバレちまった様じゃな。 巡回していた兵士が、ワシの所へ慌てて運んできたぞい」
とエリザベト。
「あちゃ~ バレちゃったか……違う変装しても、もう駄目かな~?」
と頭をワシャワシャ掻いて悩むカサード。
「もう! カサード様! 無言で出かけないでくださいと申し上げたはずです!」
悩む間もなく、シャロミーのお説教を小一時間受けてしまう。
カサードはもっと護身術を……自分の身を守る力を付けなればと思いながら、シャロミーのお説教を聞き流していた。
0
お気に入りに追加
290
あなたにおすすめの小説

もう死んでしまった私へ
ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。
幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか?
今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!!
ゆるゆる設定です。
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――

魔境へ追放された公爵令息のチート領地開拓 〜動く屋敷でもふもふ達とスローライフ!〜
西園寺わかば🌱
ファンタジー
公爵家に生まれたエリクは転生者である。
4歳の頃、前世の記憶が戻って以降、知識無双していた彼は気づいたら不自由極まりない生活を送るようになっていた。
そんな彼はある日、追放される。
「よっし。やっと追放だ。」
自由を手に入れたぶっ飛んび少年エリクが、ドラゴンやフェンリルたちと気ままに旅先を決めるという物語。
- この話はフィクションです。
- カクヨム様でも連載しています。

結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?
おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました!
皆様ありがとうございます。
「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」
眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。
「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」
ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。
ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視
上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

異世界転生してしまったがさすがにこれはおかしい
増月ヒラナ
ファンタジー
不慮の事故により死んだ主人公 神田玲。
目覚めたら見知らぬ光景が広がっていた
3歳になるころ、母に催促されステータスを確認したところ
いくらなんでもこれはおかしいだろ!
うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました
akairo
ファンタジー
「ごめんなさい!貴方が死んだのは私のクシャミのせいなんです!」
帰宅途中に工事現場の足台が直撃して死んだ、早良 悠月(さわら ゆずき)が目覚めた目の前には女神さまが土下座待機をして待っていた。
謝る女神さまの手によって『ユズキ』として転生することになったが、その直後またもや女神さまの手違いによって、『レベル9999』と職業『譲渡士』という謎の職業を付与されてしまう。
しかし、女神さまの世界の最大レベルは99。
勇者や魔王よりも強いレベルのまま転生することになったユズキの、使い切ることもできないレベルの使い道は仲間に譲渡することだった──!?
転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。
※9月16日
タイトル変更致しました。
前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。
仲間を強くして無双していく話です。
『小説家になろう』様でも公開しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる