異世界食道楽アドベンチャー

海鼠腸

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幼少期~青年期・国外外遊編

第25話 暗転

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宿屋の食堂から離れてほど歩いていた時に、ペタンと座り込んでしまう。

 「あ……あれ? 足に力が入らないや……なんでだろ?」

 と思っていると、額から脂汗がにじみ出て、心が恐怖に侵食されていくのを感じる。
 どうやら、さっきの喧嘩のせいだろう。
 頭では、何ともないと思っていたのだが……。

 「あの時、ヘゥレルが助けてくれなかったら、ボクは……」

 ボクは自分の肩を抱き、ガチガチと歯を鳴らしながら、ガタガタ震えることしか出来なかった。
 そんな様子を、尋常じゃないと思ったのか通行人が足を止め、ボクに声をかけてくる。

 「お……おい! キミ! 大丈夫か?!」
 「なんだなんだ?! 誰かが震えてるぞ?!」
 「誰か! 医者呼んで来い!」
 「あれ? この子見たことあるぞ?!」

 結構な騒ぎになってきたな……、と思っているとブッツリと目の前が真っ暗になった。
 ・
 ・
 ・
 ・
 ・
 気が付くと、ベッドの上で横になっていた。
 どうやらボクは気絶していたようだ。

「う……あれ? ここは……?」

 むくりと起き上がり周りを見渡す。

「おや? カサードの坊や、気が付いたようだね。坊やのお迎えが来てるよ」とエリザベト。
「カサード様! あまり心配をさせないでくださいにゃ!」

 とシャロミーが右からギュッと包容してくる。

「カサード様~! うぇええええええん!」

 とリリアーナが左から抱きついて来て泣いている。

 うわああああ?! 両肩に柔らかいものがあああああ!?。
 ボクは両方から抱きつかれて、赤面し狼狽するしかなかった。
 暫くの間、2人が落ち着くまでそのままにして、柔らかさを堪能することにする。
 その様子を、少し離れたところから、ニヤニヤして見ているエリザベトに気が付く。

「あっ! エリザベドさん! ニヤニヤしてないで何か言ってくださいよー?!」

 ボクは焦ってエリザベトに助けを乞う。

「なに言ってんだい! 両方から抱きつかれて嬉しそうにしてたじゃないさ」

 エリザベトに反論されてグウの音も出ない。

「ぐぬぬ……」

 とカサード
 ようやく2人は落ち着いた様で、カサードから離れてベットの横にある椅子に座る。

「あぁ そういえば、坊やが王子様だって事がバレちまった様じゃな。 巡回していた兵士が、ワシの所へ慌てて運んできたぞい」

 とエリザベト。

「あちゃ~ バレちゃったか……違う変装しても、もう駄目かな~?」

 と頭をワシャワシャ掻いて悩むカサード。

「もう! カサード様! 無言で出かけないでくださいと申し上げたはずです!」

 悩む間もなく、シャロミーのお説教を小一時間受けてしまう。
 カサードはもっと護身術を……自分の身を守る力を付けなればと思いながら、シャロミーのお説教を聞き流していた。
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