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第1章 転生~幼少編
第7話 町内視察(前編?)
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国王に相談に行ったつもりが、意見具申のような形になって経済対策を任されてしまってから数日後……。
まず最初行動したのは、先日の食事時に、折角作って貰った料理をひっくり返してしまった事を謝りに行って来た。
料理長は、頭を下げる俺に。
「私は気にしていないので、どうか、頭をお上げください」
と逆に恐縮させてしまった様だ……ダメじゃん俺! 食べ物を粗末にしたらいかんよ!。
その後、部屋に戻った俺はこの国の地図を広げて思案している。
この王国は、北にサルベーヌ共和国、南にはサドーガ大公国に挟まれる様に存在する。
シャロミーさんに、これらはどういう国かと聞くと、サルベール共和国は海に開けていて、海産物が豊富な海洋国家で、南はクロマーヤ山脈の麓にある鉱山や鍛冶で栄えているサドーガ大公国だと言う。
この国は何を特産物にしてるのかも聞いてみると。
「この国は農耕国家で、野菜や小麦、酪農が主産業でございますね」
俺はフムフムとメモをしながら他に質問してみる。
「他には何か他国から、取引している物は無いのか?」
するとシャロミーさんは片耳をクシクシ撫でながら、しばらく考えたあと。
「サルベージ共和国からは魚等の海産物と塩で、サドーガ大公国からは、宝石や鉄製品等……こんなところですかね?」
うん……なるほど……。
「シャロミーさん、謹慎が解けたら町に行って視察するぞ! 現状を知るためには聞くよりも、見に行ったほうが良いからな!」
俺がそう言うとため息混じりに。
「ふぅ……仕方が無いですね、承知しました、私がお供いたします」
そうして謹慎が解けるまで、2人で色々な情報を集めていくことにした……。
× × ×
謹慎が解けた翌日に、町に行くための準備をしている。
「アリエッタさーん 服はこれでよいのですかー?」
するとアリエッタさんは、困り顔で。
「カサード様、私の事は呼び捨てでも構わないのですよ?」
「え~? この呼び方に慣れちゃってるもん~ しかたないじゃないか~」
アヒル口にして拗たふりをする……。
「まったく、王子様ったら~ 仕方ないわね~ 今まで通りでいいわよ~ん」
『苦笑いしてるアリエッタさん……仕草がおばちゃんぽいですよ~? でもまぁ……もうおばちゃんな歳だけどね~』
と、そう思いながら笑顔で返す、他愛もない会話がしばらく続いた。
準備が終わり、シャロミーさんを護衛に付けて、町に下りていく。
貴族地域を歩きながらシャロミーさんに話しかける。
「まずは市場からだな。そこを見れば、大体平民がどんな物を食べているか、解るかもしれない」
「そうですかね? 案外、市場を見るだけでは解らないかもしれませんよ?」
「うむぅ……そういう物なのですかね?」
おしゃべりしながら歩いていたら、いつの間にか町に着いていた。
「よし! 視察開始~!」
そう言い、町の中を色々と見ていく。
やはり何だか人通りが少ないような気がする……。
キョロキョロと辺りを見渡しながら歩いていると、裏路地の方から、激しい物音と共に、言い争う声が聞こえる。
「何だろう? シャロミーさん、ちょっと様子を見に行くけど、いいかな」
「いいですよ 私も行きます」
そして裏路地へ――。
「お願いします! 許してください! あたし、何でもしますから! 見逃してください!」
「このコソ泥め! この国では女子供でも盗みを働けば、殺してもお咎め無しなんだ! 覚悟しろ!」
そこには、強面の大男が片手に包丁を振り上げ、もう片方の手で痩せこけた少女捕まえている所だった。
強面の大男が少女を殺そうと振り下ろす直前――。
「待て! その子が何をしたのだ?!」
俺は強面の男に待ったをかける。
「何だ? ガキか! ガキは引っ込んでろ!」
ドスの効いた脅し文句を言われ、再び振り上げられる包丁――。
「くっ! シャロミー頼む!」
咄嗟に出た俺の言葉に、シャロミーさんが有無も言わず飛び出し、包丁を蹴り飛ばす。
カランと裏路地に転がる包丁。
大男が蹴られた手を押さえ、俺の方を向き、睨みつけてくる。
「何しやがる! お前らもこのガキのグルか?!」
そう言い、痩せこけた少女を指差し、言いがかりを付けてきた。
「ったく いい大人がそんなに怒るなよ、落ち着け。どういう事でこうなってるのか聞きたいだけだ」
俺は大男を落ち着かせようと冷静に話し合いを求める事にした。
しかし大男は憤慨したまま、今度は俺の方に襲いかかってくる。
「めんどくせえ! 纏めてぶっ殺してやる!!」
「ちょ――」
まず最初行動したのは、先日の食事時に、折角作って貰った料理をひっくり返してしまった事を謝りに行って来た。
料理長は、頭を下げる俺に。
「私は気にしていないので、どうか、頭をお上げください」
と逆に恐縮させてしまった様だ……ダメじゃん俺! 食べ物を粗末にしたらいかんよ!。
その後、部屋に戻った俺はこの国の地図を広げて思案している。
この王国は、北にサルベーヌ共和国、南にはサドーガ大公国に挟まれる様に存在する。
シャロミーさんに、これらはどういう国かと聞くと、サルベール共和国は海に開けていて、海産物が豊富な海洋国家で、南はクロマーヤ山脈の麓にある鉱山や鍛冶で栄えているサドーガ大公国だと言う。
この国は何を特産物にしてるのかも聞いてみると。
「この国は農耕国家で、野菜や小麦、酪農が主産業でございますね」
俺はフムフムとメモをしながら他に質問してみる。
「他には何か他国から、取引している物は無いのか?」
するとシャロミーさんは片耳をクシクシ撫でながら、しばらく考えたあと。
「サルベージ共和国からは魚等の海産物と塩で、サドーガ大公国からは、宝石や鉄製品等……こんなところですかね?」
うん……なるほど……。
「シャロミーさん、謹慎が解けたら町に行って視察するぞ! 現状を知るためには聞くよりも、見に行ったほうが良いからな!」
俺がそう言うとため息混じりに。
「ふぅ……仕方が無いですね、承知しました、私がお供いたします」
そうして謹慎が解けるまで、2人で色々な情報を集めていくことにした……。
× × ×
謹慎が解けた翌日に、町に行くための準備をしている。
「アリエッタさーん 服はこれでよいのですかー?」
するとアリエッタさんは、困り顔で。
「カサード様、私の事は呼び捨てでも構わないのですよ?」
「え~? この呼び方に慣れちゃってるもん~ しかたないじゃないか~」
アヒル口にして拗たふりをする……。
「まったく、王子様ったら~ 仕方ないわね~ 今まで通りでいいわよ~ん」
『苦笑いしてるアリエッタさん……仕草がおばちゃんぽいですよ~? でもまぁ……もうおばちゃんな歳だけどね~』
と、そう思いながら笑顔で返す、他愛もない会話がしばらく続いた。
準備が終わり、シャロミーさんを護衛に付けて、町に下りていく。
貴族地域を歩きながらシャロミーさんに話しかける。
「まずは市場からだな。そこを見れば、大体平民がどんな物を食べているか、解るかもしれない」
「そうですかね? 案外、市場を見るだけでは解らないかもしれませんよ?」
「うむぅ……そういう物なのですかね?」
おしゃべりしながら歩いていたら、いつの間にか町に着いていた。
「よし! 視察開始~!」
そう言い、町の中を色々と見ていく。
やはり何だか人通りが少ないような気がする……。
キョロキョロと辺りを見渡しながら歩いていると、裏路地の方から、激しい物音と共に、言い争う声が聞こえる。
「何だろう? シャロミーさん、ちょっと様子を見に行くけど、いいかな」
「いいですよ 私も行きます」
そして裏路地へ――。
「お願いします! 許してください! あたし、何でもしますから! 見逃してください!」
「このコソ泥め! この国では女子供でも盗みを働けば、殺してもお咎め無しなんだ! 覚悟しろ!」
そこには、強面の大男が片手に包丁を振り上げ、もう片方の手で痩せこけた少女捕まえている所だった。
強面の大男が少女を殺そうと振り下ろす直前――。
「待て! その子が何をしたのだ?!」
俺は強面の男に待ったをかける。
「何だ? ガキか! ガキは引っ込んでろ!」
ドスの効いた脅し文句を言われ、再び振り上げられる包丁――。
「くっ! シャロミー頼む!」
咄嗟に出た俺の言葉に、シャロミーさんが有無も言わず飛び出し、包丁を蹴り飛ばす。
カランと裏路地に転がる包丁。
大男が蹴られた手を押さえ、俺の方を向き、睨みつけてくる。
「何しやがる! お前らもこのガキのグルか?!」
そう言い、痩せこけた少女を指差し、言いがかりを付けてきた。
「ったく いい大人がそんなに怒るなよ、落ち着け。どういう事でこうなってるのか聞きたいだけだ」
俺は大男を落ち着かせようと冷静に話し合いを求める事にした。
しかし大男は憤慨したまま、今度は俺の方に襲いかかってくる。
「めんどくせえ! 纏めてぶっ殺してやる!!」
「ちょ――」
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