異世界食道楽アドベンチャー

海鼠腸

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第1章 転生~幼少編

第6話 牛乳に……じゃなかった 国王に相談だ!

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「あーーー!」
 自分の寝言に驚いて飛び起きた。
 窓の外は暗い、多分深夜帯なのだろう。
 部屋を見渡す……誰も居ないけど、誰かが居る様な気がする。
 気のせいだと自分に無理矢理思い込ませ、父である国王の部屋に行って相談することにした。

 国王の部屋の前まで行き、ドアをノックしようと思ったその時、中から話声が聞こえてきた。

「国王様! 国民の半分は飢えで苦しんでおります! これ以上の無駄遣いはお止めください!」

何やらのっぴきならない会話だな……と思いつつ、キョロキョロと廊下を見渡して誰も居ないのを確認し、目を瞑ってドアに耳を引っ付けて話の内容を聞く事に集中する。
「五月蝿い! 無駄遣いと言うな! 金が足りなくなったらまた税金を上げればよかろう!」
「国王様! その考えは危険です! 飢えた農民が反乱を起こすやもしれません!」
 おおぅ……この国の財政は逼迫してるのか? と思っていると。
「おやおや、王子様という立場でありながら、スパイの真似事ですか? はしたない」
 後ろから不意に話しかけられたので、ドシンと心臓が破裂するかと思うほど高鳴った。
 目を開けると、そこには全身黒装束の者が子供目線に合わせるかの様にヤンキー座りしていた。
『アイエエエエエエエ?! ニンジャ?! ニンジャなんで?!』と声には出さず心で叫ぶが。
 前世、ビックリフラッシュサイトで鍛えたこのメンタルで無表情を……。
 「今、凄く驚きましたね? 私の前では、そんな誤魔化しは通用しませんよ」
 とクスクスと笑われてしまった。
『――はいバレてましたー! しかしスゲェなこの人!!』
 と驚きながら、ふと考える。
『……ん? 待てよ? さっきまで誰も居なかったよな……?』
 不審感たっぷりに話しかけた。
 「で 貴方は誰ですか? その格好から見て……隠密か何かですかね?」
 目前の人の瞳を、少々睨みつける様に問いかける。
「ほぅ……その目……子供の物ではありませんね。」
 黒装束の者は斜め上の虚空を見て、何と答えようか考えてる様だ。
「隠密の意味は解りかねますが、まぁ……言うなれば影で王を守る者……ですね。」
 やはりこの人は忍者みたいな立場の人なんだと確信する。
「と、言う事は……父様である国王が死ねば、お前はボクを影から守る事になるのだな?」
 そう質問すると。
「……そうでございますね」
 黒装束の者は少し考えて、恭しく答えた。
「ところで、お前の名前は何と言うのだ? 良かったら教えて欲しい。」
 と そんな会話をしていると、急に黒装束の者がブワッとマントで俺を隠す。
 すると、ガチャリとドアが開き、誰かが退室して立ち去っていった。
 マントの内部で肩に手を添えられた状態で、この者の身体的特徴が何と無くだが解った。
 決して蹴られたくない豪脚が肩に当たり、後頭部にはシックスパック的なゴツゴツとした腹筋を感じる。
 そんな事を考えてると、ゴリッ……ズズズッと音がする。
 何だろうと思っていると壁側だった所に入って行く感じがする。
「国王様 今お時間宜しいですか?」
 国王の部屋に入っていた……さっきの音は隠し扉だったのだろうか?
 黒装束の女性が国王に話しかけている。
「ん…… ベルラか……余に何の用だ?」
「部屋の前で、カサード王子が盗み聞きしていた所を見つけ、連れてまいりました」
 そう報告されて、マント内部から押し出される。
「して、我が息子 カサードよ、余の会話、どこまで聞いたのだ?」
「確か…… 飢えた農民が反乱を起こすやもしれません までは聞いてました」
 そして俺の後ろに立っているベルラの姿をチラッと見て。
「その辺りで、この者に声をかけられたのでございます。父様」
 国王は目を瞑りうむうむと頷いている。
「それはそうと、カサードよ 余の部屋に何用できたのだ?」
 そういえば、俺は国王に相談に来たんだった。
「父様!先日、王宮を抜け出し農耕地域まで歩いて行きました! そしたら、飢え死にしたと思われる亡骸が沢山ありました! お金が無ければ、税金など上げず、何らかの手段で稼げば宜しいかと!」
 『ああん…これ相談じゃねー! 意見じゃねーかよ』 と心の中で苦笑いする。
 国王はカッと目を見開き、俺にこう言った。
「ならばカサード、お前が金策をやってみるが良い!」
 ガーン! 国王! 俺に丸投げかよ!。
「解りました! 力の限りやってみたいと思います!」
 その場の雰囲気で引き受けてしまった……さて、どうしましょうか……。
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