異世界食道楽アドベンチャー

海鼠腸

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青年期・カサード多忙編

第66話 森の主に会った

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 本当に大丈夫か? と心配しながらヘゥエルの後に付いて行くと、大きな泉が見える場所まで来た。
 カサードが湖畔まで歩いて覗いてみる。

「うっわ~……水が物凄い澄んでるな~」

 湖の底が見えるほどの透明度に驚くカサード。
 すると、水面が物凄く盛り上がってきた。

「!? なんだ?!」

 みるみるうちに人の形になる。

「あっ ウンディーネ様、客人のカサード王子をお連れいたしました」

 ヘゥエルはウンディーネに報告すると、ウンディーネがコクコクと頷く。

「ヘゥエルさん、このウンディーネ様が、森の主なのですか?」

 これはウンディーネと契約して、エレメンタルマスターになれるかな……? 等という妄想を描いていると。

「いいえ、ウンディーネ様は森の主では無いです」

 あっ そうなのか……。

「もう少し奥なので、付いて来てください」

 ありゃ? もう少し奥なんだ……。

 おとなしくヘゥエルさんの後に付いて行くと、見上げる程の大木のある大広場に出てきた。

「ふぇ~~~~~……すっげーーでけぇ~~~……」

 神秘的な雰囲気な大木を暫く眺めていると、広場の中心に小さな光が集まり、光の球が人の形になっていく。
 その時、ヘゥエル含むエルフ達やカサードの頭の上に、まだ居たと思われるエアリアルが頭の上から降りて来て、一斉に跪く。

「ふぁ?! ボク達も例に従わなきゃいけないのか? シャロミー、リリアーナ、モッキンバード、リッカミッラ、エリミール。とりあえず跪こう」

 カサードは小声で回りに合わせるように促す。

「うむ、ヘゥエルよ。客人を招いて来たのだな、ご苦労である」

 ボクはチラリと森の主と思われる精霊? の方を上目で見ると、身長90㎝ほどの小柄な子供らしき姿が見えた。

「はっ エタンダール王国の王子である、カサード王子がお会いしたいとの事なので、連れて参りました」

ヘゥエルがボクの事を、高貴な人物らしき小柄な子に報告する。
すると、その小柄な子が、こちらに向かって走ってきた。

「キミがカサード王子だね! キミの事はエアリアルから聞いてるよ! さぁ、頭をあげなよ」

 言われるがままに顔を上げると、目の前の指から水がピューッと出て、カサードの眼球を直撃。

「うぉぁぁぁぁ?! 目がぁー!目がぁぁぁぁ!?」

 突然の刺激に、目を押さえて転がるカサードに、指を指して爆笑している小柄な子に対し、へゥエルがため息をつきながら非難の声を上げる。

「オーベロン様、そう言った悪戯はおやめください……」

『え? オーベロンっつったら精霊界の王様じゃねーか! だが、そいつは相当な悪戯好きという話だったはず……』

 カサードはピタッと転がるのを止めて、前世で得ていた知識をフル回転させる。
 
「くはぁー……びっくりしたー……オーベロン様、なかなかやりますね。シャロミー、顔を拭く物をくれ」

 カサードは、オーベロンに向かってニヤリと微笑みながら、びしょ濡れになった顔を拭きたいので、シャロミーに持ってくるよう頼んだ。

「そういえばカサード王子、私に会いたいとエアリアルから聞いたのだが、何の為に会いに来たんだ?」

 唐突に真面目な顔で、会いに来た目的を聞いてくるオーベロン。
 なんだ!? 急に雰囲気が変わったぞ? ひととなりを読みきれない……まぁ、会いに来た要件を話さなければ、話は進まないなと思い。

「貴方に会いに来たのは、この森の近くに人間が使うためのタンスの様な家具を作る為の村を作る前に、この森の主に許可をもらおうと思っての事です」

 カサードは嘘なく正直にオーベロンに目的を伝えると。

「な~んだ、そんなことかぁ。いいよ!」

 オーベロンが満面の笑顔で答える。

「えっ? 良いんですか? 木とかを大量に伐採しちゃうんですよ?!」

 カサードは困惑しながら質問したら。

「あぁ 森の事を心配してくれてるんだね。そんな心配はいらないよ! ドライアド、そこに居るんでしょ? 出てきなよ」

オーベロンが顔を向けた方に、カサードも釣られてその方向を見ると、ガサガサミシミシボキン! と言う音の後に、ひょっこりと顔を出す女性。

「オーベロン様呼んだ? ドライアドだよー」

 オーベロンが手招きし、ドライアドを呼び寄せる。

「このカサード王子が、この森の近くに村を作りたいとのことだが……」

「あっ はい。木を伐採して色々とモノを作ろうと思っているのです。なので、森を壊してしまうかもしれないと思って……」

 カサードはドライアドに対し、恐縮気味に話しかける。
 
「なんだ、そんな事か。そんな心配はいらないぞ。いいか? 見ててな」

 ドライアドがおもむろに近くにある木の枝を、ポキンと折って地面に突き刺し、パチンと指を鳴らすとメキメキと音を立てて、あっという間に先程まで枝だったのが立派な大木に成長した。

「うおぉぉ!? なるほど! これならボクが心配していた事は解決したよ」

 ボクが心配していた事が、杞憂だった事に安堵して、オーベロンに木工製品を作る村を作る許可を得る事が出来た。
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