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幼馴染と親友

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「いやー、このカフェ昼は激混みなんだけどこの時間帯すいててよかったね!」

正面の椅子に座り機嫌よく話す彼女。

僕らは今例のカフェに来ている。
カフェの中は広々としていて天井も高め、雰囲気も落ち着いていて大人でも子供でも気負いせずに入れる感じがする。
今は夕方なので薄暗いが、昼に来たらまた違った印象になるかもしれない。
混むのも頷ける気がした。

「いいところですね」

そう感想を述べると彼女は嬉しそうに笑った。

「でしょ?私もここお気に入りなんだ」

そこから他愛もない話が始まる。
このカフェの好きなメニュー、初めてこのカフェへ来た日の話、僕へのいじりなどなど。

「気に入った?ここ」

そう彼女が問いかけてくる。
雰囲気は嫌いでは無い。
むしろ落ち着いていて男女関係なく入れる雰囲気は好きだ。

しかし1つ問題があった。

「そうですね...」

口を開いた瞬間、

「お待たせしました、こちらチーズケーキセットとコーヒーになります」

そう言って注文したものを運んできたのは、昨日白星さんの隣にいた琴音さんだった。

「あ、ありがとうございます...」

控えめに言う。
正直気まずい。

「琴音ありがと!」

僕の気持ちなど知りもしないで元気にお礼を言う彼女。

琴音さんは何も言わずじっと僕らを見ている。

いや、これは睨んでいるかも。

「また遊んでるの」

ぽつりと琴音さんが言葉を零す。
その声はやはり冷たく、そしてなんとなく僕に向けられているような気がした。

「そうだよー、そうだ、琴音も今度一緒に遊ぶ?」

彼女がにこにこしながらそう言うと、琴音さんはフンッと言って去っていってしまった。

「あ、行っちゃった」

琴音さんが去っていくのを見て彼女があーあ、と残念そうな声を出す。

僕としては少しほっとした。

琴音さんが纏っているあの緊張感はなんなのだろうか。
まぁ、おおかた僕に対しての警戒心が露わになっているのだろう。
しかし、会う度に睨まれるのは少ししんどい気もする。

目の前に置かれたコーヒーを見つめながら、ぼんやりと考える。

「琴音さんはやっぱり僕のこと、嫌いなんでしょうか」

能天気にケーキを頬張る彼女にそう尋ねてみた。

彼女は一瞬なんのことかと目をぱちくりさせて、すぐに笑う。

「どうだろ、嫌いなんじゃない?」

そしてスパッとそう言い放った。

この人はもうちょっと言葉をオブラートに包めないのか。

「でもあの子はそういう子だよ」

彼女はそう言葉を続けた。

「そういう子、とは」

彼女はセットドリンクのミルクティーをスプーンでクルクル回しながらうーんという。

「なんていうんだろ、あの子は最初嫌いから入るんだよ。初対面の人はほとんど嫌い、警戒するし笑わない」

彼女はそう言って、不器用でしょ?と笑った。

「でも友達はいるんですよね?」

僕がそう聞くと彼女は頷く。

嫌いから入る人と友達になれるのだろうか。
よほどポジティブでないと無理なんじゃないか。
そう疑問に思う。

「あの子はね、嫌いから入るだけで永遠に嫌いなわけじゃないから。だんだん心を許してくれるの、猫ちゃんみたいでしょ!」

そう楽しそうに笑って彼女が言う。
本当に仲がいいんだろう。
琴音さんのことを話すのが楽しくて、好きなんだろうと伝わってくる。

「僕とも仲良くなってくれるでしょうか」

これは疑問というより不安だった。
正直自信が無い。

「なってくれるさ!あの子は案外チョロいから」

そう言いながら、彼女は悪戯っぽく笑った。


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