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学校の帰り、颯人と奏多がゲームをするためにうちに来た。
俺の部屋を見渡して颯人が言う。
「前から気になってたけど、あの箱何?」
「それはひいおじいちゃんの遺品。俺が5歳くらいの時に亡くなっちゃったんだけど、亡くなる前に俺に渡したんだって。それから俺がずっとおもちゃにして遊んでたから、そのまま貰ってきたって」
「どうやって開けんの?」
「なんか秘密箱とかからくり箱とか言って、正しい手順を踏まないと開かないらしい。それはひいおじいちゃんので、手順を書いた紙を見ないと開かないんだって」
「でもひいおじいちゃん亡くなっちゃったんだよな? その紙はどこにあんの?」
「それがわかんないんだ。捨てちゃったとかかな。だからもう一生開かないかも。でも壊すのも嫌だからそのままにしてる」
「へぇ」
「そんなことより、どうだった? ダブルデート」
「いや、ダブルデートっていうか……」
女子が来れなかったことを説明すると、
「え、じゃあ普通に凱と2人でデートってこと?」
「いや、デートじゃないから」
「でも、2人で水族館て……ねぇ?」
「ねぇ?」
「で、2人で何話したの?」
「何って……あ、俺たちの関係ってどう思う? って話した」
「何、その意味深なやつ」
「じゃなくて! なんで俺らの家は仲悪いのかなって。理由なんか知ってる? って」
「そういや凱なら他の情報知ってるかもって言ってたもんな。なんか知ってた?」
「ううん。知ってることは俺と一緒だった」
「そっかー。じゃあ昔のことが尾を引いてるのかもな」
「うん。色んなことが積み重なってこうなったのかなと思う」
「他には?」
「他? 他は…あの魚美味しそうじゃない? とか、あれ可愛いな! とか」
「いや、もうデートやん!」
2人がハモる。
「デートじゃないってば!」
「はいはい。わかったって」
「普段ほとんど話さない分、そんだけ一緒にいたら意外な一面もみれたんじゃない? 藍はまだ凱が嫌い?」
「嫌い……ではないと思う」
「へぇ。じゃあ凱のいいとこ10個言って」
と奏多が無茶振りをする。
「なにそれ」
「なんでもいいから!」
「えぇ?……じゃあ、背が高い」
「凱は184あるもんな。藍より10センチも高いんだ」
「なんで知ってんの?」
「まあまあ。2個目」
「手先が器用」
「あー、テーラーの息子だし? 3個目は?」
「モテる」
「そらね。高身長であの顔だからね。では4個目どうぞ」
「うーん。友達が多い」
「おー。5個目は?」
「あー! もうない! もう終わり!」
「4つだけかよ…」
「もう! ゲームしないなら帰れよぉ!」
俺は2人を無理矢理帰らせて布団に閉じこもった。
「おはよう!」
次の朝、教室に行くと凱が颯人と奏多に囲まれている。
「お前ら何してんの?」
「別にー」
昼休みに屋上で弁当を食べていると、
「お前薄情だな……」
と颯人が俺に言った。
「何、急に……」
「実は朝、俺と颯人で凱に同じ質問したんだ」
「は?」
「まぁ、まずこれを聴いて」
スマホのレコーダーアプリを起動させる。
「藍とちょっとは仲良くなったんだろ? あいつのいいとこ10個言ってみて」
「え、なんかの罰ゲーム? ドッキリとか?」
「違うって。まず1つ目は?」
「いいとこ? んー、家族想い」
「ま、よく兄弟の面倒みてるしね。2つ目は?」
「友達想い」
「あー。確かに俺ら愛されてるもんなぁ? 次、3つ目」
「責任感が強い」
「おー。次は?」
「一生懸命なとこ」
「わかるわかる。はい次!」
「一途」
「あー、それはそう! ずっと恵美ちゃん一筋だもんな。次いこ!」
「所作が綺麗」
「いいねー! 次何個目だ…7つ目か」
「瞳が綺麗」
「はい次、8つ目」
「手先が器用」
「あー呉服屋だしね。9個目ある?」
「声がいい」
「うんうん。最後は?」
「最後? 笑顔が……」
「笑顔が?」
「……多い」
「よく笑うってことね! ありがとう!」
「何これ?」
「まあまあ気にしないで!」
ってこれ何だ。俺は何を聞かされたんだろ。
「質問は?」
「何が目的?」
「俺たちはさ、ちょっとでも2人が仲良くなれたらいいなと思ってるんだよ。素直にそれだけ」
「高校生活さ、いがみ合うより仲良くした方が楽しいじゃん?」
「それだけ」
「ふーん」
なんか今まで感じことない気持ちが流れてきて、俺は戸惑っていた。
俺の部屋を見渡して颯人が言う。
「前から気になってたけど、あの箱何?」
「それはひいおじいちゃんの遺品。俺が5歳くらいの時に亡くなっちゃったんだけど、亡くなる前に俺に渡したんだって。それから俺がずっとおもちゃにして遊んでたから、そのまま貰ってきたって」
「どうやって開けんの?」
「なんか秘密箱とかからくり箱とか言って、正しい手順を踏まないと開かないらしい。それはひいおじいちゃんので、手順を書いた紙を見ないと開かないんだって」
「でもひいおじいちゃん亡くなっちゃったんだよな? その紙はどこにあんの?」
「それがわかんないんだ。捨てちゃったとかかな。だからもう一生開かないかも。でも壊すのも嫌だからそのままにしてる」
「へぇ」
「そんなことより、どうだった? ダブルデート」
「いや、ダブルデートっていうか……」
女子が来れなかったことを説明すると、
「え、じゃあ普通に凱と2人でデートってこと?」
「いや、デートじゃないから」
「でも、2人で水族館て……ねぇ?」
「ねぇ?」
「で、2人で何話したの?」
「何って……あ、俺たちの関係ってどう思う? って話した」
「何、その意味深なやつ」
「じゃなくて! なんで俺らの家は仲悪いのかなって。理由なんか知ってる? って」
「そういや凱なら他の情報知ってるかもって言ってたもんな。なんか知ってた?」
「ううん。知ってることは俺と一緒だった」
「そっかー。じゃあ昔のことが尾を引いてるのかもな」
「うん。色んなことが積み重なってこうなったのかなと思う」
「他には?」
「他? 他は…あの魚美味しそうじゃない? とか、あれ可愛いな! とか」
「いや、もうデートやん!」
2人がハモる。
「デートじゃないってば!」
「はいはい。わかったって」
「普段ほとんど話さない分、そんだけ一緒にいたら意外な一面もみれたんじゃない? 藍はまだ凱が嫌い?」
「嫌い……ではないと思う」
「へぇ。じゃあ凱のいいとこ10個言って」
と奏多が無茶振りをする。
「なにそれ」
「なんでもいいから!」
「えぇ?……じゃあ、背が高い」
「凱は184あるもんな。藍より10センチも高いんだ」
「なんで知ってんの?」
「まあまあ。2個目」
「手先が器用」
「あー、テーラーの息子だし? 3個目は?」
「モテる」
「そらね。高身長であの顔だからね。では4個目どうぞ」
「うーん。友達が多い」
「おー。5個目は?」
「あー! もうない! もう終わり!」
「4つだけかよ…」
「もう! ゲームしないなら帰れよぉ!」
俺は2人を無理矢理帰らせて布団に閉じこもった。
「おはよう!」
次の朝、教室に行くと凱が颯人と奏多に囲まれている。
「お前ら何してんの?」
「別にー」
昼休みに屋上で弁当を食べていると、
「お前薄情だな……」
と颯人が俺に言った。
「何、急に……」
「実は朝、俺と颯人で凱に同じ質問したんだ」
「は?」
「まぁ、まずこれを聴いて」
スマホのレコーダーアプリを起動させる。
「藍とちょっとは仲良くなったんだろ? あいつのいいとこ10個言ってみて」
「え、なんかの罰ゲーム? ドッキリとか?」
「違うって。まず1つ目は?」
「いいとこ? んー、家族想い」
「ま、よく兄弟の面倒みてるしね。2つ目は?」
「友達想い」
「あー。確かに俺ら愛されてるもんなぁ? 次、3つ目」
「責任感が強い」
「おー。次は?」
「一生懸命なとこ」
「わかるわかる。はい次!」
「一途」
「あー、それはそう! ずっと恵美ちゃん一筋だもんな。次いこ!」
「所作が綺麗」
「いいねー! 次何個目だ…7つ目か」
「瞳が綺麗」
「はい次、8つ目」
「手先が器用」
「あー呉服屋だしね。9個目ある?」
「声がいい」
「うんうん。最後は?」
「最後? 笑顔が……」
「笑顔が?」
「……多い」
「よく笑うってことね! ありがとう!」
「何これ?」
「まあまあ気にしないで!」
ってこれ何だ。俺は何を聞かされたんだろ。
「質問は?」
「何が目的?」
「俺たちはさ、ちょっとでも2人が仲良くなれたらいいなと思ってるんだよ。素直にそれだけ」
「高校生活さ、いがみ合うより仲良くした方が楽しいじゃん?」
「それだけ」
「ふーん」
なんか今まで感じことない気持ちが流れてきて、俺は戸惑っていた。
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