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3年になってしばらくしたある日。
「藍くん、ちょっと相談があるの……」
萌ちゃんに呼び出され、放課後茶道部の部室に。
「どうしたの? こんなとこで」
「実はね。茶道部は時々、浴衣を着てお茶会してるの」
「うん。知ってるよ」
「でね、今年結構部員が増えちゃって。それは嬉しいんだけど、顧問の先生と私たちだけだと人手が足らなくて。もし時間があったら手伝ってもらえないかな?ダメ?」
「ダメじゃないよ。いいよ。いつ?」
「今週の金曜日」
「わかった。じゃあ金曜日にここで」
「良かった! ありがとう! 本当はずっとお願いしたかったんだけど、急にこんなお願いしたら厚かましいって思われるかなって。そしたら凱くんが藍はそんなこと思わないよ。力になってくれるから聞いてみなって。本当に急でごめんね」
「……いいよ! どうせ暇だしね」
「本当に助かる! ありがとう!」
俺は帰ってから、凱にメッセージを送った。
あの水族館の日、初めて連絡先を交換した。
それからほとんどメッセージ送ってなかったから、なんかちょっと緊張する。
「萌ちゃんに聞いた。今週のお茶会のこと」
「俺、余計なことした?」
返信はやっ!
「ううん。友達の力になれるなら嬉しいよ」
「やっぱり」
「何やっぱりって」
打った瞬間、凱からの着信。
「なんで電話!?」
「こっちの方が早いから」
「それよりやっぱりって何?」
「藍なら萌の力になってくれると思った。友達想いだから」
あ、それって前に……
「……」
「藍?どうした?」
「別に……」
「負担か? もちろん当日は俺も手伝うから」
「違う。負担とかじゃないよ。萌ちゃんもだけど、萌ちゃんを助けるってことは凱も助けることになるってことだろ? 2人も助けられるって、俺ヒーローっぽくない?」
「なんで俺も助けることになる?」
「株上がるじゃん。彼女からの」
俺はなんであえて彼女なんて言い方したんだろ……
さっきまで萌ちゃんって呼んでたのに。
しかも自分で言っといて、なんか……変。
「余計なお世話だよ。そんなのなくても俺の株は天井まで上がってるんで」
「はぁ? なんかむかつくわー。こっちは彼女がバレーの練習で忙しくて、なかなか会えないっつうのに」
「でも毎日メールしたり電話したり、練習や試合観に行ったりしてんだろ?」
「まあできる時はね。ってなんで知ってるんだよ?」
「萌が恵美から聞いたって」
「……」
「藍?大丈夫か?」
「……ん? 大丈夫! あの2人本当に仲良いな」
「そうだな」
「じゃあ、風呂入って寝るわ」
「うん。おやすみ」
「おやすみ」
凱の口から、"恵美"って自分の彼女を呼び捨てにされても何も思わないのに、あいつが萌ちゃんを"萌"って呼び捨てにするたびにモヤモヤする。
今日の俺、なんか変だ。
金曜日の放課後。
「今日茶道部の手伝いあるから」
颯人と奏多と別れて茶道部に向かう。
「藍。それすごい荷物だな。半分持つよ」
「ありがとう」
凱と茶道部の部屋に行くと萌ちゃんがいた。
「どうしたの?その荷物」
「浴衣の着付けの手伝いするって言ったら母さんが、去年の展示に使ってた浴衣と帯、何枚か持ってけってうるさくて。なんなら自分も手伝いに行くとか言い出して」
「え!すごい! 嬉しい! じゃあ、お母さんもいらっしゃってるの?」
「いや、流石にそれは断ったよ。いくら父兄でも、学校の中に行事以外で入るには事前に許可がいるからさ」
「あ。そうだよね。でも嬉しい! お母さんにお礼言っといてね?」
「うん。伝えとく」
「じゃあ男の子の方頼んでいい? 終わったらこっちも手伝ってもらえると助かるんだけど……」
「わかった。じゃあ後で行くね」
俺は隣の部屋に男子を集めて、みんなの前で説明した。2年と1年で4人か。あれ? 凱は?
「凱! 何してんの? お前も入れよ」
廊下に出ていた凱に声をかける。
「え……俺、浴衣持ってきてない」
「そう思って、お前のも持ってきてる」
「え、でも……」
「とりあえず着付けするから中入れ!」
前に立って説明しながら、みんなで一緒に着付けをする。凱も頑張ってる。
最後はみんなの手直しを俺がして終了。
「……やっぱこれ似合うと思った!」
凱の浴衣の襟を少しなおしながら顔を見た。
凱と目が合う。
俺はすぐに目を逸らした。
「じゃあ向こうの手伝いしてくるからみんなはここで待ってて」
俺は女子の方を手伝いに行った。
着付けが終わっていよいよお茶会。あ、萌ちゃんの帯ちょっと歪んでる。
「みんな上手く着付け出来たね! じゃあ始めましょう!」
「待って。帯の後ろ、ちょっとなおしていい?」
と小声で萌ちゃんに話しかけた。
「うん、ありがとう」
俺が帯に手をかけたその時。パシッ! 凱が俺の手を掴んだ。
「え?」
2人で驚いて凱を見る。
「あ、ごめん。なんでもない……」
なんだ今の。
お茶会は無事終了して、浴衣は茶道部に置いておくことになった。洗える浴衣だから汚れたら洗えばいいし、気軽に着られるとこに置いとけばみんな着たくなるから…と母さんが言っていたからだ。
帰り道。
もちろん俺と凱は同じ方向で、家の少し手前まで一緒に帰ることにした。
凱は黙ったままだ。
「今日、楽しかったな」
「うん……」
「てか和装は慣れてないんだ?」
「あぁ。着たことほとんどないから……」
「まあそりゃそうか。お隣さんが大嫌いな呉服屋じゃあ着る機会もないわな」
「……あのさ。今日のごめん。手、大丈夫か?」
「ん? あぁ。あれ? 大丈夫だよ。それより凱があんな嫉妬深いってことにビックリした!」
「え? いやあれは……」
「言い訳すんなって。嫉妬だろー?」
「そうだな……」
「うん。今度からは気をつけるよ」
「今度?」
「うん。せっかくだから浴衣でお茶会する回数増やそうかなって言ってた。だからみんなが自分で出来るようになるまで手伝おうかなって思って。それに今度夏祭りに着て行く浴衣、うちで買ってくれるって。夏休み終わったら、受験でそれどころじゃなくなるかもしれないから、思い出作りたいって!」
「萌が?」
「うん。本当はお前と一緒にお互いのを選びに行きたかったけど、恵美に俺たちの家のこと聞いて、それは無理そうだからお母さん連れて行きますってさ。律儀だねー。萌ちゃん」
「そうか」
「夏祭り、今日凱が着てた浴衣で行ってやって」
「でもあれは……」
「あれは俺からのプレゼント。お前専用に選んだから」
「なんで……?」
「だって浴衣なんて家に持って帰ったら、親に何言われるかわかんないだろ? だから学校に置かせてもらえるように、顧問の先生に頼んでみたら大丈夫だって言ってくれたから」
「藍」
次の瞬間、俺は凱の腕の中にいた。
「凱?どうした?そんなに感動したか?」
さっと離れた凱は
「ごめん。ありがとう」
と言った。
「夏祭り、4人で行こうな。水族館のリベンジだ」
「そうだな…」
俺たちは家の少し手前で別れた。
「藍くん、ちょっと相談があるの……」
萌ちゃんに呼び出され、放課後茶道部の部室に。
「どうしたの? こんなとこで」
「実はね。茶道部は時々、浴衣を着てお茶会してるの」
「うん。知ってるよ」
「でね、今年結構部員が増えちゃって。それは嬉しいんだけど、顧問の先生と私たちだけだと人手が足らなくて。もし時間があったら手伝ってもらえないかな?ダメ?」
「ダメじゃないよ。いいよ。いつ?」
「今週の金曜日」
「わかった。じゃあ金曜日にここで」
「良かった! ありがとう! 本当はずっとお願いしたかったんだけど、急にこんなお願いしたら厚かましいって思われるかなって。そしたら凱くんが藍はそんなこと思わないよ。力になってくれるから聞いてみなって。本当に急でごめんね」
「……いいよ! どうせ暇だしね」
「本当に助かる! ありがとう!」
俺は帰ってから、凱にメッセージを送った。
あの水族館の日、初めて連絡先を交換した。
それからほとんどメッセージ送ってなかったから、なんかちょっと緊張する。
「萌ちゃんに聞いた。今週のお茶会のこと」
「俺、余計なことした?」
返信はやっ!
「ううん。友達の力になれるなら嬉しいよ」
「やっぱり」
「何やっぱりって」
打った瞬間、凱からの着信。
「なんで電話!?」
「こっちの方が早いから」
「それよりやっぱりって何?」
「藍なら萌の力になってくれると思った。友達想いだから」
あ、それって前に……
「……」
「藍?どうした?」
「別に……」
「負担か? もちろん当日は俺も手伝うから」
「違う。負担とかじゃないよ。萌ちゃんもだけど、萌ちゃんを助けるってことは凱も助けることになるってことだろ? 2人も助けられるって、俺ヒーローっぽくない?」
「なんで俺も助けることになる?」
「株上がるじゃん。彼女からの」
俺はなんであえて彼女なんて言い方したんだろ……
さっきまで萌ちゃんって呼んでたのに。
しかも自分で言っといて、なんか……変。
「余計なお世話だよ。そんなのなくても俺の株は天井まで上がってるんで」
「はぁ? なんかむかつくわー。こっちは彼女がバレーの練習で忙しくて、なかなか会えないっつうのに」
「でも毎日メールしたり電話したり、練習や試合観に行ったりしてんだろ?」
「まあできる時はね。ってなんで知ってるんだよ?」
「萌が恵美から聞いたって」
「……」
「藍?大丈夫か?」
「……ん? 大丈夫! あの2人本当に仲良いな」
「そうだな」
「じゃあ、風呂入って寝るわ」
「うん。おやすみ」
「おやすみ」
凱の口から、"恵美"って自分の彼女を呼び捨てにされても何も思わないのに、あいつが萌ちゃんを"萌"って呼び捨てにするたびにモヤモヤする。
今日の俺、なんか変だ。
金曜日の放課後。
「今日茶道部の手伝いあるから」
颯人と奏多と別れて茶道部に向かう。
「藍。それすごい荷物だな。半分持つよ」
「ありがとう」
凱と茶道部の部屋に行くと萌ちゃんがいた。
「どうしたの?その荷物」
「浴衣の着付けの手伝いするって言ったら母さんが、去年の展示に使ってた浴衣と帯、何枚か持ってけってうるさくて。なんなら自分も手伝いに行くとか言い出して」
「え!すごい! 嬉しい! じゃあ、お母さんもいらっしゃってるの?」
「いや、流石にそれは断ったよ。いくら父兄でも、学校の中に行事以外で入るには事前に許可がいるからさ」
「あ。そうだよね。でも嬉しい! お母さんにお礼言っといてね?」
「うん。伝えとく」
「じゃあ男の子の方頼んでいい? 終わったらこっちも手伝ってもらえると助かるんだけど……」
「わかった。じゃあ後で行くね」
俺は隣の部屋に男子を集めて、みんなの前で説明した。2年と1年で4人か。あれ? 凱は?
「凱! 何してんの? お前も入れよ」
廊下に出ていた凱に声をかける。
「え……俺、浴衣持ってきてない」
「そう思って、お前のも持ってきてる」
「え、でも……」
「とりあえず着付けするから中入れ!」
前に立って説明しながら、みんなで一緒に着付けをする。凱も頑張ってる。
最後はみんなの手直しを俺がして終了。
「……やっぱこれ似合うと思った!」
凱の浴衣の襟を少しなおしながら顔を見た。
凱と目が合う。
俺はすぐに目を逸らした。
「じゃあ向こうの手伝いしてくるからみんなはここで待ってて」
俺は女子の方を手伝いに行った。
着付けが終わっていよいよお茶会。あ、萌ちゃんの帯ちょっと歪んでる。
「みんな上手く着付け出来たね! じゃあ始めましょう!」
「待って。帯の後ろ、ちょっとなおしていい?」
と小声で萌ちゃんに話しかけた。
「うん、ありがとう」
俺が帯に手をかけたその時。パシッ! 凱が俺の手を掴んだ。
「え?」
2人で驚いて凱を見る。
「あ、ごめん。なんでもない……」
なんだ今の。
お茶会は無事終了して、浴衣は茶道部に置いておくことになった。洗える浴衣だから汚れたら洗えばいいし、気軽に着られるとこに置いとけばみんな着たくなるから…と母さんが言っていたからだ。
帰り道。
もちろん俺と凱は同じ方向で、家の少し手前まで一緒に帰ることにした。
凱は黙ったままだ。
「今日、楽しかったな」
「うん……」
「てか和装は慣れてないんだ?」
「あぁ。着たことほとんどないから……」
「まあそりゃそうか。お隣さんが大嫌いな呉服屋じゃあ着る機会もないわな」
「……あのさ。今日のごめん。手、大丈夫か?」
「ん? あぁ。あれ? 大丈夫だよ。それより凱があんな嫉妬深いってことにビックリした!」
「え? いやあれは……」
「言い訳すんなって。嫉妬だろー?」
「そうだな……」
「うん。今度からは気をつけるよ」
「今度?」
「うん。せっかくだから浴衣でお茶会する回数増やそうかなって言ってた。だからみんなが自分で出来るようになるまで手伝おうかなって思って。それに今度夏祭りに着て行く浴衣、うちで買ってくれるって。夏休み終わったら、受験でそれどころじゃなくなるかもしれないから、思い出作りたいって!」
「萌が?」
「うん。本当はお前と一緒にお互いのを選びに行きたかったけど、恵美に俺たちの家のこと聞いて、それは無理そうだからお母さん連れて行きますってさ。律儀だねー。萌ちゃん」
「そうか」
「夏祭り、今日凱が着てた浴衣で行ってやって」
「でもあれは……」
「あれは俺からのプレゼント。お前専用に選んだから」
「なんで……?」
「だって浴衣なんて家に持って帰ったら、親に何言われるかわかんないだろ? だから学校に置かせてもらえるように、顧問の先生に頼んでみたら大丈夫だって言ってくれたから」
「藍」
次の瞬間、俺は凱の腕の中にいた。
「凱?どうした?そんなに感動したか?」
さっと離れた凱は
「ごめん。ありがとう」
と言った。
「夏祭り、4人で行こうな。水族館のリベンジだ」
「そうだな…」
俺たちは家の少し手前で別れた。
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