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始まり
感動の再会?
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「ねぇ。もうすぐ着くよね? 俺、大丈夫? 変じゃない?」
「大丈夫、大丈夫。かわいい、かわいい。お前はいつも通りかわいいよ」
「そういうことじゃなくて!」
「わかってるよ。そうだ! せっかくのサプライズなんだから、俺が最初にあいつに声をかける。そのあと呼んだら来てよ」
「わかった」
店に着くと、リオンがスタッフと一緒に椅子を運んでいた。
「これ、そこに置いて。あれをあっちに……業者が来たら一緒に中身確認してサインしてくれる?」
もう責任者って感じが漂ってる。
「おー! リオン! お待たせ!」
「あ! 星矢! ちゃんと道わかったんだ」
「うん。タクシーのおじさん親切だった」
「それは良かった」
「俺、何すれば良い?」
「来て早々働くの!? さすが。じゃあここにあるやつを隣のチャペルまで運んでくれる?」
支店の隣にはチャペルがある。
と言っても、元はレストランだったみたい。
それを少し改装している。
3往復くらいしたところで、星矢が隠れていた俺のとこに来て言った。
「次、俺がリオンにこれも運ぶのー?ってそっから叫ぶから李音はここに立ってて」
と言って俺に預けていたカメラを構えた。
日本にいる時も写真担当は星矢だった。
「何撮るの?」
「感動の再会だろ? ちょっとまって……」
感動の再会って……
星矢は俺の髪を直して、どうぞ!って感じで手のひらを見せた。
俺がその位置に着くと、
「リオン! これも運ぶのー?」
と大声で叫ぶ。
「うん! そこにあるやつ全部……」
振り返ったリオンの顔はたぶん一生忘れない。
持っていたファイルを、漫画みたいにドサッと落としたかと思うと、すごいスピードで走ってくる。
俺もリオンの方に駆け寄った。
星矢はずっと俺たちを横から撮っている。
抱きしめられて顔を上げると、今までにない笑顔のリオンがいた。
「どうして!?」
「俺も星矢と一緒にしばらくこっちに来ることになった」
「でも向こうの仕事は? ってか部長は!?」
「ちゃんと引き継いできたよ。それと部長にもちゃんと言ってきた。もう一度あなたと恋をすることは出来ませんって」
「え?」
「だからまたしばらくよろしくね!」
「ってことなんで、俺たち住むところ探してくるから、手伝いはここまでな!」
という星矢の言葉に、焦ったリオンは言った。
「あぁぁぁぁぁ! 待って! 住むとこならある! あるから!」
俺たちが不思議そうな顔をしていると
「うちに住めばいいよ!」
と言う。
「そんな……それは申し訳ないよ」
「大丈夫! 元々星矢は俺の家に居候させる気だったし!」
「そうなの?」
「うん。なんかリオンのお父さんとお母さんはめっちゃ歓迎してくれたから、お言葉に甘えようかと思って」
「でも流石に2人は……」
「大丈夫! 李音は会ったことあるし、お母さんたちは李音のファンだから。それに部屋も余ってるし、何だったら星矢を追い出して代わりに李音を……」
「お前、酷いこと言うな……」
「でも、いや絶対大丈夫! あれだったら俺と同じ部屋でも良いし! あ、ちょっと電話して聞いてくる!」
とリオンはスマホを片手に電話をしに行った。
「あいつ、相当浮かれてんな」
星矢は隣で笑っている。
「本当にいいのかな?」
「あいつがどうしてもって言うんだから大丈夫じゃない? もし居づらくなったら、一緒に引越し先探そうぜ」
「そうだね」
しばらくして電話を終えたリオンは、頭の上で大きく丸をした。
「大丈夫、大丈夫。かわいい、かわいい。お前はいつも通りかわいいよ」
「そういうことじゃなくて!」
「わかってるよ。そうだ! せっかくのサプライズなんだから、俺が最初にあいつに声をかける。そのあと呼んだら来てよ」
「わかった」
店に着くと、リオンがスタッフと一緒に椅子を運んでいた。
「これ、そこに置いて。あれをあっちに……業者が来たら一緒に中身確認してサインしてくれる?」
もう責任者って感じが漂ってる。
「おー! リオン! お待たせ!」
「あ! 星矢! ちゃんと道わかったんだ」
「うん。タクシーのおじさん親切だった」
「それは良かった」
「俺、何すれば良い?」
「来て早々働くの!? さすが。じゃあここにあるやつを隣のチャペルまで運んでくれる?」
支店の隣にはチャペルがある。
と言っても、元はレストランだったみたい。
それを少し改装している。
3往復くらいしたところで、星矢が隠れていた俺のとこに来て言った。
「次、俺がリオンにこれも運ぶのー?ってそっから叫ぶから李音はここに立ってて」
と言って俺に預けていたカメラを構えた。
日本にいる時も写真担当は星矢だった。
「何撮るの?」
「感動の再会だろ? ちょっとまって……」
感動の再会って……
星矢は俺の髪を直して、どうぞ!って感じで手のひらを見せた。
俺がその位置に着くと、
「リオン! これも運ぶのー?」
と大声で叫ぶ。
「うん! そこにあるやつ全部……」
振り返ったリオンの顔はたぶん一生忘れない。
持っていたファイルを、漫画みたいにドサッと落としたかと思うと、すごいスピードで走ってくる。
俺もリオンの方に駆け寄った。
星矢はずっと俺たちを横から撮っている。
抱きしめられて顔を上げると、今までにない笑顔のリオンがいた。
「どうして!?」
「俺も星矢と一緒にしばらくこっちに来ることになった」
「でも向こうの仕事は? ってか部長は!?」
「ちゃんと引き継いできたよ。それと部長にもちゃんと言ってきた。もう一度あなたと恋をすることは出来ませんって」
「え?」
「だからまたしばらくよろしくね!」
「ってことなんで、俺たち住むところ探してくるから、手伝いはここまでな!」
という星矢の言葉に、焦ったリオンは言った。
「あぁぁぁぁぁ! 待って! 住むとこならある! あるから!」
俺たちが不思議そうな顔をしていると
「うちに住めばいいよ!」
と言う。
「そんな……それは申し訳ないよ」
「大丈夫! 元々星矢は俺の家に居候させる気だったし!」
「そうなの?」
「うん。なんかリオンのお父さんとお母さんはめっちゃ歓迎してくれたから、お言葉に甘えようかと思って」
「でも流石に2人は……」
「大丈夫! 李音は会ったことあるし、お母さんたちは李音のファンだから。それに部屋も余ってるし、何だったら星矢を追い出して代わりに李音を……」
「お前、酷いこと言うな……」
「でも、いや絶対大丈夫! あれだったら俺と同じ部屋でも良いし! あ、ちょっと電話して聞いてくる!」
とリオンはスマホを片手に電話をしに行った。
「あいつ、相当浮かれてんな」
星矢は隣で笑っている。
「本当にいいのかな?」
「あいつがどうしてもって言うんだから大丈夫じゃない? もし居づらくなったら、一緒に引越し先探そうぜ」
「そうだね」
しばらくして電話を終えたリオンは、頭の上で大きく丸をした。
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