Infinity pure

SHIZU

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始まり

⭐︎本当の気持ち

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星矢が風呂に入ってる間、李音が言った。

「さっき、なんで愛してるよってタイ語で言ったの?」

「……日本語で言って照れるなら、タイ語だとどうなるかなって思って」

「意味は同じなんだから一緒だよ!」

と李音は苦笑いをする。

本当は素直な俺の気持ちを言ってみたかった。

ゲームだったら違和感なく言えるかと思った。

どんな反応するのか知りたくて。

だけどそうなると、俺が日本語で愛してるよって李音に言うのはちょっと違う気がして、自分の言葉で伝えるにはやっぱタイ語がいいと思った。

言葉自体は難しくない。きっと李音も理解できるとわかってて言った。

「愛してるよって、本気で誰かに言ったことある?」

俺は聞いてから、しまった!と思った。

「……ずっと言えなかった。部長にはずっと大好きって言い続けてた。愛してるって言葉を本気で伝えるのは俺には重くて、俺の立場では言っちゃいけない気がしてさ。それに大好きの方が自分らしいかなって思ってた。でも別れる最後の日、抱かれながら自然に溢れてきたのは愛してるだったんだ。本気でそう思った。リオンはある?」

俺はさっき本気で思って言った。

でもまだ今は言えないよな。

「賢一に一度言ったことがある。日記を見た後、俺が愛してるって言うと、うん、ありがとうって。俺は多分自分を見て欲しくて、自分らしくないことを言った。それで向こうも気付いたと思うよ。俺じゃダメなこと」

「そっか……」

「まだ部長が好き?」

「好きだけど、自分から別れて欲しいって言っといて引きずるのは嫌だから、ちゃんと前をみるよ」

「じゃあ……俺を見て?」

と言って俺は李音の顔を見た。

「え?」

隣に座っていた李音を抱きしめて、

「ゆっくりでいいから俺を見て」

「リオン?」

その時風呂場の扉が開く音がした。


~~~~~~~~~~


「俺、風呂入ってくる!」

バタバタと星矢と入れ違いに李音が風呂場に走って行った。

「何? どした?」

びっくりしている星矢に、

「前を見るって言うから、じゃあ俺を見てって言ったんだ」

と言った。

「うぇーい」

と星矢が冷やかすように言う。

「俺、星矢がライバルでも諦めない。いいか?」

「お! 望むところだ」

俺たちは缶ビールで乾杯をした。







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