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第2話
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『まぁ、倒すことはお勧めしませんがね。生き残れるよう頑張ってください。鬼ごっこは1分後に開始します。』
放送がやんだ後、一人の男子生徒が廊下に出ていた三年生全員に聞こえるような大声で叫んだ。
「椅子と机でバリケードを築くんだ。」
それに応じた一部の三年生たちはすぐに動き出した。
三年生に指示を出したのは生徒会長の神田陸。三年生だけでなく教師からも信頼される真面目な男子生徒だ。
「神田、これはどういう状況だ?」
三年生がバリケードを築いている途中で担任がやってきた。
「不審者の侵入を防ぐため入り口にバリケードを築いている最中です。」
「そ、そうか。」
教師の到着より早く行動を開始していた三年生に驚く。
『あと10秒で鬼が解放されますよ。最後まで頑張ってくださいね。』
再び放送が流れ、鬼の解放までのカウントダウンが始まった。
『10・・・』
「神田!まだバリケード完成していないぞ。どうするんだ。」
バリケードを設置している一人の生徒がたずねる。
「手を止めて、急いでできるだけ入り口から離れるんだ。」
「全員教室に戻るように!」
神田と担任から避難を優先するように指示が出る。
『9・・・』
「先生、どうするんですか。」
教室に戻った生徒たちが不安そうに尋ねる。
『8・・・』
「まずは退去を求めるが、、、。」
カウントダウンの緊張の中、担任が口を開く。
『7・・・6・・・』
「応じない場合はできるだけ校舎の奥、不審者から距離をとるように避難する。」
『5・・・4・・・』
「今、教頭が警察へ連絡しているところだから安心してくれ。」
担任が現状を説明することで教室に緊張が走る。
『3・・・2・・・1・・・』
「外部への連絡は恐らくできませんよ。この通り、放送が始まってから圏外になっていますから。」
そう言いながら神田がスマホの画面を担任に見せた。
『スタート!』
「動き出しました!」
外の様子をうかがっていた生徒が声を上げた。
教室中を不安に包んだまま、鬼が動き出してしまった。
『スタート!』
パリンッ!
スタートの合図から数秒後、ガラスが割れる音がした。音が聞こえたグラウンド側の窓ガラスに皆の視線が集まる。窓が1枚割れており、その天井には鉈が突き刺さっていた。
「今、グラウンドにいたあいつが投げたのか、、、?」
グラウンドの様子を見ていた先生がおびえたように言葉を漏らした。
ようやく状況を理解した一年生は恐怖に包まれた。
「皆さん落ち着いてください。」
担任が呼びかけるがガラスが割られたことにより、多くの生徒はパニックに陥る。
「今からグラウンドと反対側の特別教室棟に避難をします。」
避難を誘導するが生徒たちは動き出せずにいる。一部の生徒は指示に従わず勝手に逃げ出す。
「律ちゃん、、、。」
「大丈夫だよ、先生の言う通り奥に避難しよう?」
不安そうにする山本を福間律がなだめる。
スタートの合図とともに鬼は体が動くようになった。
「さて、何人くらい残るかな。」
鬼は手に持った鉈を振りかぶり、3階の窓に向かって投げた。鬼の投げた鉈は校舎3階の窓を突き破り天井に刺さった。
「これで少しは状況を理解してくれるかな?」
鬼ごっこのスタートとともに校舎に鉈が投げ込まれ、驚いた生徒たちのほとんどは窓から離れていく。しかし、生徒の数人と教師たちが様子をうかがっている。
「まあ、これだけの人数が見ていれば大丈夫かな。」
鬼が動き出して数分後、3人の教師が校庭に降りてくる。一人は見るからに体育教師といった風貌の男。もう二人もそれなりに体格のいい男性教師だ。
「うんうん、いいタイミングだね。」
「すぐにそのふざけたお面を外して顔を見せなさい。」
ふざけたお面っていうのは鬼面のことかな。これは外すなって言われてるしな。
というかさっき鉈投げたとこ見てなかったのかな。一般人たった3人でどうにかなると思われてるの心外だな。
「そこから動くな。手頭の上にのせて膝をつきなさい。警察にもすでに通報している。」
教師の一人が投降するように求めてくる。
「だめじゃないか、嘘をついたら。」
そう言いながら鬼は教師たちに歩いて近づく。
「そこを動くな。」
教師たちは鬼面の男を囲むように移動し、それぞれさすまたを構える。それに構う様子もなく、教師たちに向けて歩き続けた。
「止まりなさい!」
教師の一人さすまたを突き出し、鬼面の男の腹部をとらえた。続けてもう一人が同様に指すまたで腹部をとらえる。
「これ使いかた合ってる?」
鬼面の男は挟み込まれたことなど意に介していない。それどころか教師たちを煽るように口を開く。
すると一番体格のいい教師がさすまたで足を払い鬼面の男に膝をつかせた。後ろから体を押し倒し、両腕をつかみ取り押さえた。
「なるほど。これはこれは。」
必死に取り押さえる教師たちとは裏腹に、鬼面の男は余裕そうに笑みを浮かべる。
「そろそろいいかな。」
鬼面の男は一言発すると、教師たちの拘束をものともせず、立ち上がった。乗っていた教師は地面に倒れ、さすまたで抑えていた教師たちも体勢を崩している。さすまたの教師の一人に向かって鬼面の男が手を振り上げた。
「じゃあね。」
そう言い終わるのが先か、手は振り下ろされ教師の顔が吹き飛んだ。そして残る二人の教師も同様に顔を吹き飛ばされた。三人の頭を吹き飛ばした鬼面の男は教師たちが出てきたところに向かって歩みを進めた。
放送がやんだ後、一人の男子生徒が廊下に出ていた三年生全員に聞こえるような大声で叫んだ。
「椅子と机でバリケードを築くんだ。」
それに応じた一部の三年生たちはすぐに動き出した。
三年生に指示を出したのは生徒会長の神田陸。三年生だけでなく教師からも信頼される真面目な男子生徒だ。
「神田、これはどういう状況だ?」
三年生がバリケードを築いている途中で担任がやってきた。
「不審者の侵入を防ぐため入り口にバリケードを築いている最中です。」
「そ、そうか。」
教師の到着より早く行動を開始していた三年生に驚く。
『あと10秒で鬼が解放されますよ。最後まで頑張ってくださいね。』
再び放送が流れ、鬼の解放までのカウントダウンが始まった。
『10・・・』
「神田!まだバリケード完成していないぞ。どうするんだ。」
バリケードを設置している一人の生徒がたずねる。
「手を止めて、急いでできるだけ入り口から離れるんだ。」
「全員教室に戻るように!」
神田と担任から避難を優先するように指示が出る。
『9・・・』
「先生、どうするんですか。」
教室に戻った生徒たちが不安そうに尋ねる。
『8・・・』
「まずは退去を求めるが、、、。」
カウントダウンの緊張の中、担任が口を開く。
『7・・・6・・・』
「応じない場合はできるだけ校舎の奥、不審者から距離をとるように避難する。」
『5・・・4・・・』
「今、教頭が警察へ連絡しているところだから安心してくれ。」
担任が現状を説明することで教室に緊張が走る。
『3・・・2・・・1・・・』
「外部への連絡は恐らくできませんよ。この通り、放送が始まってから圏外になっていますから。」
そう言いながら神田がスマホの画面を担任に見せた。
『スタート!』
「動き出しました!」
外の様子をうかがっていた生徒が声を上げた。
教室中を不安に包んだまま、鬼が動き出してしまった。
『スタート!』
パリンッ!
スタートの合図から数秒後、ガラスが割れる音がした。音が聞こえたグラウンド側の窓ガラスに皆の視線が集まる。窓が1枚割れており、その天井には鉈が突き刺さっていた。
「今、グラウンドにいたあいつが投げたのか、、、?」
グラウンドの様子を見ていた先生がおびえたように言葉を漏らした。
ようやく状況を理解した一年生は恐怖に包まれた。
「皆さん落ち着いてください。」
担任が呼びかけるがガラスが割られたことにより、多くの生徒はパニックに陥る。
「今からグラウンドと反対側の特別教室棟に避難をします。」
避難を誘導するが生徒たちは動き出せずにいる。一部の生徒は指示に従わず勝手に逃げ出す。
「律ちゃん、、、。」
「大丈夫だよ、先生の言う通り奥に避難しよう?」
不安そうにする山本を福間律がなだめる。
スタートの合図とともに鬼は体が動くようになった。
「さて、何人くらい残るかな。」
鬼は手に持った鉈を振りかぶり、3階の窓に向かって投げた。鬼の投げた鉈は校舎3階の窓を突き破り天井に刺さった。
「これで少しは状況を理解してくれるかな?」
鬼ごっこのスタートとともに校舎に鉈が投げ込まれ、驚いた生徒たちのほとんどは窓から離れていく。しかし、生徒の数人と教師たちが様子をうかがっている。
「まあ、これだけの人数が見ていれば大丈夫かな。」
鬼が動き出して数分後、3人の教師が校庭に降りてくる。一人は見るからに体育教師といった風貌の男。もう二人もそれなりに体格のいい男性教師だ。
「うんうん、いいタイミングだね。」
「すぐにそのふざけたお面を外して顔を見せなさい。」
ふざけたお面っていうのは鬼面のことかな。これは外すなって言われてるしな。
というかさっき鉈投げたとこ見てなかったのかな。一般人たった3人でどうにかなると思われてるの心外だな。
「そこから動くな。手頭の上にのせて膝をつきなさい。警察にもすでに通報している。」
教師の一人が投降するように求めてくる。
「だめじゃないか、嘘をついたら。」
そう言いながら鬼は教師たちに歩いて近づく。
「そこを動くな。」
教師たちは鬼面の男を囲むように移動し、それぞれさすまたを構える。それに構う様子もなく、教師たちに向けて歩き続けた。
「止まりなさい!」
教師の一人さすまたを突き出し、鬼面の男の腹部をとらえた。続けてもう一人が同様に指すまたで腹部をとらえる。
「これ使いかた合ってる?」
鬼面の男は挟み込まれたことなど意に介していない。それどころか教師たちを煽るように口を開く。
すると一番体格のいい教師がさすまたで足を払い鬼面の男に膝をつかせた。後ろから体を押し倒し、両腕をつかみ取り押さえた。
「なるほど。これはこれは。」
必死に取り押さえる教師たちとは裏腹に、鬼面の男は余裕そうに笑みを浮かべる。
「そろそろいいかな。」
鬼面の男は一言発すると、教師たちの拘束をものともせず、立ち上がった。乗っていた教師は地面に倒れ、さすまたで抑えていた教師たちも体勢を崩している。さすまたの教師の一人に向かって鬼面の男が手を振り上げた。
「じゃあね。」
そう言い終わるのが先か、手は振り下ろされ教師の顔が吹き飛んだ。そして残る二人の教師も同様に顔を吹き飛ばされた。三人の頭を吹き飛ばした鬼面の男は教師たちが出てきたところに向かって歩みを進めた。
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