10 / 23
離れたくない
しおりを挟む
「何を言ってこようが俺達には関係ない。
お前に漬け込む余地はない」
和哉に言葉を吐き捨てると鍵を開けて家に入った。
強気に出たものの、気が気ではなかった。
いつまでたっても和哉の動向が気になって、夜になっても寝付けず、ビールでも飲めば寝れるかと思いコンビニに行こうと外に出ると、もう和哉の姿はなかった。
俺はただ、先生が俺だけを信じてくれるよう祈るしかなかった。
翌朝いつもの時間に病院の前を通ると、先生が日課の掃き掃除をしていた。
普段通りに生活している姿が見えて、ほっとした。
「先生、おはよう」
「おはようございます。
昨日はバーベキューありがとうございました。
片付けまで全部引き受けてもらって」
「全然。
また行こうよ。
あれ…、今日はタートルネックなんだ」
先生の朝の姿は決まってオフホワイトのトレーナーなのに、今日に限って同色のタートルネックになっている。
「朝、コーヒーを溢してしまったんです」
「大丈夫?
火傷しなかった?」
「それはないです。
ありがとう」
「ならいいけど。
俺 、先生の肌綺麗で好きだから傷つくのは嫌だからね。
今度チェックするから」
「タケル君は、ほんと心配性ですね」
苦笑する先生は照れて赤くなっていた。
ずっと一緒にいたい気持ちを抑えて俺は駅に向かった。
先生と会った後のふわふわとした甘い余韻に浸っているうちに、俺の中にあった危機感はいつの間にか消え失せていた。
オフィスワークの週始めは何かと雑用で忙しい。
土日の間に溜まっていたメールを片付け、一気に押し寄せる案件の計画を立てて粗方目処がつく頃には昼休みが始まっていた。
今から食べに言っても行列に並ぶだけだ。
それならもう少し時間をおいて空いた頃に掻き込みに行こうかと、頭の中で予定を立てた。
午後の予定でも組もうとパソコンでウインドウをひとつ立ち上げたとき、来客対応の女の子がやって来た。
「高木さーん。
弟って言ってる子が来てますけど、通していいですか?」
お前に漬け込む余地はない」
和哉に言葉を吐き捨てると鍵を開けて家に入った。
強気に出たものの、気が気ではなかった。
いつまでたっても和哉の動向が気になって、夜になっても寝付けず、ビールでも飲めば寝れるかと思いコンビニに行こうと外に出ると、もう和哉の姿はなかった。
俺はただ、先生が俺だけを信じてくれるよう祈るしかなかった。
翌朝いつもの時間に病院の前を通ると、先生が日課の掃き掃除をしていた。
普段通りに生活している姿が見えて、ほっとした。
「先生、おはよう」
「おはようございます。
昨日はバーベキューありがとうございました。
片付けまで全部引き受けてもらって」
「全然。
また行こうよ。
あれ…、今日はタートルネックなんだ」
先生の朝の姿は決まってオフホワイトのトレーナーなのに、今日に限って同色のタートルネックになっている。
「朝、コーヒーを溢してしまったんです」
「大丈夫?
火傷しなかった?」
「それはないです。
ありがとう」
「ならいいけど。
俺 、先生の肌綺麗で好きだから傷つくのは嫌だからね。
今度チェックするから」
「タケル君は、ほんと心配性ですね」
苦笑する先生は照れて赤くなっていた。
ずっと一緒にいたい気持ちを抑えて俺は駅に向かった。
先生と会った後のふわふわとした甘い余韻に浸っているうちに、俺の中にあった危機感はいつの間にか消え失せていた。
オフィスワークの週始めは何かと雑用で忙しい。
土日の間に溜まっていたメールを片付け、一気に押し寄せる案件の計画を立てて粗方目処がつく頃には昼休みが始まっていた。
今から食べに言っても行列に並ぶだけだ。
それならもう少し時間をおいて空いた頃に掻き込みに行こうかと、頭の中で予定を立てた。
午後の予定でも組もうとパソコンでウインドウをひとつ立ち上げたとき、来客対応の女の子がやって来た。
「高木さーん。
弟って言ってる子が来てますけど、通していいですか?」
1
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説
出産は一番の快楽
及川雨音
BL
出産するのが快感の出産フェチな両性具有総受け話。
とにかく出産が好きすぎて出産出産言いまくってます。出産がゲシュタルト崩壊気味。
【注意事項】
*受けは出産したいだけなので、相手や産まれた子どもに興味はないです。
*寝取られ(NTR)属性持ち攻め有りの複数ヤンデレ攻め
*倫理観・道徳観・貞操観が皆無、不謹慎注意
*軽く出産シーン有り
*ボテ腹、母乳、アクメ、授乳、女性器、おっぱい描写有り
続編)
*近親相姦・母子相姦要素有り
*奇形発言注意
*カニバリズム発言有り
処女姫Ωと帝の初夜
切羽未依
BL
αの皇子を産むため、男なのに姫として後宮に入れられたΩのぼく。
七年も経っても、未だに帝に番われず、未通(おとめ=処女)のままだった。
幼なじみでもある帝と仲は良かったが、Ωとして求められないことに、ぼくは不安と悲しみを抱えていた・・・
『紫式部~実は、歴史上の人物がΩだった件』の紫式部の就職先・藤原彰子も実はΩで、男の子だった!?というオメガバースな歴史ファンタジー。
歴史や古文が苦手でも、だいじょうぶ。ふりがな満載・カッコ書きの説明大量。
フツーの日本語で書いています。
【R18】孕まぬΩは皆の玩具【完結】
海林檎
BL
子宮はあるのに卵巣が存在しない。
発情期はあるのに妊娠ができない。
番を作ることさえ叶わない。
そんなΩとして生まれた少年の生活は
荒んだものでした。
親には疎まれ味方なんて居ない。
「子供できないとか発散にはちょうどいいじゃん」
少年達はそう言って玩具にしました。
誰も救えない
誰も救ってくれない
いっそ消えてしまった方が楽だ。
旧校舎の屋上に行った時に出会ったのは
「噂の玩具君だろ?」
陽キャの三年生でした。
生贄として捧げられたら人外にぐちゃぐちゃにされた
キルキ
BL
生贄になった主人公が、正体不明の何かにめちゃくちゃにされ挙げ句、いっぱい愛してもらう話。こんなタイトルですがハピエンです。
人外✕人間
♡喘ぎな分、いつもより過激です。
以下注意
♡喘ぎ/淫語/直腸責め/快楽墜ち/輪姦/異種姦/複数プレイ/フェラ/二輪挿し/無理矢理要素あり
2024/01/31追記
本作品はキルキのオリジナル小説です。
薬師は語る、その・・・
香野ジャスミン
BL
微かに香る薬草の匂い、息が乱れ、体の奥が熱くなる。人は死が近づくとこのようになるのだと、頭のどこかで理解しそのまま、身体の力は抜け、もう、なにもできなくなっていました。
目を閉じ、かすかに聞こえる兄の声、母の声、
そして多くの民の怒号。
最後に映るものが美しいものであったなら、最後に聞こえるものが、心を動かす音ならば・・・
私の人生は幸せだったのかもしれません。※「ムーンライトノベルズ」で公開中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる