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開いた傷
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和哉は俺より5つ年下で、軽いノリで大勢とワイワイするのが好きな、俺とは正反対の性格だった。
正直苦手なタイプだったけど、一緒に暮らすからには再婚した親の連れ子同士、それなりに仲良くしようと思っていた。
けど和哉は家族と極力顔をあわそうとしなかったし、俺から声を掛けても空返事ばかりで会話にもならなかった。
俺たちがギクシャクし始めるのにそう時間はかからなかった。
自分勝手な生活をする弟の行動が気にかかってしまう。
嫌が応なしに弟の生活が目に余って口を挟むと、とんでもない皮肉を返してくる。
まったく反りが合わなかった。
顔を見るたびにイラついた。
和哉は高校もサボりがちで、両親がいない隙をみつけては、色々な相手を家に連れ込んでいた。
となりの部屋からはいつも、何を話しているかまでは分からないボリュームで、笑みを含んだ気だるい声が響いてきていた。
次第に話し声はとぎれとぎれになって、今度は和哉の秘めた声が聞こえてくる。
誰が来てもこれがお決まりのパターン。
始めは音が漏れていることに気づいていないのかと思って、やんわりと伝えた。
するとその日の隣から聞こえる和哉の声は一層エスカレートした。
わざとだ。
いい加減にしろ。
和哉の横柄な態度に堪忍袋の緒が切れて、俺は行為中の和哉の部屋に飛び込んだ。
驚いた顔をしたのは、和哉を組み敷いていた男の方だけだった。
和哉は怒りに満ちた俺を見て満足げに笑って言った。
「義兄さんも入る?」
相手の男を帰らせて俺は和哉に不満をぶちまけた。
「どうして俺の神経をわざと逆撫でして俺をイラつかせるんだよ!」
俺が怒鳴っても裸の和哉はベッドの上で平然とあぐらをかいて座って、俺を真っ直ぐに見上げている。
「義兄さんはむきになって俺を見てくれるから」
そのときの俺は確かに、自分勝手な和哉のやることなすこと全てが鼻についていた。
今日もまた、どうせ俺の反応を見て面白がってるんだろうと頭では思った。
なのに、いつもと違ってしおらしい表情で和哉は言った。
「もっと俺を見て。
夢中になってよ 」
和哉から求められた事に俺は驚いた。
けれどもっと驚いたのは、嬉しいと思う自分がいることだった。
気に入らないと思いながら見ていたはずなのに、俺はいつの間にか和哉のことが気になっていた。
力の限り反発してぶつかりあった末に俺たちは一つに繋がった。
秘密の関係はしばらく続いた。
両親がいない隙があればいつでも激しいセックスに勤しんだ。
和哉は段々と他の誰かを家に連れてこなくなった。
セフレとはどうなったのか和哉に聞くと、
「なんかオレ、義兄さんだけいればいいみたい」
と言われた。
俺も和哉のことを大事な存在だと思うようになっていたから嬉しかった。
俺と和哉は遊びじゃなくて本気の付き合いになったと信じて疑わなかった。
就職が決まったとき、俺は和哉と一緒に家を出ようと決意した。
家族である以上、隠し通すのは無理だと思ったから二人の関係も両親に話した。
家族なら話せば分かってもらえると思っていた。
すぐには無理でも和哉と一緒なら平気だと思った。
予想通り両親が凍りつくなか、和哉がいつもの調子で口を開いた。
「義兄さんと俺が?
冗談止めてよ。
義母さんも父さんも真に受けるわけないよね」
両親は俺の告白を忘れたように振る舞った。
けど、完全に元通りというわけにはいかず、俺が家を出るまではぎこちない態度だった。
和哉は再び夜遊びをするようになり、顔を合わせることはほとんどなかった。
舞い上がっていたのは、俺一人だったんだろうか。
俺とのことをなかったことにして、和哉は家に残った。
再び隣室から和哉の乱れた声が聞こえるようになると、俺との事は和哉にとって遊びだったのかもしれないと思うようになった。
和哉は俺のことなんて何とも思ってなかったんだ。
正直苦手なタイプだったけど、一緒に暮らすからには再婚した親の連れ子同士、それなりに仲良くしようと思っていた。
けど和哉は家族と極力顔をあわそうとしなかったし、俺から声を掛けても空返事ばかりで会話にもならなかった。
俺たちがギクシャクし始めるのにそう時間はかからなかった。
自分勝手な生活をする弟の行動が気にかかってしまう。
嫌が応なしに弟の生活が目に余って口を挟むと、とんでもない皮肉を返してくる。
まったく反りが合わなかった。
顔を見るたびにイラついた。
和哉は高校もサボりがちで、両親がいない隙をみつけては、色々な相手を家に連れ込んでいた。
となりの部屋からはいつも、何を話しているかまでは分からないボリュームで、笑みを含んだ気だるい声が響いてきていた。
次第に話し声はとぎれとぎれになって、今度は和哉の秘めた声が聞こえてくる。
誰が来てもこれがお決まりのパターン。
始めは音が漏れていることに気づいていないのかと思って、やんわりと伝えた。
するとその日の隣から聞こえる和哉の声は一層エスカレートした。
わざとだ。
いい加減にしろ。
和哉の横柄な態度に堪忍袋の緒が切れて、俺は行為中の和哉の部屋に飛び込んだ。
驚いた顔をしたのは、和哉を組み敷いていた男の方だけだった。
和哉は怒りに満ちた俺を見て満足げに笑って言った。
「義兄さんも入る?」
相手の男を帰らせて俺は和哉に不満をぶちまけた。
「どうして俺の神経をわざと逆撫でして俺をイラつかせるんだよ!」
俺が怒鳴っても裸の和哉はベッドの上で平然とあぐらをかいて座って、俺を真っ直ぐに見上げている。
「義兄さんはむきになって俺を見てくれるから」
そのときの俺は確かに、自分勝手な和哉のやることなすこと全てが鼻についていた。
今日もまた、どうせ俺の反応を見て面白がってるんだろうと頭では思った。
なのに、いつもと違ってしおらしい表情で和哉は言った。
「もっと俺を見て。
夢中になってよ 」
和哉から求められた事に俺は驚いた。
けれどもっと驚いたのは、嬉しいと思う自分がいることだった。
気に入らないと思いながら見ていたはずなのに、俺はいつの間にか和哉のことが気になっていた。
力の限り反発してぶつかりあった末に俺たちは一つに繋がった。
秘密の関係はしばらく続いた。
両親がいない隙があればいつでも激しいセックスに勤しんだ。
和哉は段々と他の誰かを家に連れてこなくなった。
セフレとはどうなったのか和哉に聞くと、
「なんかオレ、義兄さんだけいればいいみたい」
と言われた。
俺も和哉のことを大事な存在だと思うようになっていたから嬉しかった。
俺と和哉は遊びじゃなくて本気の付き合いになったと信じて疑わなかった。
就職が決まったとき、俺は和哉と一緒に家を出ようと決意した。
家族である以上、隠し通すのは無理だと思ったから二人の関係も両親に話した。
家族なら話せば分かってもらえると思っていた。
すぐには無理でも和哉と一緒なら平気だと思った。
予想通り両親が凍りつくなか、和哉がいつもの調子で口を開いた。
「義兄さんと俺が?
冗談止めてよ。
義母さんも父さんも真に受けるわけないよね」
両親は俺の告白を忘れたように振る舞った。
けど、完全に元通りというわけにはいかず、俺が家を出るまではぎこちない態度だった。
和哉は再び夜遊びをするようになり、顔を合わせることはほとんどなかった。
舞い上がっていたのは、俺一人だったんだろうか。
俺とのことをなかったことにして、和哉は家に残った。
再び隣室から和哉の乱れた声が聞こえるようになると、俺との事は和哉にとって遊びだったのかもしれないと思うようになった。
和哉は俺のことなんて何とも思ってなかったんだ。
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