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甘くて苦いセックス
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キーボードを叩く音がする。
けど、それ以外はすごく静かだ。
いい匂いもする。
どこだろう、ここは。
ゆるゆると少し瞳を開けると、間接照明の暖かな明かりが見えた。
「大丈夫ですか?」
横から俺を虜にした甘い声が聞こえてきて、俺は目を一気に見開いて飛び起きた。
「うわあああ!」
そうだ俺、治療してて………。
先生は俺が大声を上げても動じず、軽く笑みを浮かべて俺の様子を確認している。
「ここは私の自宅です。
治療中に呼吸困難で気絶したので私が様子を診ていたんです」
先生は横でパソコンを使っていたみたいだ。
俺はおそらく先生のベッドに寝かされて、丁寧に布団までかけてもらっていたようだ。
「あ、ありがとうございました」
「いえ、よくあるので」
先生はパソコンをたたんで、横においてあった白地に青色で模様が描かれたカップにお茶を注いで俺に差し出した。
「え?」
平然と言ってのける先生に俺は驚いた。
受け取ったカップからは意識が朦朧としていたときに漂っていたものと同じ香りがした。
「私と一緒にいると、高木さんのように意識が遠のいたりする人が多いんです」
「それは、先生がすごく綺麗だからだ」
間髪を入れず俺は答えた。
「そうみたいですね」
あっさりと認めたものの、自分の容姿を誉められても先生は嬉しくとも何ともないようだった。
「外見で勝手にあれこれ思われても私は不快でしかありません」
ずっと穏やかだった先生が俺に向かって、苦い顔をして言い捨てた。
「…何があったんですか?」
「え?」
「俺も今のままだと先生を綺麗な歯医者さんだって事しか知らないから。
嫌だったらごめんなさい 」
先生は驚いた様子だった。
「立ち入りすぎてますか」
「いえ、そうではなくて、私はあなたに悪意を向けているんですよ」
「?
怒ることくらいありますよね。
先生は、人形ではないんだから 」
さらに驚いた顔をして黙ってしまった先生に俺は続けて言った。
「ただ俺には先生が不快な理由が分からな
い。
だから知りたいんです」
「………貴方は私の話より自分の意思を押し
通そうとは思わないんですか?」
俺はカップに口をつけてすすった。
「例えば、折角入れてもらったこのお茶。
香りはいいけど俺は苦手な味です」
俺は苦笑いした。
「怒りましたか?」
「いえ。
好みは人それぞれですから」
先生はきっぱりと言った。
「ですよね。
本音を伝えるのは悪いことじゃない。
俺も不満を隠されるより、本当の事を聞い
て関係がよくなるほうがいいと思います。
だから先生の本心が知れたなら、悪意でも
俺は嬉しいです。
本心を聞けたときは、悪意を好意に変える
チャンスです」
先生の瞳は潤んでいて、灯りの下で輝いて見えた。
同じように照らされている唇も無防備に軽く開かれていて、艶っぽい。
肌も陶器のようで、触れるとどんなに心地いいだろうと想像がつきない。
俺は惚れ惚れと見ていたが、ひとつ大事なことを言い忘れていたことに気付いて、急いで付け加えた。
「お茶の味は苦手だけど、いち患者の俺を介
抱してくれてお茶まで出してくれた先生の
優しさはすごく好きです。
だから、飲むのはちっとも嫌じゃないで
す」
俺はカップのお茶を一気に飲み干した。
先生は、俺を見ながら悲しそうに笑った。
「もっと早く高木さんみたいな人に出会えて
いれば、私も変わっていたのかもしれませ
んね」
その表情はあまりに儚くて、消えてしまいそうに弱々しかった。
先生は瞳をぎゅっと閉じてから、ゆっくりと開いた。
しっかりとした眼差しは、いつもの冷静な先生に戻っていて、人を寄せ付けまいとする意思がピリピリと感じられた。
「もう大丈夫そうですね」
先生は手際よく俺にかけてあった布団を畳み始めた。
遠回しにもう帰ってほしいと言われているようだ。
今を逃したら、先生は心の扉を固く閉じて、もう二度と近づかせてくれない気がする。
「いいえ、まだ駄目です」
俺はカップを机に置きながら先生のほうに体を乗り出すと、先生の唇に自分の唇を重ねた。 先生は逃げなかった。
けど、受け入れるという感じでもなかった。
無反応。
ただそれだけだった。
先生が微動だにしないのをいいことに、俺は先生をゆっくりと味わい始めた。
先生の唇はしっとりと湿っていて柔らかく、チョコレートの香りがした。
ずっと食べていたい気もするが、先に進むために仕方なく唇から下の方へ、先生の首筋を伝って舌を降ろしていく。
白い肌はどこも滑らかな舌触りで、時々小さく震える場所がある。
「先生、ここ感じるんだ?」
自然と反応して隠れて息を呑む先生がたまらなくて、もっと乱れさせたくなる。
胸の突起を舌で転がすと、先生はびくっと背中を反り返らせた。
俺は先生が床に倒れないように背中へ腕を伸ばし、そのまま背後に回って抱きしめた。
「ベッドに上がって、先生」
俺が耳元で囁いても先生は動こうとしない。
それならと俺は首筋を舐めながら左手を先生のズボンの中に進入させていった。
すでに反応し始めていた先生の証は、ゆるゆると触るだけでどんどんと張りつめてくる。
先生の頬は赤く染まって、苦しそうに短く息をしている。
「後ろもいくよ」
右手の人差し指を差し込む。
入り口はしっとりと濡れていて、するりと迎え入れてくれた。
一方で、中は俺をくわ込みたそうに強く締め付けてくる。
ここまで来ても先生は何も言わない。
迷いながらも俺はもう止めることなんてできず、ただ先生の体が反応していることだけを頼りに進んでいく。
指を前後させて、中指も挿入した瞬間、先生はベッドの頭の柵に両手をついた。
先生がガクンと伏せた瞬間、先生の香りが鼻をかすめた。
甘い。
「先生、俺もう我慢できない」
俺は右手を先生から抜き取りながらズボンを脱がすと一思いに先生を貫いた。
「っ!」
奥まで入った瞬間、先生はびくびくっと震えながら息を呑んだ。
声を圧し殺して喘ぎ声をあげないように耐えているようだ。
隠されるとどうしても聞きたくなってしまう。
先生は俺にどんな声を上げるんだろう。
激しく腰を動かして先生を突き上げる。
前もずっと握ったまま刺激を与え続ける。
「………っ、……… !」
先生は枕に顔を埋めて口をふさいでいる。
俺を締めつける力はどんどんきつくなっていて、前だって今にも果てそうだ。
こんなに甘く反応しているのに、すべては見せてくれなくてもどかしい。
俺は顔が見たくてよつん這いの先生を右手だけで抱き起こしてこちらを向かせた。
先生は、感じながら今にも泣きそうな顔をしていた。
快感と闘っているようだった。
「俺、先生に気持ちよくなってほしい」
反応が激しいところをこすりあげると、さらに締め付けが強くなった。
そして、頑なに口を閉ざしていた先生が、ようやくか細い声で囁いた。
「出して」
せつない先生の表情を見た瞬間、俺の下半身は一気に熱くなり、先生のもっと奥深くに入りたくて夢中で体を動かした。
先生が早く終わらせたかったのか、俺を求めてくれたのかも分からないまま、俺は限界を迎えた。
ただ左手には、俺と同時に先生の熱が放たれた感触が強く伝わっていた。
けど、それ以外はすごく静かだ。
いい匂いもする。
どこだろう、ここは。
ゆるゆると少し瞳を開けると、間接照明の暖かな明かりが見えた。
「大丈夫ですか?」
横から俺を虜にした甘い声が聞こえてきて、俺は目を一気に見開いて飛び起きた。
「うわあああ!」
そうだ俺、治療してて………。
先生は俺が大声を上げても動じず、軽く笑みを浮かべて俺の様子を確認している。
「ここは私の自宅です。
治療中に呼吸困難で気絶したので私が様子を診ていたんです」
先生は横でパソコンを使っていたみたいだ。
俺はおそらく先生のベッドに寝かされて、丁寧に布団までかけてもらっていたようだ。
「あ、ありがとうございました」
「いえ、よくあるので」
先生はパソコンをたたんで、横においてあった白地に青色で模様が描かれたカップにお茶を注いで俺に差し出した。
「え?」
平然と言ってのける先生に俺は驚いた。
受け取ったカップからは意識が朦朧としていたときに漂っていたものと同じ香りがした。
「私と一緒にいると、高木さんのように意識が遠のいたりする人が多いんです」
「それは、先生がすごく綺麗だからだ」
間髪を入れず俺は答えた。
「そうみたいですね」
あっさりと認めたものの、自分の容姿を誉められても先生は嬉しくとも何ともないようだった。
「外見で勝手にあれこれ思われても私は不快でしかありません」
ずっと穏やかだった先生が俺に向かって、苦い顔をして言い捨てた。
「…何があったんですか?」
「え?」
「俺も今のままだと先生を綺麗な歯医者さんだって事しか知らないから。
嫌だったらごめんなさい 」
先生は驚いた様子だった。
「立ち入りすぎてますか」
「いえ、そうではなくて、私はあなたに悪意を向けているんですよ」
「?
怒ることくらいありますよね。
先生は、人形ではないんだから 」
さらに驚いた顔をして黙ってしまった先生に俺は続けて言った。
「ただ俺には先生が不快な理由が分からな
い。
だから知りたいんです」
「………貴方は私の話より自分の意思を押し
通そうとは思わないんですか?」
俺はカップに口をつけてすすった。
「例えば、折角入れてもらったこのお茶。
香りはいいけど俺は苦手な味です」
俺は苦笑いした。
「怒りましたか?」
「いえ。
好みは人それぞれですから」
先生はきっぱりと言った。
「ですよね。
本音を伝えるのは悪いことじゃない。
俺も不満を隠されるより、本当の事を聞い
て関係がよくなるほうがいいと思います。
だから先生の本心が知れたなら、悪意でも
俺は嬉しいです。
本心を聞けたときは、悪意を好意に変える
チャンスです」
先生の瞳は潤んでいて、灯りの下で輝いて見えた。
同じように照らされている唇も無防備に軽く開かれていて、艶っぽい。
肌も陶器のようで、触れるとどんなに心地いいだろうと想像がつきない。
俺は惚れ惚れと見ていたが、ひとつ大事なことを言い忘れていたことに気付いて、急いで付け加えた。
「お茶の味は苦手だけど、いち患者の俺を介
抱してくれてお茶まで出してくれた先生の
優しさはすごく好きです。
だから、飲むのはちっとも嫌じゃないで
す」
俺はカップのお茶を一気に飲み干した。
先生は、俺を見ながら悲しそうに笑った。
「もっと早く高木さんみたいな人に出会えて
いれば、私も変わっていたのかもしれませ
んね」
その表情はあまりに儚くて、消えてしまいそうに弱々しかった。
先生は瞳をぎゅっと閉じてから、ゆっくりと開いた。
しっかりとした眼差しは、いつもの冷静な先生に戻っていて、人を寄せ付けまいとする意思がピリピリと感じられた。
「もう大丈夫そうですね」
先生は手際よく俺にかけてあった布団を畳み始めた。
遠回しにもう帰ってほしいと言われているようだ。
今を逃したら、先生は心の扉を固く閉じて、もう二度と近づかせてくれない気がする。
「いいえ、まだ駄目です」
俺はカップを机に置きながら先生のほうに体を乗り出すと、先生の唇に自分の唇を重ねた。 先生は逃げなかった。
けど、受け入れるという感じでもなかった。
無反応。
ただそれだけだった。
先生が微動だにしないのをいいことに、俺は先生をゆっくりと味わい始めた。
先生の唇はしっとりと湿っていて柔らかく、チョコレートの香りがした。
ずっと食べていたい気もするが、先に進むために仕方なく唇から下の方へ、先生の首筋を伝って舌を降ろしていく。
白い肌はどこも滑らかな舌触りで、時々小さく震える場所がある。
「先生、ここ感じるんだ?」
自然と反応して隠れて息を呑む先生がたまらなくて、もっと乱れさせたくなる。
胸の突起を舌で転がすと、先生はびくっと背中を反り返らせた。
俺は先生が床に倒れないように背中へ腕を伸ばし、そのまま背後に回って抱きしめた。
「ベッドに上がって、先生」
俺が耳元で囁いても先生は動こうとしない。
それならと俺は首筋を舐めながら左手を先生のズボンの中に進入させていった。
すでに反応し始めていた先生の証は、ゆるゆると触るだけでどんどんと張りつめてくる。
先生の頬は赤く染まって、苦しそうに短く息をしている。
「後ろもいくよ」
右手の人差し指を差し込む。
入り口はしっとりと濡れていて、するりと迎え入れてくれた。
一方で、中は俺をくわ込みたそうに強く締め付けてくる。
ここまで来ても先生は何も言わない。
迷いながらも俺はもう止めることなんてできず、ただ先生の体が反応していることだけを頼りに進んでいく。
指を前後させて、中指も挿入した瞬間、先生はベッドの頭の柵に両手をついた。
先生がガクンと伏せた瞬間、先生の香りが鼻をかすめた。
甘い。
「先生、俺もう我慢できない」
俺は右手を先生から抜き取りながらズボンを脱がすと一思いに先生を貫いた。
「っ!」
奥まで入った瞬間、先生はびくびくっと震えながら息を呑んだ。
声を圧し殺して喘ぎ声をあげないように耐えているようだ。
隠されるとどうしても聞きたくなってしまう。
先生は俺にどんな声を上げるんだろう。
激しく腰を動かして先生を突き上げる。
前もずっと握ったまま刺激を与え続ける。
「………っ、……… !」
先生は枕に顔を埋めて口をふさいでいる。
俺を締めつける力はどんどんきつくなっていて、前だって今にも果てそうだ。
こんなに甘く反応しているのに、すべては見せてくれなくてもどかしい。
俺は顔が見たくてよつん這いの先生を右手だけで抱き起こしてこちらを向かせた。
先生は、感じながら今にも泣きそうな顔をしていた。
快感と闘っているようだった。
「俺、先生に気持ちよくなってほしい」
反応が激しいところをこすりあげると、さらに締め付けが強くなった。
そして、頑なに口を閉ざしていた先生が、ようやくか細い声で囁いた。
「出して」
せつない先生の表情を見た瞬間、俺の下半身は一気に熱くなり、先生のもっと奥深くに入りたくて夢中で体を動かした。
先生が早く終わらせたかったのか、俺を求めてくれたのかも分からないまま、俺は限界を迎えた。
ただ左手には、俺と同時に先生の熱が放たれた感触が強く伝わっていた。
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