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事件
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---よお!来てくれたんだ!
まるで昨日の出来事が無かったかのように彼は爽やかに振る舞った。
彼に入部の意思を伝えると、ものすごく喜んだ。頼んでもないのに全員紹介してくれた。マネージャーは全部で4人。全員女性で一年生は1人いた。若林真澄 彼女はそう言った。
ん?監督も若林…まさかな
そう思った直後、富樫が言った。
----若林真澄さんは監督の娘さんだ!だから、丁寧に対応するように!
するとすかさず、若林が
---そういうのやめてよね!そういう意味で来たわけじゃないから!
富樫がゴメンと一言だけ謝った。そして続けて
---真澄は中学から有名だったもんな!
すると、若林は目を閉じて腕を組み
---ボーイズ全日本の四番に言われても嬉しくないけど。
と言った。富樫と若林は中学から知り合いの様だ。そんな2人とクラスが一緒だった。
---若林は何でマネージャーになったんだっけ?生田にも話してやれよ。
富樫は若林に言った。若林は怪訝な表情を見せたが興味があったので、止めなかった。
---プレーヤーとして何校か話は来てたけど、どこも、女子野球部だったの。別に女子野球部が悪いって言ってるわけじゃないけど、私は甲子園に憧れていて高校野球のルールに女子プレーヤーは公式戦に出れないって。野球人口が減ってるのに変な話だよね。
若林は冷笑を浮かべ、続けた。
---だから、プレーヤーは諦めてマネージャーになったの。プレーヤーのままいくかマネージャーになるか散々悩んだけど、マネージャーになって野球部のサポートするって決めたの。後悔もしなかった。スコアなんてつけたことなんてなかった。でも、勉強した。そして、野球するきっかけをくれたお父さんが指導する学校を選んでマネージャーになったの。だから、勝ってね。
生田は若林のことを聞き俄然燃えた。若林も悩んでたんだ。悩んで、マネージャーになったんだ。
---おお、何度聞いても力が漲る~
隣で聞いていた富樫が両肘をこめかみまであげ、握りこぶしを作ってマッスルポーズをつくった。デリカシーのない富樫だが、この時は納得した。
すると、さっきまで練習していたうちの1人が声を掛けてきた。ガタイの立派で黒縁メガネでよく見ると、整った顔立ちだった。
---僕の名前は中島聡 このチームのキャプテンを任されてる。ポジションはショート。困ったことがあったら何でも相談してくれ。よろしく!
爽やか過ぎて一瞬で好きになった。身長も高くすらっとしていた。
そのあと富樫がボーイズの先輩でその後を追って入部したとこっそり教えてくれた。
5月 まだGW直後で一般の生徒は休みの癖が残るこの時期に事件は起こった。
昼休みに2つ隣りのクラスから怒号の様なものと悲鳴が聞こえてきた。怒号の正体は殴り合いのケンカだった。しかも片方は野球部員だった。
オレは止めたかったが、身体が動かなかった。ケンカをとめたのは富樫だった。
---お前らやめろ!
その後すぐに先生が来たから大ごとにならなかったが、富樫を本気ですごいと思ったし、尊敬した。
富樫はすぐさま一般の生徒に謝りにいった。相手はロンゲの金髪だった。
---ウチの部員が迷惑かけた。
富樫は深々と頭を下げた。
---って、あれ?吉田?八王子シニアの
吉田は集まってきた他の生徒たちをかき分けその場を後にした。
---吉田は中学の時一回だけ戦って試合はウチが勝ったけど、一番目立ってたのは吉田だった。確か東北の学校に決まったって聞いたけど
殴られた野球部員は興奮した様子で吉田の行った方向を睨んでいた。
本人にケガはなく、落ち着いてから話を聞いた。本人曰く、急に殴ってきたのだという。
理由もなく急に人を殴るかな?と、疑問に思った。
危険人物に間違いないが、吉田のセンスと情熱は強いものを感じたと富樫は言い、一緒に野球がしてみたいと言い出した。
まるで昨日の出来事が無かったかのように彼は爽やかに振る舞った。
彼に入部の意思を伝えると、ものすごく喜んだ。頼んでもないのに全員紹介してくれた。マネージャーは全部で4人。全員女性で一年生は1人いた。若林真澄 彼女はそう言った。
ん?監督も若林…まさかな
そう思った直後、富樫が言った。
----若林真澄さんは監督の娘さんだ!だから、丁寧に対応するように!
するとすかさず、若林が
---そういうのやめてよね!そういう意味で来たわけじゃないから!
富樫がゴメンと一言だけ謝った。そして続けて
---真澄は中学から有名だったもんな!
すると、若林は目を閉じて腕を組み
---ボーイズ全日本の四番に言われても嬉しくないけど。
と言った。富樫と若林は中学から知り合いの様だ。そんな2人とクラスが一緒だった。
---若林は何でマネージャーになったんだっけ?生田にも話してやれよ。
富樫は若林に言った。若林は怪訝な表情を見せたが興味があったので、止めなかった。
---プレーヤーとして何校か話は来てたけど、どこも、女子野球部だったの。別に女子野球部が悪いって言ってるわけじゃないけど、私は甲子園に憧れていて高校野球のルールに女子プレーヤーは公式戦に出れないって。野球人口が減ってるのに変な話だよね。
若林は冷笑を浮かべ、続けた。
---だから、プレーヤーは諦めてマネージャーになったの。プレーヤーのままいくかマネージャーになるか散々悩んだけど、マネージャーになって野球部のサポートするって決めたの。後悔もしなかった。スコアなんてつけたことなんてなかった。でも、勉強した。そして、野球するきっかけをくれたお父さんが指導する学校を選んでマネージャーになったの。だから、勝ってね。
生田は若林のことを聞き俄然燃えた。若林も悩んでたんだ。悩んで、マネージャーになったんだ。
---おお、何度聞いても力が漲る~
隣で聞いていた富樫が両肘をこめかみまであげ、握りこぶしを作ってマッスルポーズをつくった。デリカシーのない富樫だが、この時は納得した。
すると、さっきまで練習していたうちの1人が声を掛けてきた。ガタイの立派で黒縁メガネでよく見ると、整った顔立ちだった。
---僕の名前は中島聡 このチームのキャプテンを任されてる。ポジションはショート。困ったことがあったら何でも相談してくれ。よろしく!
爽やか過ぎて一瞬で好きになった。身長も高くすらっとしていた。
そのあと富樫がボーイズの先輩でその後を追って入部したとこっそり教えてくれた。
5月 まだGW直後で一般の生徒は休みの癖が残るこの時期に事件は起こった。
昼休みに2つ隣りのクラスから怒号の様なものと悲鳴が聞こえてきた。怒号の正体は殴り合いのケンカだった。しかも片方は野球部員だった。
オレは止めたかったが、身体が動かなかった。ケンカをとめたのは富樫だった。
---お前らやめろ!
その後すぐに先生が来たから大ごとにならなかったが、富樫を本気ですごいと思ったし、尊敬した。
富樫はすぐさま一般の生徒に謝りにいった。相手はロンゲの金髪だった。
---ウチの部員が迷惑かけた。
富樫は深々と頭を下げた。
---って、あれ?吉田?八王子シニアの
吉田は集まってきた他の生徒たちをかき分けその場を後にした。
---吉田は中学の時一回だけ戦って試合はウチが勝ったけど、一番目立ってたのは吉田だった。確か東北の学校に決まったって聞いたけど
殴られた野球部員は興奮した様子で吉田の行った方向を睨んでいた。
本人にケガはなく、落ち着いてから話を聞いた。本人曰く、急に殴ってきたのだという。
理由もなく急に人を殴るかな?と、疑問に思った。
危険人物に間違いないが、吉田のセンスと情熱は強いものを感じたと富樫は言い、一緒に野球がしてみたいと言い出した。
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