リピートライフ

花畑 空間

文字の大きさ
上 下
83 / 113
最終章

#82映像

しおりを挟む
並んでる間、僕たちは喋らなかった。
中々に話を再開させるのが難しい。
そして部屋には、人がどんどん入っていっていた。
「なあ、稗田っち、1ついいか」
後ろから声が聞こえた。
「どうしたの、ジョーさん」
「もし、今から部屋に入って、無事にここから出れたら、どうする」
「どうする…か…」
出たからといって何が待ってるか分からない。
出た先がどこなのかすら。
「ジョーさんは?」
「ああ、俺から質問しといて俺から答えないなんておかしいな、俺はまず行きつけの飯屋に行く」
「それはどうして?」
「よくこいつと行ってたんだ」
ジョーさんは後ろの砕に肩を組んだ。
「ん?どうしたんだぁ?」
「なあ秀、ここから出てまずどうする?」
「まずかぁ…友達をなくしてるからなぁ、墓作りとかかぁ?」
「ああ…ああそうか…」
ジョーさんはまた暗くなった。

…前の人が入っていった。
次は僕の番だ。
いよいよ終わりが近づいてきたって感じがしてきた。
「稗田っちぃ、なんかあったらすぐ出てこいよぉ?」
「あぁ、ありがとう」
砕らしい。
「気をつけてな」
「ありがとう」

「では今から~!質問をしていくよ~!」
「…」
部屋に入るなり、いきなり扉が閉じて質問が始まった。
「簡単だから~!あんまり難しく考えないで~!とにかくとにか~くに~!」
「…嘘はつくなよ…」
「は、はい」
「ではまず質問の前に~!見てもらいたい映像があります~!」
「…」
「これはこの施設、このゲームを作った人の映像だよ~!」
作った人…重谷さんなのか、助手の人なのか。

「…やあ、こんにちは、私の名は創治朗そうじろう、君たちをここに連れてきた者だ」

そう思った瞬間、疑問が生まれた。
「君たちは何も分からないままここに連れてこられたと思っているだろう、だがそれは違う」
…なんで映ってるんだ。
「君たちは自分の意思でここに来た、人は大きくなれば大きくなるほど悩みも大きく、すぐに解決しなくなる」
…どうして。
「その悩みを解決するには1度子供のようにするしかほかならない、だからこの計画を進めたのだ」

「君たちはそこに自ら応募した、そのことの記憶はもちろん無い、そんなことを覚えていたら意味が無いからな」
…ダメだ…内容が…入ってこない。
「後はそこの部屋を出た後に説明されるだろう、以上で私の話は終わりだ、それでは」


「大丈夫~?ぐったりしてそうだね~!」
「シロイック…」
「何~!」
「今の人は…?」
「だ~か~ら~!作った人~!」
「あれは…僕の親父だ…」
「え~!そうなんだ~!じゃあ質問始めるよ~!」
あっさり流され、質問が始まった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

糠味噌の唄

猫枕
ホラー
昭和60年の春、小6の町子は学校が終わって帰宅した。 家には誰もいない。 お腹を空かせた町子は台所を漁るが、おやつも何もない。 あるのは余った冷やご飯だけ。 ぬか漬けでもオカズに食べようかと流し台の下から糠床の入った壺をヨイコラショと取り出して。 かき回すと妙な物体が手に当たる。 引っ張り出すとそれは人間の手首から先だった。

消えない思い

樹木緑
BL
オメガバース:僕には忘れられない夏がある。彼が好きだった。ただ、ただ、彼が好きだった。 高校3年生 矢野浩二 α 高校3年生 佐々木裕也 α 高校1年生 赤城要 Ω 赤城要は運命の番である両親に憧れ、両親が出会った高校に入学します。 自分も両親の様に運命の番が欲しいと思っています。 そして高校の入学式で出会った矢野浩二に、淡い感情を抱き始めるようになります。 でもあるきっかけを基に、佐々木裕也と出会います。 彼こそが要の探し続けた運命の番だったのです。 そして3人の運命が絡み合って、それぞれが、それぞれの選択をしていくと言うお話です。

お客様が不在の為お荷物を持ち帰りました。

鞠目
ホラー
さくら急便のある営業所に、奇妙な配達員にいたずらをされたという不可思議な問い合わせが届く。 最初はいたずら電話と思われていたこの案件だが、同じような問い合わせが複数人から発生し、どうやらいたずら電話ではないことがわかる。 迷惑行為をしているのは運送会社の人間なのか、それとも部外者か? 詳細がわからない状況の中、消息を断つ者が増えていく…… 3月24日完結予定 毎日16時ごろに更新します お越しをお待ちしております

怪奇蒐集帳(短編集)

naomikoryo
ホラー
【★◆毎朝6時30分更新◆★】この世には、知ってはいけない話がある。  怪談、都市伝説、語り継がれる呪い——  どれもがただの作り話かもしれない。  だが、それでも時々、**「本物」**が紛れ込むことがある。  本書は、そんな“見つけてしまった”怪異を集めた一冊である。  最後のページを閉じるとき、あなたは“何か”に気づくことになるだろう——。

キサラギムツキ
BL
長い間アプローチし続け恋人同士になれたのはよかったが…………… 攻め視点から最後受け視点。 残酷な描写があります。気になる方はお気をつけください。

僕のごちそう

田古みゆう
ホラー
「僕のいちばんのごちそうは、いつだってキミだよ」  それは、僕がキミに送る最大級の愛の言葉。  いつも何かを食べているキミに送った僕の想い。それにキミはどうやって答えてくれるのか。  僕とキミの奇妙な関係の結末に、身震い必至!!

神送りの夜

千石杏香
ホラー
由緒正しい神社のある港町。そこでは、海から来た神が祀られていた。神は、春分の夜に呼び寄せられ、冬至の夜に送り返された。しかしこの二つの夜、町民は決して外へ出なかった。もし外へ出たら、祟りがあるからだ。 父が亡くなったため、彼女はその町へ帰ってきた。幼い頃に、三年間だけ住んでいた町だった。記憶の中では、町には古くて大きな神社があった。しかし誰に訊いても、そんな神社などないという。 町で暮らしてゆくうち、彼女は不可解な事件に巻き込まれてゆく。

怪談収集家は探偵じゃありません! 戸羽心里はホンモノに会いたい──《ひもろきサマ》

牛丸 ちよ
ホラー
怪談収集家のトンチキ女子大生・戸羽心里は全国に散る「塩に関する怪談」に興味を持つ。 《ひろきくんにノックされると不幸になる盛り塩団地》──SNSで知り合った「祟られた人」の部屋へ泊まりに行くと、説明のつかない恐怖体験に襲われる。 そのころ、心里の下宿先の大家であり和装ナイスミドルな作家・下哭善太郎は《塩に邪気を封じる巫女》を取材し、奇跡を目の当たりにしていた。 合流した二人は、好奇心から類似性のあるオカルトスポット巡りを始める。 《富弥町の盛り塩禁止アパート》 《学校七不思議・雪の日の花子さん》 《牛鬼と塩の奇祭があるひもろきの村》 《玄関外の盛り塩が途切れない廃屋》 ──そんな中で、「私がつぐなう」という遺書と、首吊り死体を見つけてしまう。 怪談をたどるほど物語は【現在】に収束し、本物の怪異と人間の悪意とが交差する。 (オカルト要素メインのサイコライトミステリ) (恋愛要素なし) (謎の投げっぱなしは極力しない系)

処理中です...