リピートライフ

花畑 空間

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第6章

#58遭遇

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少し歩くと、別の集団に遭遇した。
僕達以外にも固まって動いている人達はちらほらいる。
その人達に話しかけることも考えたが、なんてことはあまりしたくない。
まあ、この際しょうがなさそうだけどね。

「あら、まとまって動いてるのね」
家の角を曲がると、響子さんがいた。
「そうなんです、ミッションのために」
「じゃあうちにくる?私もミッションクリアしたいからお願いしたいわ」
響子さんは僕達を連れて家に向かった。

「ここよ、まあ普通の家って感じよね」
本人は謙遜けんそんしているが、響子さんの家は見た目からしてオシャレだ。
「お邪魔します」
中に入ると…なんというか、ちょっと散らかっているような…
「わ、私の仕事がデザイナーだから、色んなデザイン画とかで散らかっちゃってて」
響子さんはみんなの驚いた様子を見て、慌てて説明した。

「でも、こんな細かいところまで再現するなんて凄いわよね、ほんと」
たしかに僕の家も、ミッションで無くなってたもの以外は全て揃っていた。
完全に一緒ってわけでは無いかもだが、見た目も色もそっくりだった。
「あ、なあみんな、とりあえずミッションだけやっちまおうぜ」
ジョーさんが思い出したように外へ出た。

外へ出ると携帯が鳴る。
画面を見ると、全てがマルに変わっていた。
「とりあえずクリアしたみたいだなぁ!」
そして下に「次へ」と書いたボタンがあった。
押すとそこには、謎の番号が5つ書いてあった。
「なあ、みんなも変な数字出てきたか?」
ジョーさんがみんなを集め、それぞれの携帯を確認する。
「あれ、ここに書いてある数字、の番号だ」
たしかに僕以外の画面には僕の家と同じ番号が書かれている。
「行った人の家の番号なんだろうね」
「そうだな」
「あのー、私もクリアしたいんだけど…」
響子さんが申し訳なさそうに覗き込んできた。

「ありがとう、みんないるなら危ない方にすればよかったわね」
「そんなことないです、安全が1番ですよ」
僕達はみんなミッションをクリアした。
みんなの家を回って、なんだか楽しかった。
そうだ、制限時間はまだ10分もある、ツージーさんを探しつつ、この住宅街の構造を覚えておこうかな。

それから京君とジョーさんはアスレチックに行き、響子さんは家に戻った、僕と砕は来た道を戻って道を覚えることにした。
「なあ稗田っち、あれ日向ちゃんだよな」
砕が小さな声で僕に言ってきた。
砕の目線の先には日向ちゃんがいた、僕達にはまだ気づいていないさそう。
日向ちゃんはちょうど今、家から出てきたようだ。
日向ちゃんがなんで僕達を避けるようになったのか知りたい気もするけど、どうやったら話を聞いてもらえるか…
……あ、そうだ。

「ちょっと!日向ちゃん!」
僕は大声で日向ちゃんを呼んだ、当然日向ちゃんは家に戻ろうとした。
「待って!僕達まだ!」
僕は日向ちゃんが悪い人ではないことを知っているから、これなら家に入ってなんとか話ができると思った。
「無理にとは言わない!でも、できれば入れてほしい!」
無理に入ったら落とされるのもあって、ここは慎重に聞く。
すると日向ちゃんは少し迷った末、僕達に手招きした。
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