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第6章

#57合流2

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秀ってなんだ?
そう思っていたらジョーさんはこっちに向かって歩いてきた。
ジョーさんは何か言いたげな表情でをゆっくりと近づいている。

「なあ、も、もう1回言うぞ」
ジョーさんは門を開け、砕の正面に立って肩に両手を置いた。
「秀、俺のこと覚えてるか?」
「覚えてるって言われてもそりゃ覚えてるぜぇ、ジョーだろぉ?」
「違う、お前はずっと俺のことをよしって呼んでただろ…」
「いや、何言ってるんだぁ?」
「思い出してないのか…くそっ」
理解できない会話が続く。

「俺とお前はだったんだよ、名前も体型も似てて何かと作業一緒になってよ、仲良かったじゃねえか、忘れたのか?」
「いやぁ、分かんねぇ」
「見ろよ家、みんなで寝てた寮だ、これでも思い出さないか?」
「うーん、俺と一緒だなぁ」
「やっぱりか…ちょっと2人、聞いてくれ」
ジョーさんは僕と京君を引き寄せ、耳元で話し始めた。

「ここに来た時思い出したんだ、秀のことを」
「秀って砕のこと?」
「ああそうだ、砕秀信くだきひでのぶ北条吉信ほうじょうよしのぶ、名前が偶然似てて、名前からを取って呼びあってたんだ」
「たしか職場ではってよく言われてた、よく2人で組まされるからな」
「もう何も言わなくても物を運べるぐらい以心伝心してたんだ、恥ずかしい話だけどな」
「細かい所まで思い出してるんですね」
「なんでだろうな、ここに来た時、あと家に入った時に一気に思い出したんだ」
「なぁ、何話してるんだぁ?」
「秀に説明するのは恥ずかしいから2人に昔話してたんだ」
「うーん…もうなんかよくわかんねぇ」
ピコンッ
突然通知が届いた。

内容は次のミッションだった。
「制限時間1時間、自分以外の1人の家に入れ、入れなければポイントは無し」と「☆制限時間1時間、自分以外の5の家に入れ、入れなければ落ちる」と表示された。
「無理やり入ったのを確認したら即落とされるから気をつけてね~」と注意事項もあった。

「今ここにいる人だけで4人はいけるねー」
「あと1人どうするかだな」
「あ、ツージーの家どうだぁ?」
「たしかにツージーさんなら入れてくれるかもしれないね」
「家知ってる人いるか?」
「「「…」」」
まあ知ってるはずもない。
僕たちは最初の20分でみんなの家に行って、残りの40分で誰か探すことにした。
「行くぞ、せーので押すぞ」
「「「せーのっ」」」
画面が切り替わり、5つバツマークが表示された。
不安ではあるけど、ここでポイントを取っておかないと。

「まずここが俺の家だ、まあ秀と一緒だけどな」
まず目の前のジョーさんの家にお邪魔した。
「軽く見てったらどうだ、軽くな」
中はベッドが4つ置いてあるだけのシンプルな部屋だ。
「全く同じ家だぁ、でも俺の家に置いてなかったもんがあるなぁ」
「前のミッションがあったからな」
「そうかぁ!」
「2人とも行くよー」
京君は砕とジョーさんの服を引っ張り、外に出た。
家を出ると携帯が震えた。
携帯を見ると画面のバツが1つマルに変わっていた。

「次は僕んち、まああんまり見られたくないからすぐ出て」
次は京君の家、玄関に入った。
「はい、出て出て」
中を見ることなく京君は僕達をすぐ家の外に出した。
次もまた1つ、バツがマルに変わっている。

次は僕の家に入った。
何故か嬉しい気分になった、友達を家に上げて今から遊ぶような気分だ。
「あれ、椅子2つ?」
「親父は…まあ別居みたいな感じ…」
「あっ…」
なんとなく空気が重くなったのを感じた。
「気にしないで、よ、よし、次行こう!」
「ああ、すまなかった」
「大丈夫大丈夫」
なんとか次の家へ。

砕の家はやっぱりジョーさんと同じだ。
中も同じだが、さっき言ってた通り、ちょっと置いてるものが違っていたりする。
「思い出してくれないか…」
「なんかごめんなぁ、分からねぇ」
ジョーさんはずっと切ない表情だ。
ひとまず予定通り20分ぐらいで4人の家を回った。
次はツージーさん探しだ。
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