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第4章

#40理不尽なかくれんぼ

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僕達は必死に探した。
制限時間が残り少しだ。
「見つけた!!」
と聞こえた、その先を見ると校庭の隅の草むらからウコイックが出てきた。
「見つかっちゃった~ミドリックが決めたルールだし~ここは素直に逃げないでおく~」
ウコイックは手を挙げ、自らを指差すように指示した。
「これでこっち側はOKね、後は稗田君達、一緒に探しましょう」
女性陣も一緒に探してくれるようだ、心強い味方が増えた。

「なぁ稗田っちぃ、そっちいたかぁ?」
全部の場所を探したはずだけど、見つからない。
「ねえ、もしかしたらだけどさ」
京君が話しかけてきた。
「あいつって嘘つきでしょ?だからこれも絶対普通に隠れてないと思う、だからいるとしたら…だと思う」
普通じゃ見つけれない場所…いや、
「えっと…校内放送したのってミドリックで、それでミドリックがスタートって言ってから隠れる時間って無かった…てことは今ミドリックがいるのって…」
?」
「そうだと思う、櫻さんはどう思います?」
「合ってそうだけど、問題はどうやって入るか、封鎖されてるし、あの感じだともう私たちは入れそうにないわね」
屋上には高い柵もあったし上から入るのも入口から入るのも無理だ、どうしよう。
「別に入らなくてもいいんじゃねえかぁ?」
砕が腕を組みながらそう言った。
たしかに入らなくても指で差せば勝ちだ。
「っていうことはから差せばいいんだ」
窓は封鎖されてない、人は通れなさそうだが中を確認するぐらいはできる、よしこれだ。

「どうだ?見えたか?」
放送室は4階にあるから全く届かない。
「よぉし、なら…みんなぁぁ!!!こっちに来ぉぉぉいいい!!」
砕が叫ぶと、みんなが集まってきた。
「よし、今からみんなでするぞ!」
「あー、砕君頭いいわね、みんなで土台を作るってことね」
そういうことか、ならどうにか中を覗けるかもしれない。
「さあでっかい階段作るぞぉ!」

「よし!乗れ!稗田っちぃ!」
1になり、土台が完成した、学校の壁に沿って作ったから壁伝いにいけば安全そうだ。
そして高さは十分ある、これなら中が覗けそうだ。
「では失礼します」
僕はみんなの背中をゆっくり登っていく、肩に触れないように。
「うわっとっと」
ちょっとよろついたけど、まあ大丈夫、下を見るとまあまあ高い、下には参加しなかった身体の弱い人達が、無理はいけないからね。
「よし、そろそろっ…」
僕は放送室の窓際を掴んだ、そして中を覗いた。

「よく分かったな~じゃあこれでお前らの勝ちなんだわ~」
放送室の中にはミドリックがいた、合ってて良かった…
「じゃ、指差しな~」
僕はミドリックを指差し、下に降りた。
「みんな手伝ってくれてありがとなぁ!」
砕は元気な声でみんなに言った。
「よいしょ、頭が良い人がいるとここは楽になるね~、じゃあこれで、このステージは終了なんだわ~」
ミドリックが屋上の柵を飛び越えて僕達の元へ着地した。
これで終わりか…かくれんぼが実質2回あったみたいな物だし、神経使ったな…
「ある程度休憩したら各々学校裏の開いた壁に入っていってね~」
ウコイックがそう言うと何か重いものが動いた音がした、きっと壁だろう。
「ねえ稗田君、ちょっと話」
櫻さんは僕を引っ張り、しゃがみ込んだ。

「どう?家族について思い出したりした?」
そうだ、ここに来る前の寝る時に家族のこと話したんだ、これで櫻さんの考察が合ってるか分かる。
「家族については…えっと…」
お父さんについて…そうだ、お父さん、いや、あいつは酷いやつだった。
えっとあれは…お母さんか…お母さんと僕に向かってあいつは毎日怒鳴っていた。
「邪魔だ!」とか、「早くあっちに行け!」とか、でもお母さんが言い返してたような感じはしない。
あいつは薬剤師をやっていて、毎日のように仕事のストレスを僕達にぶつけてきてたんだ。
あぁ…思い出すだけで頭が痛くなってくる…嫌な思い出だ。
「稗田君?大丈夫?」
「あ、ああ、大丈夫です、おとう…親父のことは思い出してました」
「お母さんは?」
お母さんは…覚えてないな…なんでだろう。
「ちゃんとは覚えてないです…」
「そう、お父さんについて思い出したことって何?」
「まあ、いわゆる酷い扱いを受けていたというか…」
「そうだったのね…もしかしたら脳裏に焼き付いてるから鮮明に覚えてるのかもしれないわね」
「かもしれないです…櫻さんは?」
「私は思い出せてないの、なんでかしらね、話で触れて思い出すっていうのは間違ってたのかもしれないわ」
「そうですか、あ、とりあえず向かいましょうか、壁の方に」
「そうね、たしかに何があるか分からないし、とりあえずまた何か分かったら話しましょ」
僕達は壁の方へ向かった。

「今度は緑色の靄ね、そのステージ事の色ボットに合わせてあるのかしらね」
キイックの時は黄色だったし、きっとそうだろう。
「この服気に入ってたんだけどなぁ」
「ふふふっ」
砕が残念そうにしてると、日向ちゃんが笑った、元気になりつつある。
「また次の場所で良い服に出会えるわよ、さ、行きましょ」
櫻さんは日向ちゃんを引っ張り、靄に入っていった。
「じゃ、行こうか砕」
「おうぅ!」
砕は靄を指差し、そのまま入っていった。
僕も入るとしよ…
僕は窓から学校の中にいる人を見つけてしまった。
その人はただ立っているだけだった、そこにミドリックが近寄り、落ちた。
恐ろしい…見たくなかった…
僕は動揺しながらもゆっくり靄に入っていった。
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