リピートライフ

花畑 空間

文字の大きさ
上 下
37 / 113
第4章

#36 4階

しおりを挟む
このまま見落としが無ければ、絶対に4階にいる。
でもずっと不安に残っているのがだ、制限時間が切れたらその瞬間に封鎖だ。もし僕が砕を見つけれても、1階から3階までを探してた時点で、制限時間が残り少なくなってるかもしれない。
砕を見つけれても、そこで封鎖は全然ありえる。
絶対に砕を連れて学校を出るぞ。

僕は4階へ上がり、まず教室から見ていった。
1階から3階までと構造は変わらないが、ロッカーとかカーテンの中とか、隠れれそうなところはいくつもある。
…あれ、カーテンが膨らんでる、しかも明らかに大きい、この感じ…砕か?
僕はカーテンへ近づき、バッと開いた、そこには…

「おお、稗田っちか、ここに隠れてるの京には言わないでくれよ」
ジョーさんがいた。
シルエットが砕とそっくりだったから、絶対そうだと思ったのに…
「あ、京だ、くっそ見つかっちまった」
ジョーさんがそう言うと、後ろから足音が聞こえた。
京君だ、すごい涙目の。
「おい京どうした、もしかして見つからなくて怖かったのか?大丈夫だよ、これ遊びなんだろ?」
そうだ、隠れる側はそう思ってるんだった。
「おい、どうして黙ってるんだ?」
僕と京君はミドリックのルールによって口封じされている。
「ん、なんだよ急に引っぱって」
京君はジョーさんを引っぱり、教室を出ていった。

僕はふと学校の外を見た、もう数人が集まってきていた、何人か相方を見つけたらしい。
安心と焦りが同時に押し寄せてきた。
人の安全もそうだけど、僕と砕の心配もしないと。

教室を出て、廊下を歩いていると階段から相方を連れて降りてきた人がいた。
途中で何人かすれ違ったことがあったけど、大体みんなグッドサインでお互いを応援し合っていた。
でもこの人はグッドサインではあるけど、上下にすっごい勢いで振っている。
とにかく頑張れ!ってことだろう、僕もグッドサインをした、まあその人は相方見つけてるんだけどね。

4階の教室を全部見終わり、怪しいと思っていた図書室へ。
図書室へ入ると、1回ミドリック達と見た時より本棚の配置がちょっと変わっている、1つの部屋の隅を隠すように。
僕は真っ先にそこへ向かい、本の隙間から中を覗いた。
「きゃぁ!!あ、稗田君じゃない」
響子さんがいた、あと僕は知らない女の人が2人いる。
「初めてここに人が来たわね、でも貴方の探してる人はここじゃないわ」
響子さんは僕に向かって小さく喋った。
「でも、私たちを隠してくれたのはあなたの探してる人よ、探すの頑張ってね、ってことで早く行って!他の人にバレちゃうから!」
僕は急いでその場を離れ、図書室の中を探した、砕はいなかった。

次は校長室を探索する、でも校長室は狭く、細かく探しても隠れれるようなスペースは無い。
そのまま校長室を出て、次は放送室。
放送室は機材が沢山あり、隠れるにはちょうどいい、でも、砕が隠れれるような大きさの機材は無い、とりあえず部屋の外へ出よう。

探せる場所は全部探した…なのに居ない。
しかも砕は体が大きいから絶対隠れれる場所は少ないはず。
一体どこに隠れてるんだ、砕。
「ジジジ……え~っと~、聞こえるかな~?ミドリックだよ~」
校内放送が流れた、僕達に偽物のルールを説明していたときの喋り方だ。
本当のルールを喋った時とは違う、化けの皮を被ったミドリック。
「隠れる側のみんなにわ~んだけど~制限時間っていうのがあったんだよね~」
言い忘れてた、か…、なのに。
「その制限時間なんだけど、あと10分で終わるよ~だから、隠れる側わ、あとちょっと!頑張ってね~」
嘘だろ、まずいまずいまずい、あと10分?やばい、焦るな、僕、落ち着け。
砕を置いて逃げるか?いや、そんなことは出来ない。
どこか探してない場所…探してない場所は……
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

独裁者・武田信玄

いずもカリーシ
歴史・時代
国を、民を守るために、武田信玄は独裁者を目指す。 独裁国家が民主国家を数で上回っている現代だからこそ、この歴史物語はどこかに通じるものがあるかもしれません。 【第壱章 独裁者への階段】 純粋に国を、民を憂う思いが、粛清の嵐を巻き起こす 【第弐章 川中島合戦】 甲斐の虎と越後の龍、激突す 【第参章 戦争の黒幕】 京の都が、二人の英雄を不倶戴天の敵と成す 【第四章 織田信長の愛娘】 清廉潔白な人々が、武器商人への憎悪を燃やす 【最終章 西上作戦】 武田家を滅ぼす策略に抗うべく、信長と家康打倒を決断す この小説は『大罪人の娘』を補完するものでもあります。 (前編が執筆終了していますが、後編の執筆に向けて修正中です))

感染系口裂け女をハントせよ

影津
ホラー
隣に引っ越してきたブランドを身に着けた女性は口裂け女!?  そう言い張っていた親友も消えた。 私と幼馴染で親友を探しに怪しいお隣の女性のところに踏み込む。 小さな町で、口裂け女に感染! 口裂け女って移るんだっけ!? みんなマスクしてるから誰が口裂け女か分かんないよ! 大人が信じてくれないのなら学生の私達だけで戦ってみせる! ホームセンターコメリで武器調達。日常の中で手に入るものだけで戦う!

怪談収集家は探偵じゃありません! 戸羽心里はホンモノに会いたい──《ひもろきサマ》

牛丸 ちよ
ホラー
怪談収集家のトンチキ女子大生・戸羽心里は全国に散る「塩に関する怪談」に興味を持つ。 《ひろきくんにノックされると不幸になる盛り塩団地》──SNSで知り合った「祟られた人」の部屋へ泊まりに行くと、説明のつかない恐怖体験に襲われる。 そのころ、心里の下宿先の大家であり和装ナイスミドルな作家・下哭善太郎は《塩に邪気を封じる巫女》を取材し、奇跡を目の当たりにしていた。 合流した二人は、好奇心から類似性のあるオカルトスポット巡りを始める。 《富弥町の盛り塩禁止アパート》 《学校七不思議・雪の日の花子さん》 《牛鬼と塩の奇祭があるひもろきの村》 《玄関外の盛り塩が途切れない廃屋》 ──そんな中で、「私がつぐなう」という遺書と、首吊り死体を見つけてしまう。 怪談をたどるほど物語は【現在】に収束し、本物の怪異と人間の悪意とが交差する。 (オカルト要素メインのサイコライトミステリ) (恋愛要素なし) (謎の投げっぱなしは極力しない系)

糠味噌の唄

猫枕
ホラー
昭和60年の春、小6の町子は学校が終わって帰宅した。 家には誰もいない。 お腹を空かせた町子は台所を漁るが、おやつも何もない。 あるのは余った冷やご飯だけ。 ぬか漬けでもオカズに食べようかと流し台の下から糠床の入った壺をヨイコラショと取り出して。 かき回すと妙な物体が手に当たる。 引っ張り出すとそれは人間の手首から先だった。

公主の嫁入り

マチバリ
キャラ文芸
 宗国の公主である雪花は、後宮の最奥にある月花宮で息をひそめて生きていた。母の身分が低かったことを理由に他の妃たちから冷遇されていたからだ。  17歳になったある日、皇帝となった兄の命により龍の血を継ぐという道士の元へ降嫁する事が決まる。政略結婚の道具として役に立ちたいと願いつつも怯えていた雪花だったが、顔を合わせた道士の焔蓮は優しい人で……ぎこちなくも心を通わせ、夫婦となっていく二人の物語。  中華習作かつ色々ふんわりなファンタジー設定です。

幽霊巫女の噂

れく
ホラー
普通の男子高校生だった新條涼佑は、ある日を境に亡霊に付き纏われるようになる。精神的に追い詰められてしまった彼は、隣のクラスの有名人青谷真奈美に頼って、ある都市伝説の儀式を教えてもらった。幽霊の巫女さんが助けてくれるという儀式を行った涼佑は、その日から彼女と怪異の戦いに巻き込まれていく。

冬の水葬

束原ミヤコ
青春
夕霧七瀬(ユウギリナナセ)は、一つ年上の幼なじみ、凪蓮水(ナギハスミ)が好き。 凪が高校生になってから疎遠になってしまっていたけれど、ずっと好きだった。 高校一年生になった夕霧は、凪と同じ高校に通えることを楽しみにしていた。 美術部の凪を追いかけて美術部に入り、気安い幼なじみの間柄に戻ることができたと思っていた―― けれど、そのときにはすでに、凪の心には消えない傷ができてしまっていた。 ある女性に捕らわれた凪と、それを追いかける夕霧の、繰り返す冬の話。

忠犬ハジッコ

SoftCareer
児童書・童話
もうすぐ天寿を全うするはずだった老犬ハジッコでしたが、飼い主である高校生・澄子の魂が、偶然出会った付喪神(つくもがみ)の「夜桜」に抜き去られてしまいます。 「夜桜」と戦い力尽きたハジッコの魂は、犬の転生神によって、抜け殻になってしまった澄子の身体に転生し、奪われた澄子の魂を取り戻すべく、仲間達の力を借りながら奮闘努力する……というお話です。 ※今まで、オトナ向けの小説ばかり書いておりましたが、  今回は中学生位を読者対象と想定してチャレンジしてみました。  お楽しみいただければうれしいです。

処理中です...