リピートライフ

花畑 空間

文字の大きさ
上 下
36 / 113
第4章

#35ルール

しおりを挟む
ミドリックはさっきまでと違い、適当な口調で喋り始めた。
「でね~?あいつらは本気で隠れに行ったけど、本当はルールは違うわけ~」
ルールが違う、を付いた訳か。
「探す時には時間制限があるんだわ~、でな~?制限時間を過ぎると、学校は閉鎖される~要するに、って訳なんだわ~」
本気で隠れろって言ったのは、なるべく不利にするためか、なんて卑怯な…
「制限時間が切れた瞬間、窓とか扉とか、全部がロックぅ~もちろんお前らも学校の中にいたらロックぅ~」
僕らも閉じ込められるのか。
あと最悪なパターンとして考えられるのが、相方をパターン、1番心にくるし、きついだろう。
「で、お前たちには特殊ルールがあるんだわ~、それはな~?学校内に入ったら声出すの禁止~あと、他の人に隠れる側のいる場所を教えるのも禁止~自分のペアは自分で探してもらうよ~」
例えば僕が砕を探してる時に、別の隠れる側の人を見つけても、その人の相方に教えることが出来ない、しかもこれで見つからずに閉じ込められたら辛すぎる…急にきつい内容になってきたな…
「こんな感じなんだわ~、あ、ちなみに嘘は付いてないことが一つだけあるんだわ~」
嘘を付いてない?
「それは、落とさないってところなんだわ~死ぬまで閉じ込めるってことだからね~」
ほぼ同じことだ、なんならこっちは閉じ込めるって知らないで隠れてる人達がいる、こっちの方が悪質だ。
「じゃあ~そろそろ始めるんだわ~」

「もうウコイックには校内放送で、見つかっても他の人の居場所を言わないように伝えたから~、あとはスタートするだけなんだわ~」
ウコイックもこの事に加担してると考えると、なんだかガッカリした、元から優しいと思っていたこと自体おかしかったんだろう。
「じゃ、隠れる側の準備がいいっぽいから~スタートするわ~、俺がせーのって言ったら、「もういいかい~」で頼むわ~で、そっからスタート~」
絶対に砕を見つける…いや、救うぞ。

「「もういいかい~!!」」
僕達がこう叫ぶと、スタートを知らせる効果音が鳴った。
「じゃ、頑張ってな~」
ミドリックはだるそうに手を振った。
正直1階から虱潰ししらみつぶしに探していけば必ず見つかるはずなんだ。
…ていうか、制限時間が何分かとか、教えられてないんだけど……
僕は急いで校庭に向かったが、ミドリックの姿は無かった、わざとなのか伝え忘れなのか、多分わざとだろうけど。

うーん、いないなぁ。
1階には僕が隠れやすそうだと思った体育倉庫があったが、そこにはいなかった。
別の部屋も隅から隅まで探したが、まあいなかった。
砕は体が大きいから、部屋に居たらすぐ分かりそうだし、多分1階にはもういないだろう。

2階にもいない、2階は僕が目をつけていた職員室があったけど、そこにもいなかった。
保健室を調べている時、別の人の相方を見つけた、その人は僕を見た瞬間ビクッとしてたが、僕と確認した後に、「うおお、なんだあいつじゃないのかぁ」なんて言葉を漏らしていた。
早く見つかることを願うことしか出来ないのがほんとに辛い、何も声をかけることなく僕は去った。
他のとこにも数人いたけど、変な空気になったりしてた。

3階へ続く階段を上がっていた時、別の人が相方を連れて下へ行くのを見た。
何より僕は安心したが、相方を連れてる人は申し訳なさそうにしていた、僕がまだ見つけてないからだろう。
3階にも砕はいない、でも3階にはまとまって隠れている人達がいた、音楽室のカーテンの中に4人。
砕もどこかで一緒に隠れてたりするんだろうか。

そして4階へ上がる階段、僕は櫻さんとすれ違った、日向ちゃんを連れていた、無事に見つかったらしい。
櫻さんは僕の方を向き、真剣な目で頷いた。
がんばれって意味だと思う。
僕はそのまま4階へ上がった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

忠犬ハジッコ

SoftCareer
児童書・童話
もうすぐ天寿を全うするはずだった老犬ハジッコでしたが、飼い主である高校生・澄子の魂が、偶然出会った付喪神(つくもがみ)の「夜桜」に抜き去られてしまいます。 「夜桜」と戦い力尽きたハジッコの魂は、犬の転生神によって、抜け殻になってしまった澄子の身体に転生し、奪われた澄子の魂を取り戻すべく、仲間達の力を借りながら奮闘努力する……というお話です。 ※今まで、オトナ向けの小説ばかり書いておりましたが、  今回は中学生位を読者対象と想定してチャレンジしてみました。  お楽しみいただければうれしいです。

怪談収集家は探偵じゃありません! 戸羽心里はホンモノに会いたい──《ひもろきサマ》

牛丸 ちよ
ホラー
怪談収集家のトンチキ女子大生・戸羽心里は全国に散る「塩に関する怪談」に興味を持つ。 《ひろきくんにノックされると不幸になる盛り塩団地》──SNSで知り合った「祟られた人」の部屋へ泊まりに行くと、説明のつかない恐怖体験に襲われる。 そのころ、心里の下宿先の大家であり和装ナイスミドルな作家・下哭善太郎は《塩に邪気を封じる巫女》を取材し、奇跡を目の当たりにしていた。 合流した二人は、好奇心から類似性のあるオカルトスポット巡りを始める。 《富弥町の盛り塩禁止アパート》 《学校七不思議・雪の日の花子さん》 《牛鬼と塩の奇祭があるひもろきの村》 《玄関外の盛り塩が途切れない廃屋》 ──そんな中で、「私がつぐなう」という遺書と、首吊り死体を見つけてしまう。 怪談をたどるほど物語は【現在】に収束し、本物の怪異と人間の悪意とが交差する。 (オカルト要素メインのサイコライトミステリ) (恋愛要素なし) (謎の投げっぱなしは極力しない系)

神送りの夜

千石杏香
ホラー
由緒正しい神社のある港町。そこでは、海から来た神が祀られていた。神は、春分の夜に呼び寄せられ、冬至の夜に送り返された。しかしこの二つの夜、町民は決して外へ出なかった。もし外へ出たら、祟りがあるからだ。 父が亡くなったため、彼女はその町へ帰ってきた。幼い頃に、三年間だけ住んでいた町だった。記憶の中では、町には古くて大きな神社があった。しかし誰に訊いても、そんな神社などないという。 町で暮らしてゆくうち、彼女は不可解な事件に巻き込まれてゆく。

冬の水葬

束原ミヤコ
青春
夕霧七瀬(ユウギリナナセ)は、一つ年上の幼なじみ、凪蓮水(ナギハスミ)が好き。 凪が高校生になってから疎遠になってしまっていたけれど、ずっと好きだった。 高校一年生になった夕霧は、凪と同じ高校に通えることを楽しみにしていた。 美術部の凪を追いかけて美術部に入り、気安い幼なじみの間柄に戻ることができたと思っていた―― けれど、そのときにはすでに、凪の心には消えない傷ができてしまっていた。 ある女性に捕らわれた凪と、それを追いかける夕霧の、繰り返す冬の話。

公主の嫁入り

マチバリ
キャラ文芸
 宗国の公主である雪花は、後宮の最奥にある月花宮で息をひそめて生きていた。母の身分が低かったことを理由に他の妃たちから冷遇されていたからだ。  17歳になったある日、皇帝となった兄の命により龍の血を継ぐという道士の元へ降嫁する事が決まる。政略結婚の道具として役に立ちたいと願いつつも怯えていた雪花だったが、顔を合わせた道士の焔蓮は優しい人で……ぎこちなくも心を通わせ、夫婦となっていく二人の物語。  中華習作かつ色々ふんわりなファンタジー設定です。

俺だけが持つユニークスキル《完全記憶能力》で無双する

シア07
ファンタジー
主人公、レン・クロニクスと幼馴染である、サクヤが一緒に買い物へ行っている時だった。 『ユニークスキル《完全記憶能力》の封印が解除されました』 という機械のような声が聞こえ、突如頭が痛みだす。 その後すぐ周りが急に暗くなり、頭の中に数々の映像が見せられた。 男女の怪しげな会話。 サクヤとの子供時代の会話。 つい最近出来事など様々だった。 そしてレンはそれをみて気づく。 ――これがレン自身の記憶であることを。 さらにその記憶は。 「なんで、全部覚えてるんだ……」 忘れることがなかった。 ずっと覚えている。 行動も時間もなにもかもすべて。 これがレンだけが持つ、最強のユニークスキル《完全記憶能力》の能力だった。 ※他サイトでも連載しています

独裁者・武田信玄

いずもカリーシ
歴史・時代
国を、民を守るために、武田信玄は独裁者を目指す。 独裁国家が民主国家を数で上回っている現代だからこそ、この歴史物語はどこかに通じるものがあるかもしれません。 【第壱章 独裁者への階段】 純粋に国を、民を憂う思いが、粛清の嵐を巻き起こす 【第弐章 川中島合戦】 甲斐の虎と越後の龍、激突す 【第参章 戦争の黒幕】 京の都が、二人の英雄を不倶戴天の敵と成す 【第四章 織田信長の愛娘】 清廉潔白な人々が、武器商人への憎悪を燃やす 【最終章 西上作戦】 武田家を滅ぼす策略に抗うべく、信長と家康打倒を決断す この小説は『大罪人の娘』を補完するものでもあります。 (前編が執筆終了していますが、後編の執筆に向けて修正中です))

とあるおっさんのVRMMO活動記

椎名ほわほわ
ファンタジー
VRMMORPGが普及した世界。 念のため申し上げますが戦闘も生産もあります。 戦闘は生々しい表現も含みます。 のんびりする時もあるし、えぐい戦闘もあります。 また一話一話が3000文字ぐらいの日記帳ぐらいの分量であり 一人の冒険者の一日の活動記録を覗く、ぐらいの感覚が お好みではない場合は読まれないほうがよろしいと思われます。 また、このお話の舞台となっているVRMMOはクリアする事や 無双する事が目的ではなく、冒険し生きていくもう1つの人生が テーマとなっているVRMMOですので、極端に戦闘続きという 事もございません。 また、転生物やデスゲームなどに変化することもございませんので、そのようなお話がお好みの方は読まれないほうが良いと思われます。

処理中です...