リピートライフ

花畑 空間

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第3章

#32本番当日終了

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「なんかウコイック、優しくなったわね」
櫻さんは言い出した。
「たしかにウコイックって最初は怖ぇやつだと思ってたけどよぉ、なんだか分かんないよなぁ」
砕は首を傾げてそう言った。
ウコイックは檻から出た後から今までずっといたけど、最近優しくなってきてる気がする、僕らに情でも湧いたのだろうか。

「みんな~ご飯持ってきたよ~」
ウコイックが部屋に入ってきた、アカイックも一緒だ。
「今日は特別にカレーだよ~アカイック特製激辛カレーだよ~」
激辛か、もしかしてお芝居で負けたからか?
「みんなぁ~!!絶対残すなよぉ~~!!!」
アカイックはカレーの入った鍋を持っていて、ウコイックはご飯かな?
「あ、ちなみに激辛ってのは嘘だよ~驚いた~?」
バカにされたのにちょっとだけ懐かしい気分になった。
「まあ並んでね~お皿は朝にパンケーキ食べたお皿でいいよね~?」
うーん、まあ嫌ではないけれど。
僕達は朝使ったお皿を軽く水で洗い、列に並んだ。

「「いただきまーす」」
カレーの具は野菜のみだが、ちゃんとスパイスが効いてて凄く美味しい、誰が作ったんだろう。
「このカレーはね~アカイックとアオイックが一緒に作ったんだ~、薄いと濃いが合わさればちょうど良くなったでしょ~?まあキイックだったら1人で作れたんだけどね…」
ちょっと悲しげな空気が流れたが、みんな黙々と食べ進めた。

「「ごちそうさまでした」」
みんな毎回きちんと食事の挨拶はする、これはキイックに教えられたことだ。
「とりあえず~まだ衣装の人もいるよね~、衣装着替えるついでにお風呂でも入ってきたら~?」
たしかにお風呂に入りたいな、京君達とも話したいし、会えないかな。
「砕、お風呂行こう」
「おうぅ!疲れたぜぇ」
砕は園児服を持って、部屋を出た。
僕も後を追って部屋を出る。

「今日緊張しちゃって失敗しちまったよぉ」
「しょうがないよ、でも良かったよ」
「ありがとなぁ!」
「てくてく…なんてね、久しぶりだね」
後ろから声がした、振り返ると京君がいた。
「うおぉぉっっ!!」
砕は京君の顔を見て驚いていた、まだ白塗りだったから。
「久しぶりだね、元気になったみたいで良かった」
「まあ、無事立ち直れたって感じ」
京君はとは言えないが、普段の京君に戻りつつあった。
「そっちも大変だったらしいじゃーん、リーダー落とされたとかで」
「そう、色々あった、あと北条さんは?」
「今来ると思うよー、あ、来た」
「よう」
「ジョー!会いたかったぜぇ!」
「おう砕、馬の頭はもう付けてないのか?」
「もう外したんだぁ、前が見にくいからなぁ」
「あのジョーさん、前に全員が演者って言ってましたけど、どうなったんですか?」
「ああ、それは急遽変更になったんだ、前にうちのチームで落ちたやつがいるって言っただろ?そいつとアオイックの喧嘩の理由がこれなんだ」
あれ、でも急遽変更になる前にその人は落ちてるはずだけれど。
「アオイックは今回みたいに出演は何人かでってチーム分けをしたがってた、でもあいつは全員で演技がしたいって言ってて結局落とされた、それで今日、急遽アオイックが台本を勝手に作って「これでやれ」って言うんだ」
こっちもチーム分けを要求されてたような、これも1つの決まりだったのかもしれないな。
「まあ、演技うまいやつがチラホラいて、そいつらがなんとかこなしたけど、これでダメだったらほんとに理不尽に落とされてたかもしれないって考えると、ほんとひでぇ話だ」
ウコイックが全部台本考えたなら、ホラーのお話なのも冷たい性格からきてるのかな。
「まあ長々と過ぎたこと説明してもな、とりあえず風呂入ろうぜ」
「おうぅ!寒いぜぇ!」
砕は既に裸になっていた、僕も早速服を脱ぎ、お風呂へ浸かる。
「身に染みるぜぇ」
3日?4日?まあどっちでもいいけど、長かったなぁ。
これから…あ、これからどうなるんだろう、演技が終わってまた次?
「なあ、知ってるか?カレーって色々名前の元になった説があるんだけどな、タミル語ってので、カリとカリルっていう言葉が語源ってされてるんだ」
「よく知ってますね」
「なんかカレー食った時にふわっと思い出してな」
「天才かもねー」
「そうか?京」
「天才だと思うぜぇ!」
「ありがとな、ってなんだこれ、褒められるだけの時間、もう出るぞ」
僕達はお風呂を出た。

部屋に戻ると、ウコイックがみんなを集めていた。
「これで全員かな?こっちに来てくれるかい」
ウコイックは下を向いている。
「どうしたんです、櫻さん」
「さあ、なんか急に暗ーい顔してみんなをここに集合させたの」
「なにかあったんでしょうかね」
ウコイックは前を向き、話し始めた。
「みんな~、あのね、僕にとってキイックは家族も同然だったんだ~、だから落ちた時動揺したよ、でね、その後キイックの跡を継ぐのは僕しかいないって思ったんだ、だからみんなに優しくしてた」
急に優しくなったのはキイックの代わりになってたからなのか。
「僕はあいつがのは耐えきれない、でも、キイックが選んだんだから、受け入れるしかない」
落ちたらやっぱりんだ…
「僕は達の元になった、リーダーだ」
色ボット?
「あ、色ボットはアカイックとか、僕と同じ顔と体で、1つの色に特化した見た目のロボットの通称さ~」
あ、色のロボットってことか。
「で、話戻すと、僕は色ボットの元な訳だ、だから全部の色ボットになれるんだ~、まあ完全にその色ボットになれるかっていったら難しいんだけどね~」
「とりあえず~、話したかったことはここから~!」
ウコイックは表情を切り替え、明るくなった。
「これから僕はキイックの真似はやめる、そしてお察しの通り、まだまだよ、詳しい話は明日するから今日はゆっくり寝てね~」
続くのか、いつ帰れるんだろう…帰る…?どこに…?

僕はとりあえず寝る準備を済ませるために、まず歯を磨いていた。
「ねえ、稗田君、今日は話せる?」
はいほーふへふほ、ははへはふ大丈夫ですよ、話せます
「分かったわ、じゃあ、あの時みたいに」
はひはい

部屋に戻るともう砕は寝ていた、いつの間に寝てたんだ、今日はきっと疲れたんだろう。
「日向、お休み」
「お休みなさい」
日向ちゃんは櫻さんに対しては普通に話せるようになっていた。
「おやすみなさい、日向ちゃん」
「…うん」
まだダメだったか。

「稗田君、起きてる?」
少しうとうとして来た頭に櫻さんの声が聞こえる…
あ、話さないと。
「はい、起きてます」
「寝てたわよね」
「はい、起きてます…」
「ごめんね起こしちゃって、でも、試したいことがあって」
「なんです?」
「もし話とかで触れたものを思い出すなら、何でもかんでも触れてみればいいと思ったの」
「なるほど…はい」
「あの、あなたは家族のことを覚えてる?」
「家族…家族…」
「まあこれでなんかしら分かると思うわ、おやすみなさい」
「はい、おやすみなさい…」
僕はそのまま眠りについた……あれ、なんか少し嗅いだことある臭いが。
僕は不思議に思い目を開けた、櫻さんも起き上がっていた。
あれ、視界がなんか…なっている…もしかして……
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