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第3章
#28本番スタート
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もう向こう側には敗者側の人達が座っていた、服装は見たことない服、まあ、衣装だろう。
「本番までまだちょっと時間あるけど、みんな準備出来てるっぽいから早めに集めたよ~」
たしかに準備は万端だ。
「う~ん、もうやっちゃう~?準備出来てるでしょ~?」
「いいんじゃないかぁ~?」
アオイックも賛成のようだ、まあ僕達も準備は出来てるし大丈夫のはず。
「やるか~、じゃ、勝利側は準備に移って~」
「どうする~?とりあえず円陣でも組む~?」
僕達は準備が終わり、あとはお芝居するだけだった。
「するかぁ!」
砕はノリノリで肩を組んできた。
「え~、まあ、円陣1回やりましたけれど~、全部の力を振り絞って~!絶対成功させるぞぉ~!」
「「おおおーー!!」」
僕達はまだ出会って4日だけど、ものすごい団結力ができていた。
台本班は敗者側と一緒に劇を見る、道具班は裏にスタンバイしている、場面が変わる事に背景を変えるのは僕達の仕事だ。
音楽が流れた、まず王子様が化け物になるシーン…まずい、日向ちゃんがまだ立ち直ってない。
「…え、えっと」
日向ちゃんは焦っている、櫻さんが横にいれば少しは変わったと思うけど、役柄そうもいかない。
「僕は…あの…王子だ!今日は良い日だ、優雅なパーティが開かれている…で…」
思い出しながらゆっくりセリフを言っていく、もしウコイックがもう落とさないって言ってなかったらまずかったかもしれない。
「大丈夫よー、頑張ってー」
櫻さんは小さい声で応援している、届いたか届かないかぐらいの声で。
すると日向ちゃんは少し落ち着いたようで、さっきよりスムーズにセリフを言っていった。
「あれ?なんだろう、こんなところに本が、開いてみよう、わ!本から光がっ!」
で、照明が強くなって砕登場だ。
「ぐわぁぁぁおぉぉぉぉ!!あれぇ?なんだぁ?背が高くなってるぅ?!」
なんか化け物役は砕がハマり役って感じがしてきた、そのまんま砕みたいだ。
「どうしようぅ!逃げないとぉぉ!!」
「セリフは「隠れないと!」なんだけどね、やっぱり砕君勢いに任せてるわ」
「はぁ…」
日向ちゃんが暗い表情で舞台裏に戻ってきた。
「次の出番までしばらくあるから、休んでなさい、さっきの演技良かったわよ、ねえ?稗田君」
「めっちゃ良かったよ、日向ちゃん」
「えへへ…」
日向ちゃんは少し笑顔になった。
「もう俺は1人なんだぁ!家来もみんな逃げていったしよぉ、誰かぁ!」
櫻さんは舞台袖で待機していた、出番なのだろう、僕らは背景を変えた。
「じゃあシャクラ、気をつけて行くんだぞぉ」
「大丈夫よ!りんご狩りは私に任せて!」
お父さんに挨拶をすると、シャクラは家を出た、っていうのが今の流れらしい。
「あれ…ここはどこかしら、迷ってしまったわ」
お、ついにキュダキとご対面だ。
「誰かぁ!」
さっきの砕のセリフに繋がるんだね。
「あなた…大丈夫?きゃぁ!」
「俺が怖いかぁ?」
櫻さんが演技上手いのは当たり前だけど、砕が結構いい味だしてる、日向ちゃんの時と一人称違うけど。
「怖いわ、でも何か悲しそう」
「悲しいさぁ、みんな消えてしまったんだからなぁ」
「みんなって?」
「俺の家来だぁ、みんな…えっと…あれセリフなんだっけ」
櫻さんに小さな声で聞いた、小さな声と言ってもこっちまで聞こえてきてるけど。
「「慕ってくれてた」じゃない?」
「おお、ありがとな」
見てる側からしたら無言の時間が数秒続いたから違和感あっただろう、ていうか相手のセリフまで覚えてる櫻さん凄いな。
「えーと、みんな慕ってくれてたからなぁ!」
「あなたもしかして王子様なの?」
「そうだぁ」
「あの、良かったらうちにアップルパイを食べに来ない?きっと美味しいわよ」
「いいのかぁ?」
「ええ!もちろん!」
場面が変わり、僕らはまた背景を変えた。
「ねえお父さん!私お友達を連れてきたの!」
「おぉ、誰かねぇ…ん!誰だ!この化け物は!」
「この人は見た目は怖いけど、悪い人じゃないわ」
「ごめんなぁ、驚かせちまってよぉ」
「い、いや、シャクラがそういうなら、どうぞ上がって」
「お邪魔します」
「礼儀正しいわね、さすが王子様って感じね!」
「まあなぁ!」
多分セリフ間違ってるのだろう、櫻さんが少し困った顔をしている。
「とりあえず、アップルパイを焼いてくるから待っててね」
櫻さんは僕のいる方の舞台袖に戻ってきた。
「さっきの「まあなぁ!」ってやつ、あれほんとは「そんなそんな…」なのよね、まあ砕君らしいけどね」
櫻さんは小道具のアップルパイを持って舞台に上がった。
「さあ、出来たわよ、食べましょ」
「おうぅ!いただきまぁす!」
完全にテンションがいつもの砕だ。
「私これからこの人を送ってくるわね、行ってきます!」
「ありがとうなぁ!」
また場面が変わった、まだまだ忙しいな道具班、あと見るだけだ!って思ってたのに仕事がいっぱいだ。
僕達は急いで背景を変えた。
「本番までまだちょっと時間あるけど、みんな準備出来てるっぽいから早めに集めたよ~」
たしかに準備は万端だ。
「う~ん、もうやっちゃう~?準備出来てるでしょ~?」
「いいんじゃないかぁ~?」
アオイックも賛成のようだ、まあ僕達も準備は出来てるし大丈夫のはず。
「やるか~、じゃ、勝利側は準備に移って~」
「どうする~?とりあえず円陣でも組む~?」
僕達は準備が終わり、あとはお芝居するだけだった。
「するかぁ!」
砕はノリノリで肩を組んできた。
「え~、まあ、円陣1回やりましたけれど~、全部の力を振り絞って~!絶対成功させるぞぉ~!」
「「おおおーー!!」」
僕達はまだ出会って4日だけど、ものすごい団結力ができていた。
台本班は敗者側と一緒に劇を見る、道具班は裏にスタンバイしている、場面が変わる事に背景を変えるのは僕達の仕事だ。
音楽が流れた、まず王子様が化け物になるシーン…まずい、日向ちゃんがまだ立ち直ってない。
「…え、えっと」
日向ちゃんは焦っている、櫻さんが横にいれば少しは変わったと思うけど、役柄そうもいかない。
「僕は…あの…王子だ!今日は良い日だ、優雅なパーティが開かれている…で…」
思い出しながらゆっくりセリフを言っていく、もしウコイックがもう落とさないって言ってなかったらまずかったかもしれない。
「大丈夫よー、頑張ってー」
櫻さんは小さい声で応援している、届いたか届かないかぐらいの声で。
すると日向ちゃんは少し落ち着いたようで、さっきよりスムーズにセリフを言っていった。
「あれ?なんだろう、こんなところに本が、開いてみよう、わ!本から光がっ!」
で、照明が強くなって砕登場だ。
「ぐわぁぁぁおぉぉぉぉ!!あれぇ?なんだぁ?背が高くなってるぅ?!」
なんか化け物役は砕がハマり役って感じがしてきた、そのまんま砕みたいだ。
「どうしようぅ!逃げないとぉぉ!!」
「セリフは「隠れないと!」なんだけどね、やっぱり砕君勢いに任せてるわ」
「はぁ…」
日向ちゃんが暗い表情で舞台裏に戻ってきた。
「次の出番までしばらくあるから、休んでなさい、さっきの演技良かったわよ、ねえ?稗田君」
「めっちゃ良かったよ、日向ちゃん」
「えへへ…」
日向ちゃんは少し笑顔になった。
「もう俺は1人なんだぁ!家来もみんな逃げていったしよぉ、誰かぁ!」
櫻さんは舞台袖で待機していた、出番なのだろう、僕らは背景を変えた。
「じゃあシャクラ、気をつけて行くんだぞぉ」
「大丈夫よ!りんご狩りは私に任せて!」
お父さんに挨拶をすると、シャクラは家を出た、っていうのが今の流れらしい。
「あれ…ここはどこかしら、迷ってしまったわ」
お、ついにキュダキとご対面だ。
「誰かぁ!」
さっきの砕のセリフに繋がるんだね。
「あなた…大丈夫?きゃぁ!」
「俺が怖いかぁ?」
櫻さんが演技上手いのは当たり前だけど、砕が結構いい味だしてる、日向ちゃんの時と一人称違うけど。
「怖いわ、でも何か悲しそう」
「悲しいさぁ、みんな消えてしまったんだからなぁ」
「みんなって?」
「俺の家来だぁ、みんな…えっと…あれセリフなんだっけ」
櫻さんに小さな声で聞いた、小さな声と言ってもこっちまで聞こえてきてるけど。
「「慕ってくれてた」じゃない?」
「おお、ありがとな」
見てる側からしたら無言の時間が数秒続いたから違和感あっただろう、ていうか相手のセリフまで覚えてる櫻さん凄いな。
「えーと、みんな慕ってくれてたからなぁ!」
「あなたもしかして王子様なの?」
「そうだぁ」
「あの、良かったらうちにアップルパイを食べに来ない?きっと美味しいわよ」
「いいのかぁ?」
「ええ!もちろん!」
場面が変わり、僕らはまた背景を変えた。
「ねえお父さん!私お友達を連れてきたの!」
「おぉ、誰かねぇ…ん!誰だ!この化け物は!」
「この人は見た目は怖いけど、悪い人じゃないわ」
「ごめんなぁ、驚かせちまってよぉ」
「い、いや、シャクラがそういうなら、どうぞ上がって」
「お邪魔します」
「礼儀正しいわね、さすが王子様って感じね!」
「まあなぁ!」
多分セリフ間違ってるのだろう、櫻さんが少し困った顔をしている。
「とりあえず、アップルパイを焼いてくるから待っててね」
櫻さんは僕のいる方の舞台袖に戻ってきた。
「さっきの「まあなぁ!」ってやつ、あれほんとは「そんなそんな…」なのよね、まあ砕君らしいけどね」
櫻さんは小道具のアップルパイを持って舞台に上がった。
「さあ、出来たわよ、食べましょ」
「おうぅ!いただきまぁす!」
完全にテンションがいつもの砕だ。
「私これからこの人を送ってくるわね、行ってきます!」
「ありがとうなぁ!」
また場面が変わった、まだまだ忙しいな道具班、あと見るだけだ!って思ってたのに仕事がいっぱいだ。
僕達は急いで背景を変えた。
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