リピートライフ

花畑 空間

文字の大きさ
上 下
26 / 113
第3章

#25本番当日

しおりを挟む
…朝だ、まだ目覚まし時計は鳴っていないのか、誰も起きてない。
あ、話す約束してたのに寝ちゃってた、櫻さんが起きたら謝らないと。
とりあえずちょっと下に行こうかな、暇だし。

「おや、早いですね」
南島さんが既に下にいた。
「南島さんこそ、他に起きてる人はいるんですか?」
「私だけですね」
「そうですか、もうすぐで目覚まし時計鳴りますし、待ちましょう」
「…あの、少しお話をしてもいいですか?」
「ん、はい、いいですけど…」
「私ここに来てから今日まで毎回目覚まし時計が鳴る前に起きてるんです、体が反応するっていうか、不思議で仕方なくて」
「そういう体質なのかもしれませんね、そんなに深く考えないで良いと思いますよ、早起きは良い事ですし」
「そうですよね、ちょっと考えすぎてました、ありがとうございます」
ジリリリリッ
薄くではあるけど目覚まし時計の音が聞こえた。
「ちょっとチームの部屋に戻りますね、また後で!」
「はい、また後で」
南島さんは優しい笑顔で返した。

「あら、起きてたの稗田君」
櫻さんはもう起きていた。
「ほんっとごめんなさい、寝ちゃってて」
「いいのよ、眠たかったなら、もし話せる時があったら今日話しましょ」
「分かりました」
「おはよう…」
日向ちゃんも起きたようだ。
「ちゃんと起きれて偉いわね、日向」
「ふふ…」
日向ちゃんは櫻さんに褒められて喜んでる様子だ。
「相変わらず砕君は寝てるわね、今日も引っ張っていきましょうか」
僕達はいつも通り下の階に砕を運んだ。

「よし!集まったな~!ではこれから…なんてね、これ覚えてる人いるかな~?最初にみんなを集めた時に言ったセリフ~」
あの時はまだ何も分からなかったけど、今はある程度ここに慣れてきた気がしている。
「僕もあの時はちょっと作ってたからね、喋り方、1度は警官っぽい感じで喋ってみたかったんだよね~」
たしかにあの時以降は喋り方が優しくなっている気もする、今が素なのかな。
「とりあえず~、今日は本番当日~気を引き締めていきましょ~」
「時間は6からスタート、それまでは最終準備とか、色々済ませておいてね~他に質問ある人~」
「朝ごはんっていつ食べれるんだぁ?」
いつの間にか砕が起き上がっていた、たしかにご飯がまだだ。
「一応僕が作ったのあるんだけど~、今持ってくるね~」
ウコイックはキイックの部屋に入っていった。

「おまたせ~、温め直してちょっと時間かかっちゃった~」
ウコイックが持ってきたのはパンケーキだった、1人1枚だけれど、チョコレートソースとバナナが乗っかっている。
「じゃ、取りに来て~」
僕達は並んで、お皿に乗せてあるパンケーキを取っていった。
細かいけれど、キイックはみんなに配っていたと考えるとキイックはほんとに優しかったんだろうと思った。
「美味しいぜぇ!ふわふわでよぉ!」
「そ、そう~?まあ、そうだよね~完璧に作れたから~」
ウコイックは照れてるようだ、まさに子供のようにモジモジしながら照れている。
「いただきます…」
僕も1口食べた、たしかにふわふわだ、美味しい、でも申し訳ないけど、普通って感じの味だ。
「どう~?」
「美味しいよ」
僕はそう答えた、さすがにとは言えない。
「やったね~、いぇ~い」
ウコイックはちょっと踊り出した、相当嬉しいんだろう。

「「ごちそうさまでした!」」
僕達は食器を片付け、それぞれ最終準備に取り掛かっていた。
「私たちはもう他にすることは無いかしらねー」
響子さんが暇そうに言った。
「舞台の背景とかっていつ付けるんですかね」
南島さんがそう言うと、響子さんはハッとした様子だった。
「僕聞いてきますね」
僕はウコイックの元へ向かった。
「あの、ウコイック」
「どうしたの~稗田君、質問~?」
「舞台の設置っていつやるの?」
「あ~、たしかに~アオイックと相談しとく~」
「ん、あぁ分かった、ありがとう」 
まだ決まってないのか、とりあえずすぐ設置できるように準備しておこう。
僕は道具班の元へ戻った。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

忠犬ハジッコ

SoftCareer
児童書・童話
もうすぐ天寿を全うするはずだった老犬ハジッコでしたが、飼い主である高校生・澄子の魂が、偶然出会った付喪神(つくもがみ)の「夜桜」に抜き去られてしまいます。 「夜桜」と戦い力尽きたハジッコの魂は、犬の転生神によって、抜け殻になってしまった澄子の身体に転生し、奪われた澄子の魂を取り戻すべく、仲間達の力を借りながら奮闘努力する……というお話です。 ※今まで、オトナ向けの小説ばかり書いておりましたが、  今回は中学生位を読者対象と想定してチャレンジしてみました。  お楽しみいただければうれしいです。

神送りの夜

千石杏香
ホラー
由緒正しい神社のある港町。そこでは、海から来た神が祀られていた。神は、春分の夜に呼び寄せられ、冬至の夜に送り返された。しかしこの二つの夜、町民は決して外へ出なかった。もし外へ出たら、祟りがあるからだ。 父が亡くなったため、彼女はその町へ帰ってきた。幼い頃に、三年間だけ住んでいた町だった。記憶の中では、町には古くて大きな神社があった。しかし誰に訊いても、そんな神社などないという。 町で暮らしてゆくうち、彼女は不可解な事件に巻き込まれてゆく。

感染系口裂け女をハントせよ

影津
ホラー
隣に引っ越してきたブランドを身に着けた女性は口裂け女!?  そう言い張っていた親友も消えた。 私と幼馴染で親友を探しに怪しいお隣の女性のところに踏み込む。 小さな町で、口裂け女に感染! 口裂け女って移るんだっけ!? みんなマスクしてるから誰が口裂け女か分かんないよ! 大人が信じてくれないのなら学生の私達だけで戦ってみせる! ホームセンターコメリで武器調達。日常の中で手に入るものだけで戦う!

怨念がおんねん〜祓い屋アベの記録〜

君影 ルナ
ホラー
・事例 壱 『自分』は真冬に似合わない服装で、見知らぬ集落に向かって歩いているらしい。 何故『自分』はあの集落に向かっている? 何故『自分』のことが分からない? 何故…… ・事例 弍 ?? ────────── ・ホラー編と解決編とに分かれております。 ・純粋にホラーを楽しみたい方は漢数字の話だけを、解決編も楽しみたい方は数字を気にせず読んでいただけたらと思います。 ・フィクションです。

それ、しってるよ。

eden
ホラー
それ、しってるよ――――。 高校2年生の山下未子(やました みこ)は、人の心を読むことができる。 その力をコントロールすることができないでいる未子は、できるだけ人と関わらないことで自分を守っていた。 何度となく転校を繰り返してきた未子は、新たな学校で、未子の力で心を読むことができない生徒――天城璃星(あまき りせ)に出会う。 璃星の周辺で不可解な事件が起きることに気付いた未子は、璃星の秘密に迫ることになって――? 秘密を暴くことは、秘密を握られること。 事実は記憶の中に、真実は心の中に。

2020年版 ルノルマン・カードに導かれし物語たちよ!

なずみ智子
ホラー
毎月1エピソード完結の単品ホラーを配膳予定。現在は、オムニバス多し。 ご覧いただき、ありがとうございます。 本作でございますが、毎月1回、36枚のルノルマン・カードより5枚のカードを引き、その5枚のカードが持つ意味やカード湧き上がってくるインスピレーションを元に、私、なずみ智子が物語(毎月1エピソード完結の短編)を書く企画でございます。 2018年6月から続けてきました本作も、ついに今年で3年目に突入することになりました。 今年も興味を持っていただける方がいらっしゃいましたら、とってもうれしいです。 ちなみに過去作は、以下となります。 『2018年版 ルノルマン・カードに導かれし物語たちよ!』 ⇒https://www.alphapolis.co.jp/novel/599153088/403188672 『2019年版 ルノルマン・カードに導かれし物語たちよ!』 ⇒https://www.alphapolis.co.jp/novel/599153088/168236130

公主の嫁入り

マチバリ
キャラ文芸
 宗国の公主である雪花は、後宮の最奥にある月花宮で息をひそめて生きていた。母の身分が低かったことを理由に他の妃たちから冷遇されていたからだ。  17歳になったある日、皇帝となった兄の命により龍の血を継ぐという道士の元へ降嫁する事が決まる。政略結婚の道具として役に立ちたいと願いつつも怯えていた雪花だったが、顔を合わせた道士の焔蓮は優しい人で……ぎこちなくも心を通わせ、夫婦となっていく二人の物語。  中華習作かつ色々ふんわりなファンタジー設定です。

とあるおっさんのVRMMO活動記

椎名ほわほわ
ファンタジー
VRMMORPGが普及した世界。 念のため申し上げますが戦闘も生産もあります。 戦闘は生々しい表現も含みます。 のんびりする時もあるし、えぐい戦闘もあります。 また一話一話が3000文字ぐらいの日記帳ぐらいの分量であり 一人の冒険者の一日の活動記録を覗く、ぐらいの感覚が お好みではない場合は読まれないほうがよろしいと思われます。 また、このお話の舞台となっているVRMMOはクリアする事や 無双する事が目的ではなく、冒険し生きていくもう1つの人生が テーマとなっているVRMMOですので、極端に戦闘続きという 事もございません。 また、転生物やデスゲームなどに変化することもございませんので、そのようなお話がお好みの方は読まれないほうが良いと思われます。

処理中です...