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第3章
#16嘘
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僕はキイックの部屋を出て道具班に戻った。
「珍しいですね、キイックの部屋は誰も入っちゃいけないって言ってたのに、キイックが人を入れるだなんて」
南島さんが話しかけてきた。急に話しかけられて動揺して、何も返せなかった。
「大丈夫ですか?稗田さん、顔色悪いですよ」
緋彩ちゃんが言った、僕は嘘を付くのは得意では無いようで、顔に出てしまっていたようだ。
「まだ見つかってないって聞かされて少し怖くなっちゃってさぁ、ははっ…」
「そう…」
響子さんは悲しそうな顔をした。
「ばあっ!!」
急に机の下から馬の顔が飛び出してきた。
「「うわぁぁっ!!」」
みんなビックリしたが、正体は蒼さんだった。
「なんか、1回空気リセットさせたいなって思ってやってみたの…ダメだった?」
馬の顔を被ったまま蒼さんは話し始めた。
「ありがとね、蒼ちゃん、ちょっとだけ元気出たわ、これで作業終わってなかったらあの人に怒られちゃうわね」
あの人って、まるで死んだみたいな言い方だ、ちゃんと生きてるよ!って思った。
はぁ、ほんと我慢できない、この事を誰かしらに伝えないと荷が重くておかしくなりそうだ…あっ、そうだ。
「あ、ちょっと僕のチームに話あるから行ってくるね」
僕は急いで演技班の元に向かった。
演技班のいるフリースペースの扉を開けると。
「ぐわぁぁぁおぉぉぉ!!」
砕が謎のうめき声を発していた。
「お!稗田っちぃ、今化け物の声の練習してたんだぁ」
「すごいね化け物役か、大役じゃないか!」
「おうぅ!」
「ところで砕、櫻さんってどこ?」
僕は櫻さんなら絶対他言はしないと思い、櫻さんにだけこっそり話そうと思った。
「あっちの方で台本読んでるぜぇ」
砕が指差す方を見ると、椅子に座って台本を読む櫻さんと日向ちゃんがいた。
「あの、櫻さん、ちょっとこっち来てくれますか?」
「なになにぃ?告白ぅ?」
「違いますよっ…!あの…ちょっと話が…」
「…分かったわ、ちょっと待っててね日向」
櫻さんは僕の表情で真面目な話だと悟ったのか、櫻さんも真剣な表情になった。
僕は2階のチームの部屋に向かった、そして昨日の夜みたいに話を始めた。
「まず、絶対他の人に言わないで欲しいのと、これを聞いたってキイックに言わないで欲しいんです」
「その抱えきれないのっていうのは何?」
「今行方不明になってる2人がキイックの部屋に居たんです」
「ん…そうなのね、でもなんでみんなに知らせちゃダメなの?」
「それが、どうも様子がおかしくて、今みんなに合わせたら混乱するとかなんとかってキイックが」
「なるほどね…おかしいってどんな風に?」
「なんか、我を忘れてるっていうか、洋一さんとは同じ班だったんで分かるんですけど、取り乱すような人ではないんですよね」
「同じ班なのね…たしか稗田君は2人を見たって言ってたからそれで秘密を聞かされたのかもね、でもなんで私に?バレたらどうするの」
「僕嘘つくのが下手で、顔に出ちゃうんです、だから誰か信用できる人に言いたいなって」
「信用してくれてるのは嬉しいわ、でも、他の人にはもう言っちゃダメよ?キイックに聞かれてたりしたら稗田君落とされちゃうんだからね」
「はい」
僕達は話が終わり、部屋を出た。
「…あっ」
そこには日向ちゃんがいた。
「あの、私ちょっと聞いちゃった…」
聞いてたのか…でも日向ちゃんで良かった、砕とかだったら隠せなさそうだからね。
「そっか、櫻さんは先に戻っててください、日向ちゃんはちょっと詳しく話すから部屋に来て」
僕はまた部屋に戻り、次は日向ちゃんに全く同じことを説明した。
「…ってことなんだ…です…」
「そうだったのね…ごめんなさい盗み聞きしちゃって」
「いえいえ、全然、聞かれたのが日向ちゃんで、良かった…です」
まだ敬語で喋ればいいか悩んでいる、櫻さんと話してからすぐに日向ちゃんと話したから双子だったことをパッと思い出して敬語混じりで説明していた。まあこの際聞いた方が早そうだけれど。
「ちなみに全然タメ口でいいよ、お姉ちゃんと違って幼く見えるだろうし、違和感を感じるでしょ」
「分かりま…分かった」
最初に出会った時にはまだ日向ちゃんはビクビクしていたけど、ここに慣れてきたのか、よく喋るようになり、僕ともだんだん仲良くなってきた気がしている。
「じゃ、行きましょうか」
僕達は話が終わり、部屋を出た。
「…おうっ」
そこには砕がいた、また同じようなことが起きたぞ。
「砕、内容聞いてた?」
「いや、櫻さんは先戻ってきてたけどよぉ、日向ちゃんなんか遅いなーって思ったから見に来たんだけどよぉ、大丈夫かぁ?」
聞かれてなかったのか、良かった。
「ちょっと演技について聞いてたんだ、ね、日向ちゃん」
「そうだよ、砕さん」
「そうかぁ、日向ちゃんと櫻さんは演技上手いしなぁ、俺も混ぜて欲しかったなぁ、今化け物の声出しに苦戦してるんだよぉ」
2人とも演技上手いのか、演技班になってすぐの時より日向ちゃんは全然喋るようになったし、今ならなんか納得できる。
「じゃあ、戻りましょうか」
今度こそ僕達は元いた場所に戻っていった。
「珍しいですね、キイックの部屋は誰も入っちゃいけないって言ってたのに、キイックが人を入れるだなんて」
南島さんが話しかけてきた。急に話しかけられて動揺して、何も返せなかった。
「大丈夫ですか?稗田さん、顔色悪いですよ」
緋彩ちゃんが言った、僕は嘘を付くのは得意では無いようで、顔に出てしまっていたようだ。
「まだ見つかってないって聞かされて少し怖くなっちゃってさぁ、ははっ…」
「そう…」
響子さんは悲しそうな顔をした。
「ばあっ!!」
急に机の下から馬の顔が飛び出してきた。
「「うわぁぁっ!!」」
みんなビックリしたが、正体は蒼さんだった。
「なんか、1回空気リセットさせたいなって思ってやってみたの…ダメだった?」
馬の顔を被ったまま蒼さんは話し始めた。
「ありがとね、蒼ちゃん、ちょっとだけ元気出たわ、これで作業終わってなかったらあの人に怒られちゃうわね」
あの人って、まるで死んだみたいな言い方だ、ちゃんと生きてるよ!って思った。
はぁ、ほんと我慢できない、この事を誰かしらに伝えないと荷が重くておかしくなりそうだ…あっ、そうだ。
「あ、ちょっと僕のチームに話あるから行ってくるね」
僕は急いで演技班の元に向かった。
演技班のいるフリースペースの扉を開けると。
「ぐわぁぁぁおぉぉぉ!!」
砕が謎のうめき声を発していた。
「お!稗田っちぃ、今化け物の声の練習してたんだぁ」
「すごいね化け物役か、大役じゃないか!」
「おうぅ!」
「ところで砕、櫻さんってどこ?」
僕は櫻さんなら絶対他言はしないと思い、櫻さんにだけこっそり話そうと思った。
「あっちの方で台本読んでるぜぇ」
砕が指差す方を見ると、椅子に座って台本を読む櫻さんと日向ちゃんがいた。
「あの、櫻さん、ちょっとこっち来てくれますか?」
「なになにぃ?告白ぅ?」
「違いますよっ…!あの…ちょっと話が…」
「…分かったわ、ちょっと待っててね日向」
櫻さんは僕の表情で真面目な話だと悟ったのか、櫻さんも真剣な表情になった。
僕は2階のチームの部屋に向かった、そして昨日の夜みたいに話を始めた。
「まず、絶対他の人に言わないで欲しいのと、これを聞いたってキイックに言わないで欲しいんです」
「その抱えきれないのっていうのは何?」
「今行方不明になってる2人がキイックの部屋に居たんです」
「ん…そうなのね、でもなんでみんなに知らせちゃダメなの?」
「それが、どうも様子がおかしくて、今みんなに合わせたら混乱するとかなんとかってキイックが」
「なるほどね…おかしいってどんな風に?」
「なんか、我を忘れてるっていうか、洋一さんとは同じ班だったんで分かるんですけど、取り乱すような人ではないんですよね」
「同じ班なのね…たしか稗田君は2人を見たって言ってたからそれで秘密を聞かされたのかもね、でもなんで私に?バレたらどうするの」
「僕嘘つくのが下手で、顔に出ちゃうんです、だから誰か信用できる人に言いたいなって」
「信用してくれてるのは嬉しいわ、でも、他の人にはもう言っちゃダメよ?キイックに聞かれてたりしたら稗田君落とされちゃうんだからね」
「はい」
僕達は話が終わり、部屋を出た。
「…あっ」
そこには日向ちゃんがいた。
「あの、私ちょっと聞いちゃった…」
聞いてたのか…でも日向ちゃんで良かった、砕とかだったら隠せなさそうだからね。
「そっか、櫻さんは先に戻っててください、日向ちゃんはちょっと詳しく話すから部屋に来て」
僕はまた部屋に戻り、次は日向ちゃんに全く同じことを説明した。
「…ってことなんだ…です…」
「そうだったのね…ごめんなさい盗み聞きしちゃって」
「いえいえ、全然、聞かれたのが日向ちゃんで、良かった…です」
まだ敬語で喋ればいいか悩んでいる、櫻さんと話してからすぐに日向ちゃんと話したから双子だったことをパッと思い出して敬語混じりで説明していた。まあこの際聞いた方が早そうだけれど。
「ちなみに全然タメ口でいいよ、お姉ちゃんと違って幼く見えるだろうし、違和感を感じるでしょ」
「分かりま…分かった」
最初に出会った時にはまだ日向ちゃんはビクビクしていたけど、ここに慣れてきたのか、よく喋るようになり、僕ともだんだん仲良くなってきた気がしている。
「じゃ、行きましょうか」
僕達は話が終わり、部屋を出た。
「…おうっ」
そこには砕がいた、また同じようなことが起きたぞ。
「砕、内容聞いてた?」
「いや、櫻さんは先戻ってきてたけどよぉ、日向ちゃんなんか遅いなーって思ったから見に来たんだけどよぉ、大丈夫かぁ?」
聞かれてなかったのか、良かった。
「ちょっと演技について聞いてたんだ、ね、日向ちゃん」
「そうだよ、砕さん」
「そうかぁ、日向ちゃんと櫻さんは演技上手いしなぁ、俺も混ぜて欲しかったなぁ、今化け物の声出しに苦戦してるんだよぉ」
2人とも演技上手いのか、演技班になってすぐの時より日向ちゃんは全然喋るようになったし、今ならなんか納得できる。
「じゃあ、戻りましょうか」
今度こそ僕達は元いた場所に戻っていった。
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