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22 虹色の子供達
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蒼助から優紫(遠原 和葉)の話を聞いてから、頻繁に月冬は寺にやって来るようになった。(秘蔵書)の、麻記の日記や家系図を貪るように読み続けている。自分の家系の話だ、気になるのはわかるが、異常なまでの探究心に祥庵は少し、呆れていた。
「祥庵さん、この色分け表をご存知ですか。」
月冬が境内にいた祥庵のところにきて、畳に麻記の日記を広げて指を差す。
麻記の日記は、鳳右衛門が亡くなる手前に祥庵が預かった物だ。内容が安森家の禁忌に触れるため、寺の坊主であり安森家の内情をよく知る祥庵が保管してくれ、と遺言された物であった。
「あ、あぁ。昔と俺達が使ってたやつと違うってやつだよな。」
木魚を拭きながらちらっと見る。
「そこに、(茶)、(緑)の配合法、と記してあったのです。…ご存知ですか?」
配合法…?
「…なんだそれは。」
木魚から手を離し日記を覗く。…どういう事だ?
「昔の色分け表の色は、(朱、青、緑、黒、茶)の五色で、朱と青と黒は自然と生まれると記されていました。しかし、」
「緑と、茶は?」
「(緑)は青と黄色の者との配合で生まれ、(茶)は、
一、朱と青の要素のある者(紫)、と黄色の者の配合、
二、朱と黄色の要素のある者(橙)、と青の者との配合、
三、(緑)と朱の者との配合が必要、とありました。」
「要素?…ち、ちょっと待て。(黄色)ってなんだ?何でわざわざつくる必要がある?」
「それは、ちょっと…。でも色の意味は…あ、ここに。」
頁を進める。
「ど、どれ…茶の狐憑きは金運、商売繁盛、財産の維持、増大の力となる。」
「そして緑は、体調不良、不治の病に対し癒し、回復、完治の力を持っている…」
「…欲だ、人間は金と健康に執着する。その欲を満たす力を持つ狐憑きが意図的につくれるんだ。」
「しかし、つくり過ぎると黒が生まれ破滅する。と、こちらの狐憑きの誕生年表を見るとわかります。」
本当だ。茶や緑が三代の期間中に二人以上になると黒が生まれ、狐憑きもろとも安森の人間が何らかの原因で亡くなり、家が何軒か失くなっていた。
「恭亮の状況からして、(朱、青、黒)の自然と生まれる色は必要無さそうだな。すると(緑、茶)だ。恭亮は酒蔵を設立して儲かってると聞いた事があるし、造った酒が城の献上品にもなっている。」
「すると、緑ですか。」
「そうなっても、青と黄色どっちの狐憑きが欲しいんだ?そもそも、千陽と優紫がどの色の要素なのかを恭亮は知っているのか?持ってるかどうかもわからねぇだろうに。」
「…それもそうですが、恭亮さんがこの色分け、力の種類、配合法を何故知っているのでしょうか…。」
(また話を広げる…。)
「そうだな。恭亮は男女七色の色分けしか知らないはずだ。それに恭亮はどの力も持ってなさそうだしなぁ…。自らの眼力で判断もしてなさそうだしなぁ…。」
祥庵がイライラし頭を掻き毟る。
「蒼助さんと千陽ちゃんはどうでしょう。当てはまる感じはありますか?」
(あぁ、また調べ物を増やすような事を…。)
「蒼助?あいつは養子で安森とは…」
「麻記様の日記の家系図では辿って、いけるんです。」
月冬が麻記の家系図を開き、蒼助の空欄部分から指で線を遡る。蒼助の父親は空欄、母親は北の国の分家の家系図に繋がり、そこから線が飛んだ。飛んだ先は、
「嘉詠様だ。」
ふたりは顔を見合わせ固まった。安森とは一切関係が無いと思われていた蒼助が。まぁ、いい。取り敢えず、残念だが蒼助は安森の人間だったって事で…
「嘉詠様は…狐憑きだったのでしょうか?青、朱…。嘉詠様のお祖母様は紅で、朱だとしたら…嘉詠様は、橙か紫の可能性も…。いや、だとしたら子供が…(省略)」
(お前…。こんなんじゃ進まないぞ?)
「…ってか、判断基準は何なんだ。書いてないのか?」
古い日記を開き目を凝らす。難しく古い文字列で解読に時間が掛かる。
「これ、じゃないのか?」
同じく別の日記を凝視していた月冬が顔を上げる。行灯を引き寄せ、祥庵の手元を覗き込み、息を飲んだ。
「(澄ミ渡リ穢レノ無イ目デ見ヨ)。なんじゃそりゃ。」
「…子供、という事でしょうか。」
「だがなぁ。月冬が力を使って本当の狐憑きだった奴らも力を失ったからなぁ。」
「桂樹くんは白い髪と碧い目のままだったんですよね?」
「それは風鼠の影響だ。それもあって容姿で判断するのは難しいんだ。だが、桂樹は狐憑きではない、信じろ。」
「…詰まりましたね。ですが、恭亮さんがこの事を知っている理由として、これを読んだ、または麻記様に密かに聞いていた可能性がある事がわかりましたね?」
「残念だが、奥様は恭亮と一切接触はしていない…。本家の者も誰ひとりこの事を知らないから、招集で聞いたとも考えられない。」
「ならば、安森家の誰か…遠原の人間が嫁いできていて、それを知って…その者から聞いたという可能性は、」
(ぶちっ)
「やめろやめろやめろーっ!安森の人間が何人いると思ってんだ?!分家まで見たらキリがねぇ。話が広がり過ぎてわからなくなるからやめねぇか?」
日記から手を離し、大の字になった祥庵は伸びをして溜息を吐いた。
「……ちょっと待てよ…恭亮の事はひとまず置いといてだな。蒼助と千陽を、子供に見てもらったら、わかるかも知れねぇって事はないか…?」
「要素があれば、わかる、と?」
「そこらのガキじゃ駄目だろうが…安森の人間だったら。」
「道留ちゃんは、今年四歳です。…ちょっと大きくなり過ぎですかね。」
「ガキ、ガキ……あ。」
「…誰かいますか?」
「菜々のガキがいる。」
「菜々ちゃんの?でも、まだ喋れない赤ん坊じゃ、」
「上にいるんだよ。十二歳の時に一回孕んでそのガキは流れちまったんだが、十四歳の時にまたできてよ。もう結婚するしかねぇだろってその男と結婚して、最近二人目が生まれたんだ。」
「そうだったんですか。」
「大店の娘が結婚前にって事で隠してる話だが。そのガキが使えるんじゃねぇか?今は二歳かそこらだ。…いける。」
菜々の義母の家で育てられている、長男の菜央都(なおと)は、蒼助の孫、安森の血が入っている。蒼助に事情を話し、義実家から菜央都を連れて来てもらった。体調を崩し、良くなってからも実家にいた菜々は喜び涙を流した。事情があるにしろ母子を離すのは心が痛む。
早速、蒼助を見てもらう。何か変わった反応があればわかりやすいのだが、その判断になる詳細はいくら探しても見つからなかった。
(やるだけやってみよう。)
蒼助に菜央都を抱かせる。初孫であるのに抱いたのは初めてのようだ。四肢をばたばたさせて可愛らしい声を上げる。二歳になる少し手前、いちばん可愛い時期である。
(…やはり、簡単にはいかないか。)
子供の抱き方を習得していない蒼助は、とうとう泣かせてしまった。あたふたする蒼助が下手糞なりにあやす。泣き止んだ菜央都と目が合う…。
「…し、祥庵さん。何か、見えませんか?」
「え?…何が?蒼助が、下手糞に抱っこしてるようにしか、見えん、」
「そうじゃなくて、ほら!」
月冬の目には、菜央都の頭あたりに白い靄(もや)のようなものが見えた。少しずつ青く色が濃くなり、頭から肩、胴体、足と全身に広がって菜央都自体が青く煙に巻かれたようになった。
「青です。蒼助さんは青です!」
「え!?」
ふたりでやいやい言い合っていると、菜央都が空(くう)を指差し、「あお。」と言った。靄が見えない祥庵も確信した。
それから菜々、千陽も同様に菜央都を抱かせ月冬に見てもらうと、菜々は変化がなく千陽は蒼助同様青い靄が見えた。
菜々が「青いの見える?」と聞くと、「あお、あお。」と答えたので間違いない。
その青い靄は、菜央都から直接出ているというより、蒼助や千陽の身体から、菜央都の身体を通過して出ているように見える、と月冬は言った。
「狐憑きは月冬の力で消えた訳じゃなかった、ともいえるな。」
「わかりません。消えたけれど、何かのきっかけで、」
「もういいもういいもういいっ!話をややこしくするな。頭が痛くなるっ。」
「…言い始めたのは祥庵さんじゃないですか…。」
狐憑きの力についてはややこしいので、今は探求しない事を約束させた。(祥庵がぶち切れた。)
あとは(黄色)の存在のみ。…だが、それはもうわかっている。桂樹と存在を変えた(優紫)だ。そして恭亮が欲しがっている狐憑きは(緑)。
家族の誰かが、死の淵にでもいるのだろうか。助けたい気持ちと阻止したい気持ち。医者の使命と人道を問う坊主の使命が対立していた。
「祥庵さん、この色分け表をご存知ですか。」
月冬が境内にいた祥庵のところにきて、畳に麻記の日記を広げて指を差す。
麻記の日記は、鳳右衛門が亡くなる手前に祥庵が預かった物だ。内容が安森家の禁忌に触れるため、寺の坊主であり安森家の内情をよく知る祥庵が保管してくれ、と遺言された物であった。
「あ、あぁ。昔と俺達が使ってたやつと違うってやつだよな。」
木魚を拭きながらちらっと見る。
「そこに、(茶)、(緑)の配合法、と記してあったのです。…ご存知ですか?」
配合法…?
「…なんだそれは。」
木魚から手を離し日記を覗く。…どういう事だ?
「昔の色分け表の色は、(朱、青、緑、黒、茶)の五色で、朱と青と黒は自然と生まれると記されていました。しかし、」
「緑と、茶は?」
「(緑)は青と黄色の者との配合で生まれ、(茶)は、
一、朱と青の要素のある者(紫)、と黄色の者の配合、
二、朱と黄色の要素のある者(橙)、と青の者との配合、
三、(緑)と朱の者との配合が必要、とありました。」
「要素?…ち、ちょっと待て。(黄色)ってなんだ?何でわざわざつくる必要がある?」
「それは、ちょっと…。でも色の意味は…あ、ここに。」
頁を進める。
「ど、どれ…茶の狐憑きは金運、商売繁盛、財産の維持、増大の力となる。」
「そして緑は、体調不良、不治の病に対し癒し、回復、完治の力を持っている…」
「…欲だ、人間は金と健康に執着する。その欲を満たす力を持つ狐憑きが意図的につくれるんだ。」
「しかし、つくり過ぎると黒が生まれ破滅する。と、こちらの狐憑きの誕生年表を見るとわかります。」
本当だ。茶や緑が三代の期間中に二人以上になると黒が生まれ、狐憑きもろとも安森の人間が何らかの原因で亡くなり、家が何軒か失くなっていた。
「恭亮の状況からして、(朱、青、黒)の自然と生まれる色は必要無さそうだな。すると(緑、茶)だ。恭亮は酒蔵を設立して儲かってると聞いた事があるし、造った酒が城の献上品にもなっている。」
「すると、緑ですか。」
「そうなっても、青と黄色どっちの狐憑きが欲しいんだ?そもそも、千陽と優紫がどの色の要素なのかを恭亮は知っているのか?持ってるかどうかもわからねぇだろうに。」
「…それもそうですが、恭亮さんがこの色分け、力の種類、配合法を何故知っているのでしょうか…。」
(また話を広げる…。)
「そうだな。恭亮は男女七色の色分けしか知らないはずだ。それに恭亮はどの力も持ってなさそうだしなぁ…。自らの眼力で判断もしてなさそうだしなぁ…。」
祥庵がイライラし頭を掻き毟る。
「蒼助さんと千陽ちゃんはどうでしょう。当てはまる感じはありますか?」
(あぁ、また調べ物を増やすような事を…。)
「蒼助?あいつは養子で安森とは…」
「麻記様の日記の家系図では辿って、いけるんです。」
月冬が麻記の家系図を開き、蒼助の空欄部分から指で線を遡る。蒼助の父親は空欄、母親は北の国の分家の家系図に繋がり、そこから線が飛んだ。飛んだ先は、
「嘉詠様だ。」
ふたりは顔を見合わせ固まった。安森とは一切関係が無いと思われていた蒼助が。まぁ、いい。取り敢えず、残念だが蒼助は安森の人間だったって事で…
「嘉詠様は…狐憑きだったのでしょうか?青、朱…。嘉詠様のお祖母様は紅で、朱だとしたら…嘉詠様は、橙か紫の可能性も…。いや、だとしたら子供が…(省略)」
(お前…。こんなんじゃ進まないぞ?)
「…ってか、判断基準は何なんだ。書いてないのか?」
古い日記を開き目を凝らす。難しく古い文字列で解読に時間が掛かる。
「これ、じゃないのか?」
同じく別の日記を凝視していた月冬が顔を上げる。行灯を引き寄せ、祥庵の手元を覗き込み、息を飲んだ。
「(澄ミ渡リ穢レノ無イ目デ見ヨ)。なんじゃそりゃ。」
「…子供、という事でしょうか。」
「だがなぁ。月冬が力を使って本当の狐憑きだった奴らも力を失ったからなぁ。」
「桂樹くんは白い髪と碧い目のままだったんですよね?」
「それは風鼠の影響だ。それもあって容姿で判断するのは難しいんだ。だが、桂樹は狐憑きではない、信じろ。」
「…詰まりましたね。ですが、恭亮さんがこの事を知っている理由として、これを読んだ、または麻記様に密かに聞いていた可能性がある事がわかりましたね?」
「残念だが、奥様は恭亮と一切接触はしていない…。本家の者も誰ひとりこの事を知らないから、招集で聞いたとも考えられない。」
「ならば、安森家の誰か…遠原の人間が嫁いできていて、それを知って…その者から聞いたという可能性は、」
(ぶちっ)
「やめろやめろやめろーっ!安森の人間が何人いると思ってんだ?!分家まで見たらキリがねぇ。話が広がり過ぎてわからなくなるからやめねぇか?」
日記から手を離し、大の字になった祥庵は伸びをして溜息を吐いた。
「……ちょっと待てよ…恭亮の事はひとまず置いといてだな。蒼助と千陽を、子供に見てもらったら、わかるかも知れねぇって事はないか…?」
「要素があれば、わかる、と?」
「そこらのガキじゃ駄目だろうが…安森の人間だったら。」
「道留ちゃんは、今年四歳です。…ちょっと大きくなり過ぎですかね。」
「ガキ、ガキ……あ。」
「…誰かいますか?」
「菜々のガキがいる。」
「菜々ちゃんの?でも、まだ喋れない赤ん坊じゃ、」
「上にいるんだよ。十二歳の時に一回孕んでそのガキは流れちまったんだが、十四歳の時にまたできてよ。もう結婚するしかねぇだろってその男と結婚して、最近二人目が生まれたんだ。」
「そうだったんですか。」
「大店の娘が結婚前にって事で隠してる話だが。そのガキが使えるんじゃねぇか?今は二歳かそこらだ。…いける。」
菜々の義母の家で育てられている、長男の菜央都(なおと)は、蒼助の孫、安森の血が入っている。蒼助に事情を話し、義実家から菜央都を連れて来てもらった。体調を崩し、良くなってからも実家にいた菜々は喜び涙を流した。事情があるにしろ母子を離すのは心が痛む。
早速、蒼助を見てもらう。何か変わった反応があればわかりやすいのだが、その判断になる詳細はいくら探しても見つからなかった。
(やるだけやってみよう。)
蒼助に菜央都を抱かせる。初孫であるのに抱いたのは初めてのようだ。四肢をばたばたさせて可愛らしい声を上げる。二歳になる少し手前、いちばん可愛い時期である。
(…やはり、簡単にはいかないか。)
子供の抱き方を習得していない蒼助は、とうとう泣かせてしまった。あたふたする蒼助が下手糞なりにあやす。泣き止んだ菜央都と目が合う…。
「…し、祥庵さん。何か、見えませんか?」
「え?…何が?蒼助が、下手糞に抱っこしてるようにしか、見えん、」
「そうじゃなくて、ほら!」
月冬の目には、菜央都の頭あたりに白い靄(もや)のようなものが見えた。少しずつ青く色が濃くなり、頭から肩、胴体、足と全身に広がって菜央都自体が青く煙に巻かれたようになった。
「青です。蒼助さんは青です!」
「え!?」
ふたりでやいやい言い合っていると、菜央都が空(くう)を指差し、「あお。」と言った。靄が見えない祥庵も確信した。
それから菜々、千陽も同様に菜央都を抱かせ月冬に見てもらうと、菜々は変化がなく千陽は蒼助同様青い靄が見えた。
菜々が「青いの見える?」と聞くと、「あお、あお。」と答えたので間違いない。
その青い靄は、菜央都から直接出ているというより、蒼助や千陽の身体から、菜央都の身体を通過して出ているように見える、と月冬は言った。
「狐憑きは月冬の力で消えた訳じゃなかった、ともいえるな。」
「わかりません。消えたけれど、何かのきっかけで、」
「もういいもういいもういいっ!話をややこしくするな。頭が痛くなるっ。」
「…言い始めたのは祥庵さんじゃないですか…。」
狐憑きの力についてはややこしいので、今は探求しない事を約束させた。(祥庵がぶち切れた。)
あとは(黄色)の存在のみ。…だが、それはもうわかっている。桂樹と存在を変えた(優紫)だ。そして恭亮が欲しがっている狐憑きは(緑)。
家族の誰かが、死の淵にでもいるのだろうか。助けたい気持ちと阻止したい気持ち。医者の使命と人道を問う坊主の使命が対立していた。
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