9 / 22
第1部『おっさんスライムとアルトレイクの街』
第9話『空を翔る美女と幻の島(2)』
しおりを挟む
ユオード大森林からハルマトリ湖、そしてハルマトリ湖の上空を阿呆みたいなスピードで飛行するフリーム。
ハルマトリ湖上空を移動していると周囲に他の島がない場所に1つだけポツンと存在する島があった。
島の砂浜に着地するフリーム、そして右手に掴んでいたスライムを砂浜に放り捨てた。
スライムがプルプルと変身して人間の姿に戻る、アンセムである。
アンセムは1度臨死体験でもした様な人間みたいな顔をしていた。
「ここが幻の島よ。島には変なモンスターも多いわ、まあそれはアンセムが何とかしなさい、島の大樹になる木の実はピンク色をしているから直ぐに分かるわ」
アンセムは死にそうな顔で何とか呼吸を整えながら思案する。
(勝手な事ばっかりいいやがってこのトリ公……)
「ん?何か言いたい事でもあるの?」
「───いいえ、なんもありませんよ」
アンセムは重い足取りで島の探索を開始する。
島の木々は密林のそれに近い、道などないので剣を抜いて邪魔な植物を切りながら進んだ。
湿度も高く汗をかく、しかし人間の姿で進んだ。
(この幻の島の守護者とやらが敵なのか味方なのか分からん以上、何処に目があるかも分からんからな。一応人間の振りをしておこう)
一応『昆虫操作』の魔法を発動する。これで未知の毒虫などが自身に近づいてこない様に出来る。
島の虫達は実にカラフルな赤色や黄色や青色、それとメタリックカラーなのが多かった。
「人間だった頃なら悲鳴もんのインセクト軍団だ」
そんな虫達を探索にかり出して周囲の様子を確認していく。幻の島の探索は順調に進んだ。
島の探索は1日ではとても終わらなかった、開けた空間に出たので夜営の準備をする。安全な場所を虫に案内させた。
そこに住む虫達は案外色んな事を知っている、『昆虫操作』の魔法は滅多に使い手がいないニッチな魔法だが、実は有用な魔法なのだ。
(これ、普通の人間ならかなり危ないよ。何しろモンスターがいる密林の中で夜営するんだからな)
携帯食で簡単に食事を済ませる、スライムであるアンセムは別に寝なくても疲れはしないので今晩は起きて周囲の警戒をした。
翌日は朝早く行動を開始する、モンスターは虫がその存在を知らせてくれる。しかし1度はどんなモンスターがいるのか見てみようと思いモンスターがいる方に向かった。
(アレがこの島のモンスターか、中々に強いな)
木陰から覗くと、そこには体長二メートル以上あり体毛が緑色のチンパンジーの様なモンスターがいた。
チンパンジーは群れでいて少なくとも五匹以上はいる。戦うの自殺行為だと察した。
アンセムはその場なら去ろうとした、しかしアンセムが隠れていた木の上にそのチンパンジーがいて鳴き声をあげる。
(しまった!まさかあの巨体でここまで気配を完璧に消せるとは………)
他のチンパンジー達がアンセムに迫る、チンパンジー達は強い敵意を向けてきた。戦闘は避けられない。
「好奇心は猫を殺すってか?……仕方ない。やるか!」
アンセムは変身する。
変身したのは巨大な黄色いキノコに足が生えた様なモンスター、痺れマタンゴだ。
チンパンジー達はアンセムを囲んで袋叩きにする。
アンセムはチンパンジー達の攻撃でも大してダメージは受けなかった。攻撃を無視してそのキノコの身体のカサを動かして胞子をばら撒いた。
胞子を吸ったマタンゴ達はたちまち身体が痺れ口から泡を吹いて倒れてしまった。
「縄張りを先に荒らしたのはこっちだし、命までは取らねぇよ。そのまま1時間くらい痺れててくれや」
(しかし切り札の変身能力を使っちまった、万が一島の守護者がこちらの動きを把握する能力を持ってたら……いやっあくまでも可能性の話だ、気にしてもしょうがないか)
アンセムは人間の姿に戻る、ベルトポーチから1枚の地図を取り出した。
アンセムは呪文を唱え魔法を使う。
「魔法の光よ、進む道を我に示せ」
アンセムが使ったのは『導の星』と言う魔法だ、紙に使う魔法で紙に現れた星の光が指す方向に何かがある。
「この魔法、1種の賭けなんだよな。星の光が指す方には何かがあるけど、お宝があるかは分からないし下手すると強力なモンスターの寝床って可能性もあるし」
『導の星』は運任せの魔法だった。だから初日は使わなかったがこれ以上時間をかけるとあのフリームが待つのに飽きたとかで島からどこかに行ってしまう恐れもあった。
そうなればアンセムはこの島に取り残される。無論脱出出来るモンスターにでも変身すればいいのだがハルマトリ湖を泳いで脱出してユオード大森林を抜けてアルトレイクにまで戻る……。
(そんなの冗談じゃないよ!)
故にアンセムは少し焦ってもいた、そこで賭けでも『導の星』を使った。しかしアンセムは虫達のお陰で危険かどうかを離れていても分かる。
「これで探索するスピードを上げる、こんな報酬もない依頼さっさと済ませてエールでも飲まないとやってられるか!」
アンセムは島の探索を再開した。探索は更にスピードを上げても順調に進んだ。
今度はモンスターの方に自分から近づく事は辞めて探索に集中した。ちなみに『導の星』は1回目は見たことない綺麗な花の咲いている場所まで案内された。
2回目は体長15メートルはある3つ首の巨大なワニの寝床に案内されそうになった。
そして3度目は密林を抜けた先を示していた。
(密林を抜けたか。そんでその先は左右を岩壁に挟まれた道にも見える場所に出たか…)
アンセムは警戒しながら進んで行く。そして道を抜けた先には低い丘があり、そこにはかなり大きな大樹が1本だけ生えていた。
「アレが、島の大樹か?」
一陣の風が吹いた。
気がつくと数メートル先に黄緑色の肌をした大男が立っていた。
ハルマトリ湖上空を移動していると周囲に他の島がない場所に1つだけポツンと存在する島があった。
島の砂浜に着地するフリーム、そして右手に掴んでいたスライムを砂浜に放り捨てた。
スライムがプルプルと変身して人間の姿に戻る、アンセムである。
アンセムは1度臨死体験でもした様な人間みたいな顔をしていた。
「ここが幻の島よ。島には変なモンスターも多いわ、まあそれはアンセムが何とかしなさい、島の大樹になる木の実はピンク色をしているから直ぐに分かるわ」
アンセムは死にそうな顔で何とか呼吸を整えながら思案する。
(勝手な事ばっかりいいやがってこのトリ公……)
「ん?何か言いたい事でもあるの?」
「───いいえ、なんもありませんよ」
アンセムは重い足取りで島の探索を開始する。
島の木々は密林のそれに近い、道などないので剣を抜いて邪魔な植物を切りながら進んだ。
湿度も高く汗をかく、しかし人間の姿で進んだ。
(この幻の島の守護者とやらが敵なのか味方なのか分からん以上、何処に目があるかも分からんからな。一応人間の振りをしておこう)
一応『昆虫操作』の魔法を発動する。これで未知の毒虫などが自身に近づいてこない様に出来る。
島の虫達は実にカラフルな赤色や黄色や青色、それとメタリックカラーなのが多かった。
「人間だった頃なら悲鳴もんのインセクト軍団だ」
そんな虫達を探索にかり出して周囲の様子を確認していく。幻の島の探索は順調に進んだ。
島の探索は1日ではとても終わらなかった、開けた空間に出たので夜営の準備をする。安全な場所を虫に案内させた。
そこに住む虫達は案外色んな事を知っている、『昆虫操作』の魔法は滅多に使い手がいないニッチな魔法だが、実は有用な魔法なのだ。
(これ、普通の人間ならかなり危ないよ。何しろモンスターがいる密林の中で夜営するんだからな)
携帯食で簡単に食事を済ませる、スライムであるアンセムは別に寝なくても疲れはしないので今晩は起きて周囲の警戒をした。
翌日は朝早く行動を開始する、モンスターは虫がその存在を知らせてくれる。しかし1度はどんなモンスターがいるのか見てみようと思いモンスターがいる方に向かった。
(アレがこの島のモンスターか、中々に強いな)
木陰から覗くと、そこには体長二メートル以上あり体毛が緑色のチンパンジーの様なモンスターがいた。
チンパンジーは群れでいて少なくとも五匹以上はいる。戦うの自殺行為だと察した。
アンセムはその場なら去ろうとした、しかしアンセムが隠れていた木の上にそのチンパンジーがいて鳴き声をあげる。
(しまった!まさかあの巨体でここまで気配を完璧に消せるとは………)
他のチンパンジー達がアンセムに迫る、チンパンジー達は強い敵意を向けてきた。戦闘は避けられない。
「好奇心は猫を殺すってか?……仕方ない。やるか!」
アンセムは変身する。
変身したのは巨大な黄色いキノコに足が生えた様なモンスター、痺れマタンゴだ。
チンパンジー達はアンセムを囲んで袋叩きにする。
アンセムはチンパンジー達の攻撃でも大してダメージは受けなかった。攻撃を無視してそのキノコの身体のカサを動かして胞子をばら撒いた。
胞子を吸ったマタンゴ達はたちまち身体が痺れ口から泡を吹いて倒れてしまった。
「縄張りを先に荒らしたのはこっちだし、命までは取らねぇよ。そのまま1時間くらい痺れててくれや」
(しかし切り札の変身能力を使っちまった、万が一島の守護者がこちらの動きを把握する能力を持ってたら……いやっあくまでも可能性の話だ、気にしてもしょうがないか)
アンセムは人間の姿に戻る、ベルトポーチから1枚の地図を取り出した。
アンセムは呪文を唱え魔法を使う。
「魔法の光よ、進む道を我に示せ」
アンセムが使ったのは『導の星』と言う魔法だ、紙に使う魔法で紙に現れた星の光が指す方向に何かがある。
「この魔法、1種の賭けなんだよな。星の光が指す方には何かがあるけど、お宝があるかは分からないし下手すると強力なモンスターの寝床って可能性もあるし」
『導の星』は運任せの魔法だった。だから初日は使わなかったがこれ以上時間をかけるとあのフリームが待つのに飽きたとかで島からどこかに行ってしまう恐れもあった。
そうなればアンセムはこの島に取り残される。無論脱出出来るモンスターにでも変身すればいいのだがハルマトリ湖を泳いで脱出してユオード大森林を抜けてアルトレイクにまで戻る……。
(そんなの冗談じゃないよ!)
故にアンセムは少し焦ってもいた、そこで賭けでも『導の星』を使った。しかしアンセムは虫達のお陰で危険かどうかを離れていても分かる。
「これで探索するスピードを上げる、こんな報酬もない依頼さっさと済ませてエールでも飲まないとやってられるか!」
アンセムは島の探索を再開した。探索は更にスピードを上げても順調に進んだ。
今度はモンスターの方に自分から近づく事は辞めて探索に集中した。ちなみに『導の星』は1回目は見たことない綺麗な花の咲いている場所まで案内された。
2回目は体長15メートルはある3つ首の巨大なワニの寝床に案内されそうになった。
そして3度目は密林を抜けた先を示していた。
(密林を抜けたか。そんでその先は左右を岩壁に挟まれた道にも見える場所に出たか…)
アンセムは警戒しながら進んで行く。そして道を抜けた先には低い丘があり、そこにはかなり大きな大樹が1本だけ生えていた。
「アレが、島の大樹か?」
一陣の風が吹いた。
気がつくと数メートル先に黄緑色の肌をした大男が立っていた。
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説
婚約者すらいない私に、離縁状が届いたのですが・・・・・・。
夢草 蝶
恋愛
侯爵家の末姫で、人付き合いが好きではないシェーラは、邸の敷地から出ることなく過ごしていた。
そのため、当然婚約者もいない。
なのにある日、何故かシェーラ宛に離縁状が届く。
差出人の名前に覚えのなかったシェーラは、間違いだろうとその離縁状を燃やしてしまう。
すると後日、見知らぬ男が怒りの形相で邸に押し掛けてきて──?
【9話完結】お茶会? 茶番の間違いでしょ?『毒を入れるのはやり過ぎです。婚約破棄を言い出す度胸もないなら私から申し上げますね』
西東友一
恋愛
「お姉様もいずれ王妃になるなら、お茶のマナーは大丈夫ですか?」
「ええ、もちろんよ」
「でも、心配ですよね、カイザー王子?」
「ああ」
「じゃあ、お茶会をしましょう。私がお茶を入れますから」
お茶会?
茶番の間違いでしょ?
私は妹と私の婚約者のカイザー第一王子が浮気しているのを知っている。
そして、二人が私を殺そうとしていることも―――
【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
婚約破棄と領地追放?分かりました、わたしがいなくなった後はせいぜい頑張ってくださいな
カド
ファンタジー
生活の基本から領地経営まで、ほぼ全てを魔石の力に頼ってる世界
魔石の浄化には三日三晩の時間が必要で、この領地ではそれを全部貴族令嬢の主人公が一人でこなしていた
「で、そのわたしを婚約破棄で領地追放なんですね?
それじゃ出ていくから、せいぜいこれからは魔石も頑張って作ってくださいね!」
小さい頃から搾取され続けてきた主人公は 追放=自由と気付く
塔から出た途端、暴走する力に悩まされながらも、幼い時にもらった助言を元に中央の大教会へと向かう
一方で愛玩され続けてきた妹は、今まで通り好きなだけ魔石を使用していくが……
◇◇◇
親による虐待、明確なきょうだい間での差別の描写があります
(『嫌なら読むな』ではなく、『辛い気持ちになりそうな方は無理せず、もし読んで下さる場合はお気をつけて……!』の意味です)
◇◇◇
ようやく一区切りへの目処がついてきました
拙いお話ですがお付き合いいただければ幸いです
晩餐会の会場に、ぱぁん、と乾いた音が響きました。どうやら友人でもある女性が婚約破棄されてしまったようです。
四季
恋愛
晩餐会の会場に、ぱぁん、と乾いた音が響きました。
どうやら友人でもある女性が婚約破棄されてしまったようです。
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる