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第50話 泣かれた
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音すら消えた、用務員おじさんが準備した魔法と腐れダンジョンマスターが放った魔法がぶつかった瞬間、このダンジョン全体が揺れたと思ったね。
凄まじい光と衝撃、音は殆ど聞こえなかった。
しかし…なんとかこちらの被害はゼロ。セーフティポイントからこちらに強制転移させられた人達は無事である。
「……………んっんん?」
あっディアナが目を覚ました。
「ディ…アナさん、無事です…か?」
「うっラベルか? ここは、一体何が起きて…ッ!?」
目を見開くディアナ、少し驚かせてしまったらしい。何しろ身体の感覚が所々ないからな、今の用務員おじさんの状態はいまいちよく分からない。
なんか身体中に黒いのが張り付いていてたり身体の一部が……炭化してるからな。
何故に炭化? やはりファンタジーって謎ですね、とツッコミたいのに声が出にくい。
『防御魔法だけじゃ不十分だと分かっていたんだね、よくもまあそんな連中の盾になんてなったもんだよ。ここまでくると馬鹿だねお前』
「バカで……結構、お前レベルの…クズ…よりはマシです……ね」
『減らず口だね、もう魔力も残ってないだろう? アレだけ魔法をずっと使い続けてさ』
正解である。正直、回復魔法とか使いたいけど魔力がなさ過ぎて何も出来ない。何故ならラナミス、エコー、バリーと続いてコイツだからな。
完全にボスラッシュだよ、魔力が保つわけがないだろう、難易度ミスってるぞ運営と言いたい。
「ラベル!?」
「ラベルさん!」
「ラベルさん!」
「ラベ…おじさん!」
ちょいちょい、何でも名前呼ぼうとしておじさんに戻したのデュミナさんや。その呼び方にこだわりでもあると言うのかい?
なんかこちらに来そうだったので片手を向けて制止を促す、来たら死ぬのは彼女達も分かる筈だ。
しかし止まりそうにない、そこにアルティエが来て四人を一人で押し留める。
「ダメダメダメ止まりなさい! あそこに行った絶対に死ぬからーーー!」
案外役に立つじゃないの、影が薄い美人だと思ってたけど大した働きだよ。
『……さあっこれで幕引きだぶっ!』
腐れダンジョンマスターが蹴りでぶっ飛ばされた、ヤツは不意打ちに驚く程弱いな。まあ不意打ちを仕掛けた相手が相手なので仕方ない。
ソイツは着物メイドのリエールである。子分というか、お供的なエコーとラナミスが腐れダンジョンマスターを抑えにむかった。
「………ラベル様」
「君も……来ていたのかい?」
リエールさんがこちらに来た、彼女のトレードマークである着物メイド服が若干ボロくなっている。
理由は多分用務員おじさんの魔法を彼女が強化してくれたからだ、その為に他の人達よりも前に出ていたので少し腐れダンジョンマスターの魔法を受けたのかも知れない。
用務員おじさんの魔法だけではここまでは防げないと踏んでいたからね、何故だろうと思ったら彼女が頑張ってくれたんだろう。
あっ彼女から渡されたマントが駄目になってしまってる。ごめんリエール。
そんなリエールは俺を真っ直ぐ見つめてくる。
「どうして、ここまでしてこの者達を助けるんですか? そこまでになってまで、この者達護る理由がリエールには分かりません」
「…………ふっ」
「ご自身の身体が今、どう言う状態か理解出来ていますか?」
「………少し…は」
リエールが回復魔法を使った、喉が若干癒えて話が出来る様になる。魔力も少しだけど回復したっぽい。
「ヤツのあの攻撃は『炎獄の呪法』と言う呪いです。受けた相手は即死こそしませんが身体を内側から焼かれていずれ死にます、何故そんな攻撃を受けてまであの者達の盾になったのですか?」
「はは…はっ……成り行きですかね」
「その呪いはリエールの回復魔法すら邪魔します、もうっ私にも助けられません」
………リエールを泣かせてしまったな。
こんな用務員おじさんの為に泣かせるのは忍びない、仕方ないのでリエールに手招きをしてこっちに来てもらう。
少しシンドイけど、リエールの額に人差し指を当てる。なけなしの魔力を使って俺の記憶の一部を彼女の頭の中に直接伝えた。
俺がわりとクズめの人間でも見捨てられない、その理由を彼女に伝える為だ。
凄まじい光と衝撃、音は殆ど聞こえなかった。
しかし…なんとかこちらの被害はゼロ。セーフティポイントからこちらに強制転移させられた人達は無事である。
「……………んっんん?」
あっディアナが目を覚ました。
「ディ…アナさん、無事です…か?」
「うっラベルか? ここは、一体何が起きて…ッ!?」
目を見開くディアナ、少し驚かせてしまったらしい。何しろ身体の感覚が所々ないからな、今の用務員おじさんの状態はいまいちよく分からない。
なんか身体中に黒いのが張り付いていてたり身体の一部が……炭化してるからな。
何故に炭化? やはりファンタジーって謎ですね、とツッコミたいのに声が出にくい。
『防御魔法だけじゃ不十分だと分かっていたんだね、よくもまあそんな連中の盾になんてなったもんだよ。ここまでくると馬鹿だねお前』
「バカで……結構、お前レベルの…クズ…よりはマシです……ね」
『減らず口だね、もう魔力も残ってないだろう? アレだけ魔法をずっと使い続けてさ』
正解である。正直、回復魔法とか使いたいけど魔力がなさ過ぎて何も出来ない。何故ならラナミス、エコー、バリーと続いてコイツだからな。
完全にボスラッシュだよ、魔力が保つわけがないだろう、難易度ミスってるぞ運営と言いたい。
「ラベル!?」
「ラベルさん!」
「ラベルさん!」
「ラベ…おじさん!」
ちょいちょい、何でも名前呼ぼうとしておじさんに戻したのデュミナさんや。その呼び方にこだわりでもあると言うのかい?
なんかこちらに来そうだったので片手を向けて制止を促す、来たら死ぬのは彼女達も分かる筈だ。
しかし止まりそうにない、そこにアルティエが来て四人を一人で押し留める。
「ダメダメダメ止まりなさい! あそこに行った絶対に死ぬからーーー!」
案外役に立つじゃないの、影が薄い美人だと思ってたけど大した働きだよ。
『……さあっこれで幕引きだぶっ!』
腐れダンジョンマスターが蹴りでぶっ飛ばされた、ヤツは不意打ちに驚く程弱いな。まあ不意打ちを仕掛けた相手が相手なので仕方ない。
ソイツは着物メイドのリエールである。子分というか、お供的なエコーとラナミスが腐れダンジョンマスターを抑えにむかった。
「………ラベル様」
「君も……来ていたのかい?」
リエールさんがこちらに来た、彼女のトレードマークである着物メイド服が若干ボロくなっている。
理由は多分用務員おじさんの魔法を彼女が強化してくれたからだ、その為に他の人達よりも前に出ていたので少し腐れダンジョンマスターの魔法を受けたのかも知れない。
用務員おじさんの魔法だけではここまでは防げないと踏んでいたからね、何故だろうと思ったら彼女が頑張ってくれたんだろう。
あっ彼女から渡されたマントが駄目になってしまってる。ごめんリエール。
そんなリエールは俺を真っ直ぐ見つめてくる。
「どうして、ここまでしてこの者達を助けるんですか? そこまでになってまで、この者達護る理由がリエールには分かりません」
「…………ふっ」
「ご自身の身体が今、どう言う状態か理解出来ていますか?」
「………少し…は」
リエールが回復魔法を使った、喉が若干癒えて話が出来る様になる。魔力も少しだけど回復したっぽい。
「ヤツのあの攻撃は『炎獄の呪法』と言う呪いです。受けた相手は即死こそしませんが身体を内側から焼かれていずれ死にます、何故そんな攻撃を受けてまであの者達の盾になったのですか?」
「はは…はっ……成り行きですかね」
「その呪いはリエールの回復魔法すら邪魔します、もうっ私にも助けられません」
………リエールを泣かせてしまったな。
こんな用務員おじさんの為に泣かせるのは忍びない、仕方ないのでリエールに手招きをしてこっちに来てもらう。
少しシンドイけど、リエールの額に人差し指を当てる。なけなしの魔力を使って俺の記憶の一部を彼女の頭の中に直接伝えた。
俺がわりとクズめの人間でも見捨てられない、その理由を彼女に伝える為だ。
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