81 / 100
第81話
しおりを挟む
「やったぜ、さすがリーダー!」
「所詮を素人ということだっ爪が甘いんだよ!」
連中の不快な会話が聞こえる。
しかしそんなものはどうでもよかった。
「……随分と嬉しそうですね」
私の声に固まる侵入者2人。
「馬鹿なっ!?」
「何故…まさか…」
「2人が……私を守ってくるましたから」
暴風が吹き荒れ、舞い上がった土煙が新居を呑み込んだ。
その使って煙が晴れた後には我が家の天井が吹っ飛ばされていた。
それすらもどうでもよかった。
私の意識が集中していたのはハルカとアヤメにである。
2人は私の前にいて、守ってくれていた。
だがそんな2人の両腕にはいくつもの切り傷を作っていて、血を流していた。
さすがにこれには…私も頭にきた。
「ヒロキさん、無事かしら?」
「ヒロキ君~大丈夫?」
「私は何ともないよ、それより2人とも大丈夫なのか!?」
「こんなもの直ぐに治るわよ、大袈裟ね…」
「そうそうワタシたちは何だと思っているの?」
2人はそう言うが私は結構怒っていますよ。
2人は私とアズサ守るために咄嗟に前に出たのだ、ならば私としてはこの随分と舐めた事をしでかし過ぎた連中にそれ相応の罰を与えるしかないだろう。
「ハルカ、アヤメ。この人たちを……我がダンジョンに招待してあげようか」
「ふぅ~ん、つまりあれってことね? 了解したわ」
「こちらとしてもこの怪我の分の借りは返してあげなくてはね」
2人が頷くと同時にここにあったダンジョン ゲートが消える。
それは仕方ない、こっちの世界に出現させることができるダンジョンゲートは一つなんでね。
「………ダンジョンゲート」
いつも扉型ではなく円形のダンジョン ゲートが床に出現した。
アヤメの『念動力』を操作してもらい、何やらギャーギャーうるさい侵入者たちをダンジョンゲートへとポイポイしていく。
そして私たちもそのダンジョンゲートに入った。
ちなみにアズサには少しここで待ってもらう。
何故ならここからはは少し怖い大人の時間だからだ…。
「なんだとっ!?」
「こっこりゃ何で海があるだ!?」
ダンジョン ゲートの先は我がダンジョン島ではない。
ダンジョン側のダンジョンゲートに限った話だが入り口の出た先を私を意思一つで変えることができるようになったのだ。
多分ダンジョンが成長したことで私のスキルも少しは成長したのだろう。
地球の方のダンジョンゲートはまだ好きな場所に出したりとか、私がいないところに出したりとかは出来ないのだが、ダンジョン側に関して言えばある程度自由にその出現する場所を操ることが出来るようになっていた。
「くそっどういうことだ……何故スキルが発動しない!?」
「リーダー、俺のスキルも発動しません!」
我がダンジョンの大海に放り出された侵入者たちが随分慌てている。
ハルカに気絶させられていた連中も海を放り込まれたことで目を覚ましたのだろう。
5人ともバシャバシャとしているな。
連中が慌てている理由は分かっている、おそらくあいつら全員かあるいは何人かは工藤さんみたいに海の上に立って移動することができるスキルを持っているんじゃないんだろうか。
しかしそのスキルが一切発動しないんだろうね。
その理由は簡単である。
我がダンジョンは特定の条件を満たさなければあらゆるスキルは発動しないし探索者としての得たモンスター相手に戦えるあの超人じみた身体能力も発揮されないのだ。
以前ハルカにあのバッチを何でみんなに身に着けさせるのかについて聞いたのだが。
アレは我がダンジョンに住むモンスターたちに敵として見られる事がなくなる以外にも実は理由があったのだ。
それがスキルと身体能力の無効化を免除するというものだったのである。
元からバッチを持たないものは基本的にダンジョンゲートを通過することは出来ない。
だが私とハルカとアヤメの3人が入れようと思えばその限りではないのだ。
しかしバッジ持たない者は今、目の前で溺れかけている5人のように完全に無力な存在となってしまうのである。
最もそのことを一から十まで説明してやる義理は当然ないがね。
私たち3人はアヤメの『念動力』によって浮遊しながら少し高いところからその5人を見下ろしていた。
リーダーらしき男はこちらを発見し、大声で何かを呼びかけてくる。
「頼む、助けてくれっ! こちらの負けだ、情報は全て話す!」
「……いえっもう結構ですよ」
「なん…だと!?」
「ですのでもう結構です、貴方たちはそのまま海に沈んで消えてください」
めっちゃ驚いた顔をしてる5人。
むしろ何で助けてもらおうとか思えるのかが私には理解出来ないのだが…。
「本気か…貴様、日本人が人間を見殺しにするのか!?」
人の家に無断侵入して、家の中めちゃくちゃにしといてアズサを拘束したり私たちをスキルで攻撃したり。
その上ハルカとアヤメに怪我させておいて、そんな連中を人間としてカウントすると思ってるのかこいつらは…。
「人殺しは犯罪だ、それも重罪だぞ!」
「捕まればどうなるのか分かってるのか!?」
「 5人もの人間の命を奪えば死刑も確実だぞ、例え免れても終身刑だ!」
「日本人でもないのに日本の法律に詳しいですね、それで脅してるつもりなんですか? なら一ついいこと教えてあげましょうか…」
私は彼らに声が聞こえやすいように少し近づいて声を発した。
「いくら日本でもね、いくら探しても死体が見つからなければ事件として捜査のしようがもないんですよ。そしてここはダンジョンです、それも私個人が持つね。警察にしろ貴方たちの背後にいる人間にしろ、どれだけ動こうが何の証拠も出ることはないんですよ、従って何の罪にも問われないんです」
ダンジョン持ちにガサ入れなんて真似も出来ない、そんなの許可しないからね。
そもそも日本の警察ってことが起こったからじゃないと動かないからさ。
事件が起こったっていうのが証明されない限り何もされないんだよね。
ぶっ壊された新居については思うところがあるが…まっそれは後で考えよう。
「嘘だろ…お前本気なのか?」
「人間の命を奪うのに技術や力というものが私の場合は要らないんです。こうやって…たとえどれだけ泳いだとしても陸地にたどり着くこともない海のど真ん中に捨てるだけで貴方たちは為す術がなくなるでしょう? ……アヤメー」
「はいは~い」
『念動力』を操作してもらい、我々は空中に出現しているダンジョンゲートへと向かう。
「待ってくれ! 頼むっ助けてくれー!」
「お願いだ、助けてください!」
「どうかご慈悲をーー!」
「おおっ神よ……」
「くそっくたばりやがれーー!」
「……貴方たちが誰の指示でここに来たのかなんて知りませんが……噛みつく相手を間違えましたね」
そして私たちはダンジョンゲートへと戻って行った。
「所詮を素人ということだっ爪が甘いんだよ!」
連中の不快な会話が聞こえる。
しかしそんなものはどうでもよかった。
「……随分と嬉しそうですね」
私の声に固まる侵入者2人。
「馬鹿なっ!?」
「何故…まさか…」
「2人が……私を守ってくるましたから」
暴風が吹き荒れ、舞い上がった土煙が新居を呑み込んだ。
その使って煙が晴れた後には我が家の天井が吹っ飛ばされていた。
それすらもどうでもよかった。
私の意識が集中していたのはハルカとアヤメにである。
2人は私の前にいて、守ってくれていた。
だがそんな2人の両腕にはいくつもの切り傷を作っていて、血を流していた。
さすがにこれには…私も頭にきた。
「ヒロキさん、無事かしら?」
「ヒロキ君~大丈夫?」
「私は何ともないよ、それより2人とも大丈夫なのか!?」
「こんなもの直ぐに治るわよ、大袈裟ね…」
「そうそうワタシたちは何だと思っているの?」
2人はそう言うが私は結構怒っていますよ。
2人は私とアズサ守るために咄嗟に前に出たのだ、ならば私としてはこの随分と舐めた事をしでかし過ぎた連中にそれ相応の罰を与えるしかないだろう。
「ハルカ、アヤメ。この人たちを……我がダンジョンに招待してあげようか」
「ふぅ~ん、つまりあれってことね? 了解したわ」
「こちらとしてもこの怪我の分の借りは返してあげなくてはね」
2人が頷くと同時にここにあったダンジョン ゲートが消える。
それは仕方ない、こっちの世界に出現させることができるダンジョンゲートは一つなんでね。
「………ダンジョンゲート」
いつも扉型ではなく円形のダンジョン ゲートが床に出現した。
アヤメの『念動力』を操作してもらい、何やらギャーギャーうるさい侵入者たちをダンジョンゲートへとポイポイしていく。
そして私たちもそのダンジョンゲートに入った。
ちなみにアズサには少しここで待ってもらう。
何故ならここからはは少し怖い大人の時間だからだ…。
「なんだとっ!?」
「こっこりゃ何で海があるだ!?」
ダンジョン ゲートの先は我がダンジョン島ではない。
ダンジョン側のダンジョンゲートに限った話だが入り口の出た先を私を意思一つで変えることができるようになったのだ。
多分ダンジョンが成長したことで私のスキルも少しは成長したのだろう。
地球の方のダンジョンゲートはまだ好きな場所に出したりとか、私がいないところに出したりとかは出来ないのだが、ダンジョン側に関して言えばある程度自由にその出現する場所を操ることが出来るようになっていた。
「くそっどういうことだ……何故スキルが発動しない!?」
「リーダー、俺のスキルも発動しません!」
我がダンジョンの大海に放り出された侵入者たちが随分慌てている。
ハルカに気絶させられていた連中も海を放り込まれたことで目を覚ましたのだろう。
5人ともバシャバシャとしているな。
連中が慌てている理由は分かっている、おそらくあいつら全員かあるいは何人かは工藤さんみたいに海の上に立って移動することができるスキルを持っているんじゃないんだろうか。
しかしそのスキルが一切発動しないんだろうね。
その理由は簡単である。
我がダンジョンは特定の条件を満たさなければあらゆるスキルは発動しないし探索者としての得たモンスター相手に戦えるあの超人じみた身体能力も発揮されないのだ。
以前ハルカにあのバッチを何でみんなに身に着けさせるのかについて聞いたのだが。
アレは我がダンジョンに住むモンスターたちに敵として見られる事がなくなる以外にも実は理由があったのだ。
それがスキルと身体能力の無効化を免除するというものだったのである。
元からバッチを持たないものは基本的にダンジョンゲートを通過することは出来ない。
だが私とハルカとアヤメの3人が入れようと思えばその限りではないのだ。
しかしバッジ持たない者は今、目の前で溺れかけている5人のように完全に無力な存在となってしまうのである。
最もそのことを一から十まで説明してやる義理は当然ないがね。
私たち3人はアヤメの『念動力』によって浮遊しながら少し高いところからその5人を見下ろしていた。
リーダーらしき男はこちらを発見し、大声で何かを呼びかけてくる。
「頼む、助けてくれっ! こちらの負けだ、情報は全て話す!」
「……いえっもう結構ですよ」
「なん…だと!?」
「ですのでもう結構です、貴方たちはそのまま海に沈んで消えてください」
めっちゃ驚いた顔をしてる5人。
むしろ何で助けてもらおうとか思えるのかが私には理解出来ないのだが…。
「本気か…貴様、日本人が人間を見殺しにするのか!?」
人の家に無断侵入して、家の中めちゃくちゃにしといてアズサを拘束したり私たちをスキルで攻撃したり。
その上ハルカとアヤメに怪我させておいて、そんな連中を人間としてカウントすると思ってるのかこいつらは…。
「人殺しは犯罪だ、それも重罪だぞ!」
「捕まればどうなるのか分かってるのか!?」
「 5人もの人間の命を奪えば死刑も確実だぞ、例え免れても終身刑だ!」
「日本人でもないのに日本の法律に詳しいですね、それで脅してるつもりなんですか? なら一ついいこと教えてあげましょうか…」
私は彼らに声が聞こえやすいように少し近づいて声を発した。
「いくら日本でもね、いくら探しても死体が見つからなければ事件として捜査のしようがもないんですよ。そしてここはダンジョンです、それも私個人が持つね。警察にしろ貴方たちの背後にいる人間にしろ、どれだけ動こうが何の証拠も出ることはないんですよ、従って何の罪にも問われないんです」
ダンジョン持ちにガサ入れなんて真似も出来ない、そんなの許可しないからね。
そもそも日本の警察ってことが起こったからじゃないと動かないからさ。
事件が起こったっていうのが証明されない限り何もされないんだよね。
ぶっ壊された新居については思うところがあるが…まっそれは後で考えよう。
「嘘だろ…お前本気なのか?」
「人間の命を奪うのに技術や力というものが私の場合は要らないんです。こうやって…たとえどれだけ泳いだとしても陸地にたどり着くこともない海のど真ん中に捨てるだけで貴方たちは為す術がなくなるでしょう? ……アヤメー」
「はいは~い」
『念動力』を操作してもらい、我々は空中に出現しているダンジョンゲートへと向かう。
「待ってくれ! 頼むっ助けてくれー!」
「お願いだ、助けてください!」
「どうかご慈悲をーー!」
「おおっ神よ……」
「くそっくたばりやがれーー!」
「……貴方たちが誰の指示でここに来たのかなんて知りませんが……噛みつく相手を間違えましたね」
そして私たちはダンジョンゲートへと戻って行った。
2
お気に入りに追加
76
あなたにおすすめの小説
仰っている意味が分かりません
水姫
ファンタジー
お兄様が何故か王位を継ぐ気満々なのですけれど、何を仰っているのでしょうか?
常識知らずの迷惑な兄と次代の王のやり取りです。
※過去に投稿したものを手直し後再度投稿しています。
【完結】悪役令嬢の断罪現場に居合わせた私が巻き込まれた悲劇
藍生蕗
ファンタジー
悪役令嬢と揶揄される公爵令嬢フィラデラが公の場で断罪……されている。
トリアは会場の端でその様を傍観していたが、何故か急に自分の名前が出てきた事に動揺し、思わず返事をしてしまう。
会場が注目する中、聞かれる事に答える度に場の空気は悪くなって行って……
ああ、もういらないのね
志位斗 茂家波
ファンタジー
……ある国で起きた、婚約破棄。
それは重要性を理解していなかったがゆえに起きた悲劇の始まりでもあった。
だけど、もうその事を理解しても遅い…‥‥
たまにやりたくなる短編。興味があればぜひどうぞ。
英雄一家は国を去る【一話完結】
青緑
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
冤罪をかけられ、彼女まで寝取られた俺。潔白が証明され、皆は後悔しても戻れない事を知ったらしい
一本橋
恋愛
痴漢という犯罪者のレッテルを張られた鈴木正俊は、周りの信用を失った。
しかし、その実態は私人逮捕による冤罪だった。
家族をはじめ、友人やクラスメイトまでもが見限り、ひとり孤独へとなってしまう。
そんな正俊を慰めようと現れた彼女だったが、そこへ私人逮捕の首謀者である“山本”の姿が。
そこで、唯一の頼みだった彼女にさえも裏切られていたことを知ることになる。
……絶望し、身を投げようとする正俊だったが、そこに学校一の美少女と呼ばれている幼馴染みが現れて──
冤罪で自殺未遂にまで追いやられた俺が、潔白だと皆が気付くまで
一本橋
恋愛
ある日、密かに想いを寄せていた相手が痴漢にあった。
その犯人は俺だったらしい。
見覚えのない疑惑をかけられ、必死に否定するが周りからの反応は冷たいものだった。
罵倒する者、蔑む者、中には憎悪をたぎらせる者さえいた。
噂はすぐに広まり、あろうことかネットにまで晒されてしまった。
その矛先は家族にまで向き、次第にメチャクチャになっていく。
慕ってくれていた妹すらからも拒絶され、人生に絶望した俺は、自ずと歩道橋へ引き寄せられるのだった──
幼馴染の彼女と妹が寝取られて、死刑になる話
島風
ファンタジー
幼馴染が俺を裏切った。そして、妹も......固い絆で結ばれていた筈の俺はほんの僅かの間に邪魔な存在になったらしい。だから、奴隷として売られた。幸い、命があったが、彼女達と俺では身分が違うらしい。
俺は二人を忘れて生きる事にした。そして細々と新しい生活を始める。だが、二人を寝とった勇者エリアスと裏切り者の幼馴染と妹は俺の前に再び現れた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる