69 / 100
第69話
しおりを挟む
昨日の夜の星空の光を映し出したあの海もとても綺麗だったが、青空の元の青く清んだ水平線がどこまで続く我がダンジョンの朝の海もやっぱり素晴らしい。
これもある種の自画自賛か。
そんなことをしてる私の目には3人の水着姿が映っていた。
そう工藤さん、月城さん、アヤメが海で泳ぎ始めたのである。
元からアヤメはどこかで調達した水着を用意して以前はよく海で泳いでいたのだが魚とか特にいなかった我がダンジョンの海だ。
しばらく泳いだら飽きたらしく、それ以降は渓流釣りにはまったり温泉火山の温泉に通ったりと別のことに時間を使っていた。
まあそのことはいいだろう。
海で海水浴をしようと言ったのは工藤さんだった。
以前からこの綺麗な海を見て泳いでみたいと思っていたそうだ、事前に月城さんにも話をしていて水着も用意していたようである。
月城さん曰く、ダンジョンで泳ぐとか本当なのかとかなり警戒してたそうだ。
まあ普通の人間はそうだよ、むしろ詳しい説明もなしに水着を用意させた工藤さんの勢いが凄かったんだろう。
水着の種類になんて疎いアラサーの私にはよく分からないが。
工藤さんはオレンジ色の水着。
月城さんは白の水着。
そしてアヤメは紺色の水着を着用している。
そして我がダンジョンは気温も春の中頃から後半くらいで安定していて、何より海水の温度もそこまで低くはないらしい。
流石に夏場に比べるとっと思うところだが実際に泳いでる3人が問題ないのなら大丈夫なのだろう。
そして私はいわゆるライフセーバー。
と言うかまずはないだろうが彼女たちの足がつったりだとか何かしら問題が起きた時に救命活動をするための見張りとして海に入らず普通に白い砂浜に腰を下ろしている。
本音を言えば私も泳ぎたいなとアラサーはガラにもなく考えてしまう。
しかしここはこの場で一番の年長者としてやるべきことをやるのが大人というものだろう。
3人はただ泳いでるだけなのだがとても楽しそうだ。
最もアヤメは泳いでいるというよりかは完全に海に身を投げ出して流れに身を任せている感じなのだが。
沖に流されて行かないように注意してほしいな。
一言いっておくか。
アヤメに一言かけようとした時だ。
月城さんと工藤さんの会話が耳に入った。
「本当に…この海は綺麗ですね」
「そうね、それにしてもこの海にいる魚はなんて魚なのかしら。とても綺麗」
「確かに、カラフルでそれでいて光を反射してる姿はまるで宝石みたいですね」
「似たようなの知らないのアンジェちゃ~ん」
「ダンジョンセンターで働いていろんなダンジョンの資源を持ってきましたから似たような物は知ってます、恐らくこういったダンジョンの魚は観賞用として…」
よもや海水浴をしながらそんな話をしているとは思わなかったが、それを聞いた私はマジかと思った。
アヤメに質問をする。
「アヤメ、もしかしてダンジョンの海に何か新しい魚が現れるようになったのか?」
「知らなかったの? この前の温泉火山が現れるようになったあたりからこの海にもいろんな海洋生物が増えたのよ~? もちろんこのダンジョン仕様のね」
知らなかった。
というかそんな話は全く聞いてないよ、少しくらいを報告してくれよアヤメさん。
2人の話を参考に考える。
どうも我がダンジョンの海にはさながらハワイとかにいるようなカラフルで綺麗な魚がいる模様。
それは是非とも見てみたい、私は一度も海外旅行とかしたことはなくてそういった南国の海にダイブしてシュノーケルとかして泳いでみたいとか若い頃は思っていたもんだ。
シュノーケル、買ってこようかな。
「ヒロキ君、そんなにダンジョンの海の中の魚みたいの? しょうがないな~それじゃあほいっと!」
アヤメは片手を上げる。
すると青い海の中から球体状の大きな物体が現れた。
それは海の一部がそういう形になった物だ。
その球体がこちらに向かってくる。
最初は何だと思ったのだが、アヤメの説明が入った。
「ダンジョンが成長したことで私は新たなスキルを得たのよ、それがこの念動力って訳、触れずに物を動かしたりこんな風に形のない物でも浮かせたりすることも出来るわ」
アヤメ、いつの間にそんな便利そうなスキルを。
スキルっていうか超能力じゃないって感じもするけど、まあそんなことはどうでもいいだろう。
アヤメの『念動力』とやらで空中に浮かせられた海水の球体。
直径は私よりも大きく三メートルくらいはある。
中には工藤さんと月城さんが話していた宝石のような魚たちがものすごい数泳いでいた。
なんだこれは本当に宝石箱やないか。
綺麗だな、綺麗すぎるよ。
なんかこういうのを見るだけで心が洗われるようだ。
「ちなみにその魚たちの名前はみんなジュエルフィッシュよ。ダンジョンの資源の一つね、もしかしたら地球では個々に名前をつけられてたりするかもしれないわよ?」
「美しいダンジョンの魚はコレクターも多く、とても高い値で取引されていますよ」
ハルカと月城さんの説明を聞いた私の洗われた心の中にマネーという暗い影が発生した。
いかんね、欲望に目はくらみそうであるジュエルフィッシュが本物の宝石に見えてきた。
これもある種の自画自賛か。
そんなことをしてる私の目には3人の水着姿が映っていた。
そう工藤さん、月城さん、アヤメが海で泳ぎ始めたのである。
元からアヤメはどこかで調達した水着を用意して以前はよく海で泳いでいたのだが魚とか特にいなかった我がダンジョンの海だ。
しばらく泳いだら飽きたらしく、それ以降は渓流釣りにはまったり温泉火山の温泉に通ったりと別のことに時間を使っていた。
まあそのことはいいだろう。
海で海水浴をしようと言ったのは工藤さんだった。
以前からこの綺麗な海を見て泳いでみたいと思っていたそうだ、事前に月城さんにも話をしていて水着も用意していたようである。
月城さん曰く、ダンジョンで泳ぐとか本当なのかとかなり警戒してたそうだ。
まあ普通の人間はそうだよ、むしろ詳しい説明もなしに水着を用意させた工藤さんの勢いが凄かったんだろう。
水着の種類になんて疎いアラサーの私にはよく分からないが。
工藤さんはオレンジ色の水着。
月城さんは白の水着。
そしてアヤメは紺色の水着を着用している。
そして我がダンジョンは気温も春の中頃から後半くらいで安定していて、何より海水の温度もそこまで低くはないらしい。
流石に夏場に比べるとっと思うところだが実際に泳いでる3人が問題ないのなら大丈夫なのだろう。
そして私はいわゆるライフセーバー。
と言うかまずはないだろうが彼女たちの足がつったりだとか何かしら問題が起きた時に救命活動をするための見張りとして海に入らず普通に白い砂浜に腰を下ろしている。
本音を言えば私も泳ぎたいなとアラサーはガラにもなく考えてしまう。
しかしここはこの場で一番の年長者としてやるべきことをやるのが大人というものだろう。
3人はただ泳いでるだけなのだがとても楽しそうだ。
最もアヤメは泳いでいるというよりかは完全に海に身を投げ出して流れに身を任せている感じなのだが。
沖に流されて行かないように注意してほしいな。
一言いっておくか。
アヤメに一言かけようとした時だ。
月城さんと工藤さんの会話が耳に入った。
「本当に…この海は綺麗ですね」
「そうね、それにしてもこの海にいる魚はなんて魚なのかしら。とても綺麗」
「確かに、カラフルでそれでいて光を反射してる姿はまるで宝石みたいですね」
「似たようなの知らないのアンジェちゃ~ん」
「ダンジョンセンターで働いていろんなダンジョンの資源を持ってきましたから似たような物は知ってます、恐らくこういったダンジョンの魚は観賞用として…」
よもや海水浴をしながらそんな話をしているとは思わなかったが、それを聞いた私はマジかと思った。
アヤメに質問をする。
「アヤメ、もしかしてダンジョンの海に何か新しい魚が現れるようになったのか?」
「知らなかったの? この前の温泉火山が現れるようになったあたりからこの海にもいろんな海洋生物が増えたのよ~? もちろんこのダンジョン仕様のね」
知らなかった。
というかそんな話は全く聞いてないよ、少しくらいを報告してくれよアヤメさん。
2人の話を参考に考える。
どうも我がダンジョンの海にはさながらハワイとかにいるようなカラフルで綺麗な魚がいる模様。
それは是非とも見てみたい、私は一度も海外旅行とかしたことはなくてそういった南国の海にダイブしてシュノーケルとかして泳いでみたいとか若い頃は思っていたもんだ。
シュノーケル、買ってこようかな。
「ヒロキ君、そんなにダンジョンの海の中の魚みたいの? しょうがないな~それじゃあほいっと!」
アヤメは片手を上げる。
すると青い海の中から球体状の大きな物体が現れた。
それは海の一部がそういう形になった物だ。
その球体がこちらに向かってくる。
最初は何だと思ったのだが、アヤメの説明が入った。
「ダンジョンが成長したことで私は新たなスキルを得たのよ、それがこの念動力って訳、触れずに物を動かしたりこんな風に形のない物でも浮かせたりすることも出来るわ」
アヤメ、いつの間にそんな便利そうなスキルを。
スキルっていうか超能力じゃないって感じもするけど、まあそんなことはどうでもいいだろう。
アヤメの『念動力』とやらで空中に浮かせられた海水の球体。
直径は私よりも大きく三メートルくらいはある。
中には工藤さんと月城さんが話していた宝石のような魚たちがものすごい数泳いでいた。
なんだこれは本当に宝石箱やないか。
綺麗だな、綺麗すぎるよ。
なんかこういうのを見るだけで心が洗われるようだ。
「ちなみにその魚たちの名前はみんなジュエルフィッシュよ。ダンジョンの資源の一つね、もしかしたら地球では個々に名前をつけられてたりするかもしれないわよ?」
「美しいダンジョンの魚はコレクターも多く、とても高い値で取引されていますよ」
ハルカと月城さんの説明を聞いた私の洗われた心の中にマネーという暗い影が発生した。
いかんね、欲望に目はくらみそうであるジュエルフィッシュが本物の宝石に見えてきた。
1
お気に入りに追加
76
あなたにおすすめの小説
【完結】実家に捨てられた私は侯爵邸に拾われ、使用人としてのんびりとスローライフを満喫しています〜なお、実家はどんどん崩壊しているようです〜
よどら文鳥
恋愛
フィアラの父は、再婚してから新たな妻と子供だけの生活を望んでいたため、フィアラは邪魔者だった。
フィアラは毎日毎日、家事だけではなく父の仕事までも強制的にやらされる毎日である。
だがフィアラが十四歳になったとある日、長く奴隷生活を続けていたデジョレーン子爵邸から抹消される運命になる。
侯爵がフィアラを除名したうえで専属使用人として雇いたいという申し出があったからだ。
金銭面で余裕のないデジョレーン子爵にとってはこのうえない案件であったため、フィアラはゴミのように捨てられた。
父の発言では『侯爵一家は非常に悪名高く、さらに過酷な日々になるだろう』と宣言していたため、フィアラは不安なまま侯爵邸へ向かう。
だが侯爵邸で待っていたのは過酷な毎日ではなくむしろ……。
いっぽう、フィアラのいなくなった子爵邸では大金が入ってきて全員が大喜び。
さっそくこの大金を手にして新たな使用人を雇う。
お金にも困らずのびのびとした生活ができるかと思っていたのだが、現実は……。
妹に出ていけと言われたので守護霊を全員引き連れて出ていきます
兎屋亀吉
恋愛
ヨナーク伯爵家の令嬢アリシアは幼い頃に顔に大怪我を負ってから、霊を視認し使役する能力を身に着けていた。顔の傷によって政略結婚の駒としては使えなくなってしまったアリシアは当然のように冷遇されたが、アリシアを守る守護霊の力によって生活はどんどん豊かになっていった。しかしそんなある日、アリシアの父アビゲイルが亡くなる。次に伯爵家当主となったのはアリシアの妹ミーシャのところに婿入りしていたケインという男。ミーシャとケインはアリシアのことを邪魔に思っており、アリシアは着の身着のままの状態で伯爵家から放り出されてしまう。そこからヨナーク伯爵家の没落が始まった。
【2話完結】両親が妹ばかり可愛がった結果、家は没落しました。
水垣するめ
恋愛
主人公、ウェンディ・モイヤーは妹のソーニャに虐められていた。
いつもソーニャに「虐められた!」と冤罪を着せられ、それを信じた両親に罰を与えられる。
ソーニャのことを溺愛していた両親にどれだけ自分は虐めていないのだ、と説明しても「嘘をつくな!」と信じて貰えなかった。
そして、ウェンディが十六歳になった頃。
ソーニャへの両親の贔屓はまだ続いていた。
それだけではなく、酷くなっていた。
ソーニャが欲しいと言われれば全て与えられ、ウェンディは姉だからと我慢させられる。
ソーニャは学園に通えたが、ウェンディは通わせて貰えなかったので、自分で勉強するしかなかった。
そしてソーニャは何かと理由をつけてウェンディから物を奪っていった。
それを父や母に訴えても「姉だから我慢しろ」と言われて、泣き寝入りするしかなかった。
驚いたことに、ソーニャのウェンディにしていることを虐めだとは認識していないようだった。
それどころか、「姉だから」という理由で全部無視された。
全部、ぜんぶ姉だから。
次第に私の部屋からはベットと机とソーニャが読むのを嫌った本以外には何も無くなった。
ソーニャのウェンディに対しての虐めは次第に加速していった。
そしてある日、ついに両親から「お前は勘当する!」と追放宣言をされる。
両親の後ろではソーニャが面白くて堪えられない、といった様子でウェンディが追放されるのを笑っていた。
あの空っぽの部屋を見てもまだウェンディがソーニャを虐めていると信じている両親を見て、この家にいても奪われ続けるだけだと悟ったウェンディは追放を受け入れる。
このモイヤー家に復讐すると誓って。
冤罪だと誰も信じてくれず追い詰められた僕、濡れ衣が明るみになったけど今更仲直りなんてできない
一本橋
恋愛
女子の体操着を盗んだという身に覚えのない罪を着せられ、僕は皆の信頼を失った。
クラスメイトからは日常的に罵倒を浴びせられ、向けられるのは蔑みの目。
さらに、信じていた初恋だった女友達でさえ僕を見限った。
両親からは拒絶され、姉からもいないものと扱われる日々。
……だが、転機は訪れる。冤罪だった事が明かになったのだ。
それを機に、今まで僕を蔑ろに扱った人達から次々と謝罪の声が。
皆は僕と関係を戻したいみたいだけど、今更仲直りなんてできない。
※小説家になろう、カクヨムと同時に投稿しています。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
ズボラ通販生活
ice
ファンタジー
西野桃(にしのもも)35歳の独身、オタクが神様のミスで異世界へ!貪欲に通販スキル、時間停止アイテムボックス容量無限、結界魔法…さらには、お金まで貰う。商人無双や!とか言いつつ、楽に、ゆるーく、商売をしていく。淋しい独身者、旦那という名の奴隷まで?!ズボラなオバサンが異世界に転移して好き勝手生活する!
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
異世界楽々通販サバイバル
shinko
ファンタジー
最近ハマりだしたソロキャンプ。
近くの山にあるキャンプ場で泊っていたはずの伊田和司 51歳はテントから出た瞬間にとてつもない違和感を感じた。
そう、見上げた空には大きく輝く2つの月。
そして山に居たはずの自分の前に広がっているのはなぜか海。
しばらくボーゼンとしていた和司だったが、軽くストレッチした後にこうつぶやいた。
「ついに俺の番が来たか、ステータスオープン!」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる