マイダンジョン育成中

どらいあい

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第35話

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 そもそもの話だが、何故ハルカやアヤメがモンスターの襲撃がわかるのかと言うと。
 我がダンジョンの周囲には目には見えないドーム状のバリアのようなものがあるらしいのだ。

 そのバリアがモンスターの侵入を阻むらしいが中には無理矢理入ってくるモンスターがいる。
 それを感知することで次のモンスターがいつ頃来るのか、どれだけの規模でくるのかがハルカとアヤメにはわかるらしい。

 そのバリアを貼っているのがそもそもダンジョンコアであるハルカとアヤメなのだそうだ。

「そのバリアは三重の構造になっていて、まずはそこでダンジョンに侵入しようとする敵を弾いて数を減らす。あとは侵入する時間を調整することでいつ頃モンスターが出現するのかも私たちがある程度コントロールにできるというわけなのよ」

 それはすごい、だったら朝とかじゃなくて工藤さんが問題なくやってこれる時間帯とかに時間を今後は調整してもらえると欲しいな。

 何でも彼女は大学生らしく大学が忙しい時は遅くまで来れない時もままあるのだ、だから時間の調整がある程度できるという話はとても助かる。

「なるほどそれで今後雇う探索者たちはそのあたりの時間調整を行った上で問題なく対応できる人材をってわけだ」

「その通りよ、あなたたち人間はどうしても好きな時にいつでもダンジョンに来て戦えるという人間たちばかりではないでしょ? そのあたりを調整して今用意できる最大の戦力で四度目の襲撃を迎え撃ちたいってわけなの」

 ハルカがここまで言うのだ、次は一体何隻のスケルトンシップが現れるというのだろう。
 これを私も気を引き締めないといけないようだ 。

「今回の話は私が口を出さないわけにもいかないから、人の姿でここに来たかったの」

「分かった、それじゃあ受付の方に行こう」

 ダンジョンセンターの中に入り受付窓口へと向かおうとする。
 すると私は声をかけられた。

「あっ一河さん、今日はダンジョンセンターに来たんですか?」

「工藤さん」

 話しかけてきたのは工藤さんだ、どうやらダンジョンセンターに用事でもあったのか。

「実はまた新しい依頼を出そうかと思っていて…」

「新しい依頼ですか、というかそちらの方はハルカさんですよね? ダンジョンの外でその姿を見るのは初めてですね」

 工藤さんもダンジョンの外で女性の姿をしたハルカと会ったことがあるわけないもんな、意外そうな顔をしている工藤さんだ。

「一応彼女にも話をしておくべきかな」

「そうね無関係というわけにもいかないから話をしましょう」

「何の話ですか、その新しい依頼と関係があるんですか?」

 我々はダンジョンセンターのすみっこに移動してちょっとしたコソコソ話をする。
 モンスターの襲撃について話したら工藤さんも難しい顔をした。

「……大規模な襲撃ですか、それはもっと細かい規模は分かったりしますか?」

「無理ね、私にわかるのは今までで最大の戦力だった時の数倍の規模ということだけよ」

「今までの最大というと……」

「あのスケルトンサモナーとかいうのがいた時ね、その時とすら比べ物にならない規模のはずよ」

 ハルカの言葉に工藤さんも私も押し黙ってしまった、あの時のダンジョンに上陸を許した連中が話にならないような規模か。
 めっちゃ怖いんですけど。

「その話が本当ならこちらもかなりの数の探索者が必要になりますね。払う報酬のことを考えれば数百万以上は必要になると思いますよ」

 すっ数百万!?
 私は鼻血が噴き出すかと思った。

「…いくら何でも数百万なんて金はないな~」

「そうですか、ちなみに必要な戦力というのは戦闘に特化した戦力が必要とことなんですか?」

「いいえ、どちらかというとダンジョンにモンスターが上陸してきた時にモンスターがダンジョンの中を好き勝手移動するような事態に備えてそういうモンスターたちを一匹残らず掃除できるよう人員を揃えたいっていうのが本音かしらね」

「……そのモンスターの襲撃の方に直接当てる戦力ではないんですか?」

「そっちについては私とアヤメそしてヒロキさんがいるから油断さえしなければ大半は海上で始末出来るわ」

「……そうですか」

 自信たっぷりにハルカは言うがそんなやばいやばいと言われる規模の戦力をアラサーと彼女たち2人でどうしようというのだろうか。
 そんなのいくらなんでも無理ゲーだろ。

「……戦闘力に特化する必要がないというのならもしかしたら数人は人数を集められるかもしれませんよ、それも報酬も格安で」

「えっ本当ですか工藤さん!?」

 工藤さんは探索者として実力があるのは知っているが、そんな人脈まであるとはまだ大学生なんだよね? アラサーの私より立派な社会の大人のような気配を感じる。

 ダンジョン以外何も持っていない無職はそんな立派な彼女に負けたような気分になった。
 いや今はそんなこと言ってる場合じゃない、工藤さんの話を聞く必要があるな。

「その話を詳しくお願いします」
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