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第11話
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そして翌日の午前中である。
その日、ちょっと大変なことが起こった。
「……何ですかあれは?」
「何なのかしらね、あれは…」
「多分だけどあれって帆船ってやつよ」
帆船? 知ってる。
あの大海賊時代の富とか力とか名声がひとつなぎな秘宝を求める大人気漫画でよく登場する帆を張って海を進む船である。
当たり前の話だがイカダよりずっと大きく人間が軽く数十人は乗れる規模の木造船である。そんなのが3隻ほど我がダンジョン島から遠目に見えていた。
「…おかしくないかな?」
それが正直な感想である多少遠目からでもわかるのだが乗組員はスケルトンである。風に乗ってヤツらの聞き慣れた鳴き声が聞こえるからわかる。
スケルトンって船を操ることもできるのか。やはり骸骨の元は人間だったりするのか?
スケルトンすごいな……なんて言ってる場合じゃないぞ。ヤバいって。
「どうするあれ、勝てるんのかな?」
「勝つしかないわ」
「勝てなかったらヒロキ君のダンジョン育成計画もパーだしね~」
ダンジョンコアである2人はやけに冷静だ。まあまだ島に上陸されたわけでもないからな、ここは冷静に行動するのが大事なんだろう。
「しかし現実問題としてあの立派な帆船を2人のスキルでどうにかできるんのかい?」
「そこはまあ……あれかしら?」
「そうそうっあれよあれ!」
アレとは一体?
2人と出会って日が浅い私にはまるで分からない会話のキャッチボール。
「それを考えるのがヒロキ君の仕事ってことよ!」
「私たちはそれに力を貸す、それだけよ」
「……………」
マジかよ君たち。この土壇場でまさかの丸投げ?
私のような何の取りようもないおっさんに何ができるって言うのだ。
2人を見るとハルカとアヤメの2人もこちらをじっと見ている。
何を期待しているのだ2人とも、私に何とかできるわけないじゃん。
しかしそんな事を言っても仕方がないのが現実だ、何か考えなければならない。
「3人で向こうの世界に避難してダンジョンゲートを消すのはどう?」
「ダンジョンが制圧された時点でダンジョンコアである私たちは消滅してしまうわ、だから駄目よ」
そんな話聞いてないよ? しかし逃げるのは駄目か…。
「なら何かお宝でも渡して引き返してもらうとかは…」
「そんな宝なんてないわよ~それにスケルトンって強欲だから弱いと見たヤツと取引なんて絶対にしないで略奪してくるわ」
スケルトンって強欲なの? ますます高まる元は人間説だ。
ならば…う~ん、う~~~ん。
「…………………」
「ヒロキさん?」
「ヒロキ君?」
なんとか考える。
無駄にご立派なスケルトンシップが3隻とかシャレにならない、1隻でも島にたどり着いて乗組員をやってるスケルトンたちがゾロゾロ現れたらやはり勝ち目はないだろう。
ならば海上であの船を破壊して沈めるしかない。
もう少し距離が近づけばハルカとアヤメが銃に変身しその銃撃が届く距離になる。
だがここからスケルトンを狙ったとしても全員倒せるかは分からない。
ならば………。
「まあやれるだけやってみます。2人とも銃に変身してくれる?」
「頼むわよ」
「分かったわ~」
我々は行動を開始した。
幸いスケルトンシップは同じ方向に現れている。
まずは砂浜を移動し一番近い場所まで来た。既に2人は自分が装備している。
「よしまずは牽制の……ん?」
こちらが仕掛けようとすると向こうのスケルトンシップの方が騒がしくなった。
何だと思い観察すると何やら弓矢を持ってるスケルトンやクロスボウを持っているスケルトンが船上の前方に現れた。
まさかと思っていると矢を放ってきた。
それが思いのほかよく飛んでこちらの目の前、青い海面に届いている。
何ということだ、あの数で遠距離攻撃とかされたらこっちが銃であっても数の差で向こうに押し切られてしまう。
これは早々に敵を減らさなければ!
「まずはアヤメのスキルで船の上にいるスケルトンたちの行動を阻害してほしい」
「了解」
アヤメが変身した銃、アヤメガンを前方のスケルトンシップに乗っている遠距離攻撃スケルトンたちに向ける。
照準を微調整しアヤメにからの発射の指示を待つ。
「………今よ!」
「了解! 『黒鎖弾』! 『黒鎖弾』!」
3隻のスケルトンシップにそれぞれ数発ずつアヤメの攻撃スキルを仕掛けた。銃弾が着弾した場所から黒い鎖が出現し、スケルトンシップの上のスケルトンたちを縛り付ける。
向こうからの矢が止んだ今がチャンスだ。
「ハルカ、次は船の下半分を狙う」
「わかったわ」
銃に変身したのでハルカガンである。ハルカガンの銃口をスケルトンシップに向ける。狙いは帆船の下半分、そこに風穴を開けて船を沈めるのだ。
それが俺の目的である。
何もスケルトンシップに大量に乗っているスケルトンを全て倒す必要はない。スケルトン共の乗っている船を3隻沈めればこちらは勝ちなのだから。
そしてその方法とは船の下あたりを攻撃して、どでかい穴でも開けてやれば大抵の船は沈む。多分ハルカの攻撃スキルならそれができる。
「ヒロキさん今よ!」
「『黒刃弾』! 『黒刃弾』! 『黒刃弾』!」
攻撃スキルを伴い放たれた銃弾はまっすぐ船の方に飛んで行き着弾する。
そこから黒い刃が無数に出現し船に刃をつきたて木造の船体に亀裂を作った。
そして船はぐらつき始め、ゆっくりと沈み始める。 作戦は成功だ。
その日、ちょっと大変なことが起こった。
「……何ですかあれは?」
「何なのかしらね、あれは…」
「多分だけどあれって帆船ってやつよ」
帆船? 知ってる。
あの大海賊時代の富とか力とか名声がひとつなぎな秘宝を求める大人気漫画でよく登場する帆を張って海を進む船である。
当たり前の話だがイカダよりずっと大きく人間が軽く数十人は乗れる規模の木造船である。そんなのが3隻ほど我がダンジョン島から遠目に見えていた。
「…おかしくないかな?」
それが正直な感想である多少遠目からでもわかるのだが乗組員はスケルトンである。風に乗ってヤツらの聞き慣れた鳴き声が聞こえるからわかる。
スケルトンって船を操ることもできるのか。やはり骸骨の元は人間だったりするのか?
スケルトンすごいな……なんて言ってる場合じゃないぞ。ヤバいって。
「どうするあれ、勝てるんのかな?」
「勝つしかないわ」
「勝てなかったらヒロキ君のダンジョン育成計画もパーだしね~」
ダンジョンコアである2人はやけに冷静だ。まあまだ島に上陸されたわけでもないからな、ここは冷静に行動するのが大事なんだろう。
「しかし現実問題としてあの立派な帆船を2人のスキルでどうにかできるんのかい?」
「そこはまあ……あれかしら?」
「そうそうっあれよあれ!」
アレとは一体?
2人と出会って日が浅い私にはまるで分からない会話のキャッチボール。
「それを考えるのがヒロキ君の仕事ってことよ!」
「私たちはそれに力を貸す、それだけよ」
「……………」
マジかよ君たち。この土壇場でまさかの丸投げ?
私のような何の取りようもないおっさんに何ができるって言うのだ。
2人を見るとハルカとアヤメの2人もこちらをじっと見ている。
何を期待しているのだ2人とも、私に何とかできるわけないじゃん。
しかしそんな事を言っても仕方がないのが現実だ、何か考えなければならない。
「3人で向こうの世界に避難してダンジョンゲートを消すのはどう?」
「ダンジョンが制圧された時点でダンジョンコアである私たちは消滅してしまうわ、だから駄目よ」
そんな話聞いてないよ? しかし逃げるのは駄目か…。
「なら何かお宝でも渡して引き返してもらうとかは…」
「そんな宝なんてないわよ~それにスケルトンって強欲だから弱いと見たヤツと取引なんて絶対にしないで略奪してくるわ」
スケルトンって強欲なの? ますます高まる元は人間説だ。
ならば…う~ん、う~~~ん。
「…………………」
「ヒロキさん?」
「ヒロキ君?」
なんとか考える。
無駄にご立派なスケルトンシップが3隻とかシャレにならない、1隻でも島にたどり着いて乗組員をやってるスケルトンたちがゾロゾロ現れたらやはり勝ち目はないだろう。
ならば海上であの船を破壊して沈めるしかない。
もう少し距離が近づけばハルカとアヤメが銃に変身しその銃撃が届く距離になる。
だがここからスケルトンを狙ったとしても全員倒せるかは分からない。
ならば………。
「まあやれるだけやってみます。2人とも銃に変身してくれる?」
「頼むわよ」
「分かったわ~」
我々は行動を開始した。
幸いスケルトンシップは同じ方向に現れている。
まずは砂浜を移動し一番近い場所まで来た。既に2人は自分が装備している。
「よしまずは牽制の……ん?」
こちらが仕掛けようとすると向こうのスケルトンシップの方が騒がしくなった。
何だと思い観察すると何やら弓矢を持ってるスケルトンやクロスボウを持っているスケルトンが船上の前方に現れた。
まさかと思っていると矢を放ってきた。
それが思いのほかよく飛んでこちらの目の前、青い海面に届いている。
何ということだ、あの数で遠距離攻撃とかされたらこっちが銃であっても数の差で向こうに押し切られてしまう。
これは早々に敵を減らさなければ!
「まずはアヤメのスキルで船の上にいるスケルトンたちの行動を阻害してほしい」
「了解」
アヤメが変身した銃、アヤメガンを前方のスケルトンシップに乗っている遠距離攻撃スケルトンたちに向ける。
照準を微調整しアヤメにからの発射の指示を待つ。
「………今よ!」
「了解! 『黒鎖弾』! 『黒鎖弾』!」
3隻のスケルトンシップにそれぞれ数発ずつアヤメの攻撃スキルを仕掛けた。銃弾が着弾した場所から黒い鎖が出現し、スケルトンシップの上のスケルトンたちを縛り付ける。
向こうからの矢が止んだ今がチャンスだ。
「ハルカ、次は船の下半分を狙う」
「わかったわ」
銃に変身したのでハルカガンである。ハルカガンの銃口をスケルトンシップに向ける。狙いは帆船の下半分、そこに風穴を開けて船を沈めるのだ。
それが俺の目的である。
何もスケルトンシップに大量に乗っているスケルトンを全て倒す必要はない。スケルトン共の乗っている船を3隻沈めればこちらは勝ちなのだから。
そしてその方法とは船の下あたりを攻撃して、どでかい穴でも開けてやれば大抵の船は沈む。多分ハルカの攻撃スキルならそれができる。
「ヒロキさん今よ!」
「『黒刃弾』! 『黒刃弾』! 『黒刃弾』!」
攻撃スキルを伴い放たれた銃弾はまっすぐ船の方に飛んで行き着弾する。
そこから黒い刃が無数に出現し船に刃をつきたて木造の船体に亀裂を作った。
そして船はぐらつき始め、ゆっくりと沈み始める。 作戦は成功だ。
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