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第7話
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とりあえず私はダンジョンセンターへ向かった。
ダンジョンセンターとはダンジョンで稼ぐ探索者たちが集まる国が経営する探索者たちの活動の拠点である。
ダンジョンで手に入れた様々な資源やアイテムの販売からダンジョンに関する情報の共有、一緒に探索をする仲間の募集やクエストの斡旋など。
さながらその手の冒険小説とかゲームで行われてそうなことをリアルでやっている場所だ。
建物の見た目は立派なビルであり内装も当然現在様式だ。
さすがにそんなとこまでゲーム仕様になったりはしないか。
しかしそれでも探索者の中にはあなたはこれから冒険に行くんですか?
と言った軽装の革鎧を着込んだ姿をしているものや奇抜な格好をしているもの もちらほらいる(中にはとあるゲームの遊び人の格好に近い装備をしてる人とかいた!)。
無論大半はそんな過去のやり過ぎハロウィンイベントの時の日本人みたいな感じではない。
まあそんな事は今は気にする必要もない。
とにかく私が今日ダンジョンセンターに来た目的は我がダンジョンで手に入れたアイテムを売る為である。
あの綺麗な青い貝殻とか島に生えている雑草や花とかを適当に抜いて持ってきた。
これら全てダンジョンにあったものだ、私が知らないだけで何かしら価値のあるダンジョン資源の可能性もある。
物は試しにとハルカとアヤメと相談しお金にならないかなと思ってきたのだ。
正直子供のお小遣いにすらなるとは思えない、それでも元手がタダで手に入るものがお金に変わるかもしれないのがダンジョンだ。
そんなわずかな可能性にかけて私はここに来た。
家にあった小さめの段ボール箱に適当に入れられた雑草や花や貝殻やらはさながら子供の頃に持っていた宝箱のような感じである。
アラサーも過ぎたいい大人がそんな宝箱を手に探索者が集まるダンジョンセンターに来ている。端から見るとちょっとかわいそうな光景だろうな。
そんなことを考えながら自分の番号が呼ばれるのを待つこと十数分。
「番号札62番の方、5番窓口にお越しください」
おっ呼ばれた、呼ばれた。
それじゃあ行くとしますか。
5番窓口の椅子に腰を下ろす。
「おはようございます、今日はどのようなご用件でいらっしゃいましたか?」
「はいっ実は……あっ」
要件を説明しようとしてふと気づいた、目の前の 女性職員さんこの前の初心者探索者へのダンジョン講習で教官役をしていた金髪の女性職員さんである。
あの時は本当に何かしらの女教官のコスプレみたいなのをしていて、何より遠目だったから金髪の女性という事しか分からなかったが。
今は目の前なので顔立ちも整っていて日本人離れしてることがわかる、外人さん、いやハーフさんなのかな。胸元の名札を見ると月城という苗字だけが記されていた。
年齢は20代前半くらい若くてプロポーションも日本人離れしている、この人は絶対にモテてる人だろうなと見た目だけで判断出来る。
そうアラサーの自分でも一目でわかるくらい器量が良い美人さんだ。
「……どうかしましたか?」
「いえ、何でもありません」
ボケ~っとしてた。
いきなり金髪の美人さんが目の前に現れたので面食らってましたとはさすがに言えんよねいい大人が。
さて気を取り直して自分の今後のダンジョン育成計画の為の第一歩。
この0円アイテム詰め合わせがお金になるかどうかを確認させてもらおう。
自分は勤めて冷静な感じを装い子供の頃の宝箱を月城さんの前に出した。
月城さんは目の前にある宝箱じっと見る。
「これは……何でしょうか?」
「ダンジョンで見つけたものです、私は探索者になってまだまだ日が浅くてどういったものをこのダンジョンセンターで買い取ってくれるのかよくわかってなくて……それでとりあえず目についたものを適当に持ってきたんです」
事前に用意していた言葉をつらつらと話す。
見た目はアラサーでも初心者探索者なのは事実だ。そう言うしょうもない肩書きもこういう時には便利なもんである。
どんな業界の人間にだって初めてはあるのだ、何も恥じることはない、たとえここでこれらはただのゴミですと言われても笑ってやっぱりそうでしたかという準備も脳内シュミレーションしてきた。
月城さんは宝箱に入れた雑草や花には一切目を向けず、小さな貝殻の方を手に取った。
やはり雑草は雑草らしいまあ当たり前か。
しかしその小さな青い貝殻を手にしていた彼女の目がわずかに開いた。
「これはまさか……」
「どうかしたんですか?」
「…少しお待ちください、調べますので」
すると月城さんは職員側のカウンターに置かれたノートパソコンで何やら調べ始めた。
待つこと数分、どうやら調べていた情報を見つけたようである。
次にルーペを取り出し、青い貝殻を細かい部分までを見ながらノートパソコンの画面もチラチラと見ている。そして一呼吸おいて呟くように言った。
「どうやら間違いないみたいですね」
月城さんがこちらを見る、これから話す内容が気になる私だ。
「こちらの青い貝殻はダンジョン産のアイテムの一つ『ブルーシェル』のという貝殻です。小さめですがこの貝殻はダンジョンの中に存在し様々なアイテムの材料となることで有名ですね。このダンボールの中にはそれなりの量この『ブルーシェル』が入ってるので買い取りは可能です」
買い取り可能だった、やった! やったぞ!
元手タダの貝殻が売れるとかまさにダンジョンドリームだ!
……規模はショボいけど。ともかく私は努めて笑顔で話をする。
「そうなんですか、ちなみにいくらくらいになるでしょうか」
「少しお待ちください、査定をしてきますので」
月城さんはそう言うとそのダンボールを手にしてカウンターの奥へと消えた。
ダンジョンセンターとはダンジョンで稼ぐ探索者たちが集まる国が経営する探索者たちの活動の拠点である。
ダンジョンで手に入れた様々な資源やアイテムの販売からダンジョンに関する情報の共有、一緒に探索をする仲間の募集やクエストの斡旋など。
さながらその手の冒険小説とかゲームで行われてそうなことをリアルでやっている場所だ。
建物の見た目は立派なビルであり内装も当然現在様式だ。
さすがにそんなとこまでゲーム仕様になったりはしないか。
しかしそれでも探索者の中にはあなたはこれから冒険に行くんですか?
と言った軽装の革鎧を着込んだ姿をしているものや奇抜な格好をしているもの もちらほらいる(中にはとあるゲームの遊び人の格好に近い装備をしてる人とかいた!)。
無論大半はそんな過去のやり過ぎハロウィンイベントの時の日本人みたいな感じではない。
まあそんな事は今は気にする必要もない。
とにかく私が今日ダンジョンセンターに来た目的は我がダンジョンで手に入れたアイテムを売る為である。
あの綺麗な青い貝殻とか島に生えている雑草や花とかを適当に抜いて持ってきた。
これら全てダンジョンにあったものだ、私が知らないだけで何かしら価値のあるダンジョン資源の可能性もある。
物は試しにとハルカとアヤメと相談しお金にならないかなと思ってきたのだ。
正直子供のお小遣いにすらなるとは思えない、それでも元手がタダで手に入るものがお金に変わるかもしれないのがダンジョンだ。
そんなわずかな可能性にかけて私はここに来た。
家にあった小さめの段ボール箱に適当に入れられた雑草や花や貝殻やらはさながら子供の頃に持っていた宝箱のような感じである。
アラサーも過ぎたいい大人がそんな宝箱を手に探索者が集まるダンジョンセンターに来ている。端から見るとちょっとかわいそうな光景だろうな。
そんなことを考えながら自分の番号が呼ばれるのを待つこと十数分。
「番号札62番の方、5番窓口にお越しください」
おっ呼ばれた、呼ばれた。
それじゃあ行くとしますか。
5番窓口の椅子に腰を下ろす。
「おはようございます、今日はどのようなご用件でいらっしゃいましたか?」
「はいっ実は……あっ」
要件を説明しようとしてふと気づいた、目の前の 女性職員さんこの前の初心者探索者へのダンジョン講習で教官役をしていた金髪の女性職員さんである。
あの時は本当に何かしらの女教官のコスプレみたいなのをしていて、何より遠目だったから金髪の女性という事しか分からなかったが。
今は目の前なので顔立ちも整っていて日本人離れしてることがわかる、外人さん、いやハーフさんなのかな。胸元の名札を見ると月城という苗字だけが記されていた。
年齢は20代前半くらい若くてプロポーションも日本人離れしている、この人は絶対にモテてる人だろうなと見た目だけで判断出来る。
そうアラサーの自分でも一目でわかるくらい器量が良い美人さんだ。
「……どうかしましたか?」
「いえ、何でもありません」
ボケ~っとしてた。
いきなり金髪の美人さんが目の前に現れたので面食らってましたとはさすがに言えんよねいい大人が。
さて気を取り直して自分の今後のダンジョン育成計画の為の第一歩。
この0円アイテム詰め合わせがお金になるかどうかを確認させてもらおう。
自分は勤めて冷静な感じを装い子供の頃の宝箱を月城さんの前に出した。
月城さんは目の前にある宝箱じっと見る。
「これは……何でしょうか?」
「ダンジョンで見つけたものです、私は探索者になってまだまだ日が浅くてどういったものをこのダンジョンセンターで買い取ってくれるのかよくわかってなくて……それでとりあえず目についたものを適当に持ってきたんです」
事前に用意していた言葉をつらつらと話す。
見た目はアラサーでも初心者探索者なのは事実だ。そう言うしょうもない肩書きもこういう時には便利なもんである。
どんな業界の人間にだって初めてはあるのだ、何も恥じることはない、たとえここでこれらはただのゴミですと言われても笑ってやっぱりそうでしたかという準備も脳内シュミレーションしてきた。
月城さんは宝箱に入れた雑草や花には一切目を向けず、小さな貝殻の方を手に取った。
やはり雑草は雑草らしいまあ当たり前か。
しかしその小さな青い貝殻を手にしていた彼女の目がわずかに開いた。
「これはまさか……」
「どうかしたんですか?」
「…少しお待ちください、調べますので」
すると月城さんは職員側のカウンターに置かれたノートパソコンで何やら調べ始めた。
待つこと数分、どうやら調べていた情報を見つけたようである。
次にルーペを取り出し、青い貝殻を細かい部分までを見ながらノートパソコンの画面もチラチラと見ている。そして一呼吸おいて呟くように言った。
「どうやら間違いないみたいですね」
月城さんがこちらを見る、これから話す内容が気になる私だ。
「こちらの青い貝殻はダンジョン産のアイテムの一つ『ブルーシェル』のという貝殻です。小さめですがこの貝殻はダンジョンの中に存在し様々なアイテムの材料となることで有名ですね。このダンボールの中にはそれなりの量この『ブルーシェル』が入ってるので買い取りは可能です」
買い取り可能だった、やった! やったぞ!
元手タダの貝殻が売れるとかまさにダンジョンドリームだ!
……規模はショボいけど。ともかく私は努めて笑顔で話をする。
「そうなんですか、ちなみにいくらくらいになるでしょうか」
「少しお待ちください、査定をしてきますので」
月城さんはそう言うとそのダンボールを手にしてカウンターの奥へと消えた。
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