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第四章 迫る魔の手
第99話
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「あーもうクソ重たいなこれ…」
いや実際に大した重さは感じてはいないのだ、俺のステータスはおかしいからな。
俺は一度入り口付近に引き返し、スライムの魔石を詰め込む為に用意した袋にゲットした魔石とアイテムをパンパンに詰め込む。
ただのスライムの魔石? そんなのゴミなので空へと捨てちまったよ。
落ちるお宝を必死に集めたがそれでも大半があの雲海に飲み込まれて消えてしまったがな。
何なんだろうな、金に不自由はしなくなったはずなのに目の前で大金が消えるとどうしても心のどこかが寂しくなってしまう。
これはきっと何か哲学的なアレかな~って気がするのだ…気のせいだな。
俺は自身の感情をつまらない貧乏性のせいにすることにした。
いつまでも欲に目をくらましてるわけにもいかないのでさっさとダンジョン探索に戻ろうと思う。
と言っても空に現れたスライムは完全に殲滅出来たみたいで後は一気にあの一番目立つ岩が集まっている場所に行けばいいのだろう。
「待ってろよミルティ、俺に喧嘩を売ったこと後悔させてやる」
俺はパンパンに膨らんだ袋を脇に挟んで飛翔した。
その後はどれだけ空を高速で飛んでも 新たなスライムが現れることはなかった。
一気に加速した俺はこのダンジョンの一番奥へ辿り着く。
そこで俺の感知センサーがダンジョンの奥にいる三つの存在を感知した。
そのうちの二つはよく知っている今宮と守咲だ。
そしてもう一つこれはミルティだろう。
しかし以前会った時とは明らかに気配の質が違った。文字通り猫を被っていたというわけか?
この俺がモンスターと人間との判断を誤ってしまったんだ、随分とうまく化けたもんだな…。
最も、多少の間が空いたとはいえ奴らは俺の逆鱗に触れたことに変わりはない、 あった瞬間に瞬殺してしまうかもしれないけどな。
俺は意識を集中し聞き耳を立てた。
奴らがあの大きな岩が集まった場所のどこにいるかを探し出そうと思ったからだ。
しかし『神殺し(偽)』の称号のステータス補正を受けた俺の耳は異常にその感度が高い、やつらが何かしらの会話が聞こえてきたのだ。
どうやら今宮と守咲はあの写真を撮られた後に目覚めたらしいな、そして会話が聞こえるということは生きているということだろう。
俺はほっと胸を撫で下ろした。
さて声が聞こえるということはそれなりに近いはずだ、連中の会話自体にそこまで興味はないのだが一応聞き耳を全力で立ててみるか。
「ミルティさん! どうしてこんなことを!?」
「そうですよ、一体何の恨みがあって」
「私が恨みがあるのは貴女たちではありませんわ」
「そんな……それじゃあ一体、誰への恨みがあって」
「………やっぱり、先輩ですか? 先輩がセクハラ紛いの発言だったり視線をその大きな胸にガンガンぶつけたりしてたんですか?」
今宮のバカはこの状況で何を馬鹿なことを言ってやがんだ?
本当にあいつはアホじゃないのか。
「……違います。セクハラというのは関係ありません、ただあの男は私を力ずくで倒して…色々と奪おうとした…というか奪ったのですわ」
言い方。
その言い方だと完全にあれじゃねえか、こいつ狙って言ってやがるのか。
俺がやつから奪ったのってなんだ?
あの部位ドロップのロザリオの事か?
「嘘です! 歩さんはそんなことをするような人間ではありません!」
「いや~~先輩と長年バイト仲間だった私から言わせると先輩は顔が良くて胸の大きい女の人にはだらしないくらい甘い人間ですからね~いつその歪んだ欲望が…」
今宮のタコが俺がいない事を良い事に好き勝手に暴走しとる、もうあいつは本当にこのダンジョンの一番奥に置いてきてもいいんじゃないのか。
「あの男のドスケベ 談義などどうでもいいのですわ、貴女たちはあの男をこのダンジョンに呼び寄せるための餌……まあ多少は親しくした相手ですので危害を加えるつもりはありません。ただここで大人しく待っていてもらいます」
ドスケベ談義、その言葉のせいでちょっと良いこと言った感じもパーだよコノヤロウ。
ミルティ、貴様は確実にこの場で滅ぼしてやるからな。
守咲が「顔が良くて…胸がですか…」と言って自分の顔や胸を気にするようにつぶやいていた。
うちの弟子の精神教育上よろしくないバカ2人の影響だ。
これはいけない、さっさとあの場に乱入してミルティを粉砕し今宮のアホを引っ叩たかなければならないようだ。
連中の姿を目視することが出来た、全然ピンチって感じはしないのだが一応は登場しとくか。
「……やはり空から来ましたか、相変わらず規格外と言ったところですね」
どうやら向こうさんはこっちの接近に気づいたようだ。
上等だ負け犬の逆恨みなんて知ったこっちゃない。
「この場で完全に消し飛ばしてやるぞクソ七光りが!」
ついでに今宮のやつにはここに放置しとこうかな。
ソレはともかく俺とミルティのリベンジマッチが幕を開けた。
いや実際に大した重さは感じてはいないのだ、俺のステータスはおかしいからな。
俺は一度入り口付近に引き返し、スライムの魔石を詰め込む為に用意した袋にゲットした魔石とアイテムをパンパンに詰め込む。
ただのスライムの魔石? そんなのゴミなので空へと捨てちまったよ。
落ちるお宝を必死に集めたがそれでも大半があの雲海に飲み込まれて消えてしまったがな。
何なんだろうな、金に不自由はしなくなったはずなのに目の前で大金が消えるとどうしても心のどこかが寂しくなってしまう。
これはきっと何か哲学的なアレかな~って気がするのだ…気のせいだな。
俺は自身の感情をつまらない貧乏性のせいにすることにした。
いつまでも欲に目をくらましてるわけにもいかないのでさっさとダンジョン探索に戻ろうと思う。
と言っても空に現れたスライムは完全に殲滅出来たみたいで後は一気にあの一番目立つ岩が集まっている場所に行けばいいのだろう。
「待ってろよミルティ、俺に喧嘩を売ったこと後悔させてやる」
俺はパンパンに膨らんだ袋を脇に挟んで飛翔した。
その後はどれだけ空を高速で飛んでも 新たなスライムが現れることはなかった。
一気に加速した俺はこのダンジョンの一番奥へ辿り着く。
そこで俺の感知センサーがダンジョンの奥にいる三つの存在を感知した。
そのうちの二つはよく知っている今宮と守咲だ。
そしてもう一つこれはミルティだろう。
しかし以前会った時とは明らかに気配の質が違った。文字通り猫を被っていたというわけか?
この俺がモンスターと人間との判断を誤ってしまったんだ、随分とうまく化けたもんだな…。
最も、多少の間が空いたとはいえ奴らは俺の逆鱗に触れたことに変わりはない、 あった瞬間に瞬殺してしまうかもしれないけどな。
俺は意識を集中し聞き耳を立てた。
奴らがあの大きな岩が集まった場所のどこにいるかを探し出そうと思ったからだ。
しかし『神殺し(偽)』の称号のステータス補正を受けた俺の耳は異常にその感度が高い、やつらが何かしらの会話が聞こえてきたのだ。
どうやら今宮と守咲はあの写真を撮られた後に目覚めたらしいな、そして会話が聞こえるということは生きているということだろう。
俺はほっと胸を撫で下ろした。
さて声が聞こえるということはそれなりに近いはずだ、連中の会話自体にそこまで興味はないのだが一応聞き耳を全力で立ててみるか。
「ミルティさん! どうしてこんなことを!?」
「そうですよ、一体何の恨みがあって」
「私が恨みがあるのは貴女たちではありませんわ」
「そんな……それじゃあ一体、誰への恨みがあって」
「………やっぱり、先輩ですか? 先輩がセクハラ紛いの発言だったり視線をその大きな胸にガンガンぶつけたりしてたんですか?」
今宮のバカはこの状況で何を馬鹿なことを言ってやがんだ?
本当にあいつはアホじゃないのか。
「……違います。セクハラというのは関係ありません、ただあの男は私を力ずくで倒して…色々と奪おうとした…というか奪ったのですわ」
言い方。
その言い方だと完全にあれじゃねえか、こいつ狙って言ってやがるのか。
俺がやつから奪ったのってなんだ?
あの部位ドロップのロザリオの事か?
「嘘です! 歩さんはそんなことをするような人間ではありません!」
「いや~~先輩と長年バイト仲間だった私から言わせると先輩は顔が良くて胸の大きい女の人にはだらしないくらい甘い人間ですからね~いつその歪んだ欲望が…」
今宮のタコが俺がいない事を良い事に好き勝手に暴走しとる、もうあいつは本当にこのダンジョンの一番奥に置いてきてもいいんじゃないのか。
「あの男のドスケベ 談義などどうでもいいのですわ、貴女たちはあの男をこのダンジョンに呼び寄せるための餌……まあ多少は親しくした相手ですので危害を加えるつもりはありません。ただここで大人しく待っていてもらいます」
ドスケベ談義、その言葉のせいでちょっと良いこと言った感じもパーだよコノヤロウ。
ミルティ、貴様は確実にこの場で滅ぼしてやるからな。
守咲が「顔が良くて…胸がですか…」と言って自分の顔や胸を気にするようにつぶやいていた。
うちの弟子の精神教育上よろしくないバカ2人の影響だ。
これはいけない、さっさとあの場に乱入してミルティを粉砕し今宮のアホを引っ叩たかなければならないようだ。
連中の姿を目視することが出来た、全然ピンチって感じはしないのだが一応は登場しとくか。
「……やはり空から来ましたか、相変わらず規格外と言ったところですね」
どうやら向こうさんはこっちの接近に気づいたようだ。
上等だ負け犬の逆恨みなんて知ったこっちゃない。
「この場で完全に消し飛ばしてやるぞクソ七光りが!」
ついでに今宮のやつにはここに放置しとこうかな。
ソレはともかく俺とミルティのリベンジマッチが幕を開けた。
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