俺は神殺し!…(偽)~ダンジョンでパパッと稼いで地上ではのんびりスローライフ~

どらいあい

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第三章 雪山ダンジョンでの闘い

第86話

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「さて先ずはあの動くお山の動きを止めるとこからだな」

 ボアンゴの親玉はその巨体に似合わぬスピードでこちらに接近している。
 あんなのに接近されたら元同僚たちも今宮たちも一瞬で踏み潰されるな。

 まず俺はダッシュで接近してそのままジャンプ。
 飛び蹴りをかます。
 俺のキックとヤツの鼻先がぶつかると結構な衝撃波が発生する、同時にヤツの巨体を一瞬だが浮かせることができた。

 このキック一発でもしかしたら死ぬかもと思っていたのだが普通に相手は耐えた。
 やっぱりイノシシンっぽいモンスターを真正面から攻撃してもダメージは通り難いようだ。

「ゴガァアアアァアアアアッ!」

 ボアンゴの親玉が再び咆哮を上げてあのブレスを吐こうとした。
 さすがに後ろにいる連中のことを考えると躱すのはやめた方がいいか。

「ならこいつだ…『レインボーフレア 』!」

 ボアンゴの親玉の攻撃、白銀のブレス が俺に放たれる。
 しかし俺もオーラブレードの先から放った虹色の炎がヤツのブレスとぶつかり合う。

 ちなみにこの時点では俺自身がレインボーフレアを身に纏った訳じゃないので半裸野郎にはなってないぜ!

 さらにこのレインボーな炎を操り俺は背後の左右に大きく広げ壁のようにする。
 この炎に触れればヤツみたいな巨体相手でも火だるまにして焼き殺してやれるかも知れなかっからな。

 しかしその炎の壁を見たボアンゴの親玉は足を止めた。
 まあいいヤツの進軍を止めることができたのなら御の字だ。

 これで当面の間は後ろの連中の安全は確保できるはずだ、俺はなんちゃって双剣をヤツに向ける。

「このスキルを手に入れた以上、最早ボスドロップを蒸発させるなんて愚行は起こさない、さあっお前がどんなレアアイテムを落とすのか楽しみだな!」

 ボアンゴの親玉と俺の戦いが始まった。
  俺は超速ダッシュでボアンゴの親玉のお腹の下に潜る。
 でかすぎる巨体だがその故に真下が死角になる。

 そこに入り込めるんだから意味弱点だろ、一気に接近した俺は右前足へとさらに接近しレインボーフレアを纏った双剣を振るい攻撃する。

「!?」

 この一撃で終わるかと思ったら無理だった。
 炎がヤツに当たると凍りやがったのだ。
 レインボーフレアに対する何らかの耐性スキルか?
 仕方ない、物理で押し通る。

 俺は双剣の連撃をお見舞いした。
 オーラブレードの刃にかかる負荷から奴の体毛は相当に硬いということがわかる、だがこの俺のスキルの刃だって相当に強力だ。

 その刃を力任せにぶち込んで剛毛の先にある肉を切り裂いた。
 赤い鮮血が飛ぶ。
  次の瞬間ヤツの体が一瞬浮いたように感じた。

 俺は真横に跳躍し腹の下から脱出する。
  その少し後にドッスンと地面にのしかかりをする巨体の光景が見えた。

 地響きで地面が揺れる。
 あのままだったらぺしゃんこだったかもな。
 更にボアンゴの親玉が頭を振るう、やたらと大きなブタッ鼻が俺の方に迫ってきた。

 今度は真上に跳躍しお鼻アタックを躱す。
 ジャンプした先でヤツと視線がかち合った。
 ヤツはイノシシの化け物だ、その口の左右からアホみたいにでかくご立派な牙が生えてる。

 その牙と牙の間に青白く光る球体のようなものが出現した。
 まさかと思っているとそれは徐々に大きくなり、そしてビームのようなものを俺に向かって発射した。

「イノシシの分際でファンタジーな攻撃してくんじゃねぇ!」

  俺はスキルの双剣を振るい、謎のビームへ攻撃する。
 凄まじい衝撃だ、足場のない空中では受けることができずに俺は吹っ飛ばされた。

 地面をゴロゴロ転がり込みながらもその勢いを殺して着地する。
 超危なかった、『神殺し(偽)』じゃなかったら死んでたぞ。

「よくもやったな、脳天にオーラブレードぶっ刺ししてやうぉうっ!?」

  ボアンゴの親玉が光る球体から連続してビーム攻撃をしてきた、それらを躱していくと地面にヒットしたビームによって地面が氷り、氷塊が出現した。

 直撃したら速攻で凍らせられる冷凍ビームかよ。
 どういう原理でこんな技生み出してんだ?

 ダンジョンモンスターってこう言う訳の分からん事するから嫌いなんだよ。
 まあ人間から遠い所にいる異常なステータスの俺が言えた義理じゃないが。

 そのヤバイビームだっていくら連射しても問題なく普通に躱してるしな。
 ただやはりあの巨体だ、ダメージを与えたいなら頭付近を狙いたいところなんだが…。

「さっきみたいにジャンプしたところであのビームでぶっ飛ばされるのがオチか?」

 正直空でも飛べればなと思わずにはいられない。
 ……いやっもしかしたら行けるか?

 俺の脳裏にはあの忌々しい七光りスライムが虹色の炎の翼を持って空を悠々と飛んでいる姿を思い出した。

「ゴガァアアアアッアアァアッ!」

 ボアンゴの親玉が再び咆哮をする、連続で冷凍ビームしてる途中なのにわずかに口を開きブレスの構えを見せた。
 遠距離攻撃を二重にとかありかよ。

 ダッシュをして奴の後ろにでも逃げようかと思ったが気づいく。
 冷凍ビームによって出現した氷塊が俺の動きを阻害している。

 というか俺の逃げ道を封じているという事に。
 こんなバカでもわかるような罠にはまってしまうとは。

 何ということだやっぱり俺ってステータスがぶっ壊れだからモンスターに勝ててるだけであってバトルセンスとかそういうのがあるわけじゃないんだな…。

 自分自身の凡才っぷりにびっくり仰天だ。
 しかし驚いてる暇はない。

「逃げ道がなくなったということは…」

 ボアンゴの親玉が咆哮と共にあの白銀のブレスをぶっ放してきた。
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