俺は神殺し!…(偽)~ダンジョンでパパッと稼いで地上ではのんびりスローライフ~

どらいあい

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第一章 雪山ダンジョン

第64話

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「おっビルゲーターか…」

 手足が人間に近い形をしている二足歩行する白いワニ人間みたいなやつが現れた。この雪山ダンジョンに出てくるモンスターだ。
 数は4体いる。

 武器とかは持ってないが長く伸びた爪も危険だしあのワニ頭に噛みつかれたら普通に死ぬ。

 本物のワニがすると言うデスロールみたいな真似はしないがやはりモンスターだから人間を見たら襲いかかってくる。

 今宮と守咲には武器を持たせていないが…代用品ならいつでも渡せるので問題ない。
 いずれ戦闘も経験させたいところなのだが今回は別にモンスターと戦いに来たわけじゃないから俺がさっさと倒してしまう。

「今宮、凛、俺が出るから少し待ってろ…『キングオーラブレード』」

 俺は遂に無駄にオーバーキルしないで意志ひとつで威力の調節ができるちょうどいい感じのスキルを手に入れた。
 それがこのキングオーラブレードである。

【キングオーラブレード】
【オーラによる攻撃を可能とするスキル。黄色のオーラを発生させ、そのオーラを刃状限定でその大きさ、長さ、形状、硬度を意志一つで自由に変える事が出来る、攻撃意外にも使い勝手がいいスキルで履いている靴の裏に無数の小さな刃を出せばスパイクとなり滑るのを防止してくれる、凍った路面を進む時に輝くスキル】

 と言う文面がライセンスカードに出ている、この文面を見て次に行くダンジョンに雪山ダンジョンをと考えた俺だ。
 スキル製のスパイクは有用だぜ、転げる今宮を鼻笑ってやったとも。

 話を戻す。このスキルは発動すると俺の全身を黄色いオーラが包み込む、そしてそのオーラは俺の一つで刃に似た形にオーラの形が変わるのだ。

 このオーラの剣の名前はオーラブレードだ、キングはいらん。
 俺は『神殺し(偽)』だが別に王様ではないからな。

 このオーラブレードには物理的な攻撃能力もあり相手の攻撃などを受け止めることもできるし物を切り裂く事も出来る。

 ライセンスカードのテキストにあるように残念ながらどんな形にもなれるとかまでは出来ないがな、さすがにそこまで行くとチートスキルだし仕方ない。

 形は刃状と決まっているが代わりに結構遠くまで刃を伸ばすることもできるしその刃の大きさも変えられる。
 詰まるところ……。

「おしっ一丁あがり」

 手のあたりのオーラを刃に変形しそれを振るうと同時に刃はさらに伸ばしてビルゲーターの首を切り飛ばした。
 仲間がやられたのでこっちに気づいた他のビル ゲーター達がこちらに向かってくる。

 もう一度オーラブレードを振るうと残りのビルゲーターたちの首も落ちた。
 連中は攻撃力もそうだが結構耐久力も高いモンスターのはずなのだが…まあこっちのスキルの攻撃には耐えられなかったんだろう。

 倒されたビルゲーターたちが光になって消える。

「ドロップは魔石だけか、しけてるな」

「けどこの魔石だったら売ればそこそこお金になるんじゃないです?」

「ビルゲーターを瞬殺…やはり生半可な実力じゃないですね」

 ビルゲーターの魔石を回収して俺たちは先へ進む、洞窟の先はかなりに開けた場所に行き着いた。
 綺麗なドーム状というわけではないが広く大型のモンスターとも戦うには十分な広さだ。

 そして二カ所ほどまた洞窟に入るための出入り口がある、片方は雪山ダンジョンの更に奥に続く道でもう片方は雪山ダンジョンから出る為の道だ。
 まあ俺たちが来た道は別の道なのだが。
 そっちの方は問題ない、目的のものはすでに見つかっている。

「あそこを見てみろ2人とも」
「何ですか…?」
「あれ……は氷の壁ですか?」

 俺が指をさしたところは洞窟の壁が雪か霜で白く染まっていた、だが一部それらが崩れたところから透き通った青色の結晶が見えていた。

「あれが俺たちがこの雪山ダンジョンに来た理由でな、あれはアイスクォーツと呼ばれるこういう雪が舞うようなクソ寒いロケーションのダンジョンにしかないダンジョン産の資源なんだよ」

 ダンジョンか得られる資源というのは何もモンスターからのドロップアイテムだけじゃない。

 採取や採掘をするなら様々な道具を用意する手間があるから今までは無視していたが本来はそっちを目的にダンジョンに向かうダンジョン探索者も多いのだ。

 地球には存在しない鉱物の鉱床だったり凄い薬品の材料となる植物だったりも普通にあるのがダンジョンなのさ。
 あれも立派なダンジョンの資源だ。

「アイスクォーツって何なんです先輩?」

「聞いたことがあります、確か火で炙っても溶けることがない氷の結晶のようなものだそうです。ただ化学的なところで言うと全くの別物だとも言われていて…」

「すいません、難しい話をされたら分かりませんからね私」

 全くもってその通りだ科学的な話とかやめてもらいたいもんだぜ。

「……まあわかりやすく言えば…アイスクォーツってやつは氷属性の武器や装備を作るために必要になるアイテムだな」

「なるほど理解しました」
「とても分かりやすい説明ですね、流石は歩さんです!」

 今宮のやつは相当なゲームは好きである、守咲の方もこの反応を見る限りその手のゲームも好きなんだろうな。

 モンスターの素材だったり採取やらで集めた素材だったりで武器やら防具やろう作り、強くなってモンスターを狩るあのゲームである……あのワイルズ。
 地球の未来は明るいな。

「というわけで今からあそこで採掘をするぞ~」

「採掘って言われてもピッケルとかスコップとか何も持ってないですよ?」

「それについては問題ない」

 俺は再びキングオーラブレードを発動した。
 オーラの形を少し変えてピッケルっぽい感じにする、伸ばした刃の部分をクイッと曲げるだけだけどな鋭さを持つようにイメージするのは曲げた部分だけなので伸ばしただけの部分は普通に持つことができるのだ。

 持ち手の部分も作りにその下からもう少し細長くしたようなイメージをして、さながらケーブルのようにする。
 すると俺のオーラ製のピッケルを2人にも渡すことができるって訳だ、ケーブル部分が繋がっているからな。

「……先輩って本当に変なスキルの使い方を思いつきますよね」

 うるさいよピッケルもスコップも要は刃先さえついていりゃ代用品なんていくらでも用意できるんだ、だったら物を持ち歩くのが面倒くさいだろ。

「荷物が減るしスキルで代用できるならそれに越したことはないだろ、それともこの雪山の道をピッケルやスコップ持ってお前は歩きたいのか?」

「先輩には感謝ですね、私たちは道を歩くだけでスタミナを常に消費して動けなくなるか弱い存在なので無駄な荷物とか背負いたくありませんから」

 分かればいいんだよ。分かれば。

「このピッケルすごいです! この硬そうな青い結晶の壁にどんどん入っていきますよ!」

「あんまり取りすぎても持って帰るの大変になるだけだからほどほどの量にするんだぞ」

「そうですよ欲しい物さえゲット出来ればいちいちモンスターと戦うのもめんどくさいんで、さっさとダンジョンから脱出するつもりなんですから」

「分かりました! ほどほどを意識して頑張りますね!」

 電話の件から少々おかしなところはあるがやる気があり人一倍率先して行動する守咲だ。

 実に好感の持てる後輩探索者である、少なくとも俺の隣でピッケルを持ってるくせに腕を組みながらその守咲の働きを見ているだけのどこぞのポンコツ後輩よりかはな。

「守咲さんほら腰入れてピッケル振ってください!」

「はい!」

「………お前も働けポンコツ」
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