俺は神殺し!…(偽)~ダンジョンでパパッと稼いで地上ではのんびりスローライフ~

どらいあい

文字の大きさ
上 下
42 / 110
第四章 名前持ちのダンジョン

第42話

しおりを挟む
 ダンジョンの探索を進めていくと当然モンスターと何度も戦闘することになった。

 しかも先ほどのガーゴイル以外にもこの『搾取王の灰道』には何種類ものモンスターが現れる。

 ほぼ一種類のモンスターしか現れない不人気ダンジョンちゃんとの格の違いが見て取れる仕様だ。
 そして俺たちが戦ったガーゴイル以外のモンスターはと言うと……。

 灰色の体と鱗を持つロックリザードマン。
 灰色の体毛を持つ中型犬並みに大きなネズミ、アルバン。
 あとはダイオウグソクムシよりも大きなダンゴムシのそっくりさん、グレースフィアなどが現れた。

 無論そいつらをみんな倒しながら俺たちは探索を進め、倒したモンスターたちのドロップアイテムまあ殆どが魔石だな。

 それらを回収していくのが俺の主な仕事の一つだ、身体能力関係のステータスが異常に高いことが愛華たちにバレてしまったから仕方ない。

 大きく丈夫な袋を手渡され、それに戦闘が終わった後全ての魔石を回収するようにとリーダーである愛華に命じられたのである。

 戦闘後はお前らも暇してね? 何より愛華さんよ戦闘してんのお前じゃなくてお前が召喚したリビングソードだけじゃんせめて天海みたいに遠距離攻撃の一つでもしてから休め。

 そんなことを内心は思いつつも俺は指示に従った。
 俺は社畜をしていた時、こう言う微妙な理不尽に対して無抵抗で受け入れてきた気がする。
 そうやって社畜の人格とは形成されるのであろう。

 ……何ということだ、『神殺し(偽)』の称号なんてのを手に入れた今でもなお、俺の中には社畜の精神が生きているというのか?

 そのことに気づき俺は軽く絶望しながらも魔石を黙々回収していた。
 ちなみにこの魔石を回収した後の袋は愛華の異空間収納のスキルでどこぞの異空間へと収納され姿を消される。

 そのスキルの存在を天海が知った時はそれはもう大層驚いていた、やっぱ探索者が欲しい有用なスキルぶっちぎりナンバーワンだからな。

 異空間収納……俺も欲しいぜ。
 戦ったモンスターとの戦闘についても話そうか、ロックリザードマンは1体から2体で現れる。

 体と鱗が岩石並みに頑丈なのだがその動きは本来のリザードマンと変わらない、スピードも速く、長い手足と爪のリーチを生かして攻撃を仕掛けてきた。

 あと噛み付いてきたりもする、地味に危ない攻撃だったな。
 爪でのひっかき攻撃は普通の人間なら肉を易々と切り裂かれ大怪我を免れない力を持つ。

 その上で武器まで持っているので本当に厄介だ、あの長い爪を持ちながら器用に武器を振り回すのだから大したもんだ。

 ただ残念ながら連中が持っている遠距離武器はせいぜいが粗末な弓矢とか槍を投げてくるような程度なので森の中とかでもないこのダンジョンならブロックの死角にさえ気をつければ不意打ちはまずない。

 そしてこっちには愛華のリビングソードだったり天海の銃がある、ファンタジーと現代武器の前ではロックリザードマンもそれなりに頑張ったな程度のものだった。

 アルバンはモンスターにしては小さい方だ、代わりにグリーンワームと同様にそこそこ群れて現れる。
 だいたい5、6匹くらいで集まってこちらを襲撃してくるのだ。

 灰色の毛皮はこれまた頑丈で皮膚も硬い、コイツらの皮がドロップすると良いな。
 革鎧やブーツ、後は盾の素材として結構高値がつくのだ。

 ちなみに攻撃力もそこそこ、口が大きいので噛み付かれると大変な事になる。
 俺の場合噛み付かれると向こうの歯がバッキバキになってアルバンの方が可哀想な事になった。

 動きの方は本来のネズミよりかは体が大きい分微妙に遅く、愛華のリビングソードでぶった切られていたし天海の銃弾でもやられていた。

 グレースフィア、こいつらが何気に厄介である。
 なにしろ体の頑丈さは他の連中よりも硬く、その上で体を丸めてゴロゴロと転がってくるのだ。

 しかも襲撃してくる時の数は基本的に10体以上、その上で手に入る魔石はこのダンジョンの中で一番小さく価値が低いのだから納得がいかない。

 転がって高速移動、それからの体当たりをかましてくるので危険度もそれなりにあり厄介だ。

 コイツへの対処は俺が動いた、というかコイツらは基本的に前衛の方から真っ先に狙ってくるタイプだ。

 だから俺だけに向かって体当たり攻撃してくるのである、俺はそれを真正面から受ける、すると連中の方は攻撃をしたやつから気絶していくのだ。

 スライムの時みたいに攻撃した自分から爆散するようなことはないだけにこいつらの戦闘力の高さが伺え…るか?

  気絶した端からその硬い殻をを踏み砕いてやった、なんとなく俺の心にダメージを感じるのは何故だろう。

 ちなみにコイツらの殻もダンジョン産の防具の素材になるのだがなかなかドロップしないのである、確率上げろよくそダンジョンめ。

 どうしてダンジョンは倒したモンスターの素材は剥ぎ取りじゃなくてドロップ変換仕様なのだろうか。

 目の前にあるヤツを剥ぎ取っても光となって魔石となる光景を目にしながら俺は黄昏れるのだった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~

シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。 主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。 追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。 さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。 疫病? これ飲めば治りますよ? これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。

スキル間違いの『双剣士』~一族の恥だと追放されたが、追放先でスキルが覚醒。気が付いたら最強双剣士に~

きょろ
ファンタジー
この世界では5歳になる全ての者に『スキル』が与えられる――。 洗礼の儀によってスキル『片手剣』を手にしたグリム・レオハートは、王国で最も有名な名家の長男。 レオハート家は代々、女神様より剣の才能を与えられる事が多い剣聖一族であり、グリムの父は王国最強と謳われる程の剣聖であった。 しかし、そんなレオハート家の長男にも関わらずグリムは全く剣の才能が伸びなかった。 スキルを手にしてから早5年――。 「貴様は一族の恥だ。最早息子でも何でもない」 突如そう父に告げられたグリムは、家族からも王国からも追放され、人が寄り付かない辺境の森へと飛ばされてしまった。 森のモンスターに襲われ絶対絶命の危機に陥ったグリム。ふと辺りを見ると、そこには過去に辺境の森に飛ばされたであろう者達の骨が沢山散らばっていた。 それを見つけたグリムは全てを諦め、最後に潔く己の墓を建てたのだった。 「どうせならこの森で1番派手にしようか――」 そこから更に8年――。 18歳になったグリムは何故か辺境の森で最強の『双剣士』となっていた。 「やべ、また力込め過ぎた……。双剣じゃやっぱ強すぎるな。こりゃ1本は飾りで十分だ」 最強となったグリムの所へ、ある日1体の珍しいモンスターが現れた。 そして、このモンスターとの出会いがグレイの運命を大きく動かす事となる――。

スライムすら倒せない底辺冒険者の俺、レベルアップしてハーレムを築く(予定)〜ユニークスキル[レベルアップ]を手に入れた俺は最弱魔法で無双する

カツラノエース
ファンタジー
ろくでもない人生を送っていた俺、海乃 哲也は、 23歳にして交通事故で死に、異世界転生をする。 急に異世界に飛ばされた俺、もちろん金は無い。何とか超初級クエストで金を集め武器を買ったが、俺に戦いの才能は無かったらしく、スライムすら倒せずに返り討ちにあってしまう。 完全に戦うということを諦めた俺は危険の無い薬草集めで、何とか金を稼ぎ、ひもじい思いをしながらも生き繋いでいた。 そんな日々を過ごしていると、突然ユニークスキル[レベルアップ]とやらを獲得する。 最初はこの胡散臭過ぎるユニークスキルを疑ったが、薬草集めでレベルが2に上がった俺は、好奇心に負け、ダメ元で再びスライムと戦う。 すると、前までは歯が立たなかったスライムをすんなり倒せてしまう。 どうやら本当にレベルアップしている模様。 「ちょっと待てよ?これなら最強になれるんじゃね?」 最弱魔法しか使う事の出来ない底辺冒険者である俺が、レベルアップで高みを目指す物語。 他サイトにも掲載しています。

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生

野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。 普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。 そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。 そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。 そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。 うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。 いずれは王となるのも夢ではないかも!? ◇世界観的に命の価値は軽いです◇ カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

知識スキルで異世界らいふ

チョッキリ
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ

最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした

服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜 大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。  目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!  そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。  まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!  魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。

sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。 目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。 「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」 これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。 なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

処理中です...