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第四章 名前持ちのダンジョン
第35話
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「……はい分かりました。それじゃあ俺が直接行って確認してきますから」
「お願いします」
スマホの電源が切れる。
後輩との芋虫騒動から少し経ち、俺は新しいスマホを手に入れていた。新しいスマホはいいなっ殆どの機能を使いこなせないのに新品ってだけで心躍るのはなんでだろう。
今宮と後はあの花鳥に無理矢理教えられメモを取らされたメアドや電話番号などを入れたりここ数日はしていた。機械が苦手なので時間だけがかかったぜ。
それと以前退職代行を依頼したサービス業者の方にもスマホを駄目にしてしまって音信不通だった事を連絡したのだが……。
早速その退職代行サービスに連絡取り、諸々の事情を説明、ついでに進捗具合を確認したのだがそれが少し芳しくない。
何でも俺が以前勤めていた焼き物会社の経営者一族の連中としばらくやり取りをしてたらしいのだが、ここのところ突然連絡が途絶えたらしいのだ。
メールをしても返信なし、電話をしても全く出ないらしい。
ちなみにその会社はさすがに歩いて行ける距離ではないので自転車をレンタルして行っていた。
そうっ微妙にだが近いと言えば近い距離にあるのだ、不愉快な話だけどな…。
そんなわけで連絡をしたら俺が直接その会社にその電話やメールなりにちゃんと返事するように催促して欲しいと頼まれた。
なんで俺がと思いつつ、まああの碌でもない色んな意味でブラックな会社の経営者連中には捨て台詞の一つくらいは言ってやろうかと思っていたのでちょうどいいか。
そんなやり取りを昨日して寝たわけだ。
今の時間は朝の七時過ぎ、さすがに今すぐ行こうってという気分じゃない。
嫌なことが朝っぱらにあったらその日一日中が嫌な気分になるタイプなんだよな俺って。
そうなるともう何のやる気も起こらないので昨日の時点で決めていた予定ではどっかしらのダンジョンに行って小銭を稼いでからコンビニで何か買って食べようか悩んでいたが変更だ。
「よしっ少し遠出して名前持ちのダンジョンにでも行くか!」
妙に気分の悪くなる話を聞いちまったし、気分転換も兼ねてまずコンビニで適度に食べ物と飲み物を買って、 少し遠くのダンジョンに向かう。
俺は昔から会社で嫌なことがあった時はレンタカーで二時間くらい車で移動した先にある、この時期は殆ど人がいない砂浜で、何するでもなく海を眺めたりしていたもんだ。
完全に休日の無駄遣いなのだがそういう時間を無駄にするという行為が俺は嫌いじゃないんだよ。
人生の意味なんて完璧を求めればきりがない。
人間の人生なんていうのはほぼ全てが無駄だと言ってもいいからな、その上で自分がまあこれでもいいやと思えることに時間を使えるのが正解なんだ。
今日ダンジョンで多少の小遣い稼ぎをした後にでも会社に行こう、そしてそこでのやり取り次第ではそのままレンタカーを借りて夜の海にでも向かって、翌日の朝明けでも拝むか。
しかし今の俺にはレンタカーは高いので自転車をレンタルする、少し離れたところにあるダンジョンを目指して出発した。
「お願いします」
スマホの電源が切れる。
後輩との芋虫騒動から少し経ち、俺は新しいスマホを手に入れていた。新しいスマホはいいなっ殆どの機能を使いこなせないのに新品ってだけで心躍るのはなんでだろう。
今宮と後はあの花鳥に無理矢理教えられメモを取らされたメアドや電話番号などを入れたりここ数日はしていた。機械が苦手なので時間だけがかかったぜ。
それと以前退職代行を依頼したサービス業者の方にもスマホを駄目にしてしまって音信不通だった事を連絡したのだが……。
早速その退職代行サービスに連絡取り、諸々の事情を説明、ついでに進捗具合を確認したのだがそれが少し芳しくない。
何でも俺が以前勤めていた焼き物会社の経営者一族の連中としばらくやり取りをしてたらしいのだが、ここのところ突然連絡が途絶えたらしいのだ。
メールをしても返信なし、電話をしても全く出ないらしい。
ちなみにその会社はさすがに歩いて行ける距離ではないので自転車をレンタルして行っていた。
そうっ微妙にだが近いと言えば近い距離にあるのだ、不愉快な話だけどな…。
そんなわけで連絡をしたら俺が直接その会社にその電話やメールなりにちゃんと返事するように催促して欲しいと頼まれた。
なんで俺がと思いつつ、まああの碌でもない色んな意味でブラックな会社の経営者連中には捨て台詞の一つくらいは言ってやろうかと思っていたのでちょうどいいか。
そんなやり取りを昨日して寝たわけだ。
今の時間は朝の七時過ぎ、さすがに今すぐ行こうってという気分じゃない。
嫌なことが朝っぱらにあったらその日一日中が嫌な気分になるタイプなんだよな俺って。
そうなるともう何のやる気も起こらないので昨日の時点で決めていた予定ではどっかしらのダンジョンに行って小銭を稼いでからコンビニで何か買って食べようか悩んでいたが変更だ。
「よしっ少し遠出して名前持ちのダンジョンにでも行くか!」
妙に気分の悪くなる話を聞いちまったし、気分転換も兼ねてまずコンビニで適度に食べ物と飲み物を買って、 少し遠くのダンジョンに向かう。
俺は昔から会社で嫌なことがあった時はレンタカーで二時間くらい車で移動した先にある、この時期は殆ど人がいない砂浜で、何するでもなく海を眺めたりしていたもんだ。
完全に休日の無駄遣いなのだがそういう時間を無駄にするという行為が俺は嫌いじゃないんだよ。
人生の意味なんて完璧を求めればきりがない。
人間の人生なんていうのはほぼ全てが無駄だと言ってもいいからな、その上で自分がまあこれでもいいやと思えることに時間を使えるのが正解なんだ。
今日ダンジョンで多少の小遣い稼ぎをした後にでも会社に行こう、そしてそこでのやり取り次第ではそのままレンタカーを借りて夜の海にでも向かって、翌日の朝明けでも拝むか。
しかし今の俺にはレンタカーは高いので自転車をレンタルする、少し離れたところにあるダンジョンを目指して出発した。
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