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第三章 後輩、キモの化身と相対す
第30話
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俺の半強制とも言えるグリーンワーム退治による称号ゲット計画に今宮はケチをつけながらも指示に従った。
まあ離れてキーワードを言うだけだからな、これができないってんだったら探索者なんかすんじゃねぇと言う話だ。
最初こそ無理無理~と五月蝿かった今宮だが、ある程度回数をこなすと少しずつ冷静に倒せるようになっていく、慣れってヤツだ。
「それにしても先輩、こんだけ芋虫をバカみたいに狩って意味とかあるんですか?」
「意味はある。基本的に称号ってやつは何かしらの行動を起こすことで手に入るもんだ、その中でも一番ポピュラーなのか同じモンスターを一定数狩ることなんだよ」
「それをして得られる称号に何の魅力も感じないんですけど…」
おっさすがはギリギリ女の部類に入る今宮、女の勘が最低ランクのものでも発動したか?
確かに今宮の考える通り、グリーンワームを大量に狩って得られる可能性がある称号は『芋虫退治人』とか『虫駆除業者』といった感じの虫系のモンスター相手に多少のステータス補正がある称号くらいだ。
ステータス補正も最低ランクのはず、だが大事なのは称号を得られるかどうかを確認することなんだよな。
「いいか、探索者ってのは結局称号を得られるかどうかが才能の全てだ。俺が以前ここで芋虫狩りをした時は何百体倒しても称号なんて手に入らなかったんだ」
「なるほど、つまり先輩は才能ゼロなダメダメ探索者だったんですね」
「やかましいわ、他のダンジョンでは普通レベルの称号ならゲット出来たんだ……俺のことはどうでもいいんだよ問題はお前も芋虫を狩って全く称号が得られない場合は早々に探索者は諦めた方がいいってことだ」
「そこまでですか? 称号が手に入れなかったとしても、もっとこうモンスターを倒したらレベルとかが上がってステータスが上がるみたいなことはないんですか?」
それがないんだよな。
残念ながらダンジョンなんて言うゲームの世界から抜け出てきたような代物が現実にある世界だがレベルアップシステムみたいなもんは存在しない。
必死こいて体を鍛えたりすることでステータスランクがFからEになるくらいはあるらしいが、モンスターをいくら倒してもステータスランクが上がったなんて話は聞いたことがないのだ。
俺たち探索者が強くなる方法は二つ、ダンジョンから得られる魔力を有した装備品を身につけてステータスを底上げする。
そしてもう一つが称号を手に入れることだ。
「それ以外に探索者が強くなる方法はないんだよ」
「世知がらい世の中ですねダンジョンつっても…」
「仕方ないさ、そもそもの話、何の才能もないモブでもモンスターを狩り続けてればレベルが上がって強いモンスターとも問題なく戦えるようになるなんて設定の方が無理あんだろ」
俺と今宮は芋虫を爆裂死散させながら話をしていた。
「どんな業界にも努力じゃ越えられない才能の壁というものは存在するからな」
「まっ確かに才能の話されるとそれらと無縁の自分には遠いものだと感じちゃいますもんね~」
「……まあな」
だが俺は思う、才能があってもそれは磨かなきゃ腐っていくだけのものだと。
そして努力ってやつは、それを続けた人間だけが手にすることができる何かがあるんじゃないかと。
無論こんな青臭い話をタダの妄想の類だと笑うヤツもいるだろう、特にこの後輩はせせら笑いそうなので一切しないけどな。
「あっそれじゃあ結局は強い称号を手に入れた先輩は才能があったってことなんですか? これまでの無駄話は回りくどい自慢話だったと?」
「違うわ。それと才能についてどうだろうな、俺の称号、(偽)って入ってるし正直ようわからん」
「なんか冗談みたいな称号ですもんね神殺し(偽)って」
「……全くだ、しかしこの世界に神様なんてもんがいるのかね」
「本当にいたらそれこそ世界で一番高難易度のダンジョンの一番奥とかにいそうですけどね、神様」
「俺は無神論者だ、神様なんてのは都合がいい時だけ気まぐれに祈るか祈らないか考える程度のもんだよ」
「私もです、多分こんなんだから私らは才能ってもんに恵まれてないんじゃないんですか?」
「………今度、歩いて行ける神社に十円玉でも賽銭箱に入れに行くかな」
「その時はお供しますね、先輩」
そんな実にしょうもない会話をしながら俺たちはダンジョンを進む、するとまた芋虫どもが溢れてきやがった。
無駄話は早々に切り上げて再び芋虫狩りだ。
まあ離れてキーワードを言うだけだからな、これができないってんだったら探索者なんかすんじゃねぇと言う話だ。
最初こそ無理無理~と五月蝿かった今宮だが、ある程度回数をこなすと少しずつ冷静に倒せるようになっていく、慣れってヤツだ。
「それにしても先輩、こんだけ芋虫をバカみたいに狩って意味とかあるんですか?」
「意味はある。基本的に称号ってやつは何かしらの行動を起こすことで手に入るもんだ、その中でも一番ポピュラーなのか同じモンスターを一定数狩ることなんだよ」
「それをして得られる称号に何の魅力も感じないんですけど…」
おっさすがはギリギリ女の部類に入る今宮、女の勘が最低ランクのものでも発動したか?
確かに今宮の考える通り、グリーンワームを大量に狩って得られる可能性がある称号は『芋虫退治人』とか『虫駆除業者』といった感じの虫系のモンスター相手に多少のステータス補正がある称号くらいだ。
ステータス補正も最低ランクのはず、だが大事なのは称号を得られるかどうかを確認することなんだよな。
「いいか、探索者ってのは結局称号を得られるかどうかが才能の全てだ。俺が以前ここで芋虫狩りをした時は何百体倒しても称号なんて手に入らなかったんだ」
「なるほど、つまり先輩は才能ゼロなダメダメ探索者だったんですね」
「やかましいわ、他のダンジョンでは普通レベルの称号ならゲット出来たんだ……俺のことはどうでもいいんだよ問題はお前も芋虫を狩って全く称号が得られない場合は早々に探索者は諦めた方がいいってことだ」
「そこまでですか? 称号が手に入れなかったとしても、もっとこうモンスターを倒したらレベルとかが上がってステータスが上がるみたいなことはないんですか?」
それがないんだよな。
残念ながらダンジョンなんて言うゲームの世界から抜け出てきたような代物が現実にある世界だがレベルアップシステムみたいなもんは存在しない。
必死こいて体を鍛えたりすることでステータスランクがFからEになるくらいはあるらしいが、モンスターをいくら倒してもステータスランクが上がったなんて話は聞いたことがないのだ。
俺たち探索者が強くなる方法は二つ、ダンジョンから得られる魔力を有した装備品を身につけてステータスを底上げする。
そしてもう一つが称号を手に入れることだ。
「それ以外に探索者が強くなる方法はないんだよ」
「世知がらい世の中ですねダンジョンつっても…」
「仕方ないさ、そもそもの話、何の才能もないモブでもモンスターを狩り続けてればレベルが上がって強いモンスターとも問題なく戦えるようになるなんて設定の方が無理あんだろ」
俺と今宮は芋虫を爆裂死散させながら話をしていた。
「どんな業界にも努力じゃ越えられない才能の壁というものは存在するからな」
「まっ確かに才能の話されるとそれらと無縁の自分には遠いものだと感じちゃいますもんね~」
「……まあな」
だが俺は思う、才能があってもそれは磨かなきゃ腐っていくだけのものだと。
そして努力ってやつは、それを続けた人間だけが手にすることができる何かがあるんじゃないかと。
無論こんな青臭い話をタダの妄想の類だと笑うヤツもいるだろう、特にこの後輩はせせら笑いそうなので一切しないけどな。
「あっそれじゃあ結局は強い称号を手に入れた先輩は才能があったってことなんですか? これまでの無駄話は回りくどい自慢話だったと?」
「違うわ。それと才能についてどうだろうな、俺の称号、(偽)って入ってるし正直ようわからん」
「なんか冗談みたいな称号ですもんね神殺し(偽)って」
「……全くだ、しかしこの世界に神様なんてもんがいるのかね」
「本当にいたらそれこそ世界で一番高難易度のダンジョンの一番奥とかにいそうですけどね、神様」
「俺は無神論者だ、神様なんてのは都合がいい時だけ気まぐれに祈るか祈らないか考える程度のもんだよ」
「私もです、多分こんなんだから私らは才能ってもんに恵まれてないんじゃないんですか?」
「………今度、歩いて行ける神社に十円玉でも賽銭箱に入れに行くかな」
「その時はお供しますね、先輩」
そんな実にしょうもない会話をしながら俺たちはダンジョンを進む、するとまた芋虫どもが溢れてきやがった。
無駄話は早々に切り上げて再び芋虫狩りだ。
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