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第三章 後輩、キモの化身と相対す
第29話
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結局ダンジョンショップで装備らしい装備を買うことはなかった。
私服にスニーカーと言う舐め腐った感じで初ダンジョンに向かうと抜かす後輩に俺は呆れる。
とりあえず久しぶりに店長にもあったので幾つかダンジョン産のアイテムを買った。
これでこの舐めプ後輩のダンジョンに対する適性を見るしかないだろう。
そして俺たちが向かったのはあのスライムが出てくる不人気ダンジョン……ではなく別の不人気ダンジョンである。
流石にまたあそこに行く気にはならん、またあの七光りスライムが出て来たら嫌だからな。
ヤツには碌な思い出がない。
時代はまさにダンジョン大飽和時代、適当に街中を歩けばそこら辺にダンジョンが幾らでもある。
そんな世界だ。
例の不人気ダンジョンから一キロも離れていないところにこれまた別のダンジョンがあったりする、実はこっちの方が俺の家には近いのだ。
しかし出てくるモンスターがあまり好きではないので行かなかったダンジョンである。
名前すら付けられていない不人気ダンジョンの一つ、ここはスライムではなく別のモンスターが出てくる。
そんでそのモンスターとエンカントしたら……今宮が壊れた。
「いやぁああああーーーーーっ!?」
「落ち着けバカ、そいつも一応はモンスターだが実際はでかいだけの芋虫だ。殴るとか蹴りですら倒せるから取り乱すな」
そう、次に俺が向かった不人気ダンジョンはそこそこでかい芋虫型のモンスター、グリーンワームだけが出てくるダンジョンである。
グリーンワームもまたスライム同様に全力の体当たりだけが攻撃手段のポンコツモンスターだ。
いつもはあんまり見えない芋虫の顔がはっきりと見えるくらいでかい、小型犬サイズくらいある芋虫だ。
むしろ大型犬くらいあった方がしっかりモンスターと認識できそうな気もするが小型犬サイズである、それがもぞもぞもぞと十数匹くらいの集団が列をなしてやってくる。
「キモキモキモッ! だからここのダンジョンは来たくなかったんだよキモすぎるわ!」
思わず俺も本音が出てしまう、足元の石ころを引っ掴んで芋虫共にぶん投げてイモムシ集団を爆裂死散させてやった。
後輩はと言うと悲鳴を上げながらも動けないのか突っ立っている、そして芋虫が近づくと全力で距離を取ることを繰り返していた。
「お前いい加減にしろよ、さっさとやれって普通に倒せるから!」
「嫌ですよ! こんなやつら近づきたくもない。私でももうちょっとどうにかなるモンスターが出てくる難易度の低いダンジョンないんですか!? もっとこうスライムとかそんなのが出てくるダンジョンとか!」
「…… 悪いが心当たりがないな」
俺は嘘をついた。
マジであの七光りスライムを警戒してるからな、多分出て来たらコイツを守りながら戦うとか無理だ。
なにより俺はドロップした魔石を諦めるなんて地獄みたいな経験を二度としたくない。
もうあのクソダンジョンとか二度と行かん。
いや、いつかはあのクソ七光りスライムをシメルつもりだからソロと時には行くか。
「いいから俺がさっき買って渡したダンジョン用のアイテムを使え。あのスキルボックスな、キーワードは『マジックバレット』だ」
「もうっ分かりましたよ、やればいいんでしょやれば!」
後輩は必死こいて逃げながら腰にあるベルトポーチからスキルボックスを取り出す。
やたらともたついていて見ていて心配になる手つきだ、アルバイトしてる時はもうちょっとテキパキ動いてたんだけどな。
そうこうしてるうちに一個目のスキルボックスを取り出した。
それを掴んでグリーンワームたちに向ける。
「マッ……『マジックバレット』!」
後輩がキーワードを口にするとスキルボックスの前方が開いた。そこから光の弾丸が六つほど放たれる。
それは自動で1体ずつグリーンワームたちの頭にヒットして6体のグリーンワームが倒され光となる。
さすがは店長の店にあるアイテムだ性能としては悪くない、少なくともグリーンワーンと言う雑魚モンスター相手だったら十分な効果のあるアイテムだ。
「よっしゃああっ! ざまあ見ろ芋虫ども……ってまだうじゃうじゃいるんですけど!?」
「当たり前だ、グリーンワームは弱いがその分数が集まってくるタイプのモンスターだぞ、さっさと次のアイテムボックスを出せ。それ全部使い切るまでダンジョンから出ねぇからな」
「鬼教官! 先輩は鬼教官ですよ! こんなんパワハラですからね!?」
「知ったことか、探索者になる以上甘えが許されると思うなよ!」
まあ楽して金を稼いで後はスローライフ送る気満々の俺が言っても説得力に欠けるので、余計なことは言わないがな。
「いいからやれ、とりあえず何十体かグリーンワームも倒してそれであのゴミみたいな称号以外にも別の称号が手に入らないかどうか見るんだから…」
「今さらっと私の初めての称号をゴミ呼ばわりしましたよね?」
「………しましたけど何か?」
「せっ先輩の人でなし!」
うるせぇいいからとっととグリーンワームを狩れよポンコツ!
私服にスニーカーと言う舐め腐った感じで初ダンジョンに向かうと抜かす後輩に俺は呆れる。
とりあえず久しぶりに店長にもあったので幾つかダンジョン産のアイテムを買った。
これでこの舐めプ後輩のダンジョンに対する適性を見るしかないだろう。
そして俺たちが向かったのはあのスライムが出てくる不人気ダンジョン……ではなく別の不人気ダンジョンである。
流石にまたあそこに行く気にはならん、またあの七光りスライムが出て来たら嫌だからな。
ヤツには碌な思い出がない。
時代はまさにダンジョン大飽和時代、適当に街中を歩けばそこら辺にダンジョンが幾らでもある。
そんな世界だ。
例の不人気ダンジョンから一キロも離れていないところにこれまた別のダンジョンがあったりする、実はこっちの方が俺の家には近いのだ。
しかし出てくるモンスターがあまり好きではないので行かなかったダンジョンである。
名前すら付けられていない不人気ダンジョンの一つ、ここはスライムではなく別のモンスターが出てくる。
そんでそのモンスターとエンカントしたら……今宮が壊れた。
「いやぁああああーーーーーっ!?」
「落ち着けバカ、そいつも一応はモンスターだが実際はでかいだけの芋虫だ。殴るとか蹴りですら倒せるから取り乱すな」
そう、次に俺が向かった不人気ダンジョンはそこそこでかい芋虫型のモンスター、グリーンワームだけが出てくるダンジョンである。
グリーンワームもまたスライム同様に全力の体当たりだけが攻撃手段のポンコツモンスターだ。
いつもはあんまり見えない芋虫の顔がはっきりと見えるくらいでかい、小型犬サイズくらいある芋虫だ。
むしろ大型犬くらいあった方がしっかりモンスターと認識できそうな気もするが小型犬サイズである、それがもぞもぞもぞと十数匹くらいの集団が列をなしてやってくる。
「キモキモキモッ! だからここのダンジョンは来たくなかったんだよキモすぎるわ!」
思わず俺も本音が出てしまう、足元の石ころを引っ掴んで芋虫共にぶん投げてイモムシ集団を爆裂死散させてやった。
後輩はと言うと悲鳴を上げながらも動けないのか突っ立っている、そして芋虫が近づくと全力で距離を取ることを繰り返していた。
「お前いい加減にしろよ、さっさとやれって普通に倒せるから!」
「嫌ですよ! こんなやつら近づきたくもない。私でももうちょっとどうにかなるモンスターが出てくる難易度の低いダンジョンないんですか!? もっとこうスライムとかそんなのが出てくるダンジョンとか!」
「…… 悪いが心当たりがないな」
俺は嘘をついた。
マジであの七光りスライムを警戒してるからな、多分出て来たらコイツを守りながら戦うとか無理だ。
なにより俺はドロップした魔石を諦めるなんて地獄みたいな経験を二度としたくない。
もうあのクソダンジョンとか二度と行かん。
いや、いつかはあのクソ七光りスライムをシメルつもりだからソロと時には行くか。
「いいから俺がさっき買って渡したダンジョン用のアイテムを使え。あのスキルボックスな、キーワードは『マジックバレット』だ」
「もうっ分かりましたよ、やればいいんでしょやれば!」
後輩は必死こいて逃げながら腰にあるベルトポーチからスキルボックスを取り出す。
やたらともたついていて見ていて心配になる手つきだ、アルバイトしてる時はもうちょっとテキパキ動いてたんだけどな。
そうこうしてるうちに一個目のスキルボックスを取り出した。
それを掴んでグリーンワームたちに向ける。
「マッ……『マジックバレット』!」
後輩がキーワードを口にするとスキルボックスの前方が開いた。そこから光の弾丸が六つほど放たれる。
それは自動で1体ずつグリーンワームたちの頭にヒットして6体のグリーンワームが倒され光となる。
さすがは店長の店にあるアイテムだ性能としては悪くない、少なくともグリーンワーンと言う雑魚モンスター相手だったら十分な効果のあるアイテムだ。
「よっしゃああっ! ざまあ見ろ芋虫ども……ってまだうじゃうじゃいるんですけど!?」
「当たり前だ、グリーンワームは弱いがその分数が集まってくるタイプのモンスターだぞ、さっさと次のアイテムボックスを出せ。それ全部使い切るまでダンジョンから出ねぇからな」
「鬼教官! 先輩は鬼教官ですよ! こんなんパワハラですからね!?」
「知ったことか、探索者になる以上甘えが許されると思うなよ!」
まあ楽して金を稼いで後はスローライフ送る気満々の俺が言っても説得力に欠けるので、余計なことは言わないがな。
「いいからやれ、とりあえず何十体かグリーンワームも倒してそれであのゴミみたいな称号以外にも別の称号が手に入らないかどうか見るんだから…」
「今さらっと私の初めての称号をゴミ呼ばわりしましたよね?」
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