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第二章 謎スライムとツインテール
第20話
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元々ダンジョンというのは、大抵は入り組んだ構造をしていて鬼ごっこには最適だ。
ただ俺はイカレた女探索者とエンカウントした場所はつい先ほどまであの七光りスライムが好き放題にビームをぶっ放ってくれた場所だ。
地面や壁や天井には馬鹿でかく人が問題なく通れるくらいの大きな穴が無数に開いている。
その穴の一つに身を隠しているわけなのだ、そして俺をどう考えてもぶっ殺そうとしかしていない殺意全開の女探索者の様子を観察していた。
まずはヤツの装備から探索者としての実力を想像することから始める。
まずっここは剣と魔法の異世界ファンタジーというわけではないので探索者というモンスターと戦う連中と言っても革製の鎧だの金属鎧だのは一部の例外を除いてまず装備していない。
動きにくいし身体が重くなるからだ。
デザイン的なのが好きだと言う理由でそういうのを好む人間もいるし、ステータスも伴えば実戦でそれを使うことに問題はないのだが……。
そんなもの着込んで電車に乗る時点で変な目で見られるのは当然である、ここは現代社会なのだから。
そして探索者になるのは基本的に若者であり、若者のファッションというのはその時々で様々に変化するので説明は省くってか俺にはもうついて行けん世界だわ。
とにかく大事なのは探索者になってもまあそういう今どきなファッションをしてる連中がほとんどだということだ。
探索者はそこそこ運があり、そして頑張れば結構儲かる職業だ。
だから懐に余裕がある連中の中にはファッションにお金をかけるのも珍しくはないって訳だ。
代わりと言ってはなんだが武器だとかあと指輪やネックレス、その手のアクセサリーとかでステータスを強化するというのが一般的である。
ダンジョンから出てくるアイテムはマンガとかの異世界産並にファンタジーな能力がすごいので身につけるだけで身体能力だとかが向上してしまうのだ。
すごいよなファンタジー装備って。
見たところヤツはそんなファンタジーなアイテムをいくつか装備しているように見えた。
手に持っているのは木製の杖だが、先の方に赤色の宝石がくっついているアレは、なんたらロッドとかなんたらの杖とかって名前がついてる装備なんだろう。
それ以外だと指輪もつけてるな、もしかしたらあの髪型をツインテールにしてる髪留めもダンジョン産のアイテムかもしれない。
後は眼鏡もつけてる、ダンジョン産のアイテムの可能性はこちらにもある。
ステータスの向上が見込めるダンジョン産のアイテムを複数装備しているというのであればそれなり以上の実力を持ってる探索者である可能性は高い。
特に前衛職に全く見えないようなやつがソロで活動している事自体がきな臭いな。
この場合はどうしようもないポンコツか、かなりの実力はあるがわけありの探索者である場合がある。
前者ならあることないこと言って適当に丸め込むこともできるかもしれないが後者の場合かなり厄介かもしれない。
少なくとも俺はああいうなんとかロッドか杖みたいな装備をしてるやつで魔法系の攻撃スキルを持っていないヤツというのはさすがにないと思っているからだ。
あれであの武器で殴るだけだったらある意味ビックリだろ、絶対に何かしらの攻撃スキルを持っているはず。
魔法系であると言い切れないのはスキルってやつは本当に多種多様、と言うか闇鍋ばりに雑多なんだよ、本当にわけのわからんものも多いからな……。
ただし探索者として実力が確かなら保有するスキルは人間相手にはかなり効果的なものの可能性が高い。
そしてやっぱりモンスター相手より人間相手のトラブルなんて言うのは起こすだけ損だ。
探索者ってそこら辺どうしても一歩引いた目で見られるからな。
仕方がない、ここは交渉で何とかするしかないか。
俺の交渉術、それはつまりお金を払ってどうにかするだ。
人間は金の話さえうまくいけば大抵のトラブルは解決できるのだ。
俺はそう信じているぜ。
「まず話を聞いてくれ、俺はここのモンスターとの戦闘で装備品などを全て失っただけなんだ。したくて全裸でいるわけじゃない!」
「傷一つない体で全裸のくせに装備品だけ失ったとか意味がわかんないっての! そんなん自分から脱いだ以外なんてありえないでしょ!」
普通はその通りだ、くそっ俺のステータスがぶっ壊れてるからだと説明するしかないのか?
「本当なんだ、俺の装備品とかを全て破壊して、俺の体には一切傷がつかなかった。そんなわけのわからない攻撃スキルを放った変なモンスターがいたんだ、ついさっきまでここにな!」
「そんな変態的なモンスター聞いたことがないわよ、どっかの変態が日頃誰もいない不人気ダンジョンで服脱いで全裸での全力ダッシュにハマってる方がまだ説得力あるわ」
「いやねぇだろっ!」
そんな頭のおかしい馬鹿の方が想像できるってどう言う事だよ、何でそんなわけのわかんない妄想の方が現実味があるとか抜かせんだこの茶髪ツインテール。
奴の思考回路もイカレてるんじゃないのか?
人間相手なら交渉はできる、だがそれは真っ当な人間の場合だ。
頭の中が可哀想な人間相手に交渉などというものはできない。
て言うかコイツ、あの一瞬で人の全裸姿がしっかり記憶に焼き付けてんじゃねえよ。
こいつの方が変態じゃねえのか。
「よくもこの私にあんな汚いもん見せつけてくれたわね、絶対に地獄に送ってやるわ!」
「地獄に送ってやるとかさ、そういう危険なセリフは口にするヤツって碌なもんじゃねえよな」
あっそういえばさっきの俺も似たようなことを言っていたような……忘れた、そんなわけないか。
ただ俺はイカレた女探索者とエンカウントした場所はつい先ほどまであの七光りスライムが好き放題にビームをぶっ放ってくれた場所だ。
地面や壁や天井には馬鹿でかく人が問題なく通れるくらいの大きな穴が無数に開いている。
その穴の一つに身を隠しているわけなのだ、そして俺をどう考えてもぶっ殺そうとしかしていない殺意全開の女探索者の様子を観察していた。
まずはヤツの装備から探索者としての実力を想像することから始める。
まずっここは剣と魔法の異世界ファンタジーというわけではないので探索者というモンスターと戦う連中と言っても革製の鎧だの金属鎧だのは一部の例外を除いてまず装備していない。
動きにくいし身体が重くなるからだ。
デザイン的なのが好きだと言う理由でそういうのを好む人間もいるし、ステータスも伴えば実戦でそれを使うことに問題はないのだが……。
そんなもの着込んで電車に乗る時点で変な目で見られるのは当然である、ここは現代社会なのだから。
そして探索者になるのは基本的に若者であり、若者のファッションというのはその時々で様々に変化するので説明は省くってか俺にはもうついて行けん世界だわ。
とにかく大事なのは探索者になってもまあそういう今どきなファッションをしてる連中がほとんどだということだ。
探索者はそこそこ運があり、そして頑張れば結構儲かる職業だ。
だから懐に余裕がある連中の中にはファッションにお金をかけるのも珍しくはないって訳だ。
代わりと言ってはなんだが武器だとかあと指輪やネックレス、その手のアクセサリーとかでステータスを強化するというのが一般的である。
ダンジョンから出てくるアイテムはマンガとかの異世界産並にファンタジーな能力がすごいので身につけるだけで身体能力だとかが向上してしまうのだ。
すごいよなファンタジー装備って。
見たところヤツはそんなファンタジーなアイテムをいくつか装備しているように見えた。
手に持っているのは木製の杖だが、先の方に赤色の宝石がくっついているアレは、なんたらロッドとかなんたらの杖とかって名前がついてる装備なんだろう。
それ以外だと指輪もつけてるな、もしかしたらあの髪型をツインテールにしてる髪留めもダンジョン産のアイテムかもしれない。
後は眼鏡もつけてる、ダンジョン産のアイテムの可能性はこちらにもある。
ステータスの向上が見込めるダンジョン産のアイテムを複数装備しているというのであればそれなり以上の実力を持ってる探索者である可能性は高い。
特に前衛職に全く見えないようなやつがソロで活動している事自体がきな臭いな。
この場合はどうしようもないポンコツか、かなりの実力はあるがわけありの探索者である場合がある。
前者ならあることないこと言って適当に丸め込むこともできるかもしれないが後者の場合かなり厄介かもしれない。
少なくとも俺はああいうなんとかロッドか杖みたいな装備をしてるやつで魔法系の攻撃スキルを持っていないヤツというのはさすがにないと思っているからだ。
あれであの武器で殴るだけだったらある意味ビックリだろ、絶対に何かしらの攻撃スキルを持っているはず。
魔法系であると言い切れないのはスキルってやつは本当に多種多様、と言うか闇鍋ばりに雑多なんだよ、本当にわけのわからんものも多いからな……。
ただし探索者として実力が確かなら保有するスキルは人間相手にはかなり効果的なものの可能性が高い。
そしてやっぱりモンスター相手より人間相手のトラブルなんて言うのは起こすだけ損だ。
探索者ってそこら辺どうしても一歩引いた目で見られるからな。
仕方がない、ここは交渉で何とかするしかないか。
俺の交渉術、それはつまりお金を払ってどうにかするだ。
人間は金の話さえうまくいけば大抵のトラブルは解決できるのだ。
俺はそう信じているぜ。
「まず話を聞いてくれ、俺はここのモンスターとの戦闘で装備品などを全て失っただけなんだ。したくて全裸でいるわけじゃない!」
「傷一つない体で全裸のくせに装備品だけ失ったとか意味がわかんないっての! そんなん自分から脱いだ以外なんてありえないでしょ!」
普通はその通りだ、くそっ俺のステータスがぶっ壊れてるからだと説明するしかないのか?
「本当なんだ、俺の装備品とかを全て破壊して、俺の体には一切傷がつかなかった。そんなわけのわからない攻撃スキルを放った変なモンスターがいたんだ、ついさっきまでここにな!」
「そんな変態的なモンスター聞いたことがないわよ、どっかの変態が日頃誰もいない不人気ダンジョンで服脱いで全裸での全力ダッシュにハマってる方がまだ説得力あるわ」
「いやねぇだろっ!」
そんな頭のおかしい馬鹿の方が想像できるってどう言う事だよ、何でそんなわけのわかんない妄想の方が現実味があるとか抜かせんだこの茶髪ツインテール。
奴の思考回路もイカレてるんじゃないのか?
人間相手なら交渉はできる、だがそれは真っ当な人間の場合だ。
頭の中が可哀想な人間相手に交渉などというものはできない。
て言うかコイツ、あの一瞬で人の全裸姿がしっかり記憶に焼き付けてんじゃねえよ。
こいつの方が変態じゃねえのか。
「よくもこの私にあんな汚いもん見せつけてくれたわね、絶対に地獄に送ってやるわ!」
「地獄に送ってやるとかさ、そういう危険なセリフは口にするヤツって碌なもんじゃねえよな」
あっそういえばさっきの俺も似たようなことを言っていたような……忘れた、そんなわけないか。
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